金融庁では、中小企業を巡る金融経済環境が厳しい状況にあることを踏まえ、「金融再生プログラム」等に基づき、中小企業等への金融の円滑化を図るため様々な取り組みを行っております。本号においては、以下主な取り組みについて各種記事をまとめて掲載いたしました。金融庁の施策への理解を深めていただく上でお役に立てれば幸いです。

(主な取り組み)
.中小金融機関について、創業・新事業支援機能等の強化、取引先企業に対する経営相談・支援機能の強化等、中小企業金融の再生と地域経済の活性化に向けた取組みを推進するため、「リレーションシップバンキングの機能強化に関するアクションプログラム」を策定しました。同プログラムでは、平成15〜16年度の2年間を「集中改善期間」とし、各種取り組みを進めていくこととしています。
 


 実施状況等についての詳しい説明は、本号の「「リレーションシップバンキングの機能強化に関するアクションプログラム」について」及び金融便利帳「リレーションシップバンキング」をご覧ください。


.昨年10月より「貸し渋り・貸し剥がしホットライン」を設けて、これに関する情報を受付け、寄せられた情報の十分な活用に努めています。
 


 受付・活用状況等についての詳しい説明は、本号の「貸し渋り・貸し剥がしホットラインについて」をご覧ください。


.中小・零細企業等の実態に即した検査の確保に努めています。また、このために作成した金融検査マニュアル別冊[中小企業融資編]について、検査官に対しては研修を行い周知しているほか、金融機関をはじめ債務者企業に対しても周知しています。
 


 金融検査マニュアル別冊[中小企業融資編]について詳しくは、金融庁ホームページの「金融検査マニュアル別冊(中小企業融資編)」にアクセスしてください。


.中小企業を含む健全な取引先に対する資金供給の一層の円滑化に努めることや、不良債権の早期処理等を口実にいわゆる「貸し渋り」や「貸し剥がし」を行わないことなどについて、各業界団体との各種意見交換会等を通じて、金融機関に対し繰り返し要請を行っています。

(注

)「金融再生プログラム」においては、主要行の不良債権処理によって、中小企業の金融環境が著しく悪化することのないよう中小企業貸出について十分配慮し、各種セーフティネットを講じることとしております。詳しくはPDF「金融再生プログラム―主要行の不良債権問題の解決を通じた経済再生―」(平成14年10月30日)「「金融再生プログラム」について」(広報コーナー)アクセスFSA創刊号【金融ここが聞きたい】にアクセスしてください。


I

 「リレーションシップバンキング」とは?
 長期継続する取引関係の中から、借り手企業の経営者の資質や事業の将来性等についての情報を得て、融資を実行する金融機関のビジネスモデルを「リレーションシップバンキング」と言います。わが国においては、中小・地域金融機関(地銀、第二地銀、信金、信組)がその中心的な担い手となっています。
 


 詳しくは、アクセスFSA本号の「金融便利帳:リレーションシップバンキング」をご覧ください。

II

 アクションプログラムの策定経緯と概要
 金融庁は、日本の金融システムと金融行政に関する信頼を回復し、世界から評価される金融市場を実現するため、昨年10月に「金融再生プログラム」を策定・公表しました。
 その中で、中小・地域金融機関の不良債権処理については、「主要行とは異なる特性を有する『リレーションシップバンキング』のあり方を金融審議会において多面的な尺度から検討の上、アクションプログラムを策定する」こととされました。
 これに基づき、金融審議会において議論が行われ、本年3月27日に、報告書「リレーションシップバンキングの機能強化に向けて」が公表されました。これを受け、金融庁は、「リレーションシップバンキングの機能強化に関するアクションプログラム」を翌28日に公表しました。
 その基本的考え方は、平成16年度までの2年間を、地域金融に関する「集中改善期間」と位置付け、各金融機関のリレーションシップバンキングの機能を強化し、中小企業の再生と地域経済の活性化を図ることで、不良債権問題も同時に解決していくというものです。
 アクションプログラムの内容は、(1)「中小企業金融再生に向けた取組み」、(2)「健全性確保、収益性向上等に向けた取組み」の2本柱となっています。具体的な取組み項目は多岐にわたりますが、中小企業金融の円滑化に向けた主な取組みは、以下のとおりです。

