【金融ここが聞きたい!】


 このコーナーは、記者会見における質疑・応答(Q&A)などの中から、金融を巡る時々の旬な情報をセレクトしてお届けするものです。もっと沢山ご覧になりたい方は、是非、金融庁ホームページの「記者会見概要」のコーナーにアクセスしてください。
 
Q:郵政民営化の移行期間中に、貯金と保険を完全に民有民営にすると(基本方針)に書いてあるのですが、これは持株会社から完全に100%株式売却すると捉えてよいのでしょうか。


:基本的な考え方は、リスク遮断をするために民有民営を実現する必要がある。そのリスク遮断を我々がするためには、基本的には株を全株、政府が持たないようにするというのが基本であろうかと思います。
 ただし、リスク遮断についての考え方は、これは非常に柔軟に変わっておりますし、以前考えられなかったような事業会社が銀行を持つというような形態も国内でも生じております。したがって、そういう意味からの実態的な意味での概念というのは変わるわけでありましょうから、それについては世界の金融情勢等々についてしっかりとフォローアップして判断していくと、そのように基本方針に書いた通りであります。

 

Q:リスク遮断をして各会社に分かれた場合は、それを監督する法律というのは、それぞれ銀行法や保険業法であると考えてよいのですか。


:これからその法律の枠組みについてしっかりと詰めていくわけですが、基本的な考え方は、基本方針にまさに書いてある通り、民間と同じ法律的な枠組みの中で業務を行っていくわけですから、その中で位置付けていく必要があり、これは当然そういうことになると思います。
 したがって、銀行法の適用は受けなければいけないでしょうし、保険業法の適用は受けなければいけないでしょうし、証券取引法の適用も受けなければいけないでしょうし、独禁法の適用も受けなければいけないでしょう。そういう法律の枠組みをしっかりと守っていくという制度を作っていくということです。

平成16年9月14日(火) 竹中大臣記者会見抜粋)

 


【金融便利帳】


 このコーナーは、とかく専門的でわかりにくい金融に関する用語や様々な疑問について、わかりやすく解説するものです。
 今月のキーワードは「金融検査」です。


 金融庁は、我が国の金融の機能の安定を確保し、預金者、保険契約者、(有価証券の)投資者等の保護を図るとともに、金融の円滑を図ることを任務としています。そのため(の手段の一つとして、)銀行法等に基づき、金融機関に対する検査を実施しています。金融検査は、「人間ドック」で健康状態のチェックを行うのと同じように、金融機関の財務の健全性や業務の適切性をチェックするものです。以下、銀行に対する金融検査についてどのような種類があるかを中心に説明します。


 通常、検査では、金融庁や財務局の検査官が銀行の本店や支店などに立ち入り、帳簿書類等を調べ、銀行の職員に対し質問することを通じて、大きく2つに大別される項目を確認しています。
 まず一つは、銀行がルールを守っているか、また、そのルールを守るための態勢(法令等遵守態勢)を整備されているかについて確認をします。
 もう一つは、銀行が有する様々なリスクを、適切に管理するための態勢(リスク管理態勢)が整備されているかについて検証するものです。これらの検査における基本的な考え方や具体的着眼点等を整理したものが「金融検査マニュアル」です。
 

(注

)銀行が有する様々なリスクの例としては、銀行などの貸出先の財務状況の悪化により、 金融機関が損失をこうむるリスク(信用リスク)があります。銀行は信用リスクの管理のため・適正な償却・引当を行う準備作業として自己査定を行っています。自己査定とは、財務状況、資金繰り、収益力等により債務者の返済能力を判定し、正常先、要注意先等に区分(債務者区分)し、その債務者区分に対応する回収の危険性または価値の毀損の危険性の度合いに応じて資産を4段階に分類(分類区分)することです。信用リスクに関する検査では、これら自己査定の正確性、償却・引当の基準やその額の適切性を検証しています。

 リスク管理態勢の検査の中では、銀行の特性や経営状況等に応じて、一部のリスクに着目した検査を実施する場合があり、例えば銀行が合併や経営統合する際に電算システムを統合することがありますが、システムが正常に稼動するよう統合作業ができているかを確認するシステム統合リスクターゲット検査などがあります。


 これらのほかに、平成14年10月に公表されました「金融再生プログラム」では主要行の資産査定の厳格化を徹底させるため、特別検査を再実施することとされました。通常検査はある対象決算期の自己査定等の正確性を事後的に検証するのに対し、特別検査では決算準備中の主要行が実施する自己査定期間内に立入りを行い、当局、金融機関及び外部監査人の三者協議により、直近の企業業績や市場の評価等を適時に反映した債務者区分を行い、適時に決算に反映させるために実施するものです。
(詳しくは、金融庁ホームページの「金融早わかりQ&A」から「銀行など預金取扱金融機関に関する質問」Q16にアクセスしてください)


