アクセスFSA 第41号 (2006年4月)
財務局長会議において挨拶する与謝野大臣 金融審議会公認会計士制度部会において挨拶する櫻田副大臣
財務局長会議において挨拶する与謝野大臣

金融審議会公認会計士制度部会において挨拶する櫻田副大臣

(4月27日) (4月26日)

目 次
【トピックス】
 ○  「金融機関のCSR事例集」の公表について
 ○  証券取引所のシステム整備のあり方等に関する論点整理(第二次)
 ○  監督指針・事務ガイドラインにおける審査基準・処分基準について
 ○  「主要行等向けの総合的な監督指針」、「中小・地域金融機関向けの総合的な監督指針」、「保険会社向けの総合的な監督指針」の一部改正について
 ○  金融機関等から業務の委託を受けた者に対する検査についての公表について
 ○  金融検査評定制度の試行に関するQ&Aについて
 ○  株式等の売買発注管理に係る一斉点検等の結果について
 ○  証券会社の市場仲介機能等に関する懇談会及び市場機能支援室の設置について
 ○  情報セキュリティに関する検討会の立ち上げについて
 ○  中間論点整理〜適合性原則を踏まえた保険商品の販売・勧誘のあり方〜の公表について
 ○  国際コンファレンス「アジア各国の金融利用者保護を支える法と経済」の開催について
【特  集】
 ○  バーゼルII(新しい自己資本比率規制)の概要について
 ○  お金の使い方と地域社会について考えるシンポジウムの開催【第4回】パネルディスカッション・セッション1「金融経済教育の必要性を考える」
【国際室から】
 ○  銀行監督の基本原則〜「バーゼル・コア・プリンシプル」の見直しについて
 

総務企画局総務課国際室課長補佐 大城 健司

【金融便利帳】
 ○  「監督指針と事務ガイドライン」
【金融ここが聞きたい!】
【お知らせ】
【3月の主な報道発表等】


【トピックス】
 
「金融機関のCSR事例集」の公表について

 近年、企業と社会との相互関係が多様化・複雑化する中で、CSR(企業の社会的責任)に対する企業の関心が高まっており、我が国金融機関においても、CSR担当部署を設置し報告書を作成するなど、積極的な情報開示等に努めているところが現れています。
 こうした中、金融庁としては、平成17年7月に、CSRに関する情報開示促進のため各業態の監督指針の改正を行いましたが、更に、今般、金融機関によるCSRを重視した具体的取組みについてのアンケートを実施し、その結果を取りまとめて、「金融機関のCSR事例集」を作成・公表しました(平成18年3月31日)。
(注)  「金融改革プログラム工程表」(平成17年3月)においても、「金融機関によるCSRを重視した具体的取組みについて、金融庁で事例集を作成・公表(18年3月を目途)」としています。

(実態調査の概要)
【調査目的】 金融機関が行っているCSRを重視した具体的取組みについての現状把握
【対象金融機関】 各協会加盟の預金取扱金融機関、保険会社、証券会社等(各協会経由で調査)
〔対象協会名〕
  預金取扱金融機関
全国銀行協会、社団法人信託協会、国際銀行協会、社団法人全国地方銀行協会、社団法人第二地方銀行協会、社団法人全国信用金庫協会、社団法人全国信用組合中央協会、社団法人全国労働金庫協会
  保険会社
社団法人生命保険協会、社団法人日本損害保険協会、外国損害保険協会
  証券会社等
日本証券業協会、社団法人投資信託協会、社団法人日本証券投資顧問業協会、社団法人金融先物取引業協会
【調査実施期間】平成18年1月31日(火)〜3月3日(金)

