金融庁では、平成16年4月から施行された改正公認会計士法によって新たに設置された公認会計士・監査審査会等の関係機関とも連携して公認会計士監査の充実・強化に努めてきました。 そうした中で、公認会計士をめぐる昨今の非違事例については、改正公認会計士法の施行前の問題ではありますが、監査の信頼性を揺るがしかねない事態が生じているものと認識し、厳正な会計監査を通じた適正なディスクロージャーの確保に向け、追加的にどのような方策を講ずることが適当かつ可能か検討を重ね、本年10月25日に、公認会計士・監査審査会とともに「適正なディスクロージャーと厳正な会計監査の確保に向けた対応策について」を公表しました。 その中では、具体的に、以下の方策を推進することとしています。 |
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.4大監査法人に対する早急な検査等の実施 公認会計士・監査審査会は、 |
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.公認会計士に係るローテーションルールの見直し 監査人の独立性確保等の観点から、現行継続監査期間7年、インターバル2年となっているローテーションルールについて、4大監査法人の主任会計士においては、今後、継続監査期間5年、インターバル5年へと見直しを図るためのルール整備を日本公認会計士協会に要請することとしました。 |
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.品質管理基準の策定等 監査の品質管理の強化の観点から、監査の品質管理基準を速やかに策定し、これを受けて各監査法人においては、来年3月までに品質管理システムの整備を行うことを求めることとしました。また、会計監査において、企業や企業環境についての十分な理解に基づき、虚偽の表示が生じるリスクを的確に分析し、リスクの態様に応じた適切な監査手続が選択されていくよう、監査基準を改訂することとしました。なお、10月28日に、企業会計審議会は、改訂監査基準等をとりまとめ公表しています。 |
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.開示企業における財務報告に係る内部統制の整備 開示企業における財務報告に係る内部統制の有効性に関して、経営者による評価と公認会計士による監査のあり方について、企業会計審議会における基準等の検討作業を加速するとともに、制度面での整備についても検討を進めることとしました。 |
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詳しくは、金融庁ホームページの「報道発表資料」から「適正なディスクロージャーと厳正な会計監査の確保に向けた対応策について(平成17年10月28日)」にアクセスしてください。 |
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.報告徴求の概要 適切な保険金等の支払いを行っていくことは、保険会社として生命保険事業を運営していく上で必要不可欠なものです。しかしながら、今般、明治安田生命において、詐欺無効の規定を不適切に適用し、死亡保険金等を不払いとする不適切な取扱い等の生命保険事業の信頼を損なう事象が発生しました。このような事態を踏まえ、7月26日に、生命保険会社全社に対して、 |
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.各社からの報告の取りまとめ結果 |
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.当局における今後の対応 当局としては、今般の報告徴求により把握した問題点を踏まえ、検査・監督を通じて各社における保険金等支払管理態勢の改善・整備を促して参るとともに、保険金等の不適切な不払いという重大な問題を招いた原因の分析結果等を踏まえ、保険会社向けの総合的な監督指針の改訂を含めた何らかの方策を考えていきます。 なお、10月28日に、生命保険協会に対して、保険金等の不払全般に関する業界自主ガイドラインの策定、苦情・相談対応体制の強化などを含め、迅速かつ適切な保険金等支払管理態勢の確立及び保険契約者等の保護に十全を期するための方策についての検討を、平成18年1月末を期限として求めています。 |
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詳しくは、金融庁ホームページの「報道発表資料」から「保険金等支払管理態勢の再点検及び不払事案に係る再検証の結果について」(平成17年10月28日)をアクセスしてください。 |
本年10月28日に策定・公表した「主要行等向けの総合的な監督指針」においては、貸出条件緩和債権に関する銀行法施行規則の解釈について、(a)経営再建・支援目的の明確化、(b)基準金利の設定方法等の規定の明確化、(c)その他解釈の明確化を実施し、併せて、当該規定に係る関係者からの質問等をQ&Aのかたちで取りまとめ、「貸出条件緩和債権関係Q&A」として同日公表しました。 貸出条件緩和債権は、銀行法施行規則で規定されている不良債権(リスク管理債権)の一類型です。同規則第19条の2第1項第5号ロ(4)では、「債務者の経営再建又は支援を図ることを目的として、金利の減免、利息の支払猶予、元本の返済猶予、債権放棄その他の債務者に有利となる取決めを行った貸出金」と定義されています。 同規定が平成10年12月に施行されたことを受け、11年3月末に「事務ガイドライン第一分冊:預金取扱い金融機関関係」が改正され、貸出条件緩和債権の要件の一つである「債務者に有利となる取決め」の例示として、「金利減免債権」、「金利支払猶予債権」、「元本返済猶予債権」等が定義され、開示基準が明確化されました。 その後、15年5月、産業再生機構の設立を契機に、企業再生に関わる関係者の予見可能性を高めるため、同ガイドラインの改正が行われ、開示基準の更なる明確化が図られました。具体的には、貸出条件緩和債権の判定・卒業の基準に基準金利を導入するとともに、産業再生機構を始めとした企業再生の関係者が、貸出条件緩和債権からの上方遷移の予見可能性を高めるための規定の整備が行われました。 当時の改正において、基準金利は「当該債務者と同等な信用リスクを有している債務者に対して通常適用される新規貸出実行金利」と定義され、また、「経済合理性に従って設定されるべき」と規定されました。