 平成16年3月期を対象とする特別検査において、一部の主要行について、信用リスク管理態勢が不十分と認められたため、信用リスク管理態勢のうち特に大口の貸出(大口与信)の管理態勢の検証に重点をおいた大口与信管理態勢検査を導入しました。銀行にとって、大口の貸出先は、大きな収益を生むのと同時に、貸出先である大口先の経営如何では、銀行経営に大きな影響があることを鑑みれば、銀行には適切な大口与信管理態勢が求められます。このため、この検査においては、銀行による大口与信先の実態把握の状況、再建計画の策定・見直しへの銀行の関与の状況等に着眼して、大口与信管理態勢の観点から適切な対応が行われているか否かの検証を行います。なお、この検査は、特定の大口債務者そのものの処理や再建の在り方を直接方向づけるといった性格ではありません。


 また、組織体制の整備の面からは、主要行を中心とする近年の金融機関のグループ化の流れを受け、主要行グループを一体的に捉えた専門性の高い検査を継続的かつ専担的に実施するため、「通年・専担検査体制」制度を平成14年7月から導入しています。「通年・専担検査体制」とは、金融庁検査局内の主要行検査部門を5つの主要行グループ別に編成し、各部門が専担的に、1年を通じて同一グループ内の金融機関を順次検査を行う仕組みです。


 当庁では検査が効率的かつ実効性の高いものとなるよう努めております。その中で一般の方から寄せられる情報は、特に利用者保護、利用者利便の向上の観点から検証する際に実際に金融機関を利用される方の生の声として有益な情報となります。当庁では、ホームページに「検査情報受付窓口」を設置し、広く一般から検査中の金融機関に関する情報をEメール、ファックス及び郵送で受け付けております。効率的かつ実効性の高い検査の実現のため、是非情報をお寄せください。


 平成15事務年度(平成15年7月〜平成16年6月)の検査実施状況について、詳しくは、金融庁ホームページの「報道発表など」から「「金融庁の1年(平成15事務年度版)」(平成16年9月16日)にアクセスしてください。


【お知らせ】

○ 「金融監督庁からの緊急通達」、「特別助成金管理組合からの緊急通達」と題するダイレクトメールについて

 8月中旬、「金融監督庁からの緊急通達」というダイレクトメールが送られてきているとの問い合わせがあり、「クリエイティブサポート(株)」という業者から送られていることが判明しました。また、9月中旬には「非営利活動法人 助成金管理組合」と名のる業者が「特別助成金管理組合からの緊急通達」と題するダイレクトメールを発送していることが判明しました。このため、下記のような注意喚起文を当庁ホームページに掲載するとともに、プレスリリースを行いました。

(1)

 「金融監督庁からの緊急通達」に対する注意喚起文書

 「クリエイティブサポート(株)」という業者が「金融監督庁からの緊急通達」と題するダイレクトメールを発送しているようですが、現在金融監督庁は存在せず、また、クリエイティブサポート(株)の言及するような緊急通達を発出した事実はありません。
 上記ダイレクトメールでは、クリエイティブサポート(株)が「政府認定金融機関」を名乗り、低金利での借り換えの勧誘を行っているようです。
 クリエイティブサポート(株)については貸金業登録はなく、当庁が所管する社・団体ではありませんので、このようなダイレクトメールが届きましたら、借入れはなさらぬようくれぐれもご注意ください。
 なお、この業者に関する情報は捜査当局に提供しています。

(2)

 「特別助成金管理組合からの緊急通達」に対する注意喚起文書

 「非営利活動法人 助成金管理組合」と名のる業者が「特別助成金管理組合からの緊急通達」と題するダイレクトメールを発送しております。
 その中で「金融庁では、政府認定機関、当組合(特別助成金管理組合)への低金利の切替が強く推奨されています。」「現在、金融庁では個人の破産や不良債権の増加を未然に防ぐために個人信用情報機関(CIC)データを基に当組合がこのダイレクトメールを配送しています。」との記載がありますが、そのような事実はありません。
 「非営利活動法人 助成金管理組合」については貸金業登録はなく、当庁が所管する社・団体ではありません。
 また、上記ダイレクトメールでは、低金利での借り換えの勧誘を行ったり、保証金の振り込みを促しているようですが、借入れや保証金の振り込みを行わないようくれぐれもご注意ください。
 なお、この業者に関する情報は捜査当局に提供しています。

