証券取引等監視委員会が行った証券会社に対する検査の結果、証券会社が個人投資家向けに社債を販売する際の営業姿勢に関して問題点が認められたことから、4月22日に同委員会から金融庁長官に対して、金融庁設置法第21条の規定に基づき以下の内容の建議が行われました。

 最近実施した証券会社の検査において、証券会社が、社債の信用リスクに係る重要な情報の一つである発行会社の既発債の市場における流通利回りに大幅な上昇傾向が認められる状況において、この流通利回りの動向を適切に反映しない、投資家にとっては不利な条件で発行された新規社債について、この流通利回りの変化の状況を顧客に説明する等の措置を講じることなく、個人投資家向けに募集の取り扱いを行っている事例が認められました。
 また、証券会社が他社株券償還特約付社債券(以下「EB」という。)への投資に影響を与える対象株式の株価が大幅に低下している状況において、対象株式の株価水準を適切に反映しない、投資家にとっては不利な発行条件で発行されるEBについて、対象株式の株価水準がEBに対する投資に与える影響を顧客に説明する等の措置を講じることなく、個人投資家向けに売り出しを行っている事例が認められました。
 したがって、このような証券会社の営業姿勢を是正し、有価証券の投資に影響を与える市場要因が短期的に変化する場合、有価証券を募集、売り出しによって取得する個人投資家が情報面等で不利な状況となることを防止するために、証券会社が個人投資家向けに有価証券の募集の取り扱いや売り出しを行う場合における説明等についてのルールを整備する必要があります。

 金融庁では、上記建議を踏まえ、必要なルール整備のための内閣府令改正案を作成し、5月9日(金)から金融庁のホームページにおいて、広く一般から意見を募るためのパブリックコメントに付しているところです。

(参考

)建議とは、監視委員会が検査、調査の結果把握した事項等を総合分析して、法規制や自主ルールのあり方について監視委員会としての見解を明らかにし、これを行政や自主規制機関が行う諸施策に反映させようとするものです。


 本建議の本文等についてご覧になりたい方は、証券取引等監視委員会ホームページの「証券会社の検査結果に基づく建議について(平成15年4月22日)」にアクセスしてください。また、内閣府令の改正案をご覧になりたい方は、金融庁ホームページの「パブリック・コメント」から「証券会社の行為規制等に関する内閣府令の一部を改正する内閣府令(案)および事務ガイドライン(案)の公表について」にアクセスしてください。

 
財務局長会議(4月22日)

 金融庁は、本年4月22日、本事務年度(平成14年7月〜平成15年6月)第4回目の財務局長会議を開催しました。会議においては、竹中金融担当大臣及び伊藤金融担当副大臣からの挨拶に続いて大臣・副大臣はじめ当庁幹部と財務局長等との意見交換を行った後、高木長官からの挨拶、当庁各局及び証券取引等監視委員会からの業務説明を行いました。

 大臣挨拶の概要は、「景気は、おおむね横ばいとなっているが、引き続き不透明感がみられる。金融庁としては、こうした不透明感を払拭するためにも、金融の分野における構造改革を着実に進めて参りたいと考えている。金融庁としては、金融再生プログラムの諸施策を、作業工程表に従って、迅速かつ着実に推進してきたところであり、去る4月4日には、同プログラムの未実施の措置を公表した。これにより、基本的にプログラムの全ての項目についての対応が出揃った。他方、中小・地域金融機関の不良債権処理については、3月27日に発表された金融審議会の報告書を踏まえ、『リレーションシップバンキングの機能強化に関するアクションプログラム』(以下「アクションプログラム」という。)を3月28日に発表した。これにより、中小・地域金融機関の不良債権問題の解決に向けた中小企業金融の再生と持続可能性の確保を図って参りたい。各財務局等においては、管内の中小・地域金融機関における各種取り組みをしっかりと指導・監督していただきたい。また、証券市場の構造改革について、『貯蓄から投資へ』の流れを加速するため、平成15年度税制改正において抜本的な証券税制の見直しを行い、その周知に最大限努めているところであり、各財務局等においても積極的なPRにご尽力いただきたい。金融庁としては、今後とも、金融分野の構造改革による我が国経済の再生と活性化に強力に取り組んでまいりたい」というものでした。

