初等中等教育段階における金融経済教育に関するアンケート結果の公表について

 金融庁は、「初等中等教育段階における金融経済教育に関するアンケート」を実施し、その結果を8月31日にホームページに掲載しました。

 このアンケートは、各都道府県の小学校、中学校及び高等学校(各470校)を対象に、金融経済教育に係る意識、取組状況及び金融庁への要望等の実態を調査(平成16年6月25日〜8月10日)し、今後金融庁が取り組むべき施策の参考とすることを目的としたものです。

 調査結果の主な内容を見ると、
(1)  金融経済教育の重要性を認識し、今後同教育を行っていきたいとする学校が多数を占める一方、金融経済教育について特色ある授業実践例を持つ学校は少ない、
(2)  金融庁がホームページに掲載している中・高校生向けの副教材については、認知度がまだ不十分で、印刷・製本して配布することなどへの要望が強い、
(3)  金融経済教育に係る金融庁への意見等としては、文部科学省をはじめ教育行政機関などとの連携強化を求める声が強い一方、児童・生徒に理解できるような金融に関する情報提供、金融経済教室の開催、教師向けの研修会の開催など要望が強い、
といった結果になっています。

【調査結果のポイント】
 (1)  金融経済教育についてどのように考えるか
 小、中、高とも、「重要でありかつ必要である」という回答が最多
 小学校57%、中学校75%、高校81%

 (2)

 今後、金融経済教育をどのように行いたいか
 「積極的に行っていきたい」:小学校6%、中学校19%、高校29%
 「必要に応じて行っていきたい」:小学校88%、中学校78%、高校69%

 (3)

 英米に比べて我が国で金融経済教育にまとまった授業時間が充てられない要因
 要因として最も多くあげられたのは、
 小学校:「学習指導要領での扱いが異なるため」50%
 中学校:「教科書等に関係事項の記載が少ないため」44%
 高 校:「社会における金融経済教育に対する必要性の認識が異なるため」44%

 (4)

 金融経済教育の特色ある授業実践例を持っているか
 小中高とも「持っていない」という回答が9割以上。

 (5)

 金融経済教育の授業で何を活用しているか
 「教科書のみ」:小学校46%、中学校31%、高校20%、
 「教科書以外も活用」:小学校47%、中学校68%、高校79%
 小、中、高とも、教科書以外で最も活用されているのは「副読本や資料集など」
 (小学校74%、中学校75%、高校86%)。

 (6)

 金融庁ホームページの副教材について
 金融庁ホームページに掲載している、中学生及び高校生を主な対象とした副教材「インターネットで学ぼう わたしたちのくらしと金融の動き」については、「これまで知らなかった」という回答が小、中、高とも6割以上。
 改善すべき点としては、「印刷・製本して配布して欲しい」(高校で13%)、「本副教材を活用した授業実践例を示して欲しい」(中高校で10%)等。

 (7)

 これまでの金融庁の金融経済教育に関する取組みについて
 「ほとんど知らない」という回答が過半数(小学校で最も認知度が低い)。
 「この程度で十分である」という回答は小学校で12%、中高校で30%前後。

 (8)

 金融経済教育の一層の推進を図るための金融庁の施策の方向
 「文部科学省をはじめ教育行政機関との連携を強化すべきである」:
 小、中、高とも70%前後。
 「関係の教科教育研究団体との連携を図っていくべきである」:同20%前後。

 (9)

 金融経済教育に関する金融庁への意見
 小、中、高とも、「児童・生徒に理解できるような金融に関する消費者保護策などの情報を積極的に提供して欲しい」という回答が50%前後で最多。
 次いで小学校では「租税教室と同様、金融経済教室を開催してほしい」が23%、中、高校では「教師に対し、金融経済の研修会などを主催して欲しい」が14%、23%。
 金融庁としては、これまでも、ホームページを通じた情報提供、副教材やパンフレットの作成・配布、シンポジウム・懇談会の開催など、金融経済教育について種々の取組みを行ってきたところでありますが、今回のアンケート結果も参考に、今後、初等中等教育段階における金融経済教育の推進に引き続き積極的に取り組んで参ります。


