イラク情勢を踏まえ金融庁対策本部を設置・開催  (3月20日)

第12回金融審議会金融分科会第二部会において部会報告書「リレーションシップバンキングの機能強化に向けて」をとりまとめ(3月27日)


目 次
【トピックス】

 ○

株式市場の適正な運営の確保について

 ○

金融再生プログラムの進捗状況について

 

I

担保評価の厳正な検証について

II

リレーションシップバンキングの機能強化に向けて(金融審議会金融分科会第二部会報告書)

III

リレーションシップバンキングの機能強化に関するアクションプログラム

IV

有価証券報告書等の記載内容の適正性に関する代表取締役の確認について

V

公的資金による資本増強行(主要行)に対するガバナンスの強化について

VI

特別支援金融機関における「管理会計上の勘定分離」について

VII

「特別支援金融機関」に対する経営監視について

VIII

自己資本比率の算定に関する外部監査の導入について

 ○

貸金業の登録審査等の一層の強化について

 ○

イラク問題への対応について

 ○

米国PCAOBの規則案へのパブリック・コメントの発出について

【特別企画】

 ○

堀内昭義金融審議会第二部会長インタビュー

【金融ここが聞きたい!】

【金融便利帳】

 ○

今月のキーワード:公認会計士

【伊藤副大臣に質問!】

【お知らせ】

【3月の主な報道発表等】


【トピックス】
 

I

 金融庁では、去る3月13日、最近の株式市場がイラク情勢などの国際情勢の緊迫化を背景に不安定な状況となっていることを踏まえ、投資家の市場に対する不安感を払拭し、株式市場の適正な運営を図る観点から、(1)厳格な市場監視、(2)適正な価格形成の確保、(3)証券会社の自己売買に関するリスク管理の徹底、(4)自己株取得規制の緩和、(5)機関投資家の適切な資金運用(適切な貸株運用)の確保、(6)株式売却の際の市場の状況への配慮要請の6項目を内容とする「株式市場の適正な運営の確保について」をとりまとめ、これらの方策を直ちに講じることとしました。
 


 本文等をご覧になりたい方は、金融庁ホームページの「報道発表など」から「株式市場の適正な運営の確保について」(平成15年3月13日発表)にアクセスして下さい。

II

 具体的な方策の内容及びその実施状況については、以下のとおりとなっています。
 


.厳格な市場監視
 証券市場に対する投資家の不安を払拭するためには、証券市場で不公正な取引が行われないことが何よりも重要です。こうした観点から、東京証券取引所や日本証券業協会では、風説の流布や相場操縦などが行われていないか、十分な情報収集、分析を通じた監視を強化することとしました。
 また、証券取引等監視委員会においては、証券取引所等と密接に連絡を取りつつ、証券取引法に違反する行為について厳正に対処するため、東京証券取引所、日本証券業協会とそれぞれ市場監視連絡協議会を設置し、風説の流布や相場操縦等についてより迅速な情報交換を行うとともに、法令違反の疑いのある行為に対して、更に機動的かつ効率的に対処できるよう連携を強化しました。


.適切な価格形成の確保
 先般、いわゆる引値保証取引等に関し、証券取引法に違反する作為的な相場を形成する行為があったことを契機として、引値保証取引が相場操縦的な行為につながりやすい危険性があることを踏まえ、引値保証取引に係る発注者、受託証券会社、取引所等それぞれに対して取引の公正性を確保するための自主ルール等の策定を要請しました。
 これを受け、発注者である投資信託協会・信託協会等において、引値保証取引等の発注に係る社内ルールの整備についての自主ルールを、日本証券業協会において、受注者である証券会社が引値保証取引の受注などに係る社内ルールの整備についての自主ルールを策定したほか、取引所等が引値保証取引等に伴う受注証券会社のヘッジ取引が不公正なものでないかどうか注視する際のガイドラインを策定し公表しました。
 


 引値保証取引等に関し、発注者、受託証券会社、取引所等に対する要請内容について、詳しくお知りになりたい方は、金融庁ホームページの「報道発表など」から「引値保証取引等への対応」(平成15年3月18日発表)にアクセスして下さい。