 実態調査を実施した1,234金融機関のうち、回答のあった金融機関数は約99%の1,217機関であり、更にそのうちCSRを重視した何らかの具体的取組みを行っていると回答した金融機関は、約67%の810機関でした。
 回答結果をみると、
 (1)  回答のあった金融機関のうち、CSR専門担当組織・機関を設けている金融機関は約14%であり、組織・機関があると答えた金融機関における平均人員数は約4.8人でした。業態別に見ると、専門部署を設けている金融機関の割合が最も大きかったのは保険会社(約3割)で、平均的な人員数についても、平均8人の人員を割いています。
 (2)  CSRの取組みを行っている金融機関において、CSRの取組みを開始した時期については、
2000年代・・・約41%、1990年代・・・約23%、1980年代以前・・・約33%
となっています。特に、地域銀行においては、地域密着型金融という業務の特性もあり、「1960年代より前」と回答しているところが約4分の1を占め、割合として最も大きくなっています。
 (3)  CSRを重視した取組みを行う主な理由については、CSRの取組みを行っていると回答した金融機関の約6割が「地域との共存共栄」を挙げています。
 業態別に見ると、地域銀行の約9割、信用金庫・信用組合・労働金庫の約8割が「地域との共存共栄」を挙げていますが、保険会社では「取扱う事業の公共性に鑑みて」CSRの取組みを行っていると回答した社の割合が最も大きく、全体の半分を占めています。
 (4)  CSRの取組みを行っている金融機関のうち、全体で約8割の金融機関が、何らかの形で情報開示を行っており、情報開示の方法としては、ディスクロージャー誌の利用が最も多くなっています。
 また、同調査において、CSRを重視した具体的な取組みの詳細(1機関につき最大5つ)について尋ねたところ、全体で1,880事例について回答が寄せられました。
 (1)  取組み分野としては、「経済」約18%、「環境」約20%、「社会」約61%となっています。
 (2)  取組み事例の類型としては、全体的に社会貢献・地域貢献の割合が大きくなっていますが、特に証券会社等においては、他の業態に比べてコンプライアンスに関する取組みが多いことがうかがえます。
 (3)  取組みの中で特に意識するステークホルダー(利害関係者)については、取組み事例全体の中で、約半分の取組みが特に意識しているステークホルダーとして「地域住民」を挙げています。

 今回の事例集の公表により、各金融機関が他の金融機関の具体的取組みを参照し、今後の取組みに活かすこと等を通じて、金融機関の利用者等の利便性向上に資することを期待しています。


 詳しくは、金融庁ホームページの「所管金融機関の状況」から「金融機関のCSR事例集」、または「報道発表資料」から、「金融機関のCSR事例集」の公表について(平成18年3月31日)にアクセスしてください。

証券取引所のシステム整備のあり方等に関する論点整理(第二次)

 証券取引所は証券市場の重要な社会的インフラとして、十分なシステム処理能力によって市場利用者の円滑かつ安定的な取引を確保する必要があります。世界的にみても取引所のシステム化が進んでいることを踏まえると、システム問題は取引所経営の中心的課題と位置づけられます。

 金融担当大臣の私的懇談会である、「証券取引所のあり方等に関する有識者懇談会」(座長:成田豊 (株)電通最高顧問)は、日本の証券取引所を世界でトップランクの資本市場とするために、国際的な視点で競争力を高めるための議論を行い、まずはシステム整備のあり方に関して、平成18年2月23日に論点整理(第一次)を公表(詳細はアクセスFSA第39号参照)したところですが、その後の海外調査の結果や証券業協会のワーキングにおける検討状況等を踏まえ、システム整備等に向け証券取引所において取り組むべき項目について、第3回会合(平成18年3月24日(金))における議論を経て、平成18年3月31日(金)に「証券取引所のシステム整備等のあり方に関する論点整理(第二次)」及び「証券取引所システム整備等に関する工程表」として公表しました。

 懇談会においては、公表された工程表の実施状況等について、適宜フォローアップしていくほか、上場制度を中心とした取引所規則のあり方などについても議論を継続し、望ましい方向性などの整理がなされたものについては、その都度、外部に発信していくこととしています。


 詳しくは、金融庁ホームページの「報道発表資料」から「第3回証券取引所のあり方等に関する有識者懇談会資料」(平成18年3月24日開催)(平成18年3月27日)「証券取引所のシステム整備のあり方等に関する論点整理(第二次)」(平成18年3月31日)にアクセスしてください。

