「あすへの投資を考える タウンミーティング イン 広島」に竹中大臣が出席 政府広報番組「明日への架け橋」(テーマ:中小企業金融)での伊藤副大臣
(7月27日) (6月28日放送)

目 次
【トピックス】
 ○ 金融審議会金融分科会第二部会(第14回)報告について
 ○ 「保険業法の一部を改正する法律(契約条件の変更手続の整備)」について
 ○ 「金融持株会社に係る検査マニュアル」の発出について
 ○ 銀行等の株式等の保有の制限等に関する法律の一部を改正する法律の概要について
 ○ 15年3月期の不良債権の状況等について
 ○ ヤミ金融対策法の概要について
 ○ 「あすへの投資を考えるタウンミーティング イン 広島」の開催について
 ○ 財務局長会議の開催について
 ○ 竹中大臣の訪米について
【中小企業金融特集】
 ☆ 「リレーションシップバンキングの機能強化に関するアクションプログラム」について
 ☆ 金融便利帳 今月のキーワード:リレーションシップバンキング
 ☆ 貸し渋り・貸し剥がしホットラインについて
 ☆ 「リレーションシップバンキングの機能強化に関するアクションプログラム」についての各種広報展開
【法令解説】
 ○ 保険業法の一部を改正する法律(平成15年法律第39号、法律第129号)
【金融ここが聞きたい!】
 ○ 先日、GDP4-6月期速報値が発表されましたが、(1)デフレ脱却の兆しが見えてきたのでしょうか?(2)また、日本経済が転換点を迎えたと見ていいのでしょうか?
 ○ 金融審議会金融分科会第二部会において、信託業のあり方、金融機関に対する公的資金制度のあり方、及び繰延税金資産の取扱いを含む自己資本比率規制について報告されましたが、金融庁としてどのように今後の行政に反映させていくのですか?
【お知らせ】
【7月の主な報道発表等】


【トピックス】
 


 平成15年7月28日、金融審議会金融分科会第二部会(第14回)が開催されました。部会においては、第二部会の各ワーキンググループ(信託に関するWG、自己資本比率規制に関するWG、公的資金制度に関するWG)の座長及び事務局から、○「信託業のあり方に関する」中間報告、○「自己資本比率規制に関する」経過報告、○「金融機関に対する公的資金制度のあり方について」報告及び○「保険業法の一部を改正する法律案」の国会審議結果等についての報告を行いました。
 これらの報告等を受け、委員より様々な観点から、闊達なご議論をいただき、審議の結果、「信託業のあり方に関する中間報告書」及び「金融機関に対する公的資金制度のあり方について」の報告は、部会報告として了承されました。また、「自己資本比率規制に関する経過報告」については、これを公表することが了承されました。


 報告書等の本文をご覧になりたい方は、金融庁ホームページの「審議会など」から、「金融審議会」に入り、「答申・報告書等」のPDF「金融機関に対する公的資金制度のあり方について」PDF「信託業のあり方に関する中間報告書」にアクセスしてください。なお、「自己資本比率規制に関する経過報告」については、「報道発表など」の「「第14回金融審議会金融分科会第二部会資料」(平成15年7月28日開催)(平成15年7月29日)」からご覧になれます。
 また、自由討議における主な意見等をご覧になりたい方は、金融庁ホームページの「審議会など」から、「金融審議会」に入り、「議事録等(第二部会 第14回平成15年7月28日開催分 議事要旨)」にアクセスしてください。


 今後、金融庁としては、○「信託業のあり方に関する中間報告書」を踏まえ、15年度中の可能な限り早い段階での所要の法案の提出に向けて作業を進めていくこととしています。
○「自己資本比率規制に関する経過報告」については、本経過報告を踏まえ、「自己資本規制比率に関するWG」において、更に検討を進めていただきたいと考えており、具体的な会合の日程等については、座長等と相談しつつ、本年、9月頃から再開していただくことを考えています。
○「金融機関に対する公的資金制度のあり方について」の報告については、部会の報告が幅広い提言となっていることを踏まえ、金融庁内にプロジェクトチームを設置し、更に総合的に検討していくこととしております。