ただ、事務ガイドラインのレベルではその「経済合理性」の解釈を明確に示しておらず、「設定が恣意的でなく、信用リスクに見合ったリターンが確保されている旨を合理的・客観的に証明できるもの」という考え方が一般的な理解として普及していたため、独自に設定した方法に基づき算出した個々の債権ごとの理論値を基準金利として用い、その金利が「通常適用される新規貸出実行金利」と大幅に乖離したものとなっているケースが一部にみられたところです。 このように基準が必ずしも明確でなかったことによって発生していた実務上の問題等を踏まえ、今般、「主要行等向けの総合的な監督指針」の策定を機に、基準金利の設定方法の明確化を含む貸出条件緩和債権の規定全般の見直しを行うことし、さらに、そのQ&A(「貸出条件緩和債権関係Q&A」)も公表した次第です。Q&Aでは、今回の改正のポイント、中小・地域金融機関への適用の仕方、改正内容の適用時期や、今回明確化した規定についての運用上の詳細等について説明をしています。 以下、貸出条件緩和債権の規定の今回の改正内容について概要をご説明します。まず、「(a)経営再建・支援目的の明確化」についてですが、今回の改正では、「債務者の経営再建・支援目的」が無いと認められる場合には、貸出条件緩和債権に該当しないことを明確化しました。そして、Q&Aでは、経営再建・支援目的が無いと認められる事案を例示しています(例えば、当該条件緩和が、他の金融機関との競争上の観点から決定されたものであったり、当初約定時点から決められていたものであったりする場合など)。 次に、「(b)基準金利の設定方法等の明確化」についてですが、今回の改正では、債務者の信用リスクに応じた適切かつ精緻な区分を設け、区分ごとの新規貸出約定金利を加重平均した「新規貸出約定平均金利」を基準金利とし、ある区分において、「新規貸出約定平均金利」が、信用リスク等に見合ったリターンが確保されている旨を合理的・客観的に証明できる方法により求めた金利(区分ごとの平均的な信用リスク等を反映した理論値)を著しく下回る場合には、当該金利(理論値)を当該区分における基準金利とすることとしました。そして、Q&Aでは、新規貸出約定平均金利や理論値の算出方法等について、詳細な説明をしています。 最後に、「(c)その他解釈の明確化」についてですが、今回の改正では、個々の貸出条件緩和類型の規定、貸出条件の変更を行っていない貸出金の取扱い、卒業基準、「実現可能性の高い抜本的な計画」の要件等について、見直し・明確化を行いました。そして、Q&Aでは、これらについてより詳細な説明を加えています。 今回の貸出条件緩和債権の規定の見直し及びQ&Aの公表により、貸出条件緩和債権の規定が明確になるとともに、従来生じていた実務上の問題が解決されることを期待しています。また、今後、今回明確化された規定について実務上の問題が判明すれば、当該規定或いはQ&Aの内容を適宜柔軟に改定していきたいと考えています。 |
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詳しくは、金融庁ホームページの「報道発表資料」から「「貸出条件緩和債権関係Q&A」の公表について」(平成17年10月28日)にアクセスしてください。 |
金融庁では、本年7月15日に策定・公表した「証券会社向け総合的な監督指針」(以下、「監督指針」という。)を踏まえて、「監督に当たっての重点事項を明確化するため」に、去る10月4日に「平成17事務年度証券会社向け監督方針」(以下、「監督方針」という。)を策定・公表しました。本監督方針の概要は、以下のとおりです。 (注)平成17事務年度:平成17年7月から平成18年6月 |
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本監督方針においては、(a)経営管理の強化、(b)適正な業務運営の確保、(c)財務の健全性の確保の3つの分野における監督上の重点事項を明確化した上で、それぞれの事項について、ヒアリング等を通じて、証券会社の取組みを検証するとともに、問題があると認められる場合には、監督上の厳正な対応を行うこととしています。 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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詳しくは、金融庁ホームページの「報道発表資料」から「「平成17事務年度証券会社向け監督方針」の公表について」(平成17年10月4日)にアクセスして下さい。 |
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.はじめに 中小・地域金融機関(地銀・第二地銀・信金・信組)は、本年3月に金融庁が公表した「地域密着型金融の機能強化の推進に関するアクションプログラム(平成17〜18年度)」(以下「新アクションプログラム」という。)に基づき、地域密着型金融(リレーションシップバンキング)の一層の推進を図るため、18年度までの「重点強化期間」における(a)事業再生・中小企業金融の円滑化、(b)経営力の強化、(c)地域の利用者の利便性向上、に向けた取組みについて、「地域密着型金融推進計画」(以下「推進計画」という。)を策定・公表するとともに、8月末までにその内容を当局に提出しました。 金融庁は、去る10月26日、提出された推進計画について、その概要を取りまとめ、公表しました。 |
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.推進計画の概要 推進計画の策定・公表に当たっては、新アクションプログラムにおいて、各金融機関は、地域の特性等を踏まえた個性的な計画を策定した上で、その実施に当たっても、自主的な経営判断により、地域の特性や利用者ニーズ等を踏まえた「選択と集中」を通じてビジネスモデルを鮮明にし、自己責任と健全な競争の下、これを推進することを要請しています。 今回、推進計画を策定・公表したのは585金融機関(地方銀行65行、第二地方銀行48行、信用金庫297金庫、信用組合175組合)ですが、それぞれが過去2年間の取組みや地域の特性や利用者ニーズ等を反映した多様な推進計画を策定、また公表方法にも工夫がみられました。 |
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詳しくは、金融庁ホームページの「報道発表資料」から、「『地域密着型金融の機能強化の推進に関するアクションプログラム(平成17〜18年度)』に基づく『地域密着型金融推進計画』の概要について」(平成17年10月26日)にアクセスして下さい。 |