.証券会社の自己売買に関するリスク管理の徹底
 最近、証券会社の中には自己売買のウェイトの高い会社が増えてきています。この証券会社の自己売買については、株価の急激な変動等により証券会社の財務の健全性に大きな影響を与える恐れがあることから、投資家保護及び決済の円滑かつ確実な執行の確保等のため、そのリスク管理を徹底する必要があると考えています。
 このような観点から、
 
  (1)  自社の財務状況等を十分に勘案して、適正な自己資本規制比率を設定し、それに基づき許容市場リスク額等を設定すること
  (2)  取引時間中、許容市場リスク額等の範囲内で行われることを管理する体制を整備すること
  など、証券会社が株式の自己売買業務を行う際に留意すべき事項を事務ガイドラインに追加しました。
 


 事務ガイドラインの内容について、詳しくお知りになりたい方は、金融庁ホームページの「報道発表など」から「事務ガイドライン(「証券会社、投資信託委託業者及び投資法人並びに証券投資顧問業者の監督等にあたっての留意事項について」)の一部改正について」(平成15年3月28日発表)にアクセスして下さい。


.自己株取得規制の緩和
 上場企業が自己株式を取得するにあたっては、相場操縦等を未然に防止する観点から、証券取引法において遵守すべき要件を定めていますが、平成13年9月の米国における同時多発テロの際の米国における対応例を踏まえ、市場の不安定な状況が落ち着くまでの暫定的な措置として3ヶ月間、この遵守すべき要件のうち、企業が自己株式を1日に買付けることができる数量の上限や買付けることができる取引時間についてのルールを大幅に緩和することとし、所要の内閣府令の整備を3月24日に行いました。
 


 内閣府令の内容について、詳しくお知りになりたい方は、金融庁ホームページの「報道発表など」から「上場等株券の発行者である会社が行う上場等株券の売買等に関する内閣府令の特例に関する内閣府令の施行について」(平成15年3月24日)にアクセスして下さい。)


.機関投資家等の適切な資金運用(適切な貸株運用)の確保
 最近、機関投資家等による貸株運用が増加していますが、貸株を行うと、貸株料収入が得られる反面、その貸株が空売りに使われ、結果として持っている株式の価値が下がってしまうリスクがあります。また、株主としての権利の基準日である決算期末を越えて貸株を行うと、株主としての重要な権利の一つである株主総会における議決権が行使できなくなってしまいます。
 そこで、資金運用を委託されている金融機関に対しては、貸株により、持っている株式の価値が下がる可能性のあることを機関投資家に十分説明して了解を得た上で貸株運用を行うよう要請するとともに、機関投資家に対しては、適切な議決権行使や貸株に関する自主ルールを作成するよう要請しました。この要請を受け、関係団体などにおいて、株主総会における議決権行使及び貸株についてのガイドライン等の自主ルールなどが策定されています。
 また、年金基金についても、同様に、適切な議決権行使や貸株に関する自主ルールを策定することを期待しているところです。


.株式売却の際の市場の状況への配慮要請
 現在、金融機関は株式の持合い解消などのため株式を売却していますが、金融機関が株式の売却を行うにあたっては、銀行等保有株式取得機構や日本銀行の株式買取スキームを活用するなど市場への影響に十分配慮して行うよう、金融機関に要請しました。
 また、厚生年金基金の代行返上が今年10月から施行されますが、これに伴い株式売却を行う場合には、市場の状況に十分配慮して行うことを期待しているところです。


PDF◎ 金融再生プログラムの実施状況(図)(平成15年4月22日現在)

I

 担保評価の厳正な検証について

 「金融再生プログラム」(平成14年10月)では、資産査定の厳格化を図る観点から、「鑑定評価を担保評価に用いている場合には、原則として独立した不動産鑑定士による法定鑑定を用いる方向で検討する」こととされました。これを踏まえ、銀行から独立した鑑定業者への依頼、銀行が合理的・客観的に担保評価額を求めることが難しい特殊な案件で高額なものを対象とした法定鑑定の実施などを含む、法定鑑定の運用強化とその明確化について、去る3月14日、主要行に対し要請を行いました。
 なお、銀行の担保評価については自行評価の活用が行われているケースが多いという実態を踏まえ、自行評価の精度の一層の向上を確保する観点から、自行評価の運用の強化についても併せて要請を行いました。
 


