(にっぽんNOW 平成15年7月7日号より)

7月は「証券投資PR強化特別月間」です。証券投資がより身近になりました!!

目 次
【トピックス】
 ○ 破綻金融機関処理のために講じた措置の内容等に関する報告について
 ○ 機関投資家の受託者責任、適正な広告表示等に係る保険会社関係事務ガイドラインの改正について
 ○ 「リレーションシップバンキングの機能強化に関するアクションプログラム」関係の事務ガイドラインの改正について
 ○ 公的資金による資本増強行(地域銀行等)に対するガバナンスの強化について
【証券投資特集】
 ☆ 土田正顕 株式会社東京証券取引所代表取締役社長インタビュー
 証券投資トピックス
 ☆ 「個人投資家の幅広い市場参加に向けて〜検討事項の進捗状況(中間とりまとめ)〜」の公表について
 ☆ 証券投資が、より身近に、より有利になりました!
 ☆ 証券減税PR強化特別月間における各種広報展開
【金融ここが聞きたい!】
 ○ 株価が上昇していますが、実体経済に変化があったのでしょうか?また、金融機関の財務の健全性に与える影響はいかがでしょうか?
 ○ 長期金利が上昇していますが、実体経済や金融機関の財務の健全性に与える影響はいかがでしょうか?
 ○ りそなホールディングスがいよいよ新経営陣の下での再生のスタートとなりますが、今後期待することはどんなことでしょうか?
【金融便利帳】
 ○ 今月のキーワード:インフレとデフレ
【お知らせ】
【6月の主な報道発表等】


【トピックス】
 


.本報告の位置付け
 本報告は、金融再生法第5条に基づき、金融機関の破綻処理のために講じた措置の内容等について、概ね6月ごとに国会に報告するものです。今回は第8回の報告となりますが、平成14年10月1日から平成15年3月31日までの間を中心にとりまとめ、本年6月6日に国会へ提出いたしました。
 
 
金融機能の再生のための緊急措置に関する法律(平成十年十月十六日法律第百三十二号)
(国会に対する報告)
  第五条  政府は、おおむね六月に一回、又はその求めがあったときは直ちに、破綻した金融機関の処理のために講じた措置の内容その他金融機関の破綻の処理の状況を国会に報告しなければならない。


.破綻金融機関の処理のために講じた措置の内容
 
(1)  石川銀行
 一昨年12月28日に金融整理管財人による業務及び財産の管理を命ずる処分(以下「管理を命ずる処分」といいます。)がなされた石川銀行については、本年3月24日、日本承継銀行を経て、北陸銀行、北國銀行、富山第一銀行、金沢信用金庫及び能登信用金庫への営業譲渡が行われ、管理を命ずる処分が取り消されています。
(2)  中部銀行
 昨年3月8日に管理を命ずる処分がなされた中部銀行については、本年3月3日、日本承継銀行を経て、清水銀行、静岡中央銀行及び東京スター銀行への営業譲渡が行われ、管理を命ずる処分が取り消されています。
(3)  被管理協同組織金融機関
 今回の報告対象期間中に、5信用組合について事業譲渡が行われ、管理を命ずる処分が取り消されています。


.瑕疵担保条項に基づく債権の買取り
 今回の報告対象期間中における預金保険機構の瑕疵担保条項に基づく債権買取の状況については以下のとおりです。
 
件数 債権額(億円) 支払額(億円)
新生銀行 54 1,432 1,243
あおぞら銀行 31 1,356 806


.預金保険機構による資金援助等の実施状況等
 これらの破綻金融機関の処置に係る預金保険機構による主な資金援助等の実施状況及び公的資金の使用状況については以下のとおりです。
 
(1)  資金援助等の実施状況
 破綻金融機関の救済金融機関への営業譲渡等に際し、破綻金融機関の債務超過の補てん等のために預金保険機構から救済金融機関に交付される金銭の贈与に係る資金援助の額は、今回の報告対象期間中において4,892億円であり、これまでの累計で18兆6,841億円となっています。
 また、預金保険機構による破綻金融機関からの資産買取額は、報告対象期間中で1,981億円、これまでの累計で6兆3,663億円となっています。

(2)

 公的資金の使用状況
 一般勘定、特例業務勘定、金融再生勘定及び金融機能早期健全化勘定における政府保証付借入等の残高は、本年3月31日現在において、各勘定合計で20兆8,736億円となっています。また、特例業務勘定の特例業務基金に交付された13兆円の交付国債の償還額の累計は、10兆4,326億円となっています。なお、平成14年度末において特例業務勘定は廃止され、償還されていない2兆5,674億円の国債は政府に返還されています。


.おわりに
 以上のように説明いたしましたとおり、破綻金融機関の処理に関しては、これまでも適時・適切に所要の措置を講じることに努めてきたところです。金融庁といたしましては、今後とも、我が国の金融システムの一層の安定の確保に向けて、万全を期してまいります。




 報告書の全体については、金融庁ホームページの「国会報告」から、平成15年6月6日 国会報告(破綻金融機関の処理のために講じた措置の内容等に関する報告)にアクセスしてください。


