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世界の監督当局が参加する国際的な機構として、バーゼル銀行監督委員会(バーゼル委)、証券監督者国際機構(IOSCO)及び保険監督者国際機構(IAIS)は、すでにおなじみであろうかと思います(注1)。しかしながら、これらを母体として設立された業態横断的な組織であるジョイント・フォーラムをご存知の方は、残念ながら少ないのではないでしょうか。 ジョイント・フォーラムは、1995年2月に起きたベアリングズ事件を契機として、同年6月のハリファックスサミット経済宣言において金融システム維持のための監督当局間の国際的協調の重要性が謳われたことを受けて、1996年1月に発足しました。日本を含む13ヶ国(注2)の銀行、証券及び保険監督当局者、バーゼル委、IOSCO及びIAISの代表者などから構成され、年3回のペースでこれまで24回開催されています。2001年7月の第17回は、日本の山形県天童市で開催されました。 ジョイント・フォーラムのテーマは、当初は、金融コングロマリット(注3)の監督の手法や枠組みに焦点を当てていましたが、1999年にマンデート(検討課題)が拡大され、業態間をまたがる諸問題、例えば、銀行・証券・保険の監督上の諸原則の比較・検討、複合的なビジネスにおけるリスクの統合管理の在り方などが取り上げられています。現在は、信用リスク移転など最先端のテーマが熱心に論じられています。 ジョイント・フォーラムは、母体となる3機構の共通かつ最新の関心事項について、幅広い観点から業態横断的な調査・研究を行い、3機構等に対してアウトプット(報告書)を提供してきています。その活動に積極的に参加し動向をフォローすることは、国際的に関心の高いテーマについて総合的で横断的な視点を保つために大変重要であると考えます。 以下、もう少し詳しく、ジョイント・フォーラムの活動実績や最近の議論の状況などを御紹介しましょう。なお、文中意見にわたる部分は、筆者の個人的な見解です。 |
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(注1) |
本誌第11号にIAIS(当課天谷企画官)、第12号にバーゼル委(当課白川企画官)、第13号にIOSCO(当課松尾企画官)の紹介がそれぞれなされています。 |
(注2) | オーストラリア、ベルギー、カナダ、フランス、ドイツ、イタリア、日本、オランダ、スペイン、スウェーデン、スイス、英国及び米国の13ヶ国。EU委がオブザーバー参加。我が国の金融庁は、銀行・証券・保険を一元的に監督しているので、会合においてすべての議題をカバーできますが、監督当局が業態ごとに分かれている国は、議席数の関係で、3業態のすべてをカバーできない場合があります。 |
(注3) | 国境、業態を超えて多様なビジネスを展開しており複雑な組織・経営構造を有する金融機関と定義付けられています。 |
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.発足時の経緯と当初の活動実績 1995年2月、イギリスの名門銀行であるベアリングズが、シンガポール拠点の1トレーダーによるデリバティブ取引での巨額損失のため倒産するという事件が起こりました。これを契機に、主要国において金融・証券の監督組織が分かれている中で、監督当局間の協力が不十分ではないかという問題意識が高まりました。そこで、同年6月のハリファックスサミット経済宣言において、監督当局間の協力強化に関し、G7の蔵相がバーゼル委・IOSCOに検討させた上で、次回のリヨンサミットで報告することとされました。バーゼル委・IOSCOは、1996年5月に共同報告書を公表し、その中で、成果の一つとして、金融コングロマリットに関する銀行・証券・保険の三監督者会合の設置(これが現在のジョイント・フォーラム)を掲げるとともに、銀行・証券監督当局間での情報交換等の協力の強化策を検討していくことを謳いました。この報告書を踏まえ、G7の蔵相は、1996年6月のリヨンサミットにおいて、「金融機関監督の強化のための市場横断的な協力を促進する。我々は、バーゼル委及びIOSCOによる、相互の協力体制を強化するための一致した努力、及び、銀行、証券及び保険監督者の共同フォーラムについての作業を歓迎する」旨の報告を行いました。 このようにサミットのプロセスの中で発足したジョイント・フォーラムは、金融コングロマリットの監督上の諸問題に焦点を当て、以下のような諸原則を公表してきました。 |
