.趣旨
 「リレーションシップバンキングの機能強化に関するアクションプログラム」(平成15年3月28日)に基づき、経済産業省の「産業クラスター計画」を支援するため、地域毎に関係金融機関から構成される「産業クラスターサポート金融会議」(以下「会議」という)を設置し、もって、関係者の交流連携の場を提供し、有望な研究開発型企業と優良案件の発掘に資し、中小・地域金融機関の創業・新事業支援機能等の強化を図るものです。


.産業クラスターサポート金融会議の運営
 以下の運営要領は、一応の指針であり、各プロジェクトや関係中小・地域金融機関の実情を踏まえ、調整・対応される予定です。
 
(1)  組織
 
 会議は、地方銀行、第二地方銀行、信用金庫、信用組合のうち、産業クラスター計画の関係金融機関(プロジェクトの推進組織に参加している金融機関及び同計画を支援しようとする金融機関)から構成されます。また、財務局、経済産業局及び産業クラスター推進組織がオブザーバーとして参加いたします。
 会議は、原則として、各財務局単位で設置されます。
(2)  議題
 産業クラスター計画推進を金融機関の立場から積極的に支援するため、その具体的な方策等について、意見交換、検討等を行います。
 具体的な議題としては、例えば、次のようなものが考えられますが、今後、会議において検討されます。
 
 ・ 産業クラスター計画に関する施策(予算措置等)の説明
 ・ 産業クラスター計画に係る各プロジェクトの推進状況、プロジェクト参加企業の動向等の情報交換
 ・ ビジネスプラン発表会の開催等、融資案件発掘方法の具体化


.会議立ち上げ状況
 平成15年5月21日の近畿地区における会議立ち上げ後、全国で以下のとおり会議を立ち上げたところです。
 
 
 [ 開催日] [管轄財務局名(会議開催地)]
  5月21日(水)  近畿財務局(大阪市)
5月26日(月)  中国財務局(広島市)
5月30日(金)  北陸財務局(金沢市)
6月2日(月)  北海道財務局(札幌市)、福岡財務支局(福岡市)
6月3日(火)  九州財務局(熊本市)
6月4日(水)  東海財務局(名古屋市)、四国財務局(高松市)
6月9日(月)  東北財務局(仙台市)
6月11日(水)  関東財務局(東京都)
6月12日(木)  沖縄総合事務局(那覇市)


 金融庁ホームページの「報道発表など」から「産業クラスターサポート金融会議の開催について」(平成15年5月21日)及び「リレーションシップバンキングの機能強化に関するアクションプログラム」(平成15年3月28日)にもアクセスしてみてください。また、経済産業省のホームページの「地域経済産業」に入り、「政策インデックス」の「産業クラスター計画」にもアクセスしてみてください。



.はじめに
 平成15年3月14日に国会に提出された「証券取引法等の一部を改正する法律案」が、5月23日に国会において成立しました。
 以下、その概要について簡単に説明します。


.改正の概要
 
(1)  証券仲介業制度の創設
 証券仲介業制度は、現在、証券会社等の店舗網は限られていることなどを踏まえ、投資家が証券取引を行うことのできる場の拡充・多様化を図り、より身近な場所で証券取引ができることを目的として創設したものです。
 具体的には、証券仲介業者は、証券会社等の委託を受け、有価証券の売買の媒介等の証券仲介行為について、法人・個人を問わず、登録を受けることにより営めることとしています。また、証券仲介業者の役員・使用人のうち証券取引の勧誘行為を行う者については、外務員登録を要件として一定の資質を求めることとしています。
 また、証券仲介業者の金銭・有価証券の取扱いの禁止、委託を行う証券会社等の使用者責任の明確化などを通じて、法令遵守や投資家保護に配慮した仕組みとしています。
 

(2)

 証券会社等の主要株主ルールの整備
 証券会社・投資信託委託業者・認可投資顧問業者の経営に影響力を有しうる主要株主(原則として20%以上の議決権の保有者)について、今回、その最低限の資質が確保されるよう、不適格者を排除できる制度を整備することとしました。
 具体的には、証券会社等が登録等を行うに当たり、主要株主については、その適格性(過去の行政処分歴、犯罪歴等)を確認することとともに、証券会社等の業務開始後に20%以上の議決権保有者となった者には、自らが適格者である旨の届出を義務づけます。また、不適格な主要株主については、行政当局による株式の売却命令等を通じて排除することを可能としました。

(3)

 協同組織金融機関による有価証券売買の書面取次ぎ業務の解禁
 有価証券売買の書面取次ぎ業務とは、勧誘行為を行わずに、顧客から書面で有価証券の売買注文を受けて、その注文を証券会社などへ取次ぐという制度ですが、今回、有価証券の販売経路の拡充・多様化を図る観点から、銀行に加え、信用金庫・信用組合・農業協同組合などの協同組織金融機関についても、有価証券売買の書面取次ぎ業務を解禁することとしました。