.はじめに
 保険契約者等の保護の観点から保険契約の契約条件の変更をする場合の手続を整備することを内容とした「保険業法の一部を改正する法律」が、7月18日に国会で成立し、7月25日に公布されました(平成15年法律第129号)。


.改正の趣旨
 我が国の生命保険を取り巻く環境は、保有契約高の減少や株価の低迷等に加え、過去約束した予定利率よりも実際の運用利回りの方が下回る、いわゆる「逆ざや」の問題により、一層厳しいものとなっています。特に、生命保険では長期の契約が多く、過去の高い予定利率の契約が多く残っている一方、超低金利の継続により実際の運用利回りは低下しており、「逆ざや」が多くの生命保険会社の経営上の構造的な問題となっています。
 こうした中、「逆ざや」によって生命保険会社が経営破綻に直面する前に、契約条件の変更を行い、「逆ざや」を改善して破綻を回避できるのであれば、保険契約者にとっても利益となることもあるとの考え方の下、契約条件の変更の問題について幅広く検討が行われました。そして今般、保険契約者等の保護を図るための「新たな選択肢」として、保険会社・保険契約者間の自治的な手続により契約条件の変更を可能とする手続の整備を行うこととしたものです。


.改正の概要
 
(1)  契約条件の変更の申出
 保険業の継続が困難となる蓋然性がある保険会社は、その判断により契約条件の変更の申出を行うことができます。
 ただし、契約条件の変更が、保険契約者等の保護のためにやむを得ない状況でなくてはなりません。
(2)  保険会社・保険契約者間の手続
 保険会社は、契約条件の変更を行おうとするときは、株主総会(相互会社の場合は、社員総会(総代会を設けているときは、総代会))の特別決議を経なければなりません。また、変更対象契約者による異議申立て手続も経る必要があります。
 変更対象契約者の10分の1を超える異議があった場合には、契約条件の変更はできません。
(3)  保険契約者等に対する通知
 保険会社は、株主総会等の召集通知や、変更対象契約者に対する通知等において、○契約条件の変更がやむを得ない理由、○契約条件の変更の内容、○契約条件の変更後の業務及び財産の状況、○基金及び保険契約者等以外の債務者に対する債務の取扱いに関する事項及び○経営責任に関する事項等を示さなければなりません。
 契約条件の変更手続は、保険会社がこれらの事項を示し保険契約者等の十分な理解を求めた上で、行われることとなります。
(4)  契約条件の変更の限度
 契約条件の変更は、それまで積み立ててきた責任準備金に対応する権利に影響を及ぼしてはならないこととされています。したがって、今回の手続による契約条件の変更では、破綻時に行われているような責任準備金のカットは行われません。
 また、予定利率の変更についても保険会社の資産の運用の状況その他の事情を勘案して、政令により下限は3%と定められています。
(5)  行政当局による承認
 契約条件の変更は、基本的には保険会社・保険契約者間の自治的な手続により行われるものですが、保険契約者等の保護を図る観点から、行政当局が承認等を行うこととしています。
 具体的には、行政当局は、契約条件の変更の申出等の承認に加え、変更案の提出を受けて、契約条件の変更案の承認をすることとなります。この際、当該保険会社において保険業の継続のために必要な措置が講じられているか、契約条件の変更が保険契約者等の保護の見地から適当であると認められるか等について審査をします。なお、必要に応じて民間の専門家を保険調査人に選任し、契約条件の変更の内容等について調査させることもあります。
(6)  その他
 その他、基金に係る債務の免除を受けた場合の取扱いなど、所要の規定の整備を行っています。


.施行期日
 今回の改正は、平成15年8月24日から施行されます。
 なお、今回の改正は、将来の破綻を予防し、保険契約者等の保護を図るためにやむを得ない場合に、保険契約者の十分な理解を求めた上で契約条件の変更を可能とする「新たな選択肢」を追加したものであり、この改正の施行によって当然に契約条件の変更が行われるものではありません。