 (1)創業・新事業支援機能等の強化
 (2)取引先企業に対する経営相談・支援機能の強化
 (3)要注意先債権等の健全債権化についての取組み
 (4)新しい中小企業金融への取組みの強化
 (5)顧客への説明態勢の整備、相談・苦情処理機能の強化
 (6)地域貢献に関する情報開示等
 (7)「中小・地域金融機関向けの総合的な監督指針」の策定
 (8)金融検査マニュアル別冊(中小企業融資編)の改訂

 なお、こうした取組みの実効性を確保するため、各金融機関から「リレーションシップバンキングの機能強化計画」が本年8月末までに金融庁に提出され、計画の実施状況を、金融庁が半期毎にフォローアップすることとされています。

【参 考】リレーションシップバンキングの機能強化の必要性
 

III

 主な取組みの内容と進捗状況
 現在、金融庁はアクションプログラムに掲げた施策を着実に推進しています。
 主な取組みの具体的内容とその進捗状況は、以下のとおりです。
 

(1)

 創業・新事業支援機能等の強化
 
i  目利き研修の実施
 各業界団体に対し、企業の将来性や技術力を的確に評価できる人材の育成を目的とした研修プログラム(「目利き研修」)を実施するよう要請しています。
ii  「産業クラスターサポート金融会議」の開催
 「産業クラスターサポート金融会議」は、経済産業省が推進している、地域の中堅・中小企業活性化プロジェクト「産業クラスター計画」を支援するため、金融機関に対して、関係者との交流連携の場を提供し、有望な研究開発型企業と優良案件の発掘に資するよう、地域毎に開催する会議です。この会議は、去る5月21日に、近畿財務局において全国の先陣を切って開催されました。その後、全国の財務局管内で開催されました。
 


 詳しくは、金融庁ホームページの「報道発表など」から「「産業クラスターサポート金融会議の開催について」(平成15年5月21日)」及びアクセスFSA第7号の【トピックス】「産業業クラスターサポート金融会議の開催について」にアクセスしてください。

(2)

 取引先企業に対する経営相談・支援機能の強化
 〜経営支援業務の法令上の取扱いの明確化(事務ガイドライン改正)〜
 金融機関に対して中小企業が期待する役割の一つに、経営相談・支援機能の強化があります。金融機関の業務範囲は法令に定めがあるため、取引先企業に対するコンサルティング等の支援業務を促進するためには、法令上の取扱いを明確化する必要がありました。このような観点から、コンサルティング業務、M&A業務等の取引先企業に対する支援業務に関し、銀行法上の取扱いを明確化するため、6月30日に事務ガイドラインの改正を公表しました。→報道資料及びアクセスFSA第8号へリンク
 


 詳しくは、金融庁ホームページの「報道発表など」から「「事務ガイドライン(第一分冊:預金取扱い金融機関関係)の一部改正について」(平成15年6月30日)」及びアクセスFSA第8号の【トピックス】「「リレーションシップバンキングの機能強化に関するアクションプログラム」関係の事務ガイドラインの改正について」にアクセスしてください。

(3)

 要注意先債権等の健全債権化についての取組み
 〜健全債権化等の実績公表〜
 経営不振先の取引先企業への対応に当たって、金融機関は、まず企業の再生可能性を見極めた上で、再生可能なものについては健全債権化に向けた取組みを行うことが重要です。また、不良債権の新規発生を防止することも重要です。このため、各金融機関に対して、取引先企業に助言を行う等の経営改善支援の取組みを一層強化するとともに、経営改善支援取組み先数、経営改善先数等について、平成15年度から実績を公表するよう要請しています。