 副大臣挨拶の概要は、中小企業金融に関連して、「地域における金融と経済の再生と活性化は、『アクションプログラム』に盛られた諸施策を推進し、地域金融機関の機能強化が図られることが重要であり、財務局の努力をお願いしたい。次に、『貸し渋り・貸し剥がしホットライン』については、引き続き商工会議所等を通じての債務者企業側へのPRに努めていただきたい。また、ホットライン情報をより有効に活用するため、関係省庁間の連絡会議を開催することとしたので、各財務局においても、経済産業局等との連携を密にして、『貸し渋り・貸し剥がし』の問題に適切に対応していただきたい。さらに、中小企業が置かれた現下の非常に厳しい環境下において、中小企業庁が進める各種中小企業対策に、政府一丸となって取り組むことが極めて重要であり、金融庁としても、各財務局を含め、これに積極的に連携・協力していく必要がある。例えば、本年2月10日に創設された『資金繰り円滑化借換保証制度』については、制度的には、本制度の利用がその後の新規の保証や融資に影響するものではないので、各財務局においては、管内の金融機関に対し、誤解を与えかねない説明を借り手側にしないよう、周知徹底していただきたい。また、財務局がオブザーバーとして参加している『中小企業再生支援協議会』については、今後とも同協議会の活動に関し、適切な助言・協力をしていただきたい」というものでした。

 大臣・副大臣はじめ当庁幹部と財務局長等との意見交換においては、地域の経済・金融情勢についての財務局等からの報告及びそれについての意見交換、「アクションプログラム」の地元での反応についての説明・意見交換が行われました。


 平成15年3月14日に国会に提出された「保険業法の一部を改正する法律案」が4月25日に国会で成立しました。
 以下、この法改正の概要について、ご説明いたします。

I

 生命保険のセーフティネットの整備
 生命保険のセーフティネットについては、生命保険契約者保護機構(以下「保護機構」)が創設されており、万が一、保険会社が破綻した場合には、機構が救済保険会社に対する資金援助等を行うことにより、保険契約者等の保護を図ることとされております。
 保護機構は、平成10年に4,600億円の規模で創設され、平成12年に、3年限りの措置として、政府補助の特例措置を含め、5,000億円の規模のセーフティネットが追加的に整備されました。平成14年度末に政府補助の特例措置が期限切れになるところ、現下の生命保険を取り巻く厳しい環境に鑑み、保険業に対する信頼性を維持するため、今回の法改正により、平成15年度から17年度まで、万が一、保険会社が破綻した場合に備え、改めて5,000億円のセーフティネットを整備するものです。具体的には、業界対応分1,000億円、国対応分4,000億円、合計5,000億円分の財源を用意し、平成15年度から17年度までの破綻に係る資金援助の額が1,000億円を超えれば、政府補助(4,000億円)を行なうことを可能とする仕組みとなっております。

II

 その他の改正事項
 
(1)  相互会社への委員会等設置会社制度の導入
 経営に対する適切な自己規律が確保されるよう、平成14年の商法等改正において保険株式会社について導入(15年4月施行)された委員会等設置会社制度等を保険相互会社についても導入し、社外取締役の拡充等を図ることとしております。
(2)  株式会社に関する制度整備
 株式会社化スキームの積極的な活用を促す観点から、相互会社から株式会社への組織変更に関する規定を見直し、組織変更時の(1)基金の償却の特例(基金の現物出資の認容)、(2)取締役等のてん補責任の免除(純資産額が社員への割当株式の発行総額に不足する場合のてん補責任の免除)等について盛り込んでおります。
(3)  中間業務報告書の作成義務づけ
 保険会社の財務状況を適時に把握するため、銀行等に義務づけられている中間業務報告書の作成・提出を保険会社に対しても義務づけることとしております。
(4)  保険会社の業務範囲の拡大
 保険会社の業務について、他の金融機関との連携のニーズが高まっていることを踏まえ、他の金融業を行う者の業務の代理・事務の代行を付随業務として規定いたしました。具体的には内閣府令で規定いたしますが、貸付の代理(銀行等との協調融資における幹事業務等)を想定しております。
(5)  保険募集人等の登録手続きの簡素化
 事務負担の軽減を図るため、保険募集人等の「住所」の登録・届出を不要とし、「生年月日」を登録・届出事項といたしました(これまで、生命保険募集人や損害保険代理店の役員・使用人については、住所の変更の都度、登録・届出が必要でした)。