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2 | .マンデートの拡大 1999年12月、「金融コングロマリット」の監督上の諸問題に限らず、業態間をまたがるその他の諸問題についても幅広く取り上げるべく、マンデートが拡大されました。その結果、以下のような内容の報告書が取りまとめられてきました。 |
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.最近の動向 |
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(文中意見にわたる部分は筆者の個人的見解である) |
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はじめに 2000年4月の民事再生法施行、昨年4月には改正会社更生法施行といった具合に、企業倒産・再建に関する法制度について、近年大きな変革が施されました。長期にわたる日本経済停滞の打開策の一つとして、企業再生の促進が喫緊の課題であるという問題意識が、制度変革の背景にあります。企業再建が円滑に行われるよう、法制度の見直しが図られたわけです。本稿では、倒産法制の枠組みの変更が、実際の企業再建にどのような影響を及ぼしうるのか、“法と経済学”の視点から考えてみようと思います。つまり、法制度のデザインの仕方によって、ビジネスの現場での企業経営者や銀行等の債権者の行動がどのように影響されるのかを考えてみますi。 なぜ、倒産が起きるのか?(負債契約の経済機能) まず初めに、きわめて基本的な話になりますが、なぜ、企業は倒産してしまうのでしょうか。非常に大雑把に言ってしまえば、企業が負債を返済できないような状況に至った場合が、倒産だと考えられます。たとえば、100%自己資金で事業を営んでいる会社を想像してみてください。事業立上げ時の初期投資の資金は勿論、運転資金等も全て内部留保などの自己資金で賄い、買掛金のような取引信用も含め、一切負債が無い会社です。この場合、誰かに返済をする必要はありませんから、倒産に至る心配はありません。全ての必要資金を自前で賄うことは、なかなか難しいことですが、他にも倒産を回避できる方法があります。資金調達を株式発行にのみ依存し、負債を全く負わないケースです。この場合、うまく収益が上がらなかったとしても、株主への配当支払いが減額ないし停止するだけで、倒産することはありません。もちろん、株主が経営責任を追及し、経営陣が退陣に追い込まれる恐れはありますが、会社自体の存続が危機にさらされるわけではありません。 こうして考えてみると、負債(借入)という形式で資金調達を行うがゆえに、債務不履行に至る可能性が生じ、倒産の恐れが出てくることがわかります。現実のビジネスの世界を見ると、倒産の恐れの無い100%株式調達という会社は稀であり、ほとんどの企業が借入によって必要資金の調達を行っています。一般に、大企業になるほど、負債への依存度は高くなる傾向にあると言えます。実は、負債という金融契約には、企業経営の健全性を維持する上で重要な機能があることが、近年の経済学の分野での研究で明らかになってきています。 例えば、経営者の経営努力について考えてみましょう。必要な経営努力を怠った結果、業績が低迷したとします。100%株式調達の会社の場合、経営者は「今年は市場環境が悪かったから」などと屁理屈を並べ、言い逃れをするかもしれません。今日のように、発行株式が多くの投資家に分散して所有されている場合、株主が一致団結して責任追及を図り、経営者を更迭へ追い込むことは容易ではありません。責任追及の恐れが低いと予想すれば、経営者は安心して放漫経営を続けてしまうかもしれません。こうしたことは、社長が自らの満足のために、採算を度外視して業容拡大を図ったり、将来性も考えずに多角化を推し進めるケースにもあてはまります。 ところが、借入によって必要資金を工面していると、話は変わってきます。負債契約の場合、定期的に約定金額を支払わなければなりません。