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このコーナーは、とかく専門的でわかりにくい金融に関する用語や様々な疑問について、わかりやすく解説するものです。 今月のキーワードは「貯蓄から投資へ:証券減税」です。 |
経済は、お金を当面必要な分以上に持っている者(家計など黒字主体)から、必要なだけのお金が手元にない者(企業など赤字主体)に流れていく金融によって回っています。金融には、黒字主体が赤字主体の株式や債券などを購入することで直接お金が流れる直接金融と、銀行等の金融機関を介してお金が流れる間接金融とがあります。 |
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企業など赤字主体の側から見れば、金融は、資金調達の手段です。企業の調達する資金には、自己資本と負債(他人資本)があります。負債は、他人から借りたお金で、いずれ元利を返済しなければなりません。金融機関から借入れたお金(借入金)や債券(社債)の発行で調達したお金などがそうです。他方、自己資本は、株式の発行で調達したお金(払込資本金)と利益の一部を企業内部に蓄積した内部留保からなりますが、文字通り自己のお金、企業自身すなわち企業の所有者である株主のお金(株主資本)です。 |
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家計など黒字主体の側から見れば、金融は、資産運用の手段です。運用先としては、預金、債券、投資信託、株式など様々な金融商品があります。そして、それぞれの金融商品の安全性(リスク)と収益性(リターン)を比較しながら、ローリスク・ローリターンか、ミドルリスク・ミドルリターンか、ハイリスク・ハイリターンか、自分の好みにあった金融商品を自らの判断で選びます。 |
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預金は、金融機関の負債ですが、金融機関は、自己資本比率規制などで監督当局により健全性を厳しくチェックされていますし、万が一、金融機関が破綻しても、少なくとも1,000万円までの元本とその利息は預金保険制度で保護されているので、元利返済という負債としての約束が約束どおり履行される可能性が高い、安全性の高い資産と言えます。 債券もまた、発行企業の負債であり、発行企業は債券保有者に元利返済の約束をしていますが、普通の事業会社は金融機関と違い、監督当局から健全性のチェックを受けているわけではないし、万が一、倒産した場合にも、預金保険制度のような保護の仕組みがないので、預金と比べれば負債としての約束が約束どおり履行される可能性、安全性は劣ることになります。 株式は、発行企業側から見れば、負債ではなく自己資本であり、元利返済の約束をしているものではありません。株主への配当は業績が悪ければ行われないし、会社が倒産すれば、まず負債の返済が行われ、なお残余があってはじめて株主への財産の分配が行われるし、預金保険制度のような保護の仕組みもありません。預金や債券に比べて安全性は劣ると言えます。 |
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他方、市場で裁定が働くことによって、安全性の高い、すなわちリスクの低い資産はその分収益性、リターンは低くなります。また、リスクの高い資産はその分高いリターンを期待できます。このようにして、資産を運用しようとする人は、ローリスク・ローリターン、ミドルリスク・ミドルリターン、ハイリスク・ハイリターンといったリスクとリターンの組み合わせを持った金融商品の中から、自分の好みにあったものを選択することになります。 |
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株式は、発行企業側から見れば自己資本であるということは、購入者側から見れば企業の所有者(オーナー)、株主になるということです。預金や債券のような元利返済の約束はありませんが、企業の財産や儲けた利益は株主のものですから、企業が成長していけば、将来、たくさんの配当収入や株価上昇によるキャピタルゲインといった大きなリターンが期待できます。 |
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企業側からしても、事業資金を借入金などの負債だけで賄おうとすれば、過剰債務になり、元利返済の重い負担に苦しむことになってしまいます。また、創業期の企業や新規の事業展開を始めた企業は、すぐには軌道に乗らず、収益も上がらないかもしれませんが、将来大きな成功を収めるかも知れません。このような企業には、約束した一定の元利返済をしていく必要のある借入金など負債による資金調達(デット・ファイナンス)よりも、当初は配当などができなくても将来事業が成功した暁には大きなリターンをお返しする株式での資金調達(エクイティ・ファイナンス)の方が適していると言えます。 経済は金融によって回っておりますが、ただ回っているだけでなく、回りながらより大きなものへと成長・発展していきます。そして、経済の発展、企業の成長を支える株式投資などのリスクマネーの供給が金融にとっての重要な使命となっているのです。 |
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資産運用に当たっては、様々な金融商品のリスクとリターンの組み合わせを比較して、自分の好みに合ったものを運用先として選択するわけですが、リターン(預金・債券などの利子所得、株式の配当所得・譲渡所得といった所得)には税金(所得税)がかかるので、資産運用者は、税引き後のリターンを比較することになります。したがって、金融商品・金融所得に対する課税のあり方が、資産運用における金融商品の選択に影響を及ぼすことになります。 |