(4)

 新しい中小企業金融への取組みの強化
 〜新しい中小企業金融の法務に関する研究会報告書の公表〜
 担保・保証に過度に依存しない新たな中小企業金融に向けて、金融庁内に設置した「新たな中小企業金融の法務に関する研究会」は、報告書を取りまとめ、7月16日に公表しました(「概要」については、下記のとおり)。


 金融庁としては、本報告書等を踏まえ、7月29日に顧客に対する説明態勢に関する事務ガイドラインを公表し、貸付契約、保証契約における顧客の理解と納得を得ることを目的とした説明が行われるために金融機関が整備すべき説明態勢とそれを補完する相談苦情処理機能について、金融庁が内部管理態勢の検証を行う際の着眼点を類型化して示しました。
 今後、金融庁としては、報告書の周知を図っていくとともに、各業界団体に対し、具体化に向けた実務レベルの検討を要請していくこととしています。
 
<新しい中小企業金融の法務に関する研究会報告書について(概要)>


.新しい中小企業金融の法務に関する研究会
 アクションプログラムを受け、4月18日に設置された本研究会は、担保・保証に過度に依存しない新たな中小企業金融に向け、専門的・実務的な検討を重ね、7月16日に、報告書及び中小企業の事業及び財務再構築のモデル取引(以下、「モデル取引」という。)に関する基本的考え方が策定・公表されました。


.報告書等の概要
 
(1)  中小企業金融の現状と問題点
 本報告書等においては、(1)まず、我が国の中小企業が一般的に自己資本比率が低く、借入依存度が高い傾向にあり、特に設備投資目的等の長期固定的資金を借入の形で調達していることが過剰債務につながっている面がある、(2)また、最近の中小企業に対する融資は、企業の事業性等の評価より、むしろ担保・保証に依存しているほか、金融機関による担保・保証の求め方に問題があるのではないか、などの問題点が指摘されています。
(2)  中小企業金融における個人保証
 個人保証については、企業の経営者に対する規律付け等の機能が指摘される反面、(1)早期再生着手の障害となる、(2)スムーズなオフバランス化に支障がある、(3)経営者の再起の機会喪失や保証人の生活崩壊につながる等の問題点があるといわれる。本研究会では、こうした個人保証について、債権保全の実効性の観点から説明内容等に応じて一定の限界があることを指摘し、金融機関は、個人保証の必要性を見直すとともに、保証人の意思形成に必要な説明内容について十分な検討を行い、その検討の結果に従った説明を確実に実施する体制を整備していく必要があると述べられています。
(3)  新しい中小企業金融の法務
 企業は、その事業インフラを整備するための資金を継続的・安定的に調達することが必要である。こうした資本的性格の資金を債務の方法により調達している場合には、当事者の認識に食い違いが生じやすく、後日、この食い違いが顕在化した場合には問題となることが多い。そのため、その権利義務関係を実態に合わせて法律構成上明確化することが、当事者にとって有益である。こうした観点から、本研究会は、モデル取引において、資本的資金の法律構成を従来の債務から資本性の金融商品へと変換する際の基本的考え方が示されています。
(4)  環境整備
 本報告書等においては、私的自治のもとでの当事者の取組みを前提としつつ、環境整備として、(1)事務ガイドラインの改訂により、金融機関から債務者に対して一層充実した説明がなされるための監督体制が整備されることへの期待、(2)本報告書等の関係当事者への周知、(3)零細・多数の融資については,リスク管理にあたってポートフォリオとしての信用リスクの認識と制御を行っていく手法も含め、今後、中小・地域金融機関向けの総合的な監督指針策定及び検査マニュアル別冊(中小企業融資編)の改訂に際し、併せて検討されることへの期待等、が示されています。


 詳細については金融庁ホームページの「報道発表など」から「新しい中小企業金融の法務に関する研究会報告書」「中小企業の事業及び財務再構築のモデル取引に関する基本的考え方」(平成15年7月16日)にアクセスしてください。