(4)

 証券取引所の持株会社制度等の導入
 取引所については、グローバルな展開に対応し、取引所の提携・統合を可能とするため、現行の取引所の株主ルールを見直すとともに、持株会社制度を導入することとしました。
 具体的には、一律5%超の議決権の取得・保有規制を廃止し、50%までの議決権の取得・保有を可能とするとともに、20%以上の議決権の保有については不適格者が保有しないよう認可制とします。また、持株会社については、設立の際認可を要することとし、取引所と同じ株主ルールを課した上で、取引所の株式を全て取得・保有できることとしています。

(5)

 許可外国証券業者制度の導入
 金融取引のグローバル化が進む中、我が国の取引所が国際的な市場間競争に適切に対応し、積極的な海外展開を行うことを可能とする必要があります。このような要請を踏まえ、海外の証券業者が、国内に支店を設置することなく、我が国の取引所市場の会員等となって直接発注することが可能となるよう制度整備を行いました。
 具体的には、国内に支店を設置しない海外の証券業者が、我が国取引所市場へ直接参加する場合には、国内に代表者を設置することが義務付けられ、当該外国証券業者を監督・監視する外国規制当局から必要な情報の提供が受けられる体制などの整備等を条件として許可を受けた上で、参加が認められることとしています。こうした枠組みの提供は、我が国証券取引所が取引所間で相互に相手方取引所の会員等を自らの取引所の会員等として取引を認める、いわゆるクロス・メンバーシップ方式により海外取引所と連携することも可能とするものであることから、我が国の取引所市場の流動性の向上と国際競争力の強化に資するものであると考えています。

(6)

 証券会社による投資一任業務等の兼業に係る規制の適正化
 証券会社における資産管理・運用サービスの円滑な提供が行われるよう、ラップ口座などが円滑に実施できる制度としました。ラップ口座とは、一般的には、顧客が投資資金を証券会社に預託し、その資金運用を一任することができる口座で、個々の売買では手数料が徴収されず、資産残高に応じて報酬が徴収される仕組みとなっています。我が国では、平成10年の金融システム改革の際に、ラップ口座の開設などができるよう、証券会社による投資一任業務の兼業を可能としたのですが、証券会社が投資一任業務を行った際には自己勘定による売買の内容を顧客に開示するなどの義務が課されていたことなどから、実際にはなかなか進んでいませんでした。
 そこで、証券会社において証券業部門と投資一任業務部門との間の厳格なファイアーウォールなどが整備されていることを条件に、この開示義務を免除することや、証券会社が投資一任業務等を兼業した場合、証券業以外の業務を営むために必要な兼業承認を届出制とすることなどにより、資産管理型営業に向けた環境整備を行いました。

(7)

 その他
 その他、信託銀行に係る投資一任業務の解禁、海外取引所端末の国内設置に係るルールの明確化などについても制度整備を行っています。
 なお、今回の法改正については、原則として平成16年4月1日から施行されますが、協同組織金融機関による有価証券売買の書面取次ぎ業務の解禁については、平成15年6月30日から他の項目に先立って施行されることとなっています。


 詳細については、金融庁ホームページの「国会提出法案」から「第156回国会における金融庁関連法律案」に入り、「証券取引法等の一部を改正する法律(平成15年3月14日提出、平成15年5月23日成立)」にアクセスしてください。


PDF◎インサイダー取引規制における公表措置(見直し前・見直し後)


.インサイダー(内部者)取引規制について
 会社関係者等は、投資家の投資判断に影響を及ぼすべき重要事実について、その発生に関与したり、容易に接し得る立場にあります。これらの者が、そうした重要事実で未公表のものを知りながら、関係する有価証券に係る取引を行うことが可能であれば、その情報を知り得ない一般投資家と比べて著しく有利となり、極めて不公平です。
 証券取引法では、証券市場の公正性に対する投資家の信頼を確保するため、いわば特別な詐欺罪としてインサイダー取引を規制しており、会社関係者等が未公表の重要事実を知りながら、それが公表される前に取引することが禁止されています。
 
加害者: 一般の投資家が知らない未公表の重要事実を知りながら株式等を売買した会社関係者(インサイダー)
被害者: 未公表の重要事実を知らない一般投資家
罰 則: 3年以下の懲役、300万円以下の罰金(法人は3億円以下)


.見直しの背景
 現行の規制では、上場会社等が重要事実をホームページに掲載してもインサイダー取引規制上の公表とはならず、一方、会社関係者から重要事実の伝達を受けた者(第一次情報受領者)もインサイダー取引規制の対象とされているため、上場会社等が重要事実をホームページに掲載すると、それを見た者は第一次情報受領者として取り扱われるおそれがあります。
 