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預貯金などの利子に対する課税については、かつて、貯蓄奨励と少額貯蓄者保護の目的から元本300万円以下の預貯金などの利子について所得税と住民税を免除する少額貯蓄非課税制度(いわゆるマル優)という貯蓄優遇税制が採られておりました。税引き後のリターンで、マル優の対象となる金融商品に太刀打ちできるためには、税引き前のリターンに相当の格差があることが必要となり、マル優の存在はマル優商品以外の金融商品が伸びていく芽を摘んでしまい、日本の金融市場に歪をもたらしてしまいました。その後、マル優については、制度本来の趣旨に反し、高額所得者が脱税のために不正使用しているなどとの批判の声が高まったこともあり、昭和63年に廃止され、一律20%の源泉分離課税が適用されることとなりました(高齢者など一部特定の対象者については、引き続き非課税の取り扱いとされております)。マル優の廃止は金利の自由化など金融の自由化の流れとあいまって、日本の金融市場に多様な金融商品の品揃えを促すこととなり、経済の成熟化、グローバル化に即した効率的な金融市場の構築にも資するものとなりました。 |
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日本経済の発展、企業の成長を支えるリスクマネーが円滑に供給されるようにするため、資産運用における金融商品の選択において、「貯蓄から投資へ」の流れを加速することが日本の金融における重要な課題になっております。株式からのリターン(配当・譲渡益)に対する課税を預貯金からのリターン(利子)に対する課税よりも軽減すれば、税引き後のリターンで比較して、資産運用手段としての株式の魅力が高まり、これまで預貯金を選択してきた人も株式投資に目を向けることが期待されます。 |
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そこで、このような株式投資をしようとする人を積極的に後押ししようということで、平成15年度税制改正において、証券税制が大幅に軽減・簡素化されました。新証券税制においては、株式からのリターン(配当・譲渡益)に対する税率を10%へと大幅に軽減しました。この証券減税により、株式からのリターンに対する課税は預貯金からのリターン(利子)に対する課税(税率20%)の半分となり、株式投資がより有利になりました。なお、株式投資信託の分配金に対する課税についても、今回の税制改正によって、平成16年から税率が20%から10%に軽減されます。 |
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新証券税制では、税率の大幅軽減により株式投資がより有利になっただけでなく、手間をかけずに預貯金なみの手軽さで納税できるように、より便利にもなりました。 まず、上場株式などの売買益、配当金、公募株式投資信託の分配金にかかる税金を、証券会社などを通じて納税(源泉徴収)することで、税務署に申告しなくてもよい制度となりました。 また、いわゆるタンス株(手元に保管している上場株式等)についても、特定口座に入れることが可能になりました(平成15年4月1日から平成16年12月末までの間、実際の取得価額または平成13年10月1日の終値の80%の価格で入れることができます)。 |
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証券減税により、一般の方が積極的に市場に参加し、「貯蓄から投資へ」の流れが加速されることが期待されます。 |
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※ 大臣・副大臣への質問募集中 |
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〇 金融庁ホームページに「トピックス」の欄を設置 新着情報のうち主なものをピックアップして一覧できるようにした「トピックス」の欄を金融庁ホームページのトップページに設置しました。さらに、「トピックス一覧」をクリックすると過去2ヶ月分の主な報道発表が一覧できます。 ○ 金融庁ホームページの「資料集」のコーナーに「金融庁所管法令一覧」を掲載 金融庁の所管する法律、政令、省令(内閣府令)などについて、金融庁内の担当部署などを付して整理し、「金融庁所管法令一覧」として一覧表にまとめました。「資料集」のコーナーに掲載しましたので、どうぞご利用ください。 〇 金融庁ホームページの「金融早わかりQ&A」をリニューアル とかく専門・技術的でわかりにくい「金融」に関する皆様の様々なご質問・ご疑問にできる限りわかりやすくお答えするために、金融庁ホームページには「金融早わかりQ&A」のコーナーを設けております。この度、同コーナーに収録された質問項目を抜本的に見直すなど大改修工事を施しましたので、どうぞご覧ください。また、これに合わせて、「金融サービス利用者コーナー」(旧「金融・証券情報コーナー」)など金融庁ホームページのその他各種コーナーについても改修工事を行いました。これらについても、どうぞご覧ください。 〇 金融庁ホームページに「金融庁採用パンフレット」を掲載 金融庁では、平成16年度採用に関し、今般、「金融庁採用パンフレット」を作成し、金融庁ホームページに掲載しました。同パンフレットでは、金融庁の業務の紹介や金融庁若手職員からのメッセージなどを掲載しています。学生さんなど金融庁職員を目指される方は勿論、それ以外の方も、金融庁の素顔を知ることができますので、是非、金融庁ホームページの「インフォメーション」の「採用に関する情報」から「主に新卒者の採用に関する情報提供コーナー」に入り、「金融庁採用パンフレット」にアクセスしてみてください。 〇 新着情報メール配信サービスへのご登録のご案内 金融庁ホームページでは、新着情報メール配信サービスを行っております。皆様のメールアドレス等を予めご登録いただきますと、毎月発行される「アクセスFSA」や日々発表される各種報道発表など、新着情報を1日1回、電子メールでご案内いたします。ご登録をご希望の方は、「新着情報メール配信サービス」へどうぞ。 |
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