新しい中小企業金融の法務に関する研究会報告書概要図

(5)  顧客への説明態勢の整備、相談・苦情処理機能の強化
 
i  与信取引に関する顧客への説明態勢及び相談苦情処理機能に関する事務ガイドライン改正
 金融機関が融資するにあたって、顧客に対する十分な説明や相談が行われるよう、事務ガイドラインの改正を7月29日に公表しました。この中では、例えば、(1)契約書等の書面の交付を行っているか、(2)個人保証契約を締結する際、保証人に対し、最悪のシナリオ、つまり実際に保証債務を履行せざるを得ない事態を想定した説明を行っているか等、金融機関が貸し手の責任において整備すべき説明態勢や相談苦情処理機能について検証すべき点を幅広く例示しています。今後、金融庁としても、各金融機関において貸し手としての説明義務、説明責任を果たす態勢が整備されるよう促していきたいと考えております。(概要図参照
ii  「地域金融円滑化会議」の開催
 「地域金融円滑化会議」は、貸し渋り・貸し剥がしホットラインを通じて金融当局に寄せられた情報や、各金融機関等に寄せられた苦情・相談等に関し、都道府県毎に金融当局、中小・地域金融機関、関係業界団体等が意見交換を行うために設置されました。中国財務局岡山財務事務所において、6月11日に全国初の会議が開催され、6月末までに全都道府県で会議が開催されています。今後、四半期毎に会議を開催していく予定です。

(6)

地域貢献に関する情報開示等
 中小・地域金融機関が、地元中小企業に対する円滑な資金供給や各種サービスの提供等の役割を適切かつ持続可能な形で果たしていくことが、本来の地域貢献のあり方と考えられます。金融機関が果たすべき地域貢献については、利用者が正しく評価できるよう情報開示していくことが重要です。金融関係の各業界団体は、6〜7月にかけて、地域貢献に関するディスクロージャーの基本的考え方を公表しました。各金融機関は、基本的考え方を踏まえ、具体的なディスクロージャーを平成15年度中に実施する予定です。

(7)

「中小・地域金融機関向けの総合的な監督指針」の策定
 現在の金融監督行政の柱として、早期是正措置と早期警戒制度の2つがあります。前者は自己資本比率に、後者は収益性、流動性、信用リスク、市場リスク等に着目して、経営が悪化した金融機関に対して業務改善等を促していく制度です。しかし、中小・地域金融機関の業務の特性や期待される役割を踏まえると、従来の領域だけでなく、コーポレートガバナンス(企業統治)や地域貢献などの観点も取り入れた、より多面的な評価に基づく総合的な監督体系の構築が求められます。平成15年度中を目途に「中小・地域金融機関向けの総合的な監督指針」を策定することとしており、現在、金融庁で鋭意検討が進められているところです。

(8)

 金融検査マニュアル別冊(中小企業融資編)の改訂
 金融検査に際し、債務者である中小企業の実情に即したきめ細かな実態把握に一層努めるとともに、金融検査マニュアル別冊(中小企業融資編)の定着状況等をモニタリングした上で、その内容が中小企業の実態により即したものとなるよう改訂を行う予定です。現在、そのための検討作業が進められているところです。


【金融便利帳】


 このコーナーは、とかく専門的でわかりにくい金融に関する用語や様々な疑問について、わかりやすく解説するものです。
 今月のキーワードは「リレーションシップバンキング」です。


 金融機関は、働く人たちが給料としてもらったお金などを預金として受入れ、そのお金を金融機関の判断で設備投資のための資金を必要とする企業などに貸し出すことにより、経済の中でお金の流れを円滑にする役割、すなわち金融仲介機能を果たしています。


 「リレーションシップバンキング」とは、こうした金融機関のビジネスモデル(経営手法)の一つであり、必ずしも決まった定義はありませんが、一般に、長期的に継続する取引関係の中から、金融機関が借り手企業の経営者の資質や事業の将来性等についての情報を得て融資を実行するビジネスモデルをいいます。


