【金融ここが聞きたい!】


 このコーナーは、記者会見における質疑・応答(Q&A)などの中から、金融を巡る時々の旬な情報をセレクトしてお届けするものです。もっと沢山ご覧になりたい方は、是非、金融庁ホームページの「記者会見概要」のコーナーにアクセスしてください。
 
Q:改正公認会計士法が4月1日から施行されます。新たに設置される公認会計士・監査審査会の役割についてどういうことを期待していますか?また、監査法人等に対する監視・監督にどのように取り組んでいかれますか?


:ご承知のように4月から新しい公認会計士法が運用の運びになります。これは、我々としてもその中で、新しいクオリティーのモニタリングのシステムが作られるわけですから、我々としては与えられた権限を最大限活用して、今3月期の決算を行っていますけれども、3月期の決算も対象にして、4月に新しい仕組みができれば、できるだけ早くこの制度を、我々に与えられた権限の範囲でしっかりと活用して、厳正に対応していくということが必要だと思っております。公認会計士は、どちらかの特定の利益、利害に偏るということがあっては断じてならないわけで、我々としては公認会計士法の新しい法律の精神に則って、厳正に対応していく心づもりでおります。
 (略)まずご承知のように、今度の新しい法律では、監査業務と非監査業務の明確な区分が求められている。それとの関連で、例えばですけれども、非監査業務をやっているので監査業務にそれが及んでいると、及んでくるというようなことは、これはもうないとは思いますが、そんなことがあっては断じてならないわけであります。例えばですけれども、仮にそのようなことが懸念されるような場合があれば、これは当然、我々としては見過ごす問題ではないと思います。個別の監査の内容、再建計画の話とか、繰延税金資産の話とか色々仰いましたけれども、それに関してもそういうことがない、私は日本の公認会計士はしっかりとした対応をしているとは思いますが、万が一にもそういう対応があるならば、これは我々としては見過ごせない、しっかりとした当然対応をしていく。公認会計士の社会的責任がある、我々もそれを監督する責任があると思っております。
平成16年3月12日(金) 竹中大臣記者会見抜粋)


 第156回国会で成立した「公認会計士法の一部を改正する法律」について、詳しくは金融庁ホームページの「国会提出法案」から「公認会計士法の一部を改正する法律(平成15年3月14日提出、平成15年5月30日成立)」にアクセスしてください。

 

Q: 先日公表された「経済活性化のための改革工程表」に、「16年度における不良債権問題の終結」が盛り込まれていますが、見通しはいかがですか?


:「金融再生プログラム」に示された、主要行を対象にした不良債権比率の半減、そうすることを通して、不良債権問題を終結させると、これはやはり是非とも実現しなければいけない。不良債権比率の低下に関しては、順調に低下をしていると認識をしておりますが、これは何度も申し上げていますけれども、今度の3月期の決算、それとあと残り1年の上り坂というのは、大変きついと思いますから、金融機関にも頑張っていただきたいし、我々もしっかりと対応したいと思います。
平成16年3月12日(金) 竹中大臣記者会見抜粋)


 金融再生プログラムについて、詳しくは金融庁ホームページの「政策ピックアップ」の「金融再生プログラム」のコーナーをご覧ください。

 

Q: 先日、商工中金が、中小企業の再建のスキームとしてDDS(デット・デット・スワップ)を用いた中小企業再生支援を発表しました。この評価を含め、今後の中小企業の再生についてどのように見ていますか?


:商工中金が、これは確か東京都の中小企業再生支援協議会と連携して、その再生計画作成を支援している中小企業に対してデット・デット・スワップを用いた再生支援の第1号に取り組むと、こういう話だということは承知をしております。今、ご指摘のあったように、これは先般のマニュアル改訂の一つの、実は我々としても目玉であります。根雪部分のような形で、長期の運転資金として出されているようなものは、本来資本性があると、それはまさにデットデットスワップについて、きちっとした対応をとったものについては、それを資本としてみなすという先般のマニュアル改訂の一つの、我々としては自信を持って作った目玉であったわけですが、早速商工中金において、そうした取り組みをされたということは、これは我々としても大変勇気付けられることであると思っております。その中小企業金融の実態に光を当てた取り組みが行われなければいけないと、そのことによって金融の円滑化が進んでいくということを我々は期待をしておりますし、ご質問の趣旨は、もっと広く今後全体をどうしていくのかということかもしれませんが、リレーションシップバンキングの考え方にデットデットスワップ、こうしたものも示されていることでありますから、やはりリレーションシップバンキングのプログラムを着実に、具体的に形にしていくという努力を続けることが重要だと思っております。
平成16年3月12日(金) 竹中大臣記者会見抜粋)


 DDS(デット・デット・スワップ)について、詳しくはアクセスFSA第15号の「【集中連載】金融検査マニュアル別冊〔中小企業融資編〕の改訂について<第2回>」にアクセスしてください。
 リレーションシップバンキングのアクションプログラムについて、詳しくは金融庁ホームページの「政策ピックアップ」の「中小企業金融特集」にアクセスしてください。


