【金融ここが聞きたい!】


 このコーナーは、記者会見における質疑・応答(Q&A)などの中から、金融を巡る時々の旬な情報をセレクトしてお届けするものです。もっと沢山ご覧になりたい方は、是非、金融庁ホームページの「記者会見概要」のコーナーにアクセスしてください。
 
Q:今回出された金融改革プログラムについて、教えてください。


:新しいプログラムを取りまとめましたので報告させていただきます。金融再生から新たなステージに立って利用者重視の金融改革を進めていくために、「金融改革プログラム〜金融サービス立国への挑戦〜」として、その構想及び行政の新指針を取りまとめました。
 本プログラムの策定に当たりまして、その基本的な考え方ですが、第一に、我が国の金融システムを巡る局面が金融再生プログラムの実施により、不良債権問題への緊急対応から未来志向への局面に転換しつつある。そうした中において金融システムの安定から活力を重視した金融行政へ転換していくべきもの。
 第二に、金融のIT化が進むとともに、経済社会全体においてもインターネット取引の比重が高まり、また今後の少子高齢化、或いは経済のグローバル化の更なる進展に的確に対応し、我が国経済の持続的成長に資するためにも構造改革の一環として金融改革の具体的プログラムを実施していく必要があること。
 第三に、将来の望ましい金融システムのあり方として、利便性、価格優位性、多様性、国際性、信頼性に優れ、利用者が手軽に分かりやすく、自分の望む金融商品・サービスを安心して受けられるような、利用者の満足度が国際的にも最高水準の金融システムを構築していくこと。
 第四に、そのためにもITの戦略的活用により、販売チャネルの多様化やアクセスポイントの拡大に伴う利便性の向上、事務コストの低減等を通じた金融機関の収益性の向上等が進展をし、そして行政においても電子政府を推進し、利便性の向上と効率化において先進的な役割を果たしていくこと。
 第五に、利用者の満足度が高く、国際的にも高い評価が得られるような金融システムを官の主導ではなく、民の力によって実現するよう目指すこと。
 最後に、こうした改革を通じて国民の資産運用手段が多様化・効率化し、貯蓄から投資への流れが加速されることが期待され、マネーフローの構造改革が進展し、経済活性化に資するものとなると考えられること。
 以上のような基本認識の下、本プログラムの中では五つの視点から今後進めるべき改革の内容を整理しました。第一に、民の活力を引き出し、利用者利便性を向上させるための制度設計と利用者保護ルールの整備徹底。
 第二に、ITの戦略的活用等による金融機関の競争力の強化及び金融市場インフラの整備という視点。
 第三に、国際的に開かれた金融システムの構築と金融行政の国際化。
 第四に、活力ある地域社会の実現に寄与する金融システムの構築。
 第五に、市場規律を補完する信頼される金融行政の確立といった視点。
 また、こうした施策を推進していくに当たっては、今後における金融行政当局の基本的な姿勢を明確にしておかなければならないわけですが、その基本的な姿勢としては、
 第一に、金融行政は市場規律を補完する審判の役割に徹する。すなわち役所は民間の自由な経済活動をできる限り阻害しないことを基本としつつ、利用者が困った時にはしっかり対応すること。
 第二に、そのため現行規制を総点検し、不要な規制を撤廃するとともに、金融行政の行動規範を確立すること。
 第三に、その一方で利用者が不測の損害を被る事がないように、必要な利用者保護ルールの整備と徹底を図ること。こうしたことが求められていると考えているところです。
 そして本構想を実現するために、ロードマップとしての工程表を今年度中に取りまとめて公表したいと考えております。また、こうした改革を実現していくために、具体的な施策については与党と緊密な連絡を取りながら、共に金融改革を推進していきたいと思っております。
平成16年12月24日(金) 金融改革プログラム発表記者会見 抜粋)