返済が滞れば、債権者が経営へ介入してきます。債権者側が、今後返済が続く見込みが無いと判断すれば、会社の資産は差し押さえられ、経営陣は解任されてしまうかもしれません。つまり負債契約の特徴の一つは、債務不履行をきっかけとして、会社の支配権が、株主に選ばれた経営者から、債権者へ移転することにあると言えます。 こうした事態を回避したければ、少なくとも約定返済が滞らない程度に、安定した収益を計上できるよう、会社経営を真摯に行う必要があります。借入による事業資金の調達には、このように経営者へ経営努力を促す効果があると考えられます。債権者側から見れば、負債契約には経営者に対する規律付け効果があるために、ある程度安心して、事業資金を融資することができるわけですii。 経営への規律付けと再建促進とのトレード・オフ さて、前置きが少し長くなりましたが、本題である倒産に話を移しましょう。倒産とは厳密にどのような事態なのか、様々な定義があるかもしれません。ここでは債務の履行が困難になった際、その旨を裁判所に申し出て、その後の会社の行く末について協議する手続きに入ることを指すこととします。手続きの結果は、会社の全資産を売却して債権者への返済に充当する清算手続き(いわゆる破産手続き)の場合もあれば、会社の負債構成を抜本的に見直して事業継続を図る(会社更生や民事再生の手続き)ケースもあります。そして、この裁判所の手続きのあり方をどのように定めるかが、経営者や債権者の行動に大きな影響を及ぼす可能性があるのです。 例えば、経営者が適切な経営努力さえ怠らなければ、必ず相応の利益があがる事業があると想像してみて下さい。もし、負債の返済ができないような事態が生じれば、経営者が必要努力を怠ったことは明白です。この場合、債務不履行時には経営者を解任し、会社を清算するということを定めておけば、経営者は真面目に仕事に努めるはずです。民事再生手続きのように、経営者に会社を立て直すチャンスを残しておく必要はありません。 ところが、当然のことですが、現実の世界は、努力さえすれば間違いなく利益を確保できるというわけにはいきません。経営者だけの力だけでは、対応しきれないアクシデントが存在します。台風や地震のような天災に見舞われたり、戦争に巻き込まれるといった事態が典型的でしょう。この場合、会社を清算して得た資金を債権者間で分配するよりも、経営者に会社再建の機会を与えて、再建計画の中で返済をしてもらった方が、債権者にとっても回収可能金額が多くなり、有利な場合があります。 債権者にとっての利害関係に加え、会社が存続すれば、従業員の雇用を継続できるなど、社会的に見てもプラスの側面があります。そこで、事業継続の余地を探る制度として、民事再生法や会社更生法といった制度が用意されているわけです。 ただし、再建の余地を残すことには問題があります。今日の企業経営は高度に専門化しているため、企業の外にいる債権者側からは、業績不振の原因を正確に把握することが困難です。債務不履行に至った原因が、たまたま運が悪かったのか、それとも放漫経営によるものなのか、見分けることは容易ではありません。すると、場合によっては、経営努力を怠っている企業や、事業内容がすでに時代遅れで衰退しつつある企業を、誤って存続させてしまう恐れがあります。 実は、問題はこれだけにとどまりません。たとえ放漫経営をしていても、債務不履行時に、債権者をうまく説得することさえできれば、経営を続けることができるかもしれないと期待すると、最初から必要な経営努力を怠るかもしれません。企業再建に寛容な制度を設けてしまうと、上述した、負債契約が持つ経営者への規律付け機能を損なう恐れが生じてきます。 以上をまとめてみると、制度としての倒産手続きを考える場合、負債契約が持つ規律付け機能を重視して、債務不履行には経営努力の怠慢とみなして厳罰とするのか、それとも、企業の再建可能性に重きを置いて、経営者にやり直しの余地を幅広く認めるのか、というトレード・オフの関係があることがわかります。海外の例をみると、よく耳にする米国のChapter 11は、企業の再建可能性について手厚く考慮するものとなっています。倒産手続きの申立に際しては、支払不能や債務超過といった要件は不要で、しかも申立をすれば、裁判所の決定無しに自動的に手続きが開始されます。