 上記のように、実在若しくは類似の会社名等(団体名・行政機関名等)を装ったり、無登録でありながら架空の登録番号や別の貸金業者の登録番号を詐称する違法な業者が、貸付けに関する広告勧誘や違法な債権回収等を行っている場合があります。こうした業者や登録の確認できない業者からの借入れ等はなさらぬようくれぐれもご注意ください。
   
 金融庁ホームページにおいて、全国の財務局・都道府県(京都府を除く)に登録されている貸金業者の登録内容を検索することができます。
 URLは次のとおりです。
 登録貸金業者情報検索サービスhttp://clearing.fsa.go.jp/kashikin/index.php
 携帯電話用
 ・iモード  http://clearing.fsa.go.jp/kashikin/i/
 ・Vodafone  http://clearing.fsa.go.jp/kashikin/v/
 ・EZweb    http://clearing.fsa.go.jp/kashikin/ez/
 また、財務局登録番号を詐称しているような悪質な無登録業者に関する情報について、詳しくは、金融庁ホームページの「違法な金融業者に関するご注意」からPDF「違法な金融業者に関する情報について」にアクセスしてください。



〇 大臣・副大臣への質問募集中

 本号では休載させていただきましたが、アクセスFSAでは、読者の皆様から寄せられた金融を巡る大臣や副大臣へのご質問に、大臣・副大臣が直接お答えする【大臣に質問!】【副大臣に質問!】のコーナーを設けております。「金融庁のやっている金融行政って、よくわからないんだけれど、大臣・副大臣にこんなことを、是非、直接聞いてみたい!」というご質問がございましたら、金融庁ホームページの「ご意見箱」にお寄せください。その際、ご意見箱の件名の欄には、必ず「大臣に質問」あるいは「副大臣に質問」とご記入ください。また、本文の欄にご質問の内容をご記入下さい。ご意見箱のコーナーには、「45行以内」とありますが、「大臣に質問」、「副大臣に質問」の場合には、ご質問の趣旨を明確にさせていただくために、恐縮ですが100字以内に収めていただきますようお願いいたします。お寄せいただきましたご質問の中から1問選定させていただき、「アクセスFSA」において大臣又は副大臣の回答を掲載させていただきます。大臣・副大臣へのご質問がございます方は、「ご意見箱」へどうぞ。また、「大臣・副大臣への質問募集中」にもアクセスしてみてください。


〇 新着情報メール配信サービスへのご登録のご案内

 金融庁ホームページでは、新着情報メール配信サービスを行っております。皆様のメールアドレス等を予めご登録いただきますと、毎月発行される「アクセスFSA」や日々発表される各種報道発表など、新着情報を1日1回、電子メールでご案内いたします。ご登録をご希望の方は、「新着情報メール配信サービス」へどうぞ。



【8月の主な報道発表等】
 
2日(月) 保険の基本問題に関するワーキング・グループのメンバー変更
 
3日(火) 金融審議会金融分科会特別部会の開催
 
4日(水) 預金口座の不正利用に係る情報提供件数等の公表
 
6日(金) 事務ガイドライン(第三分冊:金融会社関係)の一部改正
株式会社愛媛銀行に対する行政処分
金融機能強化審査会の委員の任命について
 
10日(火) 変額年金保険等の最低保証リスクに係る責任準備金の積立等に関する内閣府令等(案)の概要(パブリック・コメント)
金融税制スタディグループ議論経過メモの公表
 
13日(金) 三井アセット信託銀行株式会社、三菱信託銀行株式会社及びりそな信託銀行株式会社に対する投資一任契約に係る業務の認可
株式会社西日本銀行及び株式会社長崎銀行に対する行政処分
 
17日(火) 「金融監督庁からの緊急通達」と題するダイレクトメールに関する注意喚起
 
20日(金) 日動火災海上保険株式会社に対する行政処分
 
25日(水)   子ども霞が関見学デー(1日目)
 
26日(木) 平成17年度 税制改正要望
平成17年度 機構・定員及び予算要求
公認会計士・監査法人に対する懲戒処分等の考え方(案)の公表(パブリック・コメント)
  子ども霞が関見学デー(2日目)
 
27日(金) 株式会社ほくぎんフィナンシャルグループの株式会社北海道銀行の子会社化の認可
株式会社もみじホールディングスの経営健全化計画の見直し
 
31日(火) 初等中等教育段階における金融経済教育に関するアンケート結果の公表
株式会社整理回収機構に対する行政処分
株式会社熊本ファミリー銀行及び株式会社九州親和ホールディングスの経営健全化計画の見直し
   
マークのある項目につきましては、から公表された内容にアクセスできます。