監督指針・事務ガイドラインにおける審査基準・処分基準について

 行政手続法では、「公正で透明な行政運営の確保」との観点から、審査基準(申請により求められた許認可等をするかどうかをその法令の定めに従って判断するために必要とされる基準)及び処分基準(不利益処分をするかどうか又はどのような不利益処分とするかについてその法令の定めに従って判断するために必要とされる基準)という概念が、設けられています。
 平成18年4月1日に施行された改正行政手続法においては、上記審査基準及び処分基準を含む命令等の新設・改正に際して、意見公募(パブリックコメント)が義務付けられることとなりました。
 また、他方で、同年3月31日に閣議決定された「規制改革・民間開放推進3か年計画(再改定)」(http://www.kisei-kaikaku.go.jp/publication/2005/0331/index.html 新しいウィンドウで開きます)では、「審査基準・処分基準として取り扱うものについては、行政手続法に定める意見公募手続を行うとともに、その内容を積極的に公表する」との言及がなされており、各府省庁の通達等における審査基準・処分基準の明確化が求められています。
 こうしたことを踏まえ、金融庁では、監督指針・事務ガイドラインにおける審査基準・処分基準の明確化を図るため、監督指針等に含まれる審査基準・処分基準の一覧を作成し、平成18年3月31日に金融庁ホームページ上に公表しました。
参考)行政手続法(抄)
定義)
二条 この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
  一〜七 (略)
八 命令等 内閣又は行政機関が定める次に掲げるものをいう。
 
 イ  (略)
 ロ  審査基準(申請により求められた許認可等をするかどうかをその法令の定めに従って判断するために必要とされる基準をいう。以下同じ。)
ハ 処分基準(不利益処分をするかどうか又はどのような不利益処分とするかについてその法令の定めに従って判断するために必要とされる基準をいう。以下同じ。)
 ニ  (略)


意見公募手続)
三十九条 命令等制定機関は、命令等を定めようとする場合には、当該命令等の案(命令等で定めようとする内容を示すものをいう。以下同じ。)及びこれに関連する資料をあらかじめ公示し、意見(情報を含む。以下同じ。)の提出先及び意見の提出のための期間(以下「意見提出期間」という。)を定めて広く一般の意見を求めなければならない。

2〜4 (略)



 詳しくは、金融庁ホームページの「所管の法令・ガイドライン等」からPDF「監督指針・事務ガイドラインにおける審査基準・処分基準について」、もしくは「報道発表資料」から「監督指針・事務ガイドラインにおける審査基準・処分基準について」(平成18年3月31日)にアクセスしてください。

「主要行等向けの総合的な監督指針」、「中小・地域金融機関向けの総合的な監督指針」、「保険会社向けの総合的な監督指針」の一部改正について

はじめに
 金融庁は、平成18年3月31日、「主要行等向けの総合的な監督指針」、「中小・地域金融機関向けの総合的な監督指針」、「保険会社向けの総合的な監督指針」の一部を改正しました。
 今回の改正は、(1)金融機関の取締役等の資質に関する規定(Fit and Proper原則)の具体的な着眼点の明確化、(2)バーゼルII第2の柱の実施、(3)銀行代理業者の監督、(4)銀行法の一部改正に伴う改正((3)以外)、の4点について行われております。以下、その概要について説明させていただきます。


.金融機関の取締役等の資質に関する規定(Fit and Proper原則)について(「主要行等向けの総合的な監督指針」、「中小・地域金融機関向けの総合的な監督指針」、「保険会社向けの総合的な監督指針」を改正)

 銀行及び保険会社の取締役・執行役の適格性についての規定は、平成13年の銀行法及び保険業法の改正の際に新設されており、同規定に基づき、これまで監督当局としても銀行及び保険会社の取締役等の資質については、適切な監督を行ってきたところです。
 近年、金融機関の経営陣に責任を帰すべき事由による不祥事等が発覚し、社会問題となる事案が発生していることから、平成16年12月に公表した「金融改革プログラム」においては、「金融機関の取締役の資質に関する規定(Fit and Proper原則)の具体的な着眼点の明確化」が施策として掲げられました。
 これらを踏まえ、関係者の予見可能性を高め、金融機関のガバナンスの強化に資する観点から、銀行及び保険会社の取締役等の適格性規定に関する具体的な着眼点や監督手法の明確化を行うこととし、具体的には、金融機関の取締役等の選任議案の決定プロセス等において、金融機関がその適格性を判断する際の着眼点として、「経営管理を的確、公正かつ効率的に遂行することができる知識・経験」及び「十分な社会的信用」の明確化を行いました。
 銀行を例にとると、「経営管理を的確、公正かつ効率的に遂行することができる知識・経験」については、「銀行法等の関連諸規制や監督指針の経営管理の着眼点の内容を理解し、実行するに足る知識・経験」、「コンプライアンス及びリスク管理に関する十分な知識・経験」、「銀行業務の健全かつ適切な運営に必要となるコンプライアンス及びリスク管理に関する十分な知識・経験」、「その他銀行の行うことができる業務を適切に遂行することができる知識・経験」を有しているか、といった点を具体的な着眼点として例示しました。
 また、「十分な社会的信用」については、「反社会的行為に関与したことがないか」、「証券取引法等我が国の金融関連法令又はこれらに相当する外国の法令の規定に違反し、又は刑法若しくは暴力行為等処罰に関する法律の罪を犯し、罰金の刑(これに相当する外国の法令による刑を含む。)に処せられたことがないか」、「過去において、所属した法人等又は現在所属する法人等が金融監督当局より法令等遵守に係る業務改善命令、業務停止命令、又は免許、登録若しくは認可の取消し等の行政処分を受けており、当該処分の原因となる事実について、行為の当事者として又は当該者に対し指揮命令を行う立場で、故意又は重大な過失(一定の結果の発生を認識し、かつ回避し得る状態にありながら特に甚だしい不注意)によりこれを生ぜしめたことがないか」等といった点を具体的な着眼点として例示しました。
 今回の取締役等の資質規定の着眼点は、各金融機関の取締役等の選任プロセス等における自主的な取組みを基本としつつ、その過程において取締役等の適格性が適切に判断されているかどうかを当局が確認するための事項の例示であり、また、特定の事項への該当をもって直ちにその適格性を判断するためのものではありません。
 したがって、まずは金融機関自身がその責任において、これら着眼点も踏まえつつ、その時々の時点における取締役等個人の資質を総合的に勘案して適切に判断することが重要であると考えています。


