アクセスFSA 第31号 (2005年6月)
主要行の平成16年度決算発表を受け、会見を行う伊藤大臣(5月25日) 政府広報番組「明日への架け橋」(テーマ:金融再生プログラム)での伊藤大臣(7月2日放送予定)
主要行の平成16年度決算発表を受け、会見を行う伊藤大臣(5月25日) 政府広報番組「明日への架け橋」(テーマ:金融再生プログラム)での伊藤大臣(7月2日放送予定)
目 次
【トピックス】
 ○  主要行の平成16年度決算について
 ○  証券会社向けの総合的な監督指針(案)について
   
【集中連載】
 ○  金融検査に関する基本指針(案)の概要について(第2回 「II 検査等の実施手続等」の概要について)
 
【金融ここが聞きたい!】
 
【金融便利帳】
 ○  今月のキーワード:「有価証券報告書」「有価証券届出書」「大量保有報告書」
 
【お知らせ】
 
【5月の主な報道発表等】


【トピックス】
 
主要行の平成16年度決算について

 主要行の平成16年度決算発表を受けて、金融庁では、各行の発表した計数等を集計し、5月25日に公表しました。
 以下、主要行の平成16年度決算の概要について説明します。

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.主要行の決算
 実質業務純益は3.8兆円となり、前年同期に比べ0.1兆円減と、概ね横這いとなりました。一方、不良債権処理の進展を受けて、不良債権処分損が前年同期に比べ42.2%減の2.0兆円となり、実質業務純益の半分程度にまで低下しました。この結果、当期純利益は0.6兆円となり、4期ぶりに黒字化しました。
 また、自己資本比率については、前年同期に比べ0.5%ポイント増の11.6%となり、順調に改善しています。
 2 .主要行の不良債権処理の進捗状況
 不良債権(金融再生法開示債権)残高は、全体で7.4兆円となり、前年同期と比べて45.6%減少しました。破綻懸念先以下については、前年同期に比べ29.9%減の4.7兆円となり、要管理債権については、前年同期に比べ60.6%減の2.7兆円となりました。
 不良債権比率は、平成16年3月期の5.2%から2.3%ポイント低下し、2.9%となりました。この結果、平成14年10月に策定・公表された「金融再生プログラム」における「平成16年度には、主要行の不良債権比率を平成14年3月期(8.4%)の半分程度に低下させ、不良債権問題の正常化を図る」という目標は達成されました。
 これを受けて、主要行の不良債権問題の正常化にかかる金融担当大臣の談話を発表したところですが、金融行政は、不良債権問題の緊急対応から脱却し、将来の望ましい金融システムを目指す未来志向の局面(フェーズ)へと移行していく節目を迎えたと考えています。今後は、「金融改革プログラム」の着実な実施により、利用者の満足度が高い金融システムの実現を目指していきます。

PDF不良債権比率の推移(主要行)




 主要行の不良債権問題の正常化にかかる金融担当大臣談話については、詳しくは金融庁ホームページの「記者会見等」の「大臣談話など」から「金融担当大臣談話 ─ 主要行の不良債権問題の正常化にあたって ─ 」(平成17年5月25日)にアクセスして下さい。


 主要行の平成16年度決算の計数等については、詳しくは金融庁ホームページの「報道発表資料」から「主要行の平成16年度決算について《速報ベース》」(平成17年5月25日)にアクセスして下さい。