 本文等をご覧になりたい方は、金融庁ホームページの「報道発表など」から、「担保評価の厳正な検証について」(平成15年3月14日)にアクセスしてください。

II

 リレーションシップバンキングの機能強化に向けて(金融審議会金融分科会第二部会報告書)

 金融審議会金融分科会第二部会においては、昨年10月30日に発表された「金融再生プログラム」及び11月29日に発表された「金融再生プログラム作業工程表」を受けて、「リレーションシップバンキングのあり方に関するワーキンググループ」を設置し、本年1月から3月まで計7回の審議を行うとともに、中小・地域金融機関のエンドユーザーである地域の中小企業の方々の意見を把握するために2回の地方懇談会(大阪市及び仙台市)を開催した上で、「リレーションシップバンキングの機能強化に向けて」と題する報告書を取りまとめ、去る3月27日に公表しました。
 報告書は、4つの部分に分かれています。第1は、「リレーションシップバンキングの意義と有効性」と題する部分で、理念的なリレーションシップバンキングを念頭においてその意義と有効性を指摘しています。第2は、「わが国のリレーションシップの現状」と題する部分で、リレーションシップバンキングの主要な担い手である中小・地域金融機関が展開している業務の現状を整理した上で、それが本来のリレーションシップバンキングの姿から乖離している面があることを指摘しています。第3は、「リレーションシップバンキングの機能強化の必要性とその基本的考え方」と題する部分で、第2の部分で整理した現状を踏まえ、中小・地域金融機関がリレーションシップバンキングの機能強化に取り組むべきこと及び機能強化にあたっては、中小・地域金融機関と借り手企業がリスクの共同管理、コストの共同負担を行いつつ、より高い付加価値を生み出すことを目指すべきとしています。第4は、「リレーションシップバンキングの機能強化に向けた具体的な取組み」と題する部分で、(1)中小・地域金融機関の取組み、(2)情報開示等による規律、(3)監督当局による規律、(4)中小企業金融の円滑のための新たな工夫などリレーションシップバンキングを取り巻く環境整備、の4つに分けて具体的に求められる取組みを指摘しています。

PDF◎ リレーションシップバンキングの機能強化に向けて(第二部会報告)の概要
 


 報告書の本文をご覧になりたい方は、金融庁ホームページの「審議会など」から「金融審議会」に入り、PDF「平成15年3月27日「リレーションシップバンキングの機能強化に向けて」(金融審議会金融分科会第二部会報告)」にアクセスしてください。

III

 リレーションシップバンキングの機能強化に関するアクションプログラム
  −中小・地域金融機関の不良債権問題の解決に向けた
    中小企業金融の再生と持続可能性(サステナビリティー)の確保−

 「金融再生プログラム」(平成14年10月)及び「作業工程表」(同11月)において、中小・地域金融機関(地方銀行、第二地方銀行、信用金庫及び信用組合)の不良債権処理については、同プログラムが対象とした主要行とは異なる特性を有する「リレーションシップバンキング」のあり方を、金融審議会で多面的な尺度から検討の上、年度内を目途にアクションプログラムを策定することとされました。
 これを受けた金融審議会金融分科会第二部会報告書「リレーションシップバンキングの機能強化に向けて」(平成15年3月27日発表)では、「平成16年度までの2年間を地域金融に関する『集中改善期間』とした上で、それぞれの中小・地域金融機関が本報告書の提言に沿ってリレーションシップバンキングの機能を強化し、中小企業の再生と地域経済の活性化を図るための各種の取組みを進めることによって、不良債権問題も同時に解決していくことが適当と考えられる。」とされました。
 上記報告の提言を踏まえ、金融庁において、平成16年度までの「集中改善期間」中に各金融機関及び行政が取り組むべき、(1)中小企業金融の再生に向けた取組み、(2)各金融機関の健全性の確保、収益性の向上等に向けた取組み、(3)アクションプログラムの推進体制からなる「リレーションシップバンキングの機能強化に関するアクションプログラム」を取りまとめ、平成15年3月28日に公表したところです。
 