手続き開始と同時に、債権者の全ての取立行為が自動的に停止されます(いわゆる、automatic stayです)。しかも、債務者は原則として事業の経営権を失わず、その地位にとどまることができます(このことを、Debtor in Possession、略してDIPといいます)。 企業再建を強く意識した日本での制度改正 一方で、民事再生法が導入される前の日本の制度は、再建を求める経営者にとって都合の良いものではありませんでした。もちろん、再建型の手続きとして、従来から会社更生法がありました。この中では、担保権の行使を制限するなど、企業再建を強く意識した条項が盛り込まれていましたが、一方で経営陣の退陣を必須とするなど、経営者側に厳しい側面もありました。しかも、制度の運用でも、社会的に広く再建の必要性が認められるような大型案件でなければ、裁判所が申立を受理しない傾向にあったと言われ、法的手続きの下で再建を図ることは容易ではありませんでしたiii。 このような債務者側に厳しい制度デザインは、上述のような経営者への規律付け効果など負債契約の特性を活かす上では良いかもしれません。一方で、法的手続きによる再建が難しいとなると、再建を求める経営者は、債権者と私的に交渉し協力を求めるしかありません。清算して資産を売却するよりも、事業を継続して返済させた方が、全体としてはより多くの金額を回収できるケースもあるかもしれません。しかし、個々の債権者にとってみれば、即座に担保権を行使して資産売却を図った方が有利な場合もあります。利害関係が異なる債権者全てを説得して、再建への協力を取り付けることは容易ではありませんiv。しかも、再建計画の策定にあたっては、債務返済期間の延長や債権放棄など、債権者側にも負担を強いることになります。金融機関の体力が低下している今日、債権者側も、簡単には応じてくれないでしょう。しかも、裁判所という第三者による監視の目が無い私的整理の場合、交渉自体が不公正なものとなる恐れもあります。再建が好ましい場合でも、債権者側の都合で清算を強要されたり、たとえ再建で合意できたとしても、債務者側にとって著しく不利な条件となる恐れもあります。 また、債務の履行が困難となった企業に対して厳しい姿勢で臨む制度の下では、債務者はなかなか窮状を告白しないでしょう。債務不履行を何とか回避しようと、資金繰りに奔走することになります。重要な会社の資産の売却や値引き販売といった形で資金の捻出を続けると、経営内容がますます悪化する恐れがあります。会社が窮地に陥っていることを察して、優秀な人材が会社を去っていくかもしれません。さらには、一気に挽回を図るため、経営者が一か八かのリスクが高い経営行動にでる恐れもあります。経営者自身は、債務不履行を回避しようと一生懸命頑張っているのですが、その努力がかえって会社に一層のダメージを与えることになりかねません。一時的な業績不振で、本業自体の将来の収益性は問題が無い会社の場合、最初に損失が生じた時点で即座に負債再構成等の適切な措置がとられていれば、容易に再建軌道に乗せることができるでしょう。ところが、いたずらに経営者が資金繰りの努力をしてしまうと、最早再建が非常に困難な状況になって初めて、債権者側は深刻な事態を知ることになりかねません。 米国の制度は、負債契約の規律付け効果を損なう側面があったとしても、再建可能性を高めることを優先し、債務者に立直しの余地を与えて早期の再建着手を促したものと言えます。そして日本でも、DIP型の再生手続きを前提とした民事再生法の導入など、企業再建を優先する法制度へと変革がなされましたv。長きに渡る日本経済の停滞は、企業の財務状況を圧迫し続けてきました。中には、バブル期のゴルフ場投資など非効率経営のつけが重くのしかかっているところも少なくありません。一方で本業を見れば、十分な競争力を持つと思われる会社も数多くあります。こうした企業が、過去の負債にいつまでも振り回されること無く、本業に専念できるよう導くため、円滑に負債構成を再構築できる環境を整備することは、日本経済自体を回復軌道に乗せる上で重要な課題だという意識が、一連の制度改革の背景にあったわけです。 現在、当センターでの研究として、制度改革が企業再建促進にどのような影響を与えているのか、実証分析を行っています。2000年4月の民事再生法施行より前に会社更生法や和議法といった法的手続きの申立を行った企業を見ると、業績の落込みがあったタイミングから法的手続きに入るまで、平均的にみて5年程度の期間を要していましたvi。