 改正法をご覧になりたい方は、金融庁ホームページの「国会提出法案」から「第156回国会における金融庁関連法案」に入り、「保険業法の一部を改正する法律(平成15年5月23日提出、平成15年7月18日成立)」にアクセスしてください。また、今号の「法令解説」のコーナーでも、より詳細な解説記事を掲載しておりますので、そちらもご覧ください。

 
(はじめに)
 金融庁検査局では、持株会社方式による経営統合の進展や主要銀行グループにおける通年・専担検査の導入を踏まえ、金融持株会社に対する検査における着眼点を明確にし、また、金融行政の一層の透明性を確保するため、「金融持株会社に係る検査マニュアル」の整備に向けて、昨年9月に当庁職員(商法学者、公認会計士及び証券取引等監視委員会職員を含む。)のほか、銀行・保険・証券各業界や公認会計士の参加を得て、「金融持株会社に係る検査マニュアルワーキンググループ」を設置しました。同ワーキンググループにおける検討を経て、平成15年4月30日付で「金融持株会社に係る検査マニュアル」(案)を公表し、これに対するパブリックコメントを募集しました。
 その際にお寄せいただいたご意見等を踏まえて更に検討を行い、平成15年7月29日付で「金融持株会社に係る検査マニュアル」通達として関係各部署に発出するとともに同日公表しました。
 
(金融持株会社に係る検査マニュアルの概要について)
.本マニュアルの構成
第1 基本的考え方
  1.金融持株会社に対する検査の目的及び位置づけ
  2.金融持株会社グループに係る着眼点
  3.検査マニュアルの位置づけ等
  4.検査実施上の留意点等
第2 チェックリスト
  I.銀行持株会社に係るチェックリスト
   i.法令等遵守態勢の確認検査用チェックリスト
   ii.リスク管理態勢の確認検査用チェックリスト
  II.保険持株会社に係るチェックリスト
   i.法令等遵守態勢の確認検査用チェックリスト
   ii.リスク管理態勢の確認検査用チェックリスト
  III.証券持株会社に係るチェックリスト
   i.法令等遵守態勢の確認検査用チェックリスト
   ii.リスク管理態勢の確認検査用チェックリスト
.概要
 
(1)  本マニュアルは、金融持株会社(注1)に対する検査に際し、金融持株会社グループ(注2)において構築されている法令等遵守態勢及びリスク管理態勢が、金融持株会社の子会社である金融機関(注3)の健全性等の確保の観点から、適切なものとなっているかを検証するための着眼点を整理した、検査官の手引書です。
 
(注1 )本マニュアルにおける「金融持株会社」とは、銀行法第2条第13項に定める「銀行持株会社」、長期信用銀行法第16条の4に定める「長期信用銀行持株会社」、保険業法第2条第16項に定める「保険持株会社」又は証券取引法第59条第1項に定める証券会社を子会社とする持株会社(私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律第9条第5項第1号に規定する持株会社)のいずれか、又はこれらの複数に該当する持株会社をいいます。なお、「長期信用銀行持株会社」に係る本マニュアルの適用については、特段の定めがない限り、「銀行持株会社」に係るものを準用します。
(注2 )本マニュアルにおける「金融持株会社グループ」とは、○金融持株会社、○その子会社である金融機関及び○当該金融機関の健全性等の確保に重要な影響を及ぼす可能性のある会社をいいます。
(注3 )本マニュアルにおける「金融機関」とは、銀行、保険会社、証券会社をいいます。
(2)  持株会社の機能や役割に着目し、主に以下のような点について適切な管理態勢が構築されているか等を検証するためのチェックポイントを設けました。
 
 持株会社による適切な資本政策について
 
 グループとしての適切な資本の維持に努めているか。
 グループ内の各子会社への適切な資源配分が行われているか。
 持株会社が調達した資本が真の資本の充実につながるものとなっているか。
 増資に関するコンプライアンス態勢が適切なものであるか。
 グループ内取引等について
 