 本文等をご覧になりたい方は、金融庁ホームページの「報道発表など」から「リレーションシップバンキングの機能強化に関するアクションプログラム」(平成15年3月28日)にアクセスしてください。

IV

 有価証券報告書等の記載内容の適正性に関する代表取締役の確認について

 「企業内容等の開示に関する内閣府令」の改正が行われ(3月31日公布)、有価証券報告書等の提出者の代表者が、当該有価証券報告書等に記載された事項が適正であると確認しその旨を記載した書面を当該有価証券報告書等に添付しようとする場合には、当該有価証券報告書等の添付書類とされることとなります(平成16年3月期の有価証券報告書から適用。ただし、平成15年3月期の有価証券報告書についても適用できます)。この府令の公布にあわせて、主要行に対し、平成15年3月期の有価証券報告書から実施するよう要請を行いました。
 


 詳しくは、金融庁ホームページの「報道発表など」から、「企業内容等の開示に関する内閣府令等の一部を改正する内閣府令案の公表について」(平成15年3月11日)及び「証券取引法施行令の一部を改正する政令案及び企業内容等の開示に関する内閣府令等の一部を改正する内閣府令案に対するパブコメ結果」(平成15年3月28日)にアクセスしてください。

V

 公的資金による資本増強行(主要行)に対するガバナンスの強化について
    −経営健全化計画未達に係る監督上の措置の厳格化
                    及び転換権行使条件の明確化−

 公的資金による資本増強を受けた銀行は、経営健全化計画を作成し、その履行状況を公表することで、基本的にパブリックプレッシャーに基づく自助努力により経営を健全化していきます。しかし、的確に履行されていない場合、例えば当期利益が計画値を3割以上下回っているような場合には、必要に応じて報告徴求や業務改善命令の発出といった監督上の措置を講じ、また、例えば自己資本比率が4%未満(国際基準行)となった場合には、政府が保有する優先株の転換権を必要に応じて行使して普通株主となることで、資本増強行に対するガバナンスを確保することとしています。
 昨年10月30日に公表した「金融再生プログラム」を踏まえ、以上のガバナンスの枠組みについて、監督上の措置の厳格化・転換権を行使する基準の明確化を行い、監督上の措置と転換権の行使を有機的・一体的に運用して資本増強行に対するガバナンスの強化を図るため、去る4月4日、「公的資金による資本増強行(主要行)に対するガバナンスの強化について」というガイドラインを公表いたしました。
 その具体的内容は、次の通りです。
 
(1)  監督上の措置については、当期利益又は業務純益ROEが経営健全化計画から3割以上下回った場合に必要に応じ監督上の措置を講ずるという「3割ルール」に基づき業務改善命令を受けた後、なお経営の改善が見られない場合には、経営責任の明確化等を含む厳格な業務改善命令の発出を検討するなどの厳格化を図りました。
(2)  転換権の行使については、「経営が大幅悪化」している等と認められる以下の場合に、原則として転換権を行使する方向で検討し、転換権を行使する場合には、経営責任の更なる明確化等の措置を求めることとしました。
 
自己資本比率が国際基準行で4%未満、国内基準行で2%未満となった場合
2期連続優先株無配又はこれに準ずる場合
収益基調(ROA)が2期連続で相当程度悪化した場合
(1)の経営責任の明確化等を含む業務改善命令後もなお経営の改善が認められない場合
早期是正措置発出後もなお改善が見られない場合
個別行への危機対応が必要な場合(日銀特融や預保法第102条に基づく対応の検討と併せて検討)
 


 本文等をご覧になりたい方は、金融庁ホームページの「報道発表など」から、「公的資金による資本増強行(主要行)に対するガバナンスの強化について−健全化計画未達に係る監督上の措置の厳格化及び転換権行使条件の明確化−」(平成15年4月4日)にアクセスしてください。

VI

 特別支援金融機関における「管理会計上の勘定分離」について

 「金融再生プログラム」(平成14年10月)においては、「特別支援を受けることとなった金融機関においては、新勘定と再生勘定に管理会計上分離し、適切に管理する。」とされていることから、その仕組みについて整理したものです。
 具体的には、特別支援を受ける原因にもなった不良債権等の資産に対応する部分を「再生勘定」、その他の部分を「新勘定」に管理会計上分離して、それぞれ「適切に管理」していくものです。
 

