【金融ここが聞きたい!】


 このコーナーは、記者会見における質疑・応答(Q&A)などの中から、金融を巡る時々の旬な情報をセレクトしてお届けするものです。もっと沢山ご覧になりたい方は、是非、金融庁ホームページの「記者会見概要」のコーナーにアクセスしてください。
 
Q:昨日、地域金融機関の統合構想が二つ相次いで明らかになりまして、金融機能強化法による公的資金の注入も考えているとの報道がなされました。地域金融機関がペイオフ解禁拡大に向けて財務基盤を強化する上で、統合や公的資金の活用を検討することについて大臣の考えをお聞かせください。


:合併等について様々な報道がなされていることは承知いたしておりますけれども、個別の問題についてはコメントを差し控えさせていただきたいと思います。一般的な考え方についてお話をさせていただければ、合併等の組織再編というものは一般的には、規模の経済でありますとか、或いは範囲の経済というものが働いて経営の効率性というものを向上させていく、そのことに対する効果があると考えられています。そして、合併そのものが、ある意味これは相当な努力を要するものでありますし、また前向きな改革として捉えることもできるのではないかと思います。
 こうした合併の特徴を踏まえれば、ある意味では中長期的に安定して金融機能を発揮していく観点からは合併等の組織再編は有力な選択肢になり得るのではないかと考えます。
 いずれにいたしましても地域において利用者の方々や地域の信頼、或いは評価というものを得られるような経営改革の努力を進めていくことは非常に大切なことでありますから、是非リレーションシップバンキングの機能強化に向けての改革の努力というものを更に続けていただいて、そして様々な成果がなされることを期待いたしているところであります。
平成16年11月19日(金) 閣議後会見 抜粋)

 
Q:大手行の決算が一通り終了しましたが、それについての所感をお願いします。


:主要行の中間決算については、不良債権比率が4.7%、今年の3月期に比べて0.5%ポイント低下をしております。私共が不良債権比率を2年半で概ね半減すると、「金融再生プログラム」で掲げた目標に向かって順調に進捗していると思っております。しかしこの中間期というのは、来年17年3月期に向けての通過点でありますから、不良債権問題の再発を防止しながら来年の3月期に間違いなく確実に目標を達成できるように改革の手綱を緩めることなく取り組んでいかなければいけないと思っております。
 特に、金融と産業の一体的再生という観点から見ますと、今回の特別検査において企業再生については、その進捗がされているものと中々企業業績が回復しないものと、二極化の傾向が現れているわけであります。そうした意味からも金融と産業の一体的再生に向けての総仕上げをしっかりやっていく必要があると思っております。
平成16年11月26日(金) 閣議後会見 抜粋)
 
 大手行の中間決算について、詳しくは、本号の「主要行の平成16年度中間決算について」や金融庁ホームページの「報道発表など」から「主要行の平成16年度中間決算《速報ベース》」(平成16年11月25日)にアクセスしてください。

 

Q:金融庁として今まさに「貯蓄から投資へ」という大きなテーマに取り組もうとしている中で、今回のジャスダックの取引所化について所見をお願いします。


:やはり取引所それぞれが良い意味で競争しながら市場としての魅力というものを発揮していくことが、投資家にとっても、非常に新たな選択肢が広がっていくことにもつながっていくわけでありますので、とても大切なことではないかと思っております。市場が活性化をすることによって、そのエネルギーが日本経済全体に対しても良い影響を与えると思いますので、それぞれの市場の魅力というものを十分に発揮していくためには、やはり信頼が非常に重要ですので、投資家からの信頼というものを確保しながら、それぞれの市場の機能を遺憾なく発揮をしていただきたいと思います。
平成16年12月3日(金) 閣議後会見 抜粋)

 
Q:新BIS基準の国内告示案に対するパブリック・コメントの受付が終了して数多くの意見が寄せられたと聞いていますが、今後内容の公表時期等、どのように対応されますか。また、地域金融機関にとって新BISの国内告示案は結構厳しいルールだという声もあるのですけれども、その辺について大臣はどのようにお考えでしょうか。


:今御指摘がありましたようにパブリック・コメントは11月30日に終了させていただいて、各方面から色々多くの御意見をいただいたところであります。私共としては、今その御意見を精査しているところであります。今後のスケジュールですが、こうした意見を踏まえて見直し後の規制案を今後公表し、来年の夏頃には告示の改正ということを目指して、着実に作業を進めていきたいと考えているところであります。
 また、地域金融機関についても、今回の新しいBIS規制の最終案は、世界的に見ても全体として自己資本の負担水準というものを重くも軽くもしないというものであります。その中で中小企業、或いは個人向けの貸出しの自己資本負担が軽減されているという内容になっております。そういう意味からしますと中小、或いは地域の金融機関はこの分野に注力をする形でビジネスモデルを展開されているわけでありますから、日本の地域金融機関のビジネスモデルの対応に適っているものだと考えております。
平成16年12月10日(金) 閣議後会見 抜粋)
 