ところが、2000年4月以降に民事再生法や会社更生法の申立を行った企業を見ると、業績の落込みがあった翌年ないし翌々年には、再建のための法的手続きに入る傾向があることが確認されています。さらに、私的整理による再建で債権放棄を受けた企業と、法的手続きを利用した企業とを比較すると、法的手続きの申立ないし債権放棄の直前の収益性は、債権放棄を受けた企業の方が比較的高いとの結果が得られましたvii。この点は、健全な体質へ回復するために抜本的な改革を要する企業の場合、法的手続きが積極的に活用されていることを物語っているといえます。これらの分析結果からは、一連の制度改革によって、早期の企業債権着手が促進された可能性が高いことを窺い知ることが出来ますviii。 おわりに 最後に付け加えると、倒産関連法制について何か最適な制度があるわけではありません。上述したように、負債契約が持つ経営への規律付け効果と企業再建促進というトレード・オフがある中で、経済環境が直面している問題を考慮しつつ、一つの制度が選択されているわけです。今回の日本の制度改正は、企業再建の促進を強く意識したものですが、予想される副作用もあります。 たとえば、米国の場合、1978年連邦倒産法において、上述した企業再建を重視した法制度が確立されました。法律の施行後、1980年代前半に中小企業の資金調達事情を分析した研究がありますix。これによると、1978年倒産法施行後、調達金利が上昇したり、借入申込みが断られる頻度が高くなるなど、中小企業の資金調達条件が悪化していることが確認されています。再建を重視した制度は、一方で債権者の権利を制限する性格も有しています。このため、債権者にとっては貸出条件が悪化するという側面もあり、結果、貸出姿勢の消極化という影響を及ぼしたと考えられます。また、米国でChapter 11の下で再建手続きに入った企業のうち、手続き終了後に回復を遂げたものは6〜12%に過ぎないとの研究もあり、米国内でも倒産法制のあり方を見直すべきとの議論が盛んに行われています。今回の日本における倒産関連法制の改革が、日本経済にどのような影響を及ぼすかについては、こうした副作用等も考慮して、もう少し長期的な視野で考える必要があると思われます。 |
(文中意見にわたる部分は筆者の個人的見解である) |
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金融研究研修センターは、平成13年7月、金融庁における「研究と研修の効果的な連携」を目的として発足し、金融理論・金融技術等に関する研究を通じて専門的な知識を蓄積しつつ、それを活かした研修等により不断に職員のレベルアップを図っていくための活動を行っています。センターの概要や活動内容等については、ホームページ(http://www.fsa.go.jp/frtc/index.html)をご覧下さい。 |
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このコーナーは、記者会見における質疑・応答(Q&A)などの中から、金融を巡る時々の旬な情報をセレクトしてお届けするものです。もっと沢山ご覧になりたい方は、是非、金融庁ホームページの「記者会見概要」のコーナーにアクセスしてください。 |
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:中小金融機関、地域金融機関の不良債権問題の現状認識について、ここ1年ぐらいの間に、私自身の認識が大きく変化したということではありません。以前から、この問題は地域に根差した金融機関として、まず地域の企業を再生する中で、企業が再生し、それによって銀行の財務基盤も強化されていくと。リレーションシップバンキングの考え方に則って、地道な努力を続けていく以外に方法はないと思っております。同時に、そうした金融機関の努力を助けるための枠組み、これは合併等々の、例の特措法がそれに当たるわけです。そういうものに関しては、政府はできることをしっかりと準備していかなければいけないというふうに思っています。そうした中で、主要行に関しては、不良債権の処理、不良債権比率の低下というのが、我々が期待していた方向でしっかりと進んでいる。そういうふうに金融システム全体が良い方向に向かう中で、地域の金融機関についても、より前向きな色々な対応をしようという、一つの可能性が、ムードが出てきているのだろうと思っております。しかし、これは時間をかけて、しっかりと地域の再生、企業の再生とともに行っていかなければいけないことでありますので、今のリレーションシップバンクの枠組み、これは昨年の8月に、最初の強化計画を、報告をまだ求めたばかりでありますから、それをしっかりと進めていただきたいし、我々はそれをしっかりと見ていきたいと思います。 |