【金融便利帳】


 このコーナーは、とかく専門的でわかりにくい金融に関する用語や様々な疑問について、わかりやすく解説するものです。
 今月のキーワードは「会計基準」です。


 「会計基準」という言葉は、一般的には、企業が適正な財務諸表を作成するために従うべき会計処理のルール全般をいう言葉として使われています。また、特定の会計処理のルールの名称として、例えば、「金融商品の会計基準」というようにも使われます。同じような言葉として、「会計原則」という用語もあります。学問的には「会計原則」と「会計基準」という言葉に深い意味がありますが、一般的には、同じような意味で使われています。


 「会計基準」は、「企業会計の実務の中に慣習として発達したもののなかから、一般に公正妥当と認められるものを要約したもの」と位置付けられています。したがって、それ自体は法令ではありませんが、企業の財政状態や経営成績の実態を利害関係者に的確に伝えることを目的として、適正な財務諸表を作成するための規範という役割を担っています。このような意味で、財務諸表の作成に関する包括的な基準として、昭和24年に、経済安定本部・企業会計制度対策調査会(現在、金融庁に設置されている「企業会計審議会」の前身)から「企業会計原則」が公表されました。


 このように、「会計基準」はそれ自体は法律や行政機関が定める規則ではありませんが、上場会社などの公開会社は、証券取引法により、一般に公正妥当と認められる会計基準に従って財務諸表を作成することが義務づけられています。また、商法(商法施行規則)においても、公正な会計慣行を斟酌することが求められています。
 さらに、証券取引法商法監査特例法により、企業が財務諸表の監査を受ける場合には、監査人となる公認会計士や監査法人は、企業の財務諸表が会計基準に従って適正に作成され表示されているかどうか判断することになります。


 「会計基準」は、経済社会の変化や新たな取引形態の出現などに合わせて、常に見直していかなければならないものです。近年、金融・証券市場のグローバル化、企業活動の多角化・国際化、デリバティブなどの金融商品の利用の拡大、雇用形態の多様化、研究開発活動の拡大、資産のリストラクチャリング、企業再編の活発化など、経済社会が激しく変化しています。こういった中で、国際的にも会計基準の改善が進められており、わが国においても1990年代後半から多くの会計基準が整備・改善されました。


 例えば、連結子会社の判断に実質基準を導入した連結財務諸表原則の改訂、外貨建債権債務を原則として期末レートで換算することとした外貨建取引会計基準の改訂、税務上の課税所得と会計上の損益認識の期間的なズレを調整する税効果会計基準の導入、有価証券やデリバティブの評価に時価評価を取り入れた金融商品の会計基準の導入、年金資産の時価評価や積立不足の計上を求める退職給付の会計基準の導入、研究開発活動やソフトウェアの開発費に関する研究開発の会計基準の導入、工場などの固定資産について収益性が著しく低下した場合には帳簿価額を修正する減損会計基準の導入、合併や分割の際の会計処理に関する企業結合の会計基準など多くの会計基準が整備・改善されています。


 なお、「会計基準」は、各国の経済慣行や法制度などを背景として形成されるため、日本基準米国基準、米国基準と国際会計基準、国際会計基準と日本基準には、それぞれの間に違いがあります。しかし、例えば、日本基準と国際会計基準との違いが、米国基準と国際会計基準との違いより殊更に大きいということはなく、会計基準が対象としている経済取引の範囲や規定内容については、それぞれ同等の水準にあると考えられます。(→アクセスFSA本号の「トピックス:企業会計審議会総会の開催について」もご覧ください。)


 こういった「会計基準」の整備・改善は、これまでは金融庁の企業会計審議会が行ってきましたが、平成13年7月に、会計基準の開発を目的とした財団法人 財務会計基準機構が設立され、その中に設けられた企業会計基準委員会が会計基準の作成を担っています。設立以来、自己株式の会計基準をはじめとして、多くの会計基準や適用指針を作成しています。


 「公認会計士」については、アクセスFSA第5号の【金融便利帳】(今月のキーワード:公認会計士)にアクセスしてください。


【お知らせ】

〇 金融庁ホームページ「金融検査マニュアル別冊〔中小企業融資編〕」コーナーをリニューアルしました!