 グループ内取引等は、グループ内でのリスク移転を伴う側面があり、銀行等の業務の健全性等に重大な影響を及ぼす可能性があることに鑑み、適切なリスク管理態勢を整備しているか。
 グループ内において取引の公正性が歪められたり、銀行等の業務の適切性が損なわれるような取引等が行われないよう、法令等遵守態勢が整備されているか。
 持株会社が受け取る経営管理料や配当が銀行等の健全性を著しく損なうようなものとなっていないか。
 顧客情報管理について
 
 グループ内における顧客情報の共有について、法令等に抵触した取扱いが行われないような態勢が整備されているか。
 グループとしての危機管理体制の構築について
 
 持株会社形態であることにより、グループ内の会社において顕在化したリスクが風評やグループ内取引等を通じ、グループ内の銀行等に波及し、当該銀行等の健全性が損なわれる可能性がある。
 こうしたリスクに的確に対応できる態勢が整備されているかどうか。
 子会社である金融機関の健全性の把握について
 
 金融持株会社が子会社である銀行等の健全性(自己資本比率、ソルベンシーマージン比率、自己資本規制比率などの指標等)を的確に把握しているか。
 グループとしての適切なリスク管理態勢の構築
 
 グループとして適切なリスク管理が行われる態勢となっているか。例えば、子会社である銀行等からグループ内の他の会社に問題債権が移管された場合においても、リスク管理が適切に行われているか、など。
.本マニュアルの適用に当たっての留意事項
 金融持株会社グループは、例えば複数の業態の金融機関を子会社として有する場合もあるなど、その態様の違いによりグループが抱えるリスクの特性やリスクの波及過程も異なります。また、現実に存在する金融持株会社グループの形態は、グループによって様々であり、その結果、グループにおける管理態勢や金融持株会社が担う役割も、異なる特色を有しています。
 本マニュアルは、こうした金融持株会社グループの実態を十分に踏まえ、様々なケースに対応できるように作成したものであり、本チェックリストの内容の全てを各々の金融持株会社及びグループ内会社に一律に求めているものではありません。
 したがって、本チェックリストの適用に当たっては、チェック項目に記述されている言葉通りの対応が行われていない場合であっても、グループとしての対応が子会社である金融機関の業務の健全性や適切性の確保の観点から問題のない限り、不適切とするものではないことに留意し、機械的・画一的な運用に陥らないような配慮が必要となります。なお、チェック項目に係る機能が形式的に具備されていたとしても、子会社である金融機関の業務の健全性や適切性の確保の観点からは必ずしも十分とは言えない場合もあることに留意する必要があります。
 検査官は、まず、金融持株会社グループの実態を十分に把握した上で、本チェックリストを活用しながら、金融持株会社グループの管理態勢が適切に構築されているかどうかを検証する必要があり、立入検査に際しては、金融持株会社と十分な意見交換を行う必要があります。


.適用時期
 平成15検査事務年度(平成15年7月)より実施する検査から適用します。


 パブリックコメントの結果や「金融持株会社に係る検査マニュアル」をご覧になりたい方は、金融庁ホームページの「報道発表など」から「「金融持株会社に係る検査マニュアル」通達の発出について(平成15年7月29日)」にアクセスしてください。


 平成15年5月30日に国会に提出された「銀行等の株式等の保有の制限等に関する法律の一部を改正する法律案」が7月25日に国会で成立し、8月1日に公布されました(平成15年法律第135号)。

I

 背景
 平成14年6月以降株式市場は下落基調に転じ、平成15年に入っても依然低水準で推移していました。こうした中、銀行の保有株式の市場への放出が株価の下げ圧力となっているとの見方があることや、当初平成16年末とされていたいわゆる新BIS規制の導入が平成18年末に延期されたことを背景に、5月8日に与党金融政策PTにおいて取りまとめられた「当面の緊急金融・経済政策」において、市場対策の一つとして、株式保有制限の延期及び銀行等保有株式取得機構の機能改善が盛り込まれ、議員提案で国会に提出されました。