 米国等における理論的な研究の多くによると、リレーションシップバンキングの本質は、貸し手と借り手の長期的に継続する関係の中から、外部からは通常入手しにくい借り手の信用情報が得られることにより、貸出しに伴う貸し手、借り手双方のコストが軽減されることにあるとされています。


 これをより詳しく説明すると、一般に、資金の貸し手は、借り手である企業の信用リスクに関する情報を当初十分に有していないこと(情報の非対称性)から、貸出しにあたっては継続的なモニタリング(業況把握)などのコスト(エージェンシーコスト)を要するのが普通ですが、リレーションシップバンキングにおいては、貸し手は、長期的に継続する関係に基づき、借り手の経営能力や事業の成長性など定量化が困難な信用情報を蓄積することが可能となり、加えて、借り手は親密な信頼関係を有する貸し手に対しては一般に開示したくない情報についても提供しやすいと考えられることから、借り手の信用情報がより多く得られ、エージェンシーコストの軽減が可能となるものとされています。


 こうしたリレーションシップバンキングが本来の機能を発揮すれば、(1)貸出しに当たっての審査コスト等が軽減されることにより金融の円滑が図られる、(2)信用リスクを適切に反映した貸出しの実施や借り手の業績が悪化した場合の適切な再生支援等により、貸し手、借り手双方の健全性の確保が図られる、といった望ましい効果が期待できます。


 また、(1)中小企業においては、資本市場からの資金調達に限界があることもあり、リレーションシップに基づく貸出しに依存する必要性が引き続き高いこと、(2)中小企業が置かれている状況は地域ごとに多様であり、地域の実態に根ざした情報を得るためには、長期的なリレーションシップの構築・維持が今後とも重要であることから、リレーションシップバンキングが中小企業の再生地域経済の活性化に果たす役割は大きいものと期待されます。


 ところで、わが国におけるリレーションシップバンキングの現状を見ると、その中心的な担い手である中小・地域金融機関(地方銀行、第ニ地方銀行、信用金庫、信用組合)においては、審査能力等の不足、借り手企業の弱体化、地域経済の厳しい現状等を背景に、取引先や地域経済との関係の中で、リスクに見合っていない金利設定や不採算取引の継続などを余儀なくされることに伴い生じるコスト(コミットメントコスト)が顕在化しており、結果として、収益力の低下、財務体力の低下が著しい状況にあります。


 このように、中小・地域金融機関の実態は、本来のリレーションシップバンキングの姿から乖離している面があり、地域の中小企業、地域経済に対する金融の円滑を維持していくことが困難な状況も生じています。


 わが国の地域経済の厳しい現状等を踏まえれば、地域の中小企業への金融の円滑化、地域経済の活性化のために質の高いリレーションシップバンキングが果たす役割は引き続き大きく、このため、中小・地域金融機関の健全性を確保し、リレーションシップバンキングの長期にわたる持続可能性(サステナビリティー)を確保することが、借り手の中小企業にとっても、また預金者、利用者にとっても、現下の最重要課題であると考えられます。


 こうしたことから、本年3月27日に、金融審議会金融分科会第二部会において、「リレーションシップバンキングの機能強化に向けて」(金融審議会金融分科会第二部会報告)が取りまとめられ、公表されましたが、これを受けて、金融庁としては、同28日に「リレーションシップバンキングの機能強化に関するアクションプログラム」を策定・公表したところです。


 アクションプログラムの中では、平成16年度までの2年間を「集中改善期間」とした上で、中小・地域金融機関について、
・ 借り手企業への問題解決型サービスの提供、
・ 中小企業に対する金融の円滑に資する業務の改善、
といった、中小企業金融の再生に向けた取組みを推進するとともに、あわせて、金融機関の健全性の確保、収益性の向上等に向けた取組みを講じることとしています。