 先般、「証券市場の改革促進プログラムの進捗状況」において、機関投資家の受託者責任の実効性を確保するため、特別勘定に係る保険会社の運用体制の充実等に関し、事務ガイドラインの見直しを行うとしたことを踏まえ、運用体制の整備など、特別勘定の運用について留意すべき事項を、保険会社関係に係る事務ガイドラインに追加いたしました。なお、信託銀行についても、預金取扱い金融機関関係に係る事務ガイドラインにおいて、同様の追加を行っております。
 また、本年5月、公正取引委員会から、保険商品の広告表示等の中に、一般消費者に誤認を招くおそれのある表示があるとの調査結果が発表されたことを踏まえ、リーガルチェックを含めた審査体制の整備など、広告表示等の適正化を確保するために留意すべき事項を、保険会社関係に係る事務ガイドラインに追加いたしました。


 本文等をご覧になりたい方は、金融庁ホームページの「事務ガイドライン」から「事務ガイドラインの一部改正に関する報道発表」に入り、第一分冊:預金取扱い金融機関関係の「平成15年6月30日 事務ガイドライン(「金融監督にあたっての留意事項について(第二分冊:保険会社関係)」)の一部改正について」にアクセスしてください。


I

 3月28日に公表された「リレーションシップバンキングの機能強化に関するアクションプログラム」においては、(1)コンサルティング業務、M&A業務等の取引先企業への支援業務が、どのような場合に銀行法等における付随業務に該当するかについての具体的な考え方、(2)金融機関の経営の合理化を促進するため、顧客保護等適切な運営に十分配慮しつつ、各金融機関が行う事務のアウトソーシング、リストラ等により生じた余剰資産の有効活用等についての取扱い、(3)早期警戒制度に各金融機関の大口与信等に係る「信用リスク改善措置」の導入、について平成15年6月末までに措置することとしており、去る6月30日事務ガイドラインを改正し、同日より実施することとしました。

II

 具体的には、以下のとおりです。
 
(1)  金融機関がリレーションシップバンキングの機能の一環として行うコンサルティング業務等取引先への支援業務が付随業務に該当することを明確化するとともに、その際、中小企業等顧客保護や法令等遵守の観点から図るべき態勢整備の内容を規定(注)。
(2)  金融機関がリストラ等により生じた余剰能力の有効活用等を行う際に留意すべき点を規定。
(3)  事務の外部委託(アウトソーシング)について、顧客保護の確保、金融機関の業務への影響等の観点から留意すべき点を新たに規定。
(4)  大口与信の集中状況等を基準として、信用リスクの管理態勢について改善が必要と認められる金融機関に関する信用リスク改善措置を規定。
 

(注)

 銀行が行うことができる業務は銀行法第10条に定められており、この第1項に銀行が固有に行うことができる業務(預金等の受入れ、貸付、為替取引)が記載され、同条第2項で、「銀行業に付随する業務」としていくつかの業務が例示されています。今回のガイドライン改正は、こうした法令上の取扱いに変更を加えるものではなく、従来の監督上の取扱いを明確化することに目的がありました。

 金融庁としては、各金融機関が今回の改正を積極的に活用することにより、リレーションシップバンキングの機能を持続的な形で強化していくことを期待しています。




 本文等をご覧になりたい方は、金融庁ホームページの「事務ガイドライン」から「事務ガイドラインの一部改正に関する報道発表」に入り、第一分冊:預金取扱い金融機関関係の「平成15年6月30日 事務ガイドライン(第一分冊:預金取扱い金融機関関係)の一部改正について」にアクセスしてください。


 「リレーションシップバンキングの機能強化に関するアクションプログラム」(平成15年3月28日)及び「公的資金による資本増強行(主要行)に対するガバナンスの強化について」(平成15年4月4日。以下「ガバナンス強化ガイドライン」といいます。)を踏まえて、主要行以外の公的資金による資本増強行(地域銀行等)に対するガバナンスの強化については、リレーションシップバンキングの特性等を踏まえ以下の点に留意しつつ、「ガバナンス強化ガイドライン」を準用することとしました。(本ガイドラインは平成16年3月期から適用することとします。)


.「ガバナンス強化ガイドライン」に基づき、「経営の改善に向けた責任ある経営体制の確立」や「経営体制の刷新」等のため必要な措置を講ずるよう求める場合、当該措置による代表取締役社長(頭取)や経営陣の交代が、当該資本増強行の顧客基盤やその属する地域の経済情勢等に関する知見、さらには地方公共団体との関係等に照らし、当該資本増強行のリレーションシップバンキングの機能の十分な発揮につながるものであるかどうかに留意することとします。
.「ガバナンス強化ガイドライン」に基づく転換権の行使の検討に当たっては、以下の各点に与える影響にも留意することとします。
 
 資本増強行とその顧客等との間のリレーションシップ
 資本増強行が他の金融機関と合併等の組織再編を予定している場合における当該組織再編
 地方公共団体や地元企業等の支援体制


 本文等をご覧になりたい方は、金融庁ホームページの「報道発表など」から、「公的資金による資本増強行(地域銀行等)に対するガバナンスの強化について」(平成15年6月30日発表)にアクセスしてください。

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