 金融庁は、中小企業の実態を反映したより一層きめ細かな検査を目指して、金融検査マニュアル別冊〔中小企業融資編〕を改訂しました。金融庁ホームページ「政策ピックアップ」の「金融検査マニュアル別冊〔中小企業融資編〕」コーナーでは、改訂の内容や作成の経緯等をリーフレットや図表などを用いて分かり易く御紹介しています。

 金融検査マニュアル別冊〔中小企業融資編〕については、アクセスFSA第14号より解説記事を連載しております。第14号【改訂の背景】、第15号【「債務者との意思疎通」、「擬似エクイティへの対応」】、本号【「運用の改善」、「検証ポイントの検討と事例の大幅な拡充(その1)」】をご覧ください。


〇 国家公務員I種試験志望者のための霞が関官庁探訪の実施について

 金融庁においては、平成17年度採用I種職員の募集にあたり、業務説明会を以下の要領で実施します。多くの志望者の方にご参加いただければ幸いです。

  春の庁内業務説明会(完全予約・少人数制)>
 
1.日時: 3月22日(月) 16時30分〜18時00分 (終了)
3月24日(水)(1)13時30分〜15時00分 (2)16時30分〜18時00分(終了)
3月30日(火)(1)13時30分〜15時00分 (2)16時30分〜18時00分
3月31日(水) 16時30分〜18時00分
4月2日(金)(1)13時30分〜15時00分 (2)16時30分〜18時00分
2.場所: 金融庁庁舎(具体的な場所は予約受付後告知)

※予約連絡先(予約の際は、希望日時をご指定ください。)
  金融庁総務企画局総務課 齊藤
   E-mail: taka-saito@fsa.go.jp
   Tel:03-3506-6359  Fax:03-3506-6267

 <

業務説明会@関西>
 
.日時:3月26日(金)(1)13時00分〜14時30分(2)15時00分〜16時30分
.場所:芝蘭会館2F研修室(京都市左京区吉田牛の宮11-1)

予約不要です。金融庁の業務に少しでも興味をお持ちの方は、 当日直接会場までお越しください。


〇 I種職員採用パンフレットのリニューアルについて

 I種職員採用パンフレットをリニューアルし、金融庁ホームページの「採用に関する情報」コーナーに掲載しました。本パンフレットは、金融庁の業務説明や先輩からのメッセージ等、情報満載です。国家公務員I種試験を志望される皆様、ぜひ御参照ください。


〇 大臣・副大臣への質問募集中


 本号では休載させていただきましたが、アクセスFSAでは、読者の皆様から寄せられた金融を巡る大臣や副大臣へのご質問に、大臣・副大臣が直接お答えする【竹中大臣に質問!】【伊藤副大臣に質問!】のコーナーを設けております。「金融庁のやっている金融行政って、よくわからないんだけれど、大臣・副大臣にこんなことを、是非、直接聞いてみたい!」というご質問がございましたら、金融庁ホームページの「ご意見箱」にお寄せください。その際、ご意見箱の件名の欄には、必ず「大臣に質問」あるいは「副大臣に質問」とご記入ください。また、本文の欄にご質問の内容をご記入下さい。ご意見箱のコーナーには、「45行以内」とありますが、「大臣に質問」、「副大臣に質問」の場合には、ご質問の趣旨を明確にさせていただくために、恐縮ですが100字以内に収めていただきますようお願いいたします。お寄せいただきましたご質問の中から1問選定させていただき、「アクセスFSA」において大臣または副大臣の回答を掲載させていただきます。大臣・副大臣へのご質問がございます方は、「ご意見箱」へどうぞ。また、「大臣・副大臣への質問募集中」にもアクセスしてみてください。


〇 新着情報メール配信サービスへのご登録のご案内


 金融庁ホームページでは、新着情報メール配信サービスを行っております。皆様のメールアドレス等を予めご登録いただきますと、毎月発行される「アクセスFSA」や日々発表される各種報道発表など、新着情報を1日1回、電子メールでご案内いたします。ご登録をご希望の方は、「新着情報メール配信サービス」へどうぞ。


【2月の主な報道発表等】
 
2日(月) 「保険の基本問題に関するワーキング・グループ」のメンバー変更
 
3日(火) 「信用金庫法施行令等の一部を改正する政令(案)」の公表(パブリック・コメント)
 
4日(水) 「いわゆる外国為替証拠金取引について〜取引者への注意喚起等〜」の改訂
 
6日(金) 「事務ガイドライン(第三分冊:金融会社関係)の一部改正
  足利銀行の「経営に関する計画」の公表
 
13日(金) アラディン・キャピタル投資顧問株式会社に対して投資一任契約に係る業務の認可
  足利銀行において「業務監査委員会」及び「内部調査委員会」を設置
  関東つくば銀行の認定経営基盤強化計画履行状況の公表
 
20日(金) スタンダード・チャータード銀行東京支店に対する行政処分
    企業会計審議会総会開催
 
25日(水) 「事務ガイドライン(第三分冊:金融会社関係)の一部改正(案)」の公表(パブリック・コメント)
 
26日(木) 承継銀行の設立決定
  大阪証券取引所の自己株式の上場承認
  金融検査マニュアル別冊〔中小企業融資編〕等の改訂
 
27日(金) 保険の基本問題に関するワーキンググループのメンバーの追加
  第119回自動車損害賠償責任保険審議会の開催
  投資信託法及び投資法人に関する法律施行規則等の一部を改正する内閣府令(案)及び事務ガイドライン改正(案)の公表(パブリック・コメント)
   
マークのある項目につきましては、から公表された内容にアクセスできます。