 こうした取組みを着実に進めることにより、中小・地域金融機関においては、中小企業の再生と地域経済の活性化に資するよう、収益性・健全性を一層高めるとともに、人材の育成やノウハウの蓄積を図り、地域に貢献するリレーションシップバンキングの担い手として十分な機能を発揮することが期待されています。


 「リレーションシップバンキングの機能強化に向けて」(金融審議会金融分科会第二部会報告)については、金融庁ホームページの「審議会など」から「金融審議会」の「答申・報告書等」に入り、PDF「平成15年3月27日「リレーションシップバンキングの機能強化に向けて」(金融審議会金融分科会第二部会報告)」にアクセスしてください。
 また、「リレーションシップバンキングの機能強化に関するアクションプログラム」については、金融庁ホームページの「報道発表など」から「リレーションシップバンキングの機能強化に関するアクションプログラム」(平成15年3月28日)にアクセスしてください。また、アクションプログラムの策定経緯、概要、進捗状況等について、詳しくは、本号の「「リレーションシップバンキングの機能強化に関するアクションプログラム」について」をご覧ください。



.「貸し渋り・貸し剥がしホットライン」とは
 金融庁では、中小企業等への金融の円滑化に向けた取組みの一環として、中小企業など借り手の声を幅広く聞くため、平成14年10月25日に「貸し渋り・貸し剥がしに関する情報の電子メール・ファックスによる受付制度」(通称「貸し渋り・貸し剥がしホットライン」)を開設しました。これは、中小企業が、金融検査マニュアルなどを理由に、金融機関から貸し渋り、貸し剥がし等の不当な扱いを受けた場合に、金融庁等に直接通報できるよう、ファックスや電子メールの受付窓口を設けたものです。


.ホットラインに寄せられた情報の受付と活用の状況(平成15年6月末現在)
 
(1)  情報の受付状況
 「貸し渋り・貸し剥がしホットライン」の受付状況については、四半期毎に公表することとしており、平成15年4月には開設以降平成15年3月31日受付分までの情報について、7月には平成15年4月1日から平成15年6月30日までの情報について公表を行いました。平成14年10月の開設以降6月30日までに受け付けた情報の累積件数は885件となっております。
 
 平成15年3月末まで及び平成15年6月末までの受付状況等については、それぞれ金融庁ホームページの「報道発表など」から「「貸し渋り・貸し剥がしホットライン」情報の受付・活用状況について」(平成15年4月21日)「「貸し渋り・貸し剥がしホットライン」情報の受付・活用状況について」(平成15年7月29日)にアクセスしてください。

(2)

 受け付けた情報の活用状況
 「貸し渋り・貸し剥がしホットライン」に寄せられた情報につきましては、その内容を整理し、分析するとともに、金融機関に対し、貸し渋り・貸し剥がしの問題に関する対応方針等のヒアリングを実施したり、検査においてこれらの情報を参考とするなど、金融機関の検査・監督の実施に当たり重要な情報として活用しています。特に平成15年4月以降は、より有効な活用を図るため、情報提供者等から会社名や氏名を金融機関に提示することについて了解が得られている情報については、必要に応じ金融機関に情報を提示して事実確認等を行っております。
 
 これまでの活用状況については、「貸し渋り・貸し剥がしホットライン」に寄せられた情報に金融機関の説明態勢の不備を示唆するものが多いことから、まず一般的活用として、「与信取引に関する顧客への説明態勢及び相談苦情処理機能に関する事務ガイドライン」の制定に当たってこれらの情報を参考にしております。
 次に、個別の金融機関に関する活用として、平成15年3月末までに受け付けた情報を基に、監督においては139金融機関に対してヒアリングを行い、そのうち監督上必要と認められた19金融機関に対して、銀行法第24条等に基づく報告徴求を行っております。検査においても10金融機関の検査にて参考としました。また、4月1日から6月30日までに受け付けた情報については、指摘を受けた金融機関に対してヒアリングを行うとともに、検査の参考としているところです。
 なお、「貸し渋り・貸し剥がしホットライン」に寄せられた情報をより有効に活用し、政府全体として対応を図るため、中小企業庁と連携して関係省庁間の連絡会議を随時開催しています。