 
Q:「金融サービス立国」というのは、何ですか。


:これは、利用者重視の視点から金融改革を行っていきたい。量的にみますと、個人あたりの金融資産は、世界的にも最高水準にあると思います。しかし質的な面から見ると、経済大国に相応しい金融商品や金融サービスが提供されているか、ここに大きな課題があります。従って私共として、経済大国に相応しい金融システムを構築していくために、利便性ですとか、価格優位性ですとか、多様性ですとか、国際性、信頼性に優れた金融システムというものを作りあげていきたい。そのことを「金融サービス立国への挑戦」という言葉にあえて表現して、このプログラムを取りまとめたということであります。利用者重視の視点を明確にしたということです。
平成16年12月24日(金) 金融改革プログラム発表記者会見 抜粋)
 
 金融改革プログラムについて、詳しくは、本号からの特集「金融改革プログラム ― 金融サービス立国への挑戦 ―」や金融庁ホームページの「報道発表など」から「「金融改革プログラム −金融サービス立国への挑戦−」の公表について」(平成16年12月24日)にアクセスしてください。

 

Q:英仏を訪問されたことについて、現地の当局者の方々と具体的にどのようなやり取りをされたのかご紹介をいただきたいのと、出張からお帰りになってご感想を総括してお伺いできますか。


:英仏の金融当局者の方々とそれぞれの金融セクターの現在の動向、或いは金融行政の取組み、経済状況について意見交換をさせていただきました。トップ同士で信頼関係を構築することができたのは、今後それぞれの当局との協力関係を深めていくに当たって大変意義深いものがあったと私自身考えております。イギリスにおいては、金融監督者同士の定期協議が行われているわけでありまして、今年もロンドンで開催が予定をされております。

 またフランスのノワイエ・フランス銀行総裁と会談をさせていただいて、総裁からは日本の当局との関係をより緊密にしていきたいというお話がありました。今後、具体的にどのような形でこの協力関係を発展させていくか、お互いの国の金融サービスの発展のために、より緊密した連携を図っていきたいと考えております。また国際的なルール作りに貢献していくために日仏の協力関係を強化していくことも非常に重要だと考えておりますので、事務方で協力関係の一層の推進のために協議を続けていきたいと思っております。
平成17年1月11日(火) 閣議後会見 抜粋)
 
 伊藤大臣の英仏出張について、本号の「トピックス」の「伊藤大臣の訪中及び訪欧について」にもアクセスしてみてください。

 

Q:偽造キャッシュカードについての対策を金融機関に求めていくという金融庁の方針についての報道が相次いでなされたのですが、この内容について大臣の方からご説明いただけますか。


:現在、偽造キャッシュカードによる不公正な行為については、私共として実態調査を行っております。この実態調査の結果を踏まえて、より実効性のある犯罪防止策を速やかに検討するよう、2月中を目途に金融機関に対して要請したいと考えております。
 諸外国において利用者の負担を制限する対応がされている例があることは承知しておりますが、諸外国では必ずしも法律で手当てされているわけではなく、銀行業界の自主規制ルール等で対応している例もあると承知をしています。
 金融庁としては、我が国における最近の犯罪技術の巧妙化等の実態に的確に対応しつつ、利用者保護の実効性を確保するために現状の対応で良いか、或いは見直しをする必要がないか、真剣に検討したいと思っております。

平成17年1月11日(火) 閣議後会見 抜粋)
 


【金融便利帳】


 このコーナーは、とかく専門的でわかりにくい金融に関する用語や様々な疑問について、わかりやすく解説するものです。
 今月のキーワードは「外国為替証拠金取引」です。

 「外国為替証拠金取引」とは・・・

 外国為替証拠金取引とは、投資家が約定元本の一定率(5%〜10%程度)の証拠金(保証金)を業者に預託し、差金決済による外国為替の売買を行う取引です。

【取引による損益発生の仕組み】
1ドル=100円の時に、証拠金率10%で10万ドル(証拠金:100万円)に投資した場合。
・1ドル=105円になると、50万円の利益が生じる
・1ドル= 95円になると、50万円の損失が生じる
 ⇒ 原資に対して50%の損益が発生(スワップポイントや手数料等は考慮していません。)