 初等中等教育段階における金融経済教育に関するアンケートの公表について、詳しくは金融庁ホームページの「報道発表など」から、「初等中等教育段階における金融経済教育に関するアンケートの公表について」(平成16年8月31日)にアクセスしてください。

オーストラリア証券投資委員会との証券分野の情報交換取極の署名について

 五味長官は、9月3日にオーストラリアのシドニーを訪問し、オーストラリア証券投資委員会(ASIC)のルーシー委員長とともに、金融庁とASICとの間における証券分野の情報交換の枠組みを設ける文書(証券分野の情報交換取極)に署名しました。

五味長官(左)とルーシー委員長 証券取引がグローバル化する中で、各国の証券市場を適切に監督・監視するために、各国の証券規制当局がクロスボーダーの不正取引活動等に関する情報を共有することが重要になってきています。
 このような観点から、金融庁は、これまで、中国の証券監督管理委員会(CSRC)(平成9年3月)、シンガポールの通貨監督庁(MAS)(平成13年12月)、米国の証券取引委員会(SEC)及び商品先物取引委員会(CFTC)(平成14年5月)との間で、証券分野の情報交換の枠組みを設けてきました。


 今回のASICとの間の合意は、4か国目の情報交換枠組みになり、昨年7月の日豪首脳会談の際に両首脳間で署名された合意文書を具体化するものの1つです。同国の証券市場はアジア・太平洋地域有数の市場規模を誇るほか、金融庁とASICは、IOSCO(証券監督者国際機構)等の国際的な場において密接な協力関係にあります。

 今回の情報交換枠組みの構築によって、インサイダー取引や株価操縦のような不正取引活動等を監視するため、市場における取引に関する情報、特定の取引注文を出した者の属性に関する情報や証券会社に関する情報等を、必要に応じて相互に提供することとなり、両国の証券市場の公正性・透明性の確保に寄与することになります。

 金融庁としては、今後とも、主要な証券市場を有する国・地域との間で、こうした情報交換のネットワークを構築するよう、努力する考えです。

子ども霞が関見学デーについて

 去る8月25日と26日の2日間、金融庁において「子ども霞が関見学デー」が開催されました。「子ども霞が関見学デー」とは、夏休み中の小・中学生の子どもたちに広く社会を知る体験活動の機会として、中央省庁等が業務説明や職場見学などを通じて、中央省庁等が行っている仕事に対する理解を深めてもらうことを目的に、文部科学省が主催しているものです。金融庁としても、この機会にあわせて暮らしの中の金融の動きや金融庁の仕事について理解を深めてもらうことを目的とし、参加・協力をしました。
 見学デー当日(25日、26日)は、参加者募集の抽選に当選した37名の小中学生及び保護者が来庁し、広報室長から金融庁の業務について説明を受け、その後、竹中大臣、伊藤副大臣と大臣室、副大臣室において懇談し、それぞれ記念撮影を行いました(伊藤副大臣は26日のみ)。懇談では、子どもたちから、大臣・副大臣の生活についての質問や大人顔負けの経済問題に関する質問など多岐に渡る質問が出ました。そのほか、子どもたちは庁内の見学を行い、記者会見室において会見者(金融担当大臣)になったつもりで会見席に座り、記念撮影を行いました。
 見学デー終了後に行ったアンケートにおいては、「大臣、副大臣に会うことができてよかった」「金融庁の仕事に興味を持つことができた」「また見学したい」などの感想が寄せられました。
 また、子ども霞が関見学デーでは、参加省庁においてスタンプラリーを実施しており、金融庁においても、合同庁舎四号館正面ロビーにスタンプを設置しました。見学デーの当日は、小中学生が四号館を訪れて、この日のために用意された「霞が関子ども旅券」に金融庁のスタンプを押していきました。
 今回金融庁は、初めて「子ども霞が関見学デー」に参加しましたが、参加者募集の応募の段階で当日参加者の倍以上の応募があるなど金融庁に対する関心の高さがうかがえました。来年は、今年以上に子どもたちに金融の動きや金融庁の仕事について興味を持ち、理解を深めてもらえるよう、より良いものにしていきたいと考えています。

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