.「貸し渋り・貸し剥がしホットライン」の利用方法等は以下のとおりです。
 <情報は次の電子メール・ファックスで受け付けています。>
 【電子メール】joho@fsa.go.jp
 【F A X】03−3506−6699
 <情報を送付する際には、以下の点についてご注意ください。>
 
  ・  情報には、住所(都道府県)職業・業種についてもご記入ください。
  ・  受け付けた情報については、検査・監督の実施にあたり重要な情報として活用させていただきますので、金融機関名・支店名や取引の内容など、できるだけ具体的にご記入ください。なお、情報に含まれる特定個人名または企業名を金融機関に提示して事実確認等を行うことが、受け付けた情報の一層の有効活用に資する場合もあります。つきましては、受け付けた情報に含まれる特定個人名または企業名を必要に応じ金融機関に提示して差し支えない場合には、その旨を付記してください。
 
(注 )なお、これまでに受け付けた情報につきましても、上記と同様の観点から、情報に含まれる特定個人名または企業名を必要に応じ金融機関に提示して差し支えないということでございましたら、その旨、改めて、貸し渋り・貸し剥がしホットラインにご連絡ください。
  ・  貸し渋り・貸し剥がしに対して他の省庁等の協力を得るため、受け付けた情報を関係先に連絡する場合があります(関係先への連絡を希望されない場合は、その旨を付記してください)
  ・  受け付けた情報に関する照会や相談には応じることはできませんので、予めご承知おきください(苦情相談については、各金融関係団体に相談窓口(下記参照)が設置されていますので、そちらにお問い合わせください)。


情報は、金融庁以外にも最寄の財務局等において情報を受け付けています。
 
 
財務局等名 電子メール F A X
 北海道財務局   joho@mof-hokkaido.go.jp 011-709-2371
 東北財務局   joho@th.lfb-mof.go.jp 022-263-1160
 関東財務局   johokanto@kt.lfb-mof.go.jp 048-600-1126
 北陸財務局   joho@mof-hokuriku.go.jp 076-292-7981
 東海財務局   joho@mof-tokai.go.jp 052-951-1814
 近畿財務局   joho@mof-kinki.go.jp 06-6949-6787
 中国財務局   joho@mof-chugoku.go.jp 082-221-8091
 四国財務局   joho-sk@mof-sikoku.go.jp 087-862-8828
 九州財務局   joho@ks.lfb-mof.go.jp 096-323-8256
 福岡財務支局   joho@mof-fukuoka.go.jp 092-413-3899
 沖縄総合事務局   hotline@ogb.cao.go.jp 098-866-0251


金融取引における苦情相談窓口について
 金融取引に関する苦情・相談については、お取引のあった金融機関又は最寄りの金融関係団体の苦情相談窓口へご連絡下さい。金融関係団体の連絡先については、下記をご参照願います。
 より詳しい苦情相談窓口に関する連絡先は金融庁ホームページの「インフォメーション」のコーナーの「金融取引に関する苦情相談窓口について」にも掲載しております。
銀行関係  全国54銀行協会に「銀行よろず相談所」を開設
  信用金庫関係  全国信用金庫協会・・・・・(03)3563-2961
  信用組合関係  全国信用組合中央協会・・・(03)3567-2456
 東京、名古屋、京都、大阪、神戸、福岡、北九州、久留米の各銀行協会では、全国銀行協会が制定した「苦情の受付と解決促進に関する規則」第9条(弁護士会の「仲裁センター」の利用)に基づき、それぞれ地元の弁護士会との間で各弁護士会が設置・運営する「仲裁センター」の利用に関する協定を締結し、簡易で迅速な対応が可能な裁判外の紛争処理機能を利用いただけるようにしています。
 詳しくは各銀行協会銀行よろず相談所へお問い合わせください。
【問い合わせ先】
 ・東京銀行協会 銀行よろず相談所 TEL 03-5252-3772
 ・名古屋銀行協会 銀行よろず相談所 TEL 052-231-7851
 ・京都銀行協会 銀行よろず相談所 TEL 075-221-2134
 ・大阪銀行協会 銀行よろず相談所 TEL 06-6942-1612
 ・神戸銀行協会 銀行よろず相談所 TEL 078-331-2761
 ・福岡銀行協会 銀行よろず相談所 TEL 092-715-0331
 ・北九州銀行協会 銀行よろず相談所 TEL 093-531-1481
 ・久留米銀行協会 銀行よろず相談所 TEL 0942-32-3375