 この取引は、少額な資金で多額の取引が可能であるため、取引中に計算上のマイナスが生じ、必要証拠金の一定割合を割り込んだ場合における追証(追加証拠金)の発生や相場急落、急騰などの一方向に傾いた場合における投資家の損失を抑えるための自動ロスカット(損失の確定)など、取扱い業者によって扱いはまちまちであるものの、理論的には、証拠金(保証金)の全損、更にはそれを超える損失を被る可能性もある非常にハイリスクな商品と言えます。

 平成10年に外国為替取引業務が完全自由化されて以降、外国為替証拠金取引を取扱う業者は増加の一途を辿っており、民間のシンクタンクの調査によれば、証券会社や商品先物会社等を含む業者数は約150社と言われ、市場規模は預り証拠金残高が2,000億円、口座数が9万口座と推計されています。
 しかしながら、なかには、電話・訪問による執拗な勧誘、説明不足、出金遅延などによるトラブルが急増しているほか、詐欺事件や業者の破綻による被害が発生するなど、投資家の被害の拡大を防止する観点から、外国為替証拠金取引やこれに類似する取引を取扱う業者を「金融先物取引業者」の定義に含め規制対象とするとともに、取引を行う顧客を保護するために必要な規制の整備を行うことを目的として、今般、「金融先物取引法の一部を改正する法律」が提出され、平成16年12月1日に国会で成立し、同年12月8日に公布されました。(平成17年7月1日施行)


 「金融先物取引法の一部を改正する法律」や外国為替証拠金取引に係る注意点等について、詳しくは金融庁ホームページの「いわゆる外国為替証拠金取引について」にアクセスして下さい。また、本号の「法令解説」の「金融先物取引法の一部を改正する法律の概要について」にもアクセスしてみてください。


【お知らせ】

〇 「地域金融機関における地域経済活性化・中小企業再生に向けた取組みに関する意見・要望受付窓口」の設置について(北海道財務局)

 北海道財務局においては、昨年12月24日に、北海道内の住民の皆様や企業の皆様から金融機関への取組みの参考にさせていただくことを目的として、北海道内各金融機関における地域経済の活性化や中小企業の再建に向けた取組みについての御意見等を受け付ける窓口を設置いたしました。御意見につきましては、電子メール、ファックス、郵送で受け付けております。

 詳しくは、金融庁ホームページの政策ピックアップのコーナー「中小企業金融特集(リレーションシップバンキング等)」から「地域金融機関の取組みホットライン〔地域経済活性化等〕」(北海道財務局のホームページにリンク)にアクセスしていただくか、北海道財務局ホームページの「地域金融機関の取組みホットライン〔地域経済活性化等〕」へアクセスしてください。
 http://hokkaido.mof.go.jp/kinyu/tyuusyou_kinyu/madoguti/index.html


〇 大臣・副大臣・政務官への質問募集中

 本号では休載させていただきましたが、アクセスFSAでは、読者の皆様から寄せられた金融を巡る大臣・副大臣・政務官へのご質問に、大臣・副大臣・政務官が直接お答えする【大臣に質問!】【副大臣に質問!】【政務官に質問!】のコーナーを設けております。「金融庁のやっている金融行政って、よくわからないんだけれど、大臣・副大臣・政務官にこんなことを、是非、直接聞いてみたい!」というご質問がございましたら、金融庁ホームページの「ご意見箱」にお寄せください。その際、ご意見箱の件名の欄には、必ず「大臣に質問」「副大臣に質問」「政務官に質問」とご記入ください。また、本文の欄にご質問の内容をご記入下さい。ご意見箱のコーナーには、「45行以内」とありますが、「大臣に質問」、「副大臣に質問」、「政務官に質問」の場合には、ご質問の趣旨を明確にさせていただくために、恐縮ですが100字以内に収めていただきますようお願いいたします。お寄せいただきましたご質問の中から1問選定させていただき、「アクセスFSA」において大臣・副大臣・政務官の回答を掲載させていただきます。大臣・副大臣・政務官へのご質問がございます方は、「ご意見箱」へどうぞ。また、「大臣・副大臣・政務官への質問募集中」にもアクセスしてみてください。


〇 新着情報メール配信サービスへのご登録のご案内


 金融庁ホームページでは、新着情報メール配信サービスを行っております。皆様のメールアドレス等を予めご登録いただきますと、毎月発行される「アクセスFSA」や日々発表される各種報道発表など、新着情報を1日1回、電子メールでご案内いたします。ご登録をご希望の方は、「新着情報メール配信サービス」へどうぞ。