.バーゼルII第2の柱の実施について(「主要行等向けの総合的な監督指針」、「中小・地域金融機関向けの総合的な監督指針」を改正)
 
今回の改正は、
 
(1) 「中小・地域金融機関向けの総合的な監督指針」に統合的なリスク管理に関する着眼点等の追加、
(2) 「主要行等向けの総合的な監督指針」、「中小・地域金融機関向けの総合的な監督指針」の両監督指針における、銀行勘定の金利リスクに係るモニタリングを含む早期警戒制度※1の規定の見直し、
  を行ったものです。これらは、バーゼルII※2第2の柱への対応として昨年11月に公表を行った「バーゼルII第2の柱(金融機関の自己管理と監督上の検証)の実施方針について」で既にお示ししている内容を具体的に監督指針に盛り込んだものです。
 今回の改正の趣旨としては、バーゼルII第2の柱において、金融機関自らの「自己管理型」のリスク管理と自己資本の充実の取組みを期待すること、当局は、各金融機関の自発的なリスク管理と自己資本の充実の取組みを期待すること、当局は、各金融機関の自発的なリスク管理の方法について検証・評価を行い、必要に応じて適切な監督上の措置を求めること等が示されていることを踏まえ、金融庁の対応を明確にするというものです。
 統合的なリスク管理態勢の評価については、金融機関が自らの業務の規模、特性、複雑さに応じ、明確なリスク管理方針の下、各事業部門等が内包する種々のリスクを総体的・計量的に把握した上で、こうした総体的なリスクに照らして質・量ともに十分な自己資本を維持していく必要があると考えられることから、各金融機関が自らの統合的なリスク管理態勢の整備状況及び自己資本の充実度を評価するプロセスを検証することとしています。
 早期警戒制度の規定の見直しについては、バーゼルII第2の柱(金融機関の自己管理と監督上の検証)への対応として、金融機関による統合的なリスク管理態勢の構築に向けた自発的な取組みを促し、それを当局が検証する一方で、併せてこうした個々のリスク等に関する具体的指標に着目した既存の早期警戒線を活用し、監督を行っていくことが効果的かつ効率的であると考えられます。また、バーゼルII第2の柱において特に重要な事項とされている「銀行勘定の金利リスク」及び「信用集中リスク」については個別に管理する必要性が高いことを踏まえ、早期警戒制度の枠組みの中に組み込み、バーゼルII第2の柱の考え方を反映させました。
 具体的には、銀行勘定の金利リスクを検証するに当たり、バーゼルII第2の柱におけるアウトライヤー基準※3を設定し、早期警戒制度の「安定性改善措置」の枠組みの中で適切なモニタリングを行っていくこととしました。
 また、信用集中リスクの検証に当たっては、金融機関の個別取引先に対する与信判断は、あくまでも当該金融機関の経営判断により行われることを前提としますが、当局としては、特定業種への集中や、大口与信先に対するリスクが顕在化した場合の影響額※4を勘案した自己資本比率を基準として採用し、早期警戒制度の「信用リスク改善措置」の枠組みの中で適切なモニタリングを行っていくこととしました。