(注

)「特別支援金融機関」とは、金融再生プログラムにおいて、「個別金融機関が経営難や資本不足もしくはそれに類似した状況に陥った場合等には」、「(1)日銀特融による流動性対策」、「(2)預金保険法に基づく公的資金の投入」、「(3)検査官の常駐的派遣」の「『特別支援』の枠組みを即時適用」するとされているところの「『特別支援』の対象となった金融機関」のことをいいます。
 


 本文等をご覧になりたい方は、金融庁ホームページの「報道発表など」から、「特別支援金融機関における「管理会計上の勘定分離」について」(平成15年4月4日)にアクセスしてください。

VII

 「特別支援金融機関」に対する経営監視について

 金融再生プログラムにおいては、経営難や資本不足等に陥った金融機関に対し、日銀特融や預金保険法に基づく公的資金投入を行うこと等を定めた特別支援の枠組みが用意されています。この枠組みが適用された金融機関(「特別支援金融機関」と言います)に対し、コンプライアンスの維持に万全を期するために徹底した検査・監督による経営監視を行えるよう、以下の施策を講じることとしました。
 
)特別支援決定後、速やかに検査・監督部局の職員から構成される「経営監視チーム」を設置して、常時のヒアリングや報告徴求を通じ経営を監視し、必要があれば、臨場してチェックを行うほか検査・監督上の処置をとるように関係部署に要請します。
)「経営監視チーム」と連携しつつ、原則として特別支援の決定後速やかにガバナンスの検証に重点を置いた立ち入り検査を実施します。
)「特別支援金融機関」の経営健全化計画の履行確保等のために、必要に応じて、当該金融機関の同意を前提として、取締役会等に当局者が陪席します。特に特別支援の決定後一定の期間は、原則として陪席します。
 


 本文等をご覧になりたい方は、金融庁ホームページの「報道発表など」から、「「特別支援金融機関」に対する経営監視について」(平成15年4月4日)にアクセスしてください。

VIII

 自己資本比率の算定に関する外部監査の導入について

 「金融再生プログラム」(平成14年10月)及び「金融再生プログラム」作業工程表(同11月)を受けて、金融機関の自己資本比率の算定に関する外部監査の導入にあたり、以下のような措置を講ずることとし、4月4日、主要行及び主要行を子会社とする銀行持株会社に対して、外部監査を受けることを要請しました。
 


.業務報告書様式の一部改正
 平成15年3月期末より、業務報告書中に記載する自己資本比率の算定に関し、外部監査を受けている場合には、その旨を記載することとしました。(銀行法施行規則及び長期信用銀行法施行規則で定める業務報告書様式を改正)


.ディスクロージャー誌への記載事項の追加
 平成15年3月期より、ディスクロージャー誌において、自己資本比率の算定に関し、外部監査を受けている場合には、その旨を記載することとしました。(銀行法施行規則及び長期信用銀行法施行規則を改正)
 


 本文等をご覧になりたい方は、金融庁ホームページの「報道発表等など」から、「自己資本比率の算定に関する外部監査の導入について」(平成15年4月4日)にアクセスしてください。


 法令遵守の意思なく貸金業登録を行うような悪質な業者の排除に資するため、金融庁では、平成15年4月1日を目処に、登録(新規登録及び登録換え)申請時の審査等の一層の強化を図るよう、各財務局に指示を行うとともに、都道府県に対して助言、勧告を行いました。