(平成16年1月13日(火) 竹中大臣記者会見抜粋) | |
ペイオフを予定通り実施していくということは重要であると思っておりまして、そのために、我々は「金融再生プログラム」を予定通り着実に実行していくことが重要であると。リレーションシップ・バンキングをしっかりと、「金融再生プログラム」を進めていくことが重要であると思っています。 リレーションシップ・バンキングのフォローアップの状況についても発表させていただいておりますけれども、非常にしっかりと進んでいる。 一例ですけれども、地域銀行、中小銀行でDIPファイナンスを行っている例が66件あると。DIPファイナンスというのは、ついこの間までは民間では行えなくて、政策投資銀行だけが行っていたという状況から考えると、メガバンクのみならず、地域の中小の金融機関でもそうした動きが出てきたというのは、非常に急激に変化しているということだと思うんですね。この変化をしっかりと続けていくということが大事であると。それが結果的に金融システムをより強固に安定させて、ペイオフ解禁の環境を作っていくことにつながっていくと思っています。 |
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このコーナーは、とかく専門的でわかりにくい金融に関する用語や様々な疑問について、わかりやすく解説するものです。 今月のキーワードは「証券取引法上の犯則行為」です。 |
公正・公平なマーケットを維持していくためには、ルールの違反者に対して厳正なペナルティを課すことにより、マーケットが適切に運営されているという投資者の信頼感を醸成することが重要です。 |
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証券取引等監視委員会は、証券取引等の公正を害する悪質な行為の真相を解明し、告発により刑事訴追を求めるため、犯則事件の調査を行っています。 |
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この犯則事件の調査権限は、市場の公正性、健全性を確保し、投資者保護を図るため、監視委員会の設置に伴い設けられたものであり、監視委員会職員の固有の権限として証券取引法等に規定されたもので、必要に応じ、質問、検査、領置等の任意調査を行うほか、裁判官の発する許可状により行う臨検、捜索及び差押えといった強制調査を行うことができます。 |
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犯則事件の調査対象は証券会社等に限定されず、投資家を含め広く証券取引等に関与するすべての者が対象となっています。 |
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犯則事件の調査権限は、監視委員会発足前は検察、警察の刑事当局が担当していました。監視委員会の発足に際し、委員会に強制調査権限が与えられたのは、直接的に市場の機能を損なう行為に関わる事件を解明するためには証券取引に関する専門的知識、経験を必要とするためです。 |
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証券取引法などにおいてどのような行為を行うと犯則事件となるかについては、証券取引法施行令第45条等において定められています。 その中から代表的な犯則行為について以下に解説します。 |