 新BIS基準の国内告示案について、詳しくは金融庁ホームページの「報道発表など」から「新しい自己資本比率規制の素案に対する意見募集の実施について」(平成16年10月28日)にアクセスしてください。


【金融便利帳】


 このコーナーは、とかく専門的でわかりにくい金融に関する用語や様々な疑問について、わかりやすく解説するものです。
 今月のキーワードは「証券仲介業」です。

「証券仲介業」とは・・・

 証券仲介業とは、証券会社等(証券会社又は登録金融機関)の委託を受けて、その証券会社等のために、以下の行為を業として行うもので、内閣総理大臣の登録を受けて営むことができることとされています。
 (1) 有価証券の売買等の媒介
 (2) 有価証券の募集若しくは売出しの取扱い
 この証券仲介業については、銀行等の金融機関以外の一般事業会社は今年4月から、銀行等の金融機関については今年12月から行うことができるようになりました。

 証券市場の構造改革の一環として、市場仲介者が投資家にとってアクセスが容易であり、かつ、質の高い多様な金融サービスの提供が行われるようにすることが必要であると考えられていましたが、証券会社の店舗網には限界があります。そのため、他人の間に立って両者を当事者とする法律行為の成立に尽力する事実行為にすぎない媒介や有価証券への投資を勧誘する募集の取扱いなどの法的主体とならない事実行為に業務範囲を限定した上で、証券会社よりも容易に参入が可能である証券仲介業制度を創設しました。これにより、証券会社等が証券仲介業者に対し証券取引等の勧誘について委託を行うことが可能となり、証券会社等の販売チャネルが拡充され、投資家の証券会社等へのアクセスが容易となり、証券市場の発展に寄与すると考えられます。

 証券仲介業者の業務内容は、取引の勧誘等の事実行為に限定され、所属証券会社等の代理権は有しません。また、顧客から金銭や有価証券の預託を受け入れることも禁止されるとともに、顧客口座は証券会社等が保有・管理することとなります。なお、銀行等の登録金融機関については、その業務において保護預りを既に営んでいることから、証券仲介業務について預託を受け入れることは可能です。

 証券仲介業制度の導入に伴い、様々な業態から証券仲介業への参入が見込まれ、今後、多様な形態の証券仲介業者が投資家の皆様の証券取引に関与することとなると考えられます。
 金融機関以外の一般事業会社が証券仲介業を行うには、法令に基づき登録を受けることが必要となっており、証券仲介業者には、その営業所等に登録番号などを記載した決められた標識を掲示することが求められているほか、取引の際に所属証券会社等の商号などを明示することが義務付けられています。
 しかしながら、例えば、登録を受けていない業者が証券仲介業者の名を偽って、株式取引の勧誘を行うことも想定されますので、投資家の皆様が、証券仲介業者を通じ有価証券の取引を行われる際には、その仲介業者が法令に基づく登録を受けた業者であるかどうか確認されることが大切です。
 登録を受けている証券仲介業者については、登録を行った財務局において商号、役員の氏名、営業所の所在地、及び所属証券会社の名称等を記載した「証券仲介業者登録簿」の縦覧ができるほか、当庁のホームページにおいても、証券仲介業者の一覧を掲載していますので参考にしてください。
 (注 )金融機関が証券仲介業務を取り扱う場合には、証券取引法における「登録金融機関」となっていることが必要です。


 証券仲介業制度について、詳しくは、金融庁ホームページの「証券仲介業制度がスタート!」にアクセスしてください。
 また、証券仲介業者の一覧については、同じく金融庁ホームページの「証券仲介業制度がスタート!」から「2.投資家の皆様へ」内のPDF「証券仲介業者の一覧」をアクセスしてください。