(注 )現行において、インサイダー規制が解除される公表措置には、次の2つがあります。
 
  (1)  重要事実が記載された有価証券報告書等の財務局における公衆縦覧
  (2)  2以上の報道機関への重要事実の公開後12時間経過
 このため、企業によっては、この規制のため重要事実をホームページに掲載することを控えており、企業のIR(Investor Relations)活動を阻害しているとの指摘もあります。
 このような不都合を解消すべく、平成14年8月6日に公表した「証券市場の改革促進プログラム」において、「インターネットの普及を踏まえ、企業のタイムリーなディスクロージャーが円滑に行われるよう、インサイダー取引規制に係る関連規定を見直す」こととされ、これまで検討を行ってきたところです。


.見直しの内容
 上場会社等からその上場等を行っている証券取引所・証券業協会の規則に基づき通知された重要事実が、当該証券取引所・証券業協会においてインターネットを通じて公衆縦覧された場合を、新たにインサイダー取引規制上の公表措置に加えることとしました。(政令及び内閣府令の一部改正の実施)
 この措置によって、証券取引所・証券業協会に通知された重要事実がリアルタイムで公衆縦覧されることとなり、上場会社等も自社のホームページ等においてすみやかにディスクロージャーを行うことができるようになります。


 政令及び内閣府令の一部改正の内容については金融庁ホームページの「パブリック・コメント」から「証券取引法施行令の一部を改正する政令(案)及び会社関係者等の特定有価証券等の取引規制に関する内閣府令の一部を改正する内閣府令(案)の公表について」にアクセスしてください。


 去る5月26日に公表されました主要行の15年3月期決算を見ますと、実質業務純益は実力ベースでほぼ前年並みとなりましたが、株価の下落を受けた株式等関係損益の赤字等の結果、経常利益・当期利益が全行で赤字となるなど厳しい内容となっております。
 しかしながら、不良債権(金融再生法開示債権)の残高では、全体で14年9月期に比べ15.5%減少し、特に、破綻懸念先以下について、「2年・3年ルール」等に基づく処理が進捗し、対14年9月期比マイナス29.1%と大きく減少した結果、不良債権比率は7.2%となり、14年度下半期で0.9%低下しています。
 今回の決算においては、金融再生プログラムの定める「16年度末までに主要行の不良債権比率を現状の半分程度に低下」という目標等の達成に向けて、不良債権処理が順調に進捗しているという状況が表れていると考えられます。


 詳細については、金融庁ホームページの「報道発表など」から、「主要行の平成14年度決算について《速報ベース》」(平成15年5月26日)にアクセスしてください。


 金融庁は、5月29日、全国の財務局・都道府県に登録されている貸金業者の情報を金融庁のホームページで検索できるサービスを開始しました。
 貸金業者は、主たる営業所等の所在地を管轄する財務局・都道府県の登録を受けなければなりませんが、無登録のヤミ金融業者はモバイル端末やダイレクトメール等を利用して広範囲に活動しており、法外な高金利要求や苛酷な取立による被害は全国的な広がりを見せています。一方で、全国の財務局、東京都及びその他10府県の登録貸金業者については、個別に各ホームページで登録内容を確認することが可能ですが、全国すべての登録貸金業者の登録内容を一元的に確認する手段はありませんでした。このような状況を踏まえ、無登録業者からの借入防止という資金需要者保護の観点から、全国の登録貸金業者(財務局登録約900先、都道府県登録約24,000先)の情報をインターネット上で検索できるシステムを構築したものです。
 このサービスで検索される情報は、財務局・都道府県で閲覧できる貸金業者登録簿や、官報等をもとに編集したものですが、現在のところ、京都府登録のすべての貸金業者と、富山県登録の一部の貸金業者の情報は含まれておりません。検索された貸金業者の最新情報や詳細については、登録先の財務局・都道府県にお問い合わせ下さい。
 このサービスで検索されない貸金業者は、財務局・都道府県がデータ更新後に新規登録の事務処理を行ったか、無登録業者である可能性があります。検索されなかった場合には、所在地を管轄する財務局・都道府県に電話等で登録の有無を照会し、登録の確認ができない業者からは借入しないようにしましょう。また、登録があっても、法外な高金利を要求したり、契約書面を交付しない悪質な貸金業者もいるのでご注意ください。