証券会社向けの総合的な監督指針(案)について

 去る5月31日、証券会社の監督事務の的確な遂行を目指す観点から、「証券会社向けの総合的な監督指針(案)」を策定・公表し、パブリックコメントに付すこととしました。

 本監督指針は、これまで金融システム改革などを契機として進めてきた事後チェック型行政を、多様化する現在の証券会社に対しても適切に行っていく必要があるとの問題意識を背景に策定されています。
 策定に当たっては、証券会社の監督行政はどのような視点に立って行うべきか、各種規制の基本的考え方、監督上の着眼点と留意すべき事項、具体的な監督手法について、従来の事務ガイドラインの内容も踏まえ、体系的に整備するとともに、特に、証券会社の経営状況や法令遵守態勢を把握することが、事後チェック型行政を適切に行うための前提となることから、これらについて新たに着眼点を加えることとしました。
 また、証券監督の目的は、証券業を行う者の業務の健全かつ適切な運営を確保し、有価証券の発行及び売買その他の取引を公正ならしめ、有価証券の流通を円滑ならしめることにより、国民経済の適切な運営及び投資者の保護に資することにあることを規定するとともに、監督に当たっての基本的考え方として、(1)検査部局との適切な連携の確保、(2)証券会社との十分な意思の疎通の確保、(3)証券会社の自主的な努力の尊重、(4)効率的・効果的な監督事務の確保を掲げています。

 本監督指針(案)の基本的な構成は既に策定されている中小・地域金融機関向けの総合的な監督指針やその他の監督指針と同様なものとなっており、まず、第I章として「基本的考え方」、次に、第II章が「証券会社の監督に当たっての評価項目」、第III章が「証券会社の監督に係る事務処理上の留意点」となっています。第II章が当局と証券会社の関係を規定しているのに対して、第III章は当局内部の事務処理について規定しています。
 更に、第IV章「外国証券会社」、第V章「登録金融機関」、第VI章「証券金融会社」、第VII章「証券仲介業者」のそれぞれにおいて、所要の固有項目及び準用規定を整理しています。

 本監督指針(案)の策定に当たり、従来の事務ガイドラインの内容に加えて、新たに監督上の着眼点等として規定したものとしては、以下のようなものがあります。


 国際的に活動する証券会社グループ
 国際的に活動する証券会社グループについては、グループ会社間のリスクの伝播等の問題があることから、証券会社単体だけではなく、グループの監督についても適切に行う必要があることを規定し、特に財務の健全性については具体的な監督上の対応を規定。


 経営管理
 証券会社自らが法令遵守に取組み、投資者保護に欠けることのないよう経営を行うことが重要であるとの認識の下、証券会社の経営における法令遵守、リスク管理のあり方等の着眼点を規定。


 自己資本規制比率が法令に定められた水準を下回った場合の監督上の対応
 証券会社の財務の健全性指標である自己資本規制比率が法定の水準を下回った場合などの具体的な監督上の対応を規定。


 法令遵守態勢
 法令遵守態勢を整備し、健全かつ適切な業務運営に努めることは、投資者からの信頼を確保する上で重要であることから、法令遵守の経営上の位置付け等の着眼点を規定。


 苦情処理体制
 顧客からの苦情や問合せに真摯に対応して顧客の理解を得ようとすることは、説明責任を事後的に補完する意味合いを持つ投資者保護上重要な活動の一つであることから、苦情処理体制の整備等の着眼点を規定。

 また、金融改革プログラム(及びその工程表)に掲げられているところに従い規定する新たな取組みとして、以下のようなものがあります。


 本事務年度の監督に当たっての重点事項の策定・公表
 当該事務年度に取り組むべき重点事項について、監督方針として策定し、公表することを規定。


 検査・監督連携会議の開催
 検査と監督の適切な連携を図るため、検査・監督連携会議を開催することを規定。


 意見交換制度の導入
 不利益処分を行う場合に、証券会社からの求めに応じ、監督当局と証券会社との間で複数のレベルにおける意見交換を行うことにより、処分の原因となる事実等についての認識の共有を図ることを規定。

 その他、証券会社を監督する上で重要と考えられる内部管理体制、事務リスク管理態勢、システムリスク管理態勢などについて、それぞれの項目ごとに着眼点等を規定しています。

 なお、本監督指針については、いただいた意見等を検討し、必要な修正を行った上で、7月上旬に公表・適用開始する予定としております。




 本監督指針(案)の全文をご覧になりたい方は、金融庁ホームページ「報道発表資料」から、「証券会社向けの総合的な監督指針(案)の公表について」(平成17年5月31日)にアクセスしてください(意見募集の〆切=6月27日(月)17時00分)。

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