 本文等をご覧になりたい方は、金融庁ホームページの「報道発表など」から、「貸金業の登録審査等の一層の強化について」(平成15年3月18日)にアクセスしてください。


 平成15年3月20日、米国等によるイラクに対する武力行使が開始されたことを踏まえて、政府、金融庁等がとった対応・対策等は、以下のとおりです。

政府における対応

 平成15年3月20日(木)、米国などによる対イラク武力行使の開始を受け、政府はイラク問題に関する対処方針の決定等を行いました。
 この日の正午過ぎ(日本時間)、ブッシュ米大統領がテレビ演説でイラクに対する軍事行動の開始を宣言したことを受け、小泉総理は緊急記者会見を行い、米国の武力行使を理解し、支持する旨を表明しました。
 また、安全保障会議及び臨時閣議を招集し、「内閣総理大臣談話」と、小泉総理を本部長とする「イラク問題対策本部」の設置を閣議決定しました。更に、国民の安全確保や経済の混乱回避に向けた具体的な対応策を盛り込んだ「イラク問題に関する対処方針」を併せて閣議決定しました。
 その後引き続き、第1回目のイラク問題対策本部を開催し、イラク周辺の在留邦人の安全確保、テロ対策の強化、原油の安定供給を始めとする経済システムの安定、難民、周辺国への人道支援などの対応策について検討を行いました。



 政府における対応などについては、首相官邸ホームページの「イラク問題関連情報」アクセスしてください。
 
金融庁における対応

I 金融庁対策本部の設置・金融担当大臣談話の公表

 イラク問題に関し、「世界及び我が国の経済システムに混乱が生じないよう、関係国と協調し、状況の変化に対応して適切な措置を講ずる」との政府の対処方針を踏まえ、3月20日(木)、金融庁においても金融システムの安定確保に万全を期すため、金融担当大臣を本部長とする「金融庁対策本部」を設置し、政府の対策本部終了後、第1回会議を開催しました。
 会議においては、海外市場の動向、東証等取引所における対応、日銀における対応等について状況報告が行われ、政府の対処方針を踏まえ、金融庁としては、金融システムの安定確保に万全を期すため、日本銀行及び海外金融・市場当局等とも緊密に連絡を図りつつ、事態に適切に対処していくこととし、こうした方針を明らかにするとともに、市場関係者等に冷静な対応を呼びかけるための金融担当大臣の談話を公表する旨、確認いたしました。これを受け、対策本部終了後、竹中大臣が記者会見を行い、大臣談話を公表いたしました。
 また、4月7日(月)、第2回対策本部会議を開催し、イラク情勢、国内及び海外の市場の動向等について状況報告が行われ、引き続き、これまでの方針で注意深く対処することを確認しました。



 金融庁対策本部について、詳しくは、金融庁ホームページの「報道発表など」から「「金融庁対策本部」の設置について」(平成15年3月20日)にアクセスしてください。また、金融担当大臣談話については、金融庁ホームページの「大臣談話など」から金融担当大臣談話(平成15年3月20日)にアクセスしてください。

II 海外金融・市場当局との連絡状況

 金融庁は、3月18日(火)のブッシュ米大統領演説直後より、米SEC等、米国・欧州・アジア太平洋の海外市場当局等と頻繁に連絡を取り合っております。
 各国市場当局も、株式市場に関する特段の措置は取っておらず、通常どおりの取引を行っており、引き続き状況を注視するとの方針です。また、在外公館・日本銀行海外事務所等を通じ、海外の中央銀行の対応についても情報を収集していますが、欧州中央銀行が20日(木)に「必要があれば何時でもアクションをとる用意がある」旨の声明を公表した他は、各国中央銀行において特段の対応はとられていない模様です。

III テロ資金対策の実施

 3月20日(木)に開催された政府のイラク問題対策本部において、テロ資金対策が、緊急性の高い対応策の一つとされました。これを受けて、金融庁は、同日、金融機関等に対し文書により、顧客等の本人確認等の徹底、及びテロリズムに対する資金供与の疑いのある取引の遅滞なき届出を要請しました。
 また、金融庁は、疑わしい取引の届出のうち、テロ資金供与等の犯罪捜査に役立つと判断した情報を、引き続き速やかに警察等の捜査機関に提供するとともに、テロ資金の疑いのある情報について外交当局との間で情報交換を促進することなどにより、今後もテロ資金対策に取り組んでまいります。


 テロ資金対策について、詳しくは、金融庁ホームページの「報道発表など」から「「顧客等の本人確認の徹底及びテロリズムに対する資金供与等の疑いがある取引の届出について」の発出について」(平成15年3月24日)にアクセスしてください。