 詳細については、金融庁ホームページの「国会提出法案」から「第156回国会における金融庁関連法律案」に入り、「保険業法の一部を改正する法律(平成15年3月14日提出、平成15年4月25日成立)」にアクセスしてください。また、金融庁ホームページの「審議会など」から「金融審議会」の「資料等」に入り、〈第二部会〉の「第12回平成15年3月27日 資料」のPDF「3.保険業法の一部を改正する法律案」にもアクセスしてみてください。



.はじめに
 金融庁は、平成14年10月30日公表の金融再生プログラムに基づき、特別検査の再実施など、主要行の資産査定の厳格化を図るための施策を講じてきました。そして、去る4月25日、特別検査の終了を受けて、その結果などについて取りまとめ、公表したところです。


.施策の内容
 
(1)  特別検査の再実施
 15年3月期決算に向け、全主要行に対して特別検査を再実施しました。対象債務者は167先で、昨年の149先に比べてカバレッジが広がりました。
(2)  再建計画検証チームによる再建計画の検証
 特別検査の対象債務者に係る再建計画について、外部の専門家を含む再建計画検証チームと特別検査班が連携して、その妥当性や実現可能性の検証を行いました。検証結果は、債務者区分の判定等に反映されています。
(3)  DCF法の適用
 ディスカウント・キャッシュ・フロー法(DCF法)は、将来予想キャッシュ・フローを基に引当金を算定する手法です。これについては、日本公認会計士協会による会計実務指針のガイドライン策定にあわせ、金融検査マニュアルを改訂して、引当金算定方法の一つとしてDCF法を明記しました。その上で、主要行に対し、15年3月期より、要管理先等の大口債務者へ適用するよう要請しました。


.特別検査等の実施結果
 これらの施策を総合的に実施した結果、以下のような面で、主要行の資産査定の厳格化を進めることができたと考えられ、これは、15年3月期決算に反映されることとなります。
 
(1)  今回の特別検査において、167先中27先について、債務者区分が下方に遷移しました。既に昨年の特別検査等で厳格な検証を実施しており、さらに多数の債務者が下位遷移することは想定されにくいのですが、現実には、企業実態の悪化等を反映して、下方への遷移が発生したものです。
(2)  他方、昨年の特別検査等による厳格な検査結果を受けて、再建計画を策定・実施し、事業再生の道筋に乗っているものが、大口債務者を中心に相当数あります。それらは、今回の特別検査では、債務者区分に変更がなかったもの(再建計画に基づく金融支援等を14年9月期までに実施して上位遷移し、そのまま債務者区分が維持されたものなど)119先、債務者区分が上方に遷移したもの(金融支援が15年3月期下期に実施され、上位遷移したものなど)17先となって現れています。
(3)  また、検査後の債務者区分を踏まえた15年3月期の不良債権処分損の見積額は、特別検査の対象先だけで1.3兆円と引き続き高い水準となっています。昨年の特別検査による14年3月期の不良債権処分損1.9兆円と合わせると、特別検査対象者だけで、3兆円を超える不良債権処理が進められたことになります。
(4)  さらに、DCF法導入の効果と考えられますが、特別検査対象先のうち大口要管理先の引当率が22%から35%に上昇しており、主要行における将来損失への備えである貸倒引当金が、より厚く手当てされてきていると考えられます。