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こうした証券取引法上の違法行為の調査にあたっては、一般から寄せられる情報は、市場の生の声として非常に有用な情報となっています。証券取引等監視委員会では、ホームページに情報受付窓口を設置し、広く一般から、証券取引法に違反する行為に関する情報を受け付けています。 インサイダー取引、相場操縦、ディスクロージャー違反、風説の流布などに気付いたら、証券取引等監視委員会のホームページの情報受付窓口に情報をお寄せください。 |
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証券取引等監視委員会について、詳しくはアクセスFSA第11号の「金融便利帳:証券取引等監視委員会」にアクセスしてください。 |
※ | この他、具体的な検査の実施状況等については、「証券取引等監視委員会の活動状況」において公表しております。「証券取引等監視委員会の活動状況」は、証券取引等監視委員会のWebページへの掲載、閲覧窓口での閲覧のほか、国立印刷局から書籍として市販されています。 |
〇 金融庁業務説明会(於:関西)の御案内 金融庁では、平成16年度国家公務員採用I種試験の受験をお考えの関西地区在住の皆様に向けて、業務説明会を開催いたします。昨今の金融情勢や、不良債権問題・証券市場改革等々に関する最新の取組みをはじめ、金融行政に携わる行政官としてのやり甲斐から苦悩まで、庁内の第一線で働く行政官が学生の皆様の質問にお答えします。 |
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2.場所:芝蘭会館(京都市左京区吉田牛の宮11−1) 2F研修室 | ||
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〇 「金融経済教育を考えるシンポジウム」の開催 金融経済教育の重要性についての理解を深めるため、金融庁の主催により、教育関係者及び金融教育を推進しているNPO関係者などを対象に「金融経済教育を考えるシンポジウム」を開催します。 シンポジウムの模様については、次号のアクセスFSAにて詳しくご紹介する予定です。 ○ 開催日時 平成16年1月31日(土)(午後1時30分〜4時00分) ○ 開催場所 津田ホール(東京都渋谷区千駄ヶ谷1-18-24) ○ パネリスト(順不同) 新井 明(都立国立高等学校教諭) 伊藤元重(金融知力普及協会理事長) 柳谷 孝(野村證券専務執行役) 竹中平蔵(金融担当大臣) コーディネーター:野中ともよ(ジャーナリスト) ○プレゼンテーション(順不同) 大学生 高校生 高校教諭 赤田英博(日本PTA全国協議会会長) ※ 参加者の募集については終了しました。 〇 大臣・副大臣への質問募集中 本号では休載させていただきましたが、アクセスFSAでは、読者の皆様から寄せられた金融を巡る大臣や副大臣へのご質問に、大臣・副大臣が直接お答えする【竹中大臣に質問!】、【伊藤副大臣に質問!】のコーナーを設けております。「金融庁のやっている金融行政って、よくわからないんだけれど、大臣・副大臣にこんなことを、是非、直接聞いてみたい!」というご質問がございましたら、金融庁ホームページの「ご意見箱」にお寄せください。その際、ご意見箱の件名の欄には、必ず「大臣に質問」あるいは「副大臣に質問」とご記入ください。また、本文の欄にご質問の内容をご記入下さい。ご意見箱のコーナーには、「45行以内」とありますが、「大臣に質問」、「副大臣に質問」の場合には、ご質問の趣旨を明確にさせていただくために、恐縮ですが100字以内に収めていただきますようお願いいたします。お寄せいただきましたご質問の中から1問選定させていただき、「アクセスFSA」において大臣または副大臣の回答を掲載させていただきます。大臣・副大臣へのご質問がございます方は、「ご意見箱」へどうぞ。また、「大臣・副大臣への質問募集中」にもアクセスしてみてください。 〇 新着情報メール配信サービスへのご登録のご案内 金融庁ホームページでは、新着情報メール配信サービスを行っております。皆様のメールアドレス等を予めご登録いただきますと、毎月発行される「アクセスFSA」や日々発表される各種報道発表など、新着情報を1日1回、電子メールでご案内いたします。ご登録をご希望の方は、「新着情報メール配信サービス」へどうぞ。 |
※ | マークのある項目につきましては、から公表された内容にアクセスできます。 |