【12月の主な報道発表等】
 
1日(水) 足利銀行の経営に関する計画履行状況の公表
  金融審議会金融分科会第一部会開催
 
2日(木) 変額年金保険等の最低保証リスクに係る責任準備金等に関する告示及び事務ガイドライン(案)の公表(パブリック・コメント)
 
3日(金) ジャスダック証券取引所の免許
新光証券株式会社に対する投資一任契約に係る業務を行うことの認可
証券取引法の一部を改正する法律の施行に伴う関係政令の整備等に関する政令(案)、証券取引法第六章の二第二節の規定による審判手続きにおける参考人及び鑑定人の旅費及び手当に関する政令(案)、証券取引所及び証券取引所持株会社に関する内閣府令等の一部を改正する内閣府令(案)、取扱有価証券に関する内閣府令(案)及び証券取引法第七十九条の三又は第百十六条に規定する最終の価格がない場合にこれに相当するものを定める内閣府令(案)の公表(パブリック・コメント)
「信託業法」の施行に伴う政令・府省令の整備の公表(パブリック・コメント)
  中小企業の円滑化に関する意見交換会の開催
 
7日(火) 届出を行うべきタリバーン関係者等のリストの一部改訂の発出
  金融審議会金融分科会特別部会開催
 
9日(木) 信託会社等に関する総合的な監督指針(案)の公表(パブリック・コメント)
 
10日(金) 愛知県中央信用組合に対する行政処分
 
14日(火) 「金融庁の1年(平成15事務年度版)」等の訂正
  金融審議会金融分科会第二部会開催
 
16日(木) 株式会社西日本シティ銀行の合併に伴う「経営健全化のための計画」の変更計画の公表
ブラジル銀行在日支店に対する行政処分
 
17日(金) 株式会社仙台銀行に対する行政処分(東北財務局処分)
監査法人及び公認会計士の懲戒処分等
 
20日(月) アトラディウス・クレジット・インシュアランス・エヌ・ヴィに対する外国損害保険業の免許
ジャパン・シングルレジデンス・アセットマネジメント株式会社及びスターツアセットマネジメント投信株式会社に対する投資信託委託業の認可
  金融審議会金融分科会特別部会開催
 
21日(火) 届出を行うべきタリバーン関係者等のリストの一部改訂の発出
CESR(欧州証券規制当局委員会)の「第3国会計基準の同等性及び第3国の財務情報の執行メカニズムの説明に関する概念ペーパー案」へのパブリック・コメント・レターの発出
 
24日(金) 「金融改革プログラム −金融サービス立国への挑戦−」の公表
高校3年生を対象とした金融取引等の基礎知識に関するパンフレットの公表
平成17年度機構・定員及び予算について
ディスクロージャー制度の信頼性確保に向けた対応(第二弾)の公表
IOSCO(証券監督者国際機構)専門員会による「信用格付機関の基本行動規範」の公表
経営健全化計画の履行状況報告の公表
  金融審議会金融分科会第一部会の開催
 
27日(月) 再就職状況の公表
変額年金保険等の最低保証リスクに係る責任準備金等に関する告示及び事務ガイドライン(案)に対するパブリック・コメントの結果
  「信託業法」の施行に伴う政令・府省令の整備等に対するパブリック・コメントの結果
リレーションシップバンキングの機能強化に関するアクションプログラムの進捗状況(平成15年度〜16年度上半期)
 
28日(火) 事務ガイドライン(「金融監督にあたっての留意事項について(第二分冊:保険会社関係)」)の一部改正
決済用預金の導入に向けた金融機関(業態別)の準備等の状況の公表
金融分野における個人情報保護に関するガイドライン(案)に対するパブリック・コメントの結果
「信託会社等に関する総合的な監督指針」の公表
株式会社みずほ銀行に対する行政処分
新潟証券株式会社に対する行政処分(関東財務局処分)
 
マークのある項目につきましては、から公表された内容にアクセスできます。