II

 銀行等の株式保有制限の適用時期の2年延長
 わが国の銀行が相当程度の株式を保有しているため、株価の変動が銀行の財務面の健全性、ひいては銀行に対する信認や金融システムの安定性に影響を与えかねないことを鑑み、銀行の株式保有を制限し、適正な規模に縮減することとしています。このため、銀行及びその子会社等は、当分の間、連結ベースで、その自己資本(Tier1)に相当する額を超えて株式等を保有してはならないこととします。この措置は、当初平成16年9月30日から適用する予定でありましたが、今回の改正法により平成18年9月30日に延期されることとなりました。

III

 銀行等保有株式取得機構の機能改善
 株式保有制限の導入に伴い、銀行は一定期間に相当程度の株式を処分する必要がありますが、このことが短期的には株式市場の需給と価格形成に影響し、株価水準によっては金融システムの安定性や経済全般に好ましくない影響を与える可能性もあります。このため、市場売却を補完するセーフティーネットとして銀行等保有株式取得機構(以下「機構」という。)を設立し、銀行の株式処分が円滑に進められるようにしています。
 
(1)  法律施行日以降から8%の売却時拠出金の廃止
 機構による合計買取額は平成15年4月25日現在2,181億円にとどまっていました。この原因としては、機構に株式を売却する場合には8%の拠出金を納める必要があり、更に、このために自己資本比率規制上、株式を売却したことにならないということが指摘されてきました。持合い解消が株式市場の低迷の原因の一つとして挙げられる中で、機構がその本来の役割を十分に果たせるよう、8%の売却時拠出金を廃止することとしました。
(2)  事業法人からの銀行株買取枠の拡大
 事業法人からの銀行株の買取りについては、事業法人による持合い解消の動きに対応するとともに、銀行による持合い株式の処分を容易にするために導入されたものです。これまでのところ、この制度は十分に活用されていませんでしたが、事業法人からの銀行株の買取額を銀行による事業法人株の売却額と同額までとすることにより、持合い解消の動きに、より一層適切に対応できるようになると考えられます。
(3)  銀行等保有株式取得機構の株式売却期限の延長
 機構の存続期間の延長を行い、機構は株式買取後、少なくとも10年間(平成29年3月31日まで)株式を保有することが可能となります。このように、十分な売却期間が設定されることにより、機構はより有利な時期に株式を売却することが可能となることから、機構の解散時に株式売却損が生じるリスクは軽減されるものと考えています。


 平成15年3月期の全国銀行の不良債権(金融再生法開示債権ベース)は35.3兆円となっており、平成14年3月期の43.2兆円と比べて▲7.9兆円の減少となっています。
 不良債権の増減を区分別にみると、比較的リスクの小さい要管理債権については、若干の増加(+0.1兆円)となったものの、よりリスクの大きい危険債権及び破産更生等債権については、大幅な減少(▲8.0兆円)となりました。
 全体として不良債権が減少した主な要因としては、14年9月期と同様、引き続き厳しい経済情勢の下、債務者の業況悪化に伴う不良債権の新規発生がみられたものの、それを上回る積極的なオフバランス化(▲15.1兆円)が進展したことが挙げられます。


 平成15年3月期の不良債権の状況等について、詳しくは、金融庁ホームページの「報道発表など」から「「15年3月期における不良債権の状況等(ポイント)」(平成15年8月1日)」にアクセスしてください。



.ヤミ金融対策法成立の背景
 近年、ヤミ金融と呼ばれる貸金業の無登録営業、違法な高金利による貸付け、悪質な取立てなど違法行為が多発し、大きな社会問題となっています。こうした状況を受け、ヤミ金融の被害を未然に防止し、被害者の救済に資するよう、違法業者を厳しく取り締るとともに、借り手を保護するために必要な措置を講じるべく、今般、議員提案により「貸金業の規制等に関する法律及び出資の受入れ、預り金及び金利等の取締りに関する法律の一部を改正する法律(以下「改正法」という。いわゆるヤミ金融対策法。)」が提出され、7月25日に国会で成立し、8月1日に公布されました(平成15年法律第136号)。