 中小・地域金融機関のうちには、規模やリスク特性等にかんがみて直ちに高いレベルの統合的なリスク管理を求めることが適当でないと思われる金融機関もあると考えられますが、そうした金融機関に対しては、原則として当局からのモニタリングである早期警戒制度に基づく対応を基本とし、同制度に基づくヒアリングや報告徴求等を実施する中で、その規模、抱えるリスク等に応じ、経営改善のために必要と認められる場合に、望ましい適切なレベルでの統合的なリスク管理態勢の構築に向けた取組みを促すこととしています。
 



 最低所要自己資本比率を上回る(早期是正措置の対象とならない)金融機関に対し、収益性、信用リスク、市場リスク、流動性リスクに着目したモニタリングを行い、それぞれについて予め共通の目線で設定した基準に該当することとなった金融機関に対し、ヒアリングや、必要に応じ報告徴求、業務改善命令を実施し、早め早めの経営改善を促す枠組み。▲戻る
 バーゼル銀行監督委員会『自己資本の測定と基準に関する国際的統一化〜改訂された枠組』(2004年6月)▲戻る
 銀行勘定の金利リスク量((1)上下200ベーシス・ポイントの平行移動による金利ショック又は(2)保有期間1年、最低5年の観測期間で計測される金利変動の1パーセンタイル値と99パーセンタイル値によって計算される経済価値の低下額)が基本的項目(Tier1)と補完的項目(Tier2)の合計額の20%を超えるか否かという基準▲戻る
 大口与信先のうち要管理先以下の者に対する債権の非保全額(引当金を除く)の一定額が損失となったと仮定した場合の損失額▲戻る


.銀行代理業者の監督について(「主要行等向けの総合的な監督指針」、「中小・地域金融機関向けの総合的な監督指針」を改正)

 銀行代理店は、従来出資規制や兼業規制の下で、原則として銀行の子会社が専業で行う場合に認められていましたが、平成18年4月1日施行の銀行法等の一部を改正する法律により、新たに銀行代理業制度が創設されました。
 これに伴い、一般事業者の銀行代理業への参入が可能となることなどによって、利用者の金融サービスに対するアクセスの確保・向上及び金融機関の多様な販売チャネルの効率的な活用が期待されますが、その一方で、一般事業者としての取引関係を利用した不公正な取引が行われることのないよう、銀行代理業の健全かつ適切な運営を確保することとしました。
 銀行代理業者を監督するに当たっては、銀行代理業への参入を許可制とし兼業について個別承認制とした趣旨にかんがみ、銀行代理業の適正・確実な遂行を確保するために、銀行代理業者及び所属銀行に対し適時適切な監督を行っていく必要があります。
特に、既存の一般事業者が銀行代理業へ参入した場合など、銀行代理業者が他業を兼業する場合には、抱き合わせ販売(融資)、情実融資及び顧客情報の流用等の不適切な取扱いが生ずることのないよう、銀行代理業者の業務運営態勢の整備等が強く求められることに留意する必要があります。
 一方で、銀行代理業者が営む銀行代理業に関しては、所属銀行が健全かつ適切な運営を確保するための措置を講じる責任を負うこととされていることにかんがみ、銀行代理業者の監督に当たっては、所属銀行本体に対する監督に重点を置き、まずは所属銀行への監督を通じて、銀行代理業者が営む銀行代理業に係る業務の健全かつ適切な運営が実現されるよう監督を行う必要があります。


.銀行代理業者の監督以外のその他の改正について(「主要行等向けの総合的な監督指針」、「中小・地域金融機関向けの総合的な監督指針」を改正)
 今回の銀行法の一部改正に併せて、銀行代理業者の監督以外のその他の改正事項として、M&Aファイナンス等の際の不適切な取引の発生の防止等の監督上の着眼点を明確化しました。

おわりに

 今回の改正の概要は以上のとおりですが、これらの規定は平成18年4月1日からの適用(バーゼルIIの一部(アウトライヤー基準)については平成19年4月からの適用)となっており、円滑に実際の監督事務に反映していくよう努めてまいります。


 詳しくは、金融庁ホームページの「報道発表資料」から「主要行等向けの総合的な監督指針、中小・地域金融機関向けの総合的な監督指針、保険会社向けの総合的な監督指針の一部改正について」 (平成18年3月31日)にアクセスしてください。

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