【お知らせ】


〇 大臣・副大臣・政務官への質問募集中

 本号では休載させていただきましたが、アクセスFSAでは、読者の皆様から寄せられた金融を巡る大臣・副大臣・政務官へのご質問に、大臣・副大臣・政務官が直接お答えする【大臣に質問!】【副大臣に質問!】【政務官に質問!】のコーナーを設けております。「金融庁のやっている金融行政って、よくわからないんだけれど、大臣・副大臣・政務官にこんなことを、是非、直接聞いてみたい!」というご質問がございましたら、金融庁ホームページの「ご意見箱」にお寄せください。その際、ご意見箱の件名の欄には、必ず「大臣に質問」「副大臣に質問」「政務官に質問」とご記入ください。また、本文の欄にご質問の内容をご記入下さい。ご意見箱のコーナーには、「45行以内」とありますが、「大臣に質問」、「副大臣に質問」、「政務官に質問」の場合には、ご質問の趣旨を明確にさせていただくために、恐縮ですが100字以内に収めていただきますようお願いいたします。お寄せいただきましたご質問の中から1問選定させていただき、「アクセスFSA」において大臣・副大臣・政務官の回答を掲載させていただきます。大臣・副大臣・政務官へのご質問がございます方は、「ご意見箱」へどうぞ。また、「大臣・副大臣・政務官への質問募集中」にもアクセスしてみてください。


〇 新着情報メール配信サービスへのご登録のご案内


 金融庁ホームページでは、新着情報メール配信サービスを行っております。皆様のメールアドレス等を予めご登録いただきますと、毎月発行される「アクセスFSA」や日々発表される各種報道発表など、新着情報を1日1回、電子メールでご案内いたします。ご登録をご希望の方は、「新着情報メール配信サービス」へどうぞ。


【11月の主な報道発表等】
 
4日(木) 阪急リート投信株式会社に対し投資信託委託業者の認可
 
5日(金) 「資金洗浄対策の観点から監視を強化すべき取引の該当国の解除について」を発出
  国際投信投資顧問株式会社に対する行政処分
  「前払式証票の規制等に関する法律施行規則等の一部を改正する内閣府令(案)に対するパブリック・コメントの結果
 
8日(月) 監督局に「コングロマリット室」及び「国際監督室」を設置
 
10日(水) 「金融審議会金融分科会第二部会『無認可共済』への対応に係る論点整理」に対するパブリック・コメントの結果
    金融審議会金融分科会第二部会開催
 
11日(木) 証券取引法等の一部を改正する法律の一部施行に伴う関係政令の整備等に関する政令(案)、金融機関の証券業務に関する内閣府令等の一部を改正する内閣府令(案)、投資者保護基金に関する命令の一部を改正する命令(案)、労働金庫法施行規則の一部を改正する命令(案)、農業協同組合及び農業協同組合連合会の信用事業に関する命令等の一部を改正する命令(案)および事務ガイドライン(案)に対するパブリック・コメントの結果
  日EU財務金融ハイレベル協議について
 
12日(金) 特別検査の結果の公表
  証券取引法等の一部を改正する法律の一部施行に伴う関係政令の整備等に関する政令(案)に対するパブリック・コメントの結果
  四国労働金庫に対する行政処分
 
16日(火) 「ディスクロージャー制度の信頼性確保に向けた対応について」を公表
 
18日(木) CESR(欧州証券規制当局委員会)の公聴会への参加について(我が国会計基準の国際会計基準(IAS)との同等性問題への対応)
  りそなホールディングス・りそな銀行の経営健全化計画の見直し
 
19日(金) 株式会社静岡中央銀行に対する行政処分
  「金融分野における個人情報保護に関するガイドラインの安全管理措置等についての実務指針(案)」の公表(パブリック・コメント)
  「ポケットバンク債権委員会からの緊急のお知らせ」と題するダイレクトメールを受け取った方への注意喚起
  「フロッピーディスク所在不明事案への対応策等について」を公表
    金融審議会金融分科会第一部会開催
    金融審議会金融分科会特別部会開催
 
22日(月) 決済用預金の導入に向けた金融機関(業態別)の準備等の状況の公表
 
24日(水) 企業内容等の開示に関する内閣府令等の一部を改正する内閣府令(案)に対するパブリック・コメントの結果
    金融審議会金融分科会第二部会開催
 
25日(木) 主要行の平成16年度中間決算について《速報ベース》
  「金融重点強化プログラム」(仮称)策定に向けての中間論点整理の公表
 
26日(金) 事務ガイドライン(「証券会社、投資信託委託業者及び投資法人等並びに証券投資顧問業者等の監督等にあたっての留意事項について」)の一部改正
  ほくほくフィナンシャルグループの経営健全化計画の見直し
 
29日(月) 企業会計審議会の「財務情報等に係る保証業務の概念的枠組みに関する意見書」の公表
    企業会計審議会開催
 
30日(火) 決済用預金の導入に向けた金融機関(業態別)の準備等の状況の公表(平成16年11月現在)
  中央証券株式会社に対する行政処分
   
マークのある項目につきましては、から公表された内容にアクセスできます。