 本文等をご覧になりたい方は、金融庁ホームページの「報道発表など」から、「特別検査等の実施結果について」(平成15年4月25日)にアクセスしてください。


 金融庁検査局では、持株会社方式による経営統合の進展や主要銀行グループにおける通年・専担検査の導入を踏まえ、金融持株会社に対する検査における着眼点を明確にし、また、金融行政の一層の透明性を確保するため、「金融持株会社に係る検査マニュアル」の整備に向けて、昨年9月に当庁職員(商法学者、公認会計士及び証券取引等監視委員会職員を含む。)のほか、実務的見地からの検討を行うため、銀行・保険・証券各業界や公認会計士の参加を得て、「金融持株会社に係る検査マニュアルWG」を設置し、現在まで15回にわたって検討してきたところですが、今般、「金融持株会社に係る検査マニュアル」(案)をとりまとめました。
 今後、検査官宛の通達として発出することを予定しておりますが、それに先立ち、内容を事前に公表し、広くご意見をお伺いすることといたしました。
 概要については以下のとおりです。

 ○

マニュアル(案)の概要
 
(1)  本マニュアル(案)は、金融持株会社に対する検査に際し、金融持株会社グループにおいて構築されている法令等遵守態勢及びリスク管理態勢が、金融持株会社の子会社である金融機関の健全性等の確保の観点から、適切なものとなっているかを検証するための着眼点を整理したものです。
(2)  金融持株会社グループは、その態様の違いにより、グループが抱えるリスクの特性やリスクの波及形態も異なります。また、現実に存在する金融持株会社グループの形態は、グループによって区区であり、その結果、グループにおける管理態勢や金融持株会社が担う役割も、異なる特色を有しています。本マニュアル(案)は、こうした金融持株会社グループの実態を十分に踏まえ、様々なケースに対応できるように作成したものです。
(3)  本マニュアル(案)に記載されているチェックリストの内容を、全ての金融持株会社グループに一律に求めているものではなく、その実態を十分把握した上で、管理態勢が適切に構築されているかどうかを検証するものです。

 ○

チェックリストのポイント
 持株会社の機能や役割に着目し、以下のような点について適切な管理態勢が構築されているか等を検証するためのチェックポイントを設けました。
 
(1)  グループとしてのリスク管理体制の構築
(2)  持株会社による適切な資本政策(グループとしての適切な資本の維持・グループへの適切な資源配分)
(3)  増資に係る法令等遵守態勢
(4)  グループ内取引等の妥当性(傘下金融機関の健全性や取引の公正性等の観点)
(5)  グループとしての危機管理体制の構築
(6)  顧客情報管理(グループ内での情報共有)の適切性


 「金融持株会社に係る検査マニュアル」(案)等について、詳しくは、金融庁ホームページの「パブリック・コメント」から「「金融持株会社に係る検査マニュアル」(案)について」にアクセスしてください。



.第三次市中協議案について
 バーゼル委員会は1998年以来、1988年に合意されたBIS規制の見直し作業に取り組んできました。その作業の過程で1999年6月に第一次市中協議案、2001年1月に第二次市中協議案を公表してきました。同委員会は、これらに対する市中から寄せられたコメントと、銀行界や世界中の監督当局と議論を続けてきた成果とを踏まえ、今回第三次市中協議案を公表しました。(コメント期限は、本年7月末)。同委員会は、本年末までに新BIS規制を完成し、その後、国内での準備期間を経て2006年末から新規制を実施することを目標としています。


.見直しの目的
 BIS規制見直しは、近年の銀行のリスク管理実務の進展や金融技術の高度化等を踏まえ、銀行の直面するリスクをより精緻に評価すると同時に、銀行のリスク管理能力向上を促すことを目指しています。また、新BIS規制では、最低自己資本比率の計算方法を見直すだけでなく、銀行自身による自己資本戦略の策定及び情報開示を通じた市場規律の強化という要素を組み合わせることによって、総合的に銀行の健全性と金融システムの安定性を確保しようとしています。


.新合意の主な要素
 合意は3つの柱、すなわち、(1)最低所要自己資本、(2)自己資本充実度に関する監督上の検証、(3)情報開示から成り立っています。以下では、3つの柱の各々を簡単にご紹介いたします。
 