.ヤミ金融対策法の内容
 
(1)  貸金業の登録要件の見直し
 過去において貸金業登録を取り消された者及び一定の犯歴者に関する登録拒否期間の延長、暴力団員等及び貸金業を遂行するために必要と認められる財産的基礎を有しない者等の排除など
(2)  無登録業者が行う一定の行為に対する規制の強化
 無登録業者による広告・勧誘の禁止、貸金業者に対する取立行為規制等の無登録業者への適用など
(3)  取立行為規制の強化
 取立に当たり禁止される行為の明確化、書面等による取立における一定事項の記載の義務付けなど
(4)  貸金業務取扱主任者制度の創設
 貸金業に関する法令の規定を遵守し、業務を適正に実施するために必要な助言、監督を行う貸金業務取扱主任者の営業所ごとの選任及び貸金業務取扱主任者の研修受講の貸金業者への義務付け
(5)  罰則の強化
 貸金業の無登録営業等に関する罰則及び出資法に違反する高金利の契約に対する罰則等を引き上げ、出資法に違反する高金利の利息の支払いを要求する行為自体を罰則の対象化など
(6)  年109.5%を超える高金利を内容とする貸付け契約の無効化
 貸付け契約に係る利息全体の返済を不要とする
 改正法は公布後6ヶ月以内で政令で定める日から施行されます。但し、無登録業者による広告・勧誘の禁止、高金利要求罪の新設を含む罰則の強化、年109.5%を超える高金利を内容とする貸付け契約の無効化、については公布後1ヶ月を経過した日(平成15年9月1日)から施行されます。


.おわりに
 この改正法は、ヤミ金融業者への対策強化に大きく資するものと考えており、今後は改正法に基づき、関係当局の体制及び連携の強化・充実を図るなど、ヤミ金融業者の排除に向けた取組みを一層強化する一方で、被害の防止のための相談体制の整備・拡充と連携の一層の強化、過剰な貸付け及び安易な借入れの防止のための貸金業者による適正な情報の開示及び広報・啓発活動の充実等に取り組んで参りたいと考えています。


 「改正法」や苦情相談窓口等の連絡先については、金融庁ホームページの「違法な金融業者にご注意!」のコーナーにアクセスしてください。


 去る7月27日(日)、「あすへの投資を考えるタウンミーティング」が広島で開催されました。本タウンミーティングは、先月実施した「証券減税PR強化特別月間」を締め括る形で、竹中大臣、小林財務副大臣、加えてジャーナリストでNPO法人金融知力普及協会理事の野中ともよ氏が出席し、今般の証券税制の改正や、証券仲介業制度の導入、投資知識の普及など、証券市場の構造改革に向けた政府の取り組み等について、パネル・ディスカッション形式で解説を行いました。
 当日、会場においては、今般の証券税制の改正に関するテレビスポットコマーシャル(内閣府政府広報)が初披露され、父母から息子夫婦へのビデオレターをイメージしたユーモラスな内容に、会場の皆様からは、笑いも起こるなど、和気あいあいとした雰囲気の中、本タウンミーティングを進めることが出来ました。
 テレビスポットについては、内閣府の政府広報オンラインでご覧になれます。
 なお、質疑応答の時間では、当日会場に参加された国民の皆様から、証券投資について「株式投資に関する知識が足りないので、まずは市町村レベルでの教育からはじめてはどうか」、「貯金をおろして株を買うためには、日本経済の先行きに対する不安の払拭が必要」など様々なご意見が出され、これらを題材に、竹中大臣、小林副大臣、野中氏と参加者の皆様との間で対話が行われるなど、大変充実したものとなりました。


 「貯蓄から投資へ」の流れを加速するための金融庁の取組み等について、詳しくはアクセスFSA第8号の「証券投資特集」及び金融庁ホームページの「証券投資がより身近になりました!」にアクセスしてください。


 金融庁は、7月29日、本事務年度(平成15年7月〜平成16年6月)第1回目の財務局長会議を開催しました。会議においては、竹中大臣及び伊藤副大臣からの挨拶に引き続き、高木長官の挨拶、当庁各局及び証券取引等監視委員会からの業務説明を行いました。