 金融庁ホームページの「登録貸金業者情報検索」にもアクセスしてみてください。


 平成15年5月29日、産業再生機構の幹部と金融庁の幹部との間に、「産業再生機構・金融庁連絡会」を設置し、同日、第1回会合を開催しました。
 本連絡会は、「貸し手である金融機関の不良債権問題と借り手である企業・産業側の過剰債務・過剰供給構造問題は表裏一体の関係にあり、我が国経済の再生・活性化のためには、これら問題の同時解決による金融・産業の一体的な再生が不可欠である」との基本的な認識に基づき、金融庁と産業再生機構とが一層密接な連携を図っていくことを目的に設置されたものであり、今後、適宜開催していくこととしております。
 また5月29日の会合では、こうした本連絡会の目的等を踏まえて、金融庁と産業再生機構との間で、
 (1)  金融庁から金融機関等に対して、不良債権処理の過程において産業再生機構を活用するよう促すこと、
 (2)  産業再生機構が金融庁より、再生計画の検証方法に関する技術的助言を受ける場を設けること、
について基本的に合意したところであり、今後、これらに関する具体的な対応のあり方について早急に検討を進めてまいりたいと考えております。
 なお、本連絡会のメンバーは以下のとおりです。

(産

業再生機構側)
  産業再生機構   斉藤  惇   代表取締役社長・産業再生委員
  高木新二郎 産業再生委員会委員長
  冨山 和彦 代表取締役専務
田作 朋雄 取締役・産業再生委員
古賀 茂明 執行役員
 
  内閣府産業再生機構担当室
    江崎 芳雄   室長
大森 泰人 参事官
 
(金 融庁側)
  金  融  庁   高木 祥吉   長官
  藤原  隆 総務企画局長
佐藤 隆文 検査局長
五味 廣文 監督局長
増井喜一郎 総務企画局審議官(総務担当)


 金融庁ホームページの「報道発表など」から、「産業再生機構・金融庁連絡会」の開催について」(平成15年5月29日)にもアクセスしてみてください。


PDF◎公認会計士法の一部を改正する法律案

 平成15年3月14日に国会に提出された「公認会計士法の一部を改正する法律案」が5月30日に国会で成立しました。
 以下、この法改正の概要についてご説明いたします。

I

 公認会計士の使命・職責の明確化
 公認会計士は、監査及び会計の専門家として、独立した立場において、財務書類その他の財務に関する情報の信頼性を確保することにより、会社等の公正な事業活動、投資者及び債権者の保護等を図り、もって国民経済の健全な発展に寄与することを使命とする旨の使命規定、及び公認会計士は、常に品位を保持し、その知識及び技能の修得に努め、公正かつ誠実にその業務を行わなければならない旨の職責規定を設けることといたしました。

II

 公認会計士等の独立性の確保
 監査の公平性・信頼性の向上を図るためには、公認会計士及び監査法人の被監査企業からの独立性を強化する必要があるとの観点から、商法特例法監査対象会社(一定規模未満のものは除く。)、証券取引法監査対象会社等(以下「大会社等」という。)に対する監査に関して、
 
  (1)  被監査会社等に対する監査証明業務とコンサルティングなど、一定の非監査証明業務の同時提供の禁止
(2)  監査法人の関与社員等の一定期間での交替制の導入
(3)  公認会計士の単独による監査の禁止 等
  以上のような、公認会計士等の独立性を強化するための措置を講じることといたしました。

III

 監査法人等に対する監視・監督機能の充実・強化
 監査法人及び個人事務所に対する監視・監督機能の充実・強化によって、我が国の公認会計士監査制度に対する信認を確保するために、
 
  (1)  監査法人等の内部管理や審査体制について、日本公認会計士協会の指導や監督(「品質管理レビュー」)の行政によるモニター
(2)  監査法人等の業務運営の適正性の監視のための、懲戒事由を前提としない立入検査権の導入 等
  以上のような措置を講じることといたしました。

IV

 公認会計士試験制度の見直し
 社会人を含めた多様な人材にとっても受験しやすい制度とするとともに、監査証明業務に従事するにふさわしい一定水準の能力を有する監査と会計の専門家を今後とも確保していくことが不可欠との観点から、
 
  (1)  現行の試験体系の大幅な簡素化
(2)  一定の専門資格者及び一定の要件を満たす実務経験者などに対する試験科目の一部免除 等
  以上のように試験制度を改正いたしました。

V

 その他
 上記の他に、(1)監査法人の社員の責任の一部限定、(2)監査法人設立手続の認可制から届出制への変更等の規制緩和等、所要の措置を講じることといたしました。

VI

 施行期日
 この法律は平成16年4月1日から施行されることとされております。ただし、試験制度の見直しに係る部分については、平成18年1月1日から施行されることになっております。


 詳細については、金融庁ホームページの「国会提出法案」から、「第156回国会における金融庁関連法律案」に入り、「公認会計士法の一部を改正する法律(平成15年3月14日提出、平成15年5月30日成立)」にアクセスしてください。

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