−1.第一の柱:最低所要自己資本
 BIS規制で定められている自己資本比率とは、銀行が保有する利用可能な自己資本の額を分子とし、銀行が直面するリスクを定量化した数値、すなわちリスクアセットを分母とする比率を指し、国際的に活動する銀行は、こうして算出される自己資本比率が8%を下回ってはならないとされています。
 現在提案されている新合意では、自己資本比率の分子を定義する規則(すなわち規制上の自己資本の定義)は変更されていません。同様に、最低所要比率の8%も変更されていません。修正が加えられるのは、分母であるリスクアセットの定義、すなわち銀行が直面するリスクを定量化する方法です。リスクアセットを計算する新しい手法は、銀行のリスク評価を改善し、リスクをより正確に反映した自己資本比率の算出を可能にすることを企図したものです。
 リスクアセットの定義において、現行合意が明示的にカバーしているのは2種類のリスク、すなわち、(1)信用リスクと(2)トレーディング業務から生じるマーケット・リスクです。なお、トレーディング業務から生じるマーケット・リスクの取扱いは、1996年に定められたものであり、今回の見直しでは変更されません。
 第一の柱では、主として2つの要素においてリスクアセットの定義を変更することが提案されています。
 
 (1)  現行合意に比べて信用リスクの計算方法を大幅に改定すること、特に、(1)中小企業向け・個人向け貸し出しについては、小口分散によるリスク軽減効果を考慮して、リスクウェイトを軽減、(2)引当率の低い不良債権は加重、引当率の高い不良債権は軽減するといった点が第三次市中協議案において提案されています。
 (2)  オペレーショナル・リスクを明示的に取り上げ、銀行の自己資本比率の分母に同リスクを定量化した数値を算入すること


 ただし、計算方法を変更した結果として、銀行システム全体として必要とされる自己資本の水準は現行のBIS規制と比べて重くも軽くもしない方針です。
 また、新BIS規制の大きな特徴としては、信用リスクおよびオペレーショナル・リスクの計算において、銀行の業務の内容やリスク管理の状況に応じ、それぞれ3つの異なる選択肢が与えられていることが挙げられます。この結果、銀行および監督当局は、銀行業務および金融市場のインフラの発展段階に最も適当と考える手法を選択できるようになります。次の表は、それぞれのリスク毎に選択可能な3つの主要な手法を示したものです。
 
 
信用リスク オペレーショナル・リスク
(1)標準的手法 (1)基礎的指標手法
(2)基礎的内部格付手法 (2)標準的手法
(3)先進的内部格付手法 (3)先進的計測手法


−2.第二の柱:監督上の検証
 第二の柱は4つの指針となる原則に基づいて構築されています。これらの原則は、銀行は自らの負うリスク全体に応じて自己資本充実度合いを評価すべきであり、監督当局は銀行の自己評価を検証のうえ適切な対応を採る必要があることを示したものです。こうした要素は、銀行経営を行う上でも、また銀行監督を行う上でも重要との認識が強まりつつあります。


−3.第三の柱:市場規律
 第三の柱の目的は、第一の柱における最低所要自己資本と、第二の柱で取り上げられている監督上の検証プロセスを補完することにあります。同委員会は、市場参加者が銀行のリスク・プロファイルや自己資本水準に関する重要な情報を評価することができるよう一連の開示項目を示すことにより、市場規律を促進することを目指しています。新BIS規制では、進んだ銀行には、銀行内部のリスク管理情報を使った計算手法が認められており、自己資本比率を算定する際の銀行の裁量が拡大するため、情報開示を通じた市場規律の役割がより重要となります。


 詳細については、金融庁ホームページの「国際機関関連情報」から「バーゼル銀行監督委員会」に入り、平成15年4月29日 「自己資本に関する新しいバーゼル合意」にアクセスしてください。


 竹中大臣は、4月28日〜30日にかけてパリで開催された「OECDフォーラム2003」及び「OECD閣僚理事会」に出席し、世界及び日本経済の現状と見通しとともに、小泉内閣が進める構造改革についての説明を行いました。特に、29日の閣僚理事会では、「経済見通し」セッションにおいて議論をリードするための冒頭発言を行い、世界経済を順調な成長経路に回復させるためには、各国が短期的な問題のみならず長期的な構造問題に取り組む必要があることを指摘しました。さらに、日本経済については、四本柱の構造改革を中心に小泉構造改革を進めていくことが、持続可能な経済成長を達成する上で重要である旨を説明しました。
 また、この機会にフランスのメール経済財政産業大臣、米国のクロスナーCEA委員とも意見交換を行いました。

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