 大臣挨拶の概要は、「引き続き金融システムの安定・強化に努力をしなければならず、総理からは16年度までに不良債権問題を終結させるようにという強い指示を受けている。こうした指示を踏まえ、昨年の秋に「金融再生プログラム」を作り、それに基づく諸施策を着実に実施してきている。同時に、不良債権の処理については、産業・企業の過剰債務問題と一体的な解決を図っていかなければならないが、5月8日には産業再生機構が業務を開始しており、同機構との連携は非常に重要であると考えている。また、6月には、金融危機を未然に防ぐために、りそな銀行に対する資本増強を決定した。7月28日には、金融審議会において、「新しい公的資本制度の在り方」や「自己資本比率規制の在り方」の報告書が取りまとめられた。7月28日閉会した通常国会において、予定利率の引き下げを可能とする保険業法改正案を成立させていただいた。金融庁としては、この趣旨を是非広く、国民に理解していただく努力をするとともに、制度の的確な運用を図って行きたい。次に、「リレーションシップバンキングの機能強化に関するアクションプログラム」に基づいて、各金融機関に対して、8月末までにリレーションシップバンキングの機能強化計画の提出を求めている。各財務局においては、引き続き実効性の高い取り組みの推進に向けてご協力いただきたい。また、我が国の証券市場の構造改革を推進するためには、新たな個人投資家層の育成が急務である。株価が少し良い傾向の時にこそ個人投資家層をしっかりと取り込んでいかなければならない。7月27日に広島で、「あすへの投資を考えるタウンミーティング」を開催した。タウンミーティングで、金融問題を取り上げるのは初めてであると思う。私自身出席して、新証券税制など、個人投資家拡大に向けた取り組みについて説明を行い、国民の皆様からは、証券投資に関する意見を伺った。新証券税制については、各財務局においても、引き続き積極的なPRをお願いしたい。」というものでした。

 副大臣挨拶の概要は、「第一に、中小・地域金融機関のリレーションシップバンキングの機能強化に向けた取り組みの推進に関し、私自身も政府広報番組への出演等を通じて、積極的にアクションプログラムの広報活動に努めてきているところであり、地域の最前線に立つ皆様には本政策の趣旨が理解され、広く浸透が図られるよう引き続き努力していただきたい。また、同プログラムには、産業クラスター計画など中小企業関連施策との積極的な連携が盛り込まれており、各地域の経済産業局との十分な連携の確保をお願いしたい。第二に、「貸し渋り・貸し剥がしホットライン」に本年6月末までに寄せられた情報は、885件となっている。各財務局においては、商工会議所等を通じての債務者企業側へのPRに更なる努力を尽くしていただきたい。第三に、深刻な社会問題となったヤミ金融問題に対処するため、通常国会において、議員提案により、ヤミ金融対策法が成立した。各財務局においては、新制度の円滑な導入のため、制度改正の広報、相談・監督体制の整備・拡充、都道府県や捜査当局との連携強化に努めていただきたい。第四に、国会でも取り上げられたが、不特定の者を対象として、法律の根拠なく保険の引受を行っている無認可共済について、各財務局には、監視体制の強化をお願いしているが、今後とも本庁と連携して、監督方よろしくお願いしたい。」というものでした。

 当庁各局による業務説明においては、各局における諸問題や活動状況について説明が行われ、その後、それに対する質疑・応答を行いました。


 竹中大臣は、8月5日〜9日にかけて訪米し、フリードマン大統領補佐官(経済担当)、スノー財務長官、グリーンスパンFRB(連邦準備制度理事会)議長、マンキューCEA(大統領経済諮問会議)委員長他、米国政府要人等と会談を行いました。会談では、主に日米経済についての意見交換が行われ、竹中大臣から日本経済の現状及び不良債権の処理、規制改革、デフレ対策など小泉内閣が進める構造改革等について説明し、これに対し、スノー財務長官をはじめ複数の高官より、特に金融再生プログラムに基づいて行われている金融システム改革について支持を得ました。
 また、今回の訪米においては、ドナルドソンSEC(証券取引委員会)委員長とも会談の機会を得、わが国の公認会計士法改正の動きなどについて説明を行うとともに、日米の証券監督当局間において、引き続き、必要に応じて、柔軟に協議を行っていくことで合意しました。

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