IV 周辺国等における我が国金融機関の状況

 現時点で金融庁が把握している我が国の金融機関(主要行、証券会社、損害保険会社)の中東における拠点(支店、駐在員事務所)等の状況は、(1)イラクには拠点なし、(2)周辺6カ国・17拠点、派遣職員数23人となっております(4月15日(火)10時現在)。金融庁としては、引き続き、我が国金融機関の中東における拠点、派遣人員の状況について把握してまいります。
 
日本銀行における対応

 日本銀行においても、3月20日(木)、米国等による対イラク武力行使が開始されたことを踏まえ、総裁を本部長とする対策本部を設置し、第1回対策本部を開催するとともに、「米国等による対イラク武力行使に伴う経済金融面への影響を注視しつつ、流動性供給を含め、金融市場の安定確保に万全を期す方針である」との総裁談話を発表し、公開市場操作を通じ金融機関に向けた1兆円を即日供給しております。
 また、23日(日)には、第2回対策本部を開催しております。



 日本銀行総裁談話については、金融庁ホームページの「インフォメーション」の中の「リンク集」から「日本銀行」のホームページに入り、「会見・談話・講演」から「3月20日 総裁談話・対イラク武力行使について」にアクセスしてください。
 
東証等の取引所における対応

 東京証券取引所等においては、米国等によるイラクへの武力行使は多くの市場参加者に予見されていた事態であったことから、武力行使開始後も通常どおり取引を継続することとし、投資家の冷静な投資行動と取引参加者である証券会社の適切な投資勧誘等を要請する取引所の社長・理事長談話を3月20日(木)に発表いたしました。
 なお、欧米市場においても通常どおりの取引が行なわれています。


 東京証券取引所社長談話については、金融庁ホームページの「インフォメーション」の中の「リンク集」から「関連業界協会等」の「東京証券取引所」のホームページに入り、「東証からのニュース」から「2003/03/20 社長談話」にアクセスしてください。


米国の公開会社会計監督委員会(PCAOB)の規則案への
パブリック・コメントの発出について
(米国の企業会計改革法への対応)


.米国の企業会計改革法への対応

 金融庁は、昨年7月末に成立した米国の企業会計改革法(サーベーンズ=オクスリー法)の適用が我が国の監査法人や米国上場の日本企業に及ぼす影響などにかんがみ、同法に基づく米国証券取引委員会(SEC)規則案について、パブリック・コメントを発出するなど、米国SECと建設的な対話を行ってきました(注1)。
 

(注1

)これまでの金融庁の取組みについては、アクセスFSA第2号及び第4号にアクセスしてみてください。


.米国の公開会社会計監督委員会(PCAOB)の規則案

 米国の公開会社会計監督委員会(PCAOB:Public Company Accounting Oversight Board)(注2)の規則案(3月4日付)は、米国の会計事務所のみならず、米国上場の外国企業(日本企業を含む)に関して監査報告書を準備・提供し、またはこれに重要な役割を果たしている外国の会計事務所(我が国の監査法人を含む)についても、PCAOBへの登録を義務付ける内容となっています。
 

(注2

)PCAOBは、会計事務所(public accounting firms)の新たな監督機関として、米国SECの監督下に設立された機関です。


.パブリック・コメントの発出
 

(1

)我が国の監査法人の監督は、我が国の法令に基づき我が国の関係当局により行われるべきものです。

(2

)このような観点から、金融庁として、3月28日付けで、このPCAOBの規則案に対して、我が国監査法人についてPCAOBへの登録からの適用除外などを要請するパブリック・コメントを発出したものです。
 


 詳細については、金融庁ホームページの「インフォメーション」から「国際機関関連情報」の「その他」に入り、「平成15年3月28日「米国PCAOBの規則案へのパブリック・コメントの発出について(米国の企業会計改革法(サーベーンズ=オクスリー法)への対応)」」にアクセスしてください。
 

(3

)また、これに関連して、3月31日に米国ワシントンにおいて、PCAOBの主催により、外国会計事務所の登録・監督について議論する公開のラウンドテーブルが開催されました。
 金融庁からもこの会合に参加し、欧州委員会(EC)などの外国からの出席者とともに、(1)互いの主権と監査人監督制度の相互尊重、(2)主要国における実質的に同等な監査人監督制度の構築努力(我が国でも公認会計士法改正法案を国会に提出)、(3)当局間の実務的な協力の重要性などを指摘しました。

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