 アクションプログラムの内容について、広く国民に対し十分にご理解いただく必要があることから、金融庁では、アクセスFSAや政府広報等を通じて広報に努めております。
 以下、これまでの広報活動をご紹介いたします。アクセスFSAのバックナンバーにおける関連記事のほか政府広報オンライン等にリンクいたしましたので、どうぞアクセスしてみてください。


アクセスFSA〉
 
5号
 
「リレーションシップバンキングの機能強化に向けて(金融審議会金融分科会第二部会報告書)」
「リレーションシップバンキングの機能強化に関するアクションプログラム」
「堀内昭義金融審議会第二部会長インタビュー」
 
 第二部会報告「リレーションシップバンキングの機能強化に向けて」のポイントや中小・地域金融機関の将来展望などについてお話をお伺いしております。
「金融ここが聞きたい!」(Q&A)
 
 「中小・地域金融機関の不良債権処理については、主要行のような数値目標を設けないということですが、これで中小・地域金融機関の健全化は図れるのでしょうか?」「『アクションプログラム』では、こと細かに中小・地域金融機関の経営に注文を付けていますが、これは規制緩和の流れに逆行するものではありませんか?」といった疑問に竹中大臣の記者会見の中から該当する部分を抜き出してお答えしています。
8号
 
「『リレーションシップバンキングの機能強化に関するアクションプログラム』関係の事務ガイドラインの改正について」
「公的資金による資本増強行(地域銀行等)に対するガバナンスの強化について」


政府広報〉
 
雑誌広告
 ・ 「これからは質と将来性に融資を」
定期刊行物
 ・ 時の動き 7月号「施策ファイル2 中小企業金融の再生を目指すアクションプログラム(行動計画)を発表」
テレビ番組
 ・ そこが聞きたい!構造改革 7月20日、27日放送「証券市場の構造改革」
 
 低迷する景気を回復し、日本経済を再生するためには、「不良債権処理」による強固な金融システムの構築が重要ですが、中小企業が支える地域経済への影響も視野に入れなければなりません。竹中金融担当大臣が、「中小企業のための地域金融機関のあるべき姿」や「中小企業再生に向けた地域金融機関の取組み」について分かりやすくお話しました。
 ・ 政策対談 明日への架け橋 6月28日放送「中小・地域金融の再生」
 
 「中小・地域金融の再生」をテーマに「リレーションシップバンキングの機能強化に関するアクションプログラム」により、本当に地域金融と中小企業の共存共栄はできるのかについて、伊藤金融担当副大臣が経済産業研究所研究員の中林美恵子さんと議論を展開しました。


タウンミーティング〉
 
「中小企業金融に関するタウンミーティング イン京都」
 
 いわゆる「貸し渋り・貸し剥がし」問題への対応の一環として、借り手である中小企業等の事業主をはじめとする国民の生の声を竹中金融担当大臣等が直接聞くとともに、中小企業金融の円滑化に向けた政府の取り組みを説明することなどを目的として、8月24日(日)に「中小企業金融に関するタウンミーティング イン 京都」を開催いたします。タウンミーティングの開催概要や参加者募集のご案内については、首相官邸ホームページの「タウンミーティング」をご覧ください。
   
 

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