I |
.目的及び経緯 平成17年5月2日に公布され、平成18年4月1日に施行された「保険業法等の一部を改正する法律」(平成17年法律第38号。以下「改正法」といいます。)1は、(a)根拠法のない共済への対応に係る改正及び(b)保険契約者保護制度等の見直しに係る改正、の二つを主たる内容としています2。 このうち、(b)保険契約者保護制度等の見直しに係る改正の施行に伴う所要の改正等を行うため、政省令等の改正案が平成17年10月12日に公表され3 、意見募集期間中に同案に対し寄せられたご意見等を踏まえたうえで4、以下のとおり政省令等が公布され、平成18年4月1日に施行されました。 |
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本法令解説は、政令の概要(下記II.)、内閣府令・財務省令、内閣府令等の概要(下記III.)の順に、保険会社のセーフティネットの見直しに関するこれらの政省令等の概要を解説するものです5。 なお、保険契約者保護制度は従来「保険のセーフティネット」と通称されてきましたが、上記(a)根拠法のない共済への対応に係る改正により、保険業を行うものの保険会社(外国保険会社等を含みます。以下同じ。)ではなく保険契約者保護機構による資金援助等の対象にもならない者(「少額短期保険業者」(改正法による改正後の保険業法(以下「新保険業法」といいます。)第2条第18項)、「特定保険業者」(改正法附則第2条第3項)等)が存在することとなったのに伴い「保険会社のセーフティネット」と称することが適当となったと考えられ、本法令解説においてもそのようにしているところです。 |
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II |
.政令の概要6 |
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III |
.内閣府令・財務省令、内閣府令等の概要 |
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IV |
.終わりに 改正法及び上記政省令等による新しい保険会社のセーフティネットのごく簡単な概要については、金融庁ホームページの「一般のみなさんへ・保険を契約している方へ」から「保険契約者保護機構制度(保険会社のセーフティネット)」のページでご紹介しています。 また、生命保険契約者保護機構及び損害保険契約者保護機構の各ホームページにおいて、詳しい制度案内が行われていますので、併せてご覧ください。 |
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1 | ただし、改正法附則第1条第1号に掲げる規定は、「保険業法等の一部を改正する法律の一部の施行期日を定める政令」(平成17年政令第240号。同年7月13日公布)により、平成17年8月1日に施行されています。また、改正法附則第 1条各号に掲げる規定以外の規定が平成18年4月1日に施行されたのは、「保険業法等の一部を改正する法律の施行期 日を定める政令」(平成18年政令第32号。同年3月10日公布)によるものです。▲戻る | ||||
2 | 改正法の概要については、「【法令解説】保険業法等の一部を改正する法律の概要について」アクセスFSA第30号(2005年5月26日発行)(以下「改正法解説」といいます。)をご覧ください。▲戻る | ||||
3 | 「「保険業法等の一部を改正する法律」の一部の施行に伴う保険業法施行令(案)、内閣府令・財務省令(案)、内閣府令(案)等の公表について」(平成17年10月12日) ▲戻る | ||||
4 | 意見募集の結果は以下のとおり公表されていますので、併せて参照してください。 | ||||
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5 | なお、「保険契約者等の保護のための特別の措置等に関する命令」、「保険業法施行規則」等については、その後さらに、「会社法」(平成17年法律第86号)及び「会社法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律」(平成17年法律第87号)の施行(平成18年5月1日)に伴う整備等が行われており(「保険契約者等の保護のための特別の措置等に関する命令」については「資産再評価法施行規則等の一部を改正する命令」(平成18年内閣府令・財務省令第6号。同年4月26日公布、同年5月1日施行)により、「保険業法施行規則」については「船主相互保険組合法施行規則等の一部を改正する内閣府令」(平成18年内閣府令第59号。同年4月27日公布、同年5月1日施行)によります。)、本法令解説においても、この整備等を前提としています。▲戻る | ||||
6 | 改正法解説III.,3.にほぼ対応する部分となります。▲戻る | ||||
7 | 期間が異なるのみで、その内容は、平成15年4月から平成18年3月までの3年間の財源措置の対象となっていた生命保険会社(「特別会員」(保険業法附則第1条の2の13第2項))に関する規定(保険業法施行令附則第8条の2)と同様です。▲戻る | ||||
8 | 既に、特別会員に関する政府の補助の手続規定が政令に委任されたこと(新保険業法附則第1条の2の13第3項)を受けて、当該手続について定めが置かれるとともに、政府の補助の要件となる保険業法附則第1条の2の13第2項に規定する「おそれ」の認定の権限について、金融庁長官に委任せず内閣総理大臣の権限とされていました(「保険業法施行令の一部を改正する政令」(平成17年政令第241号。同年7月13日公布、同年8月1日施行)による改正後の保険業法施行令附則第8条の4・第14条の2)。▲戻る | ||||
9 | 保険業法の一部を改正する法律」(平成15年法律第39号。同年5月9日公布、本件関連部分は同年6月8日施行)の「概要」。▲戻る | ||||
10 | この「本則」としての「4600億円」の詳しい意義については、「施行令案の考え方」番号7を参照してください。▲戻る | ||||
11 | 改正法解説III.,1.,(1)及び(2)にほぼ対応する部分となります。▲戻る | ||||
12 | なお、改正府省令による改正前の保険契約者等の保護のための特別の措置等に関する命令第50条の3は、生命保険会社、損害保険会社それぞれに別の項を立てて補償対象契約の範囲を規定していましたが、新保護命令第50条の3では、いわゆる第三分野本体相互参入等の動向にも鑑み、こうした免許の種類に大きく依存した規定振りは廃しています。▲戻る | ||||
13 |
改正府省令による改正前の保険契約者等の保護のための特別の措置等に関する命令第50条の3第2項においても、火災保険について、補償対象契約となる範囲を保険契約者の属性(個人、「小規模企業者」等)により限定する規定が置かれていました。 ただし、新保護命令第50条の3第2項等においては、常用従業員等の数の基準時が明記される等の明確化等が行われています。▲戻る |
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14 | 自動車保険については、見直し後も引き続き、保険契約者の属性を問わず補償対象契約としている(新保護命令第50条の3第1項第5号)のは、第二部会報告書において「現在において自動車保険が迅速な被害者救済等の観点から重要な役割を果たしていることを重視すれば、自動車保険については、中規模以上の企業者が保険契約者である場合であっても引き続き補償対象とする取扱いも考えられる」とされたことを踏まえたものです。▲戻る | ||||
15 | 自動車損害賠償責任保険契約が特定補償対象契約とされていないのは、自動車が道路において運行の用に供されている限り解約が法令上厳しく規制されていること(自動車損害賠償保障法第20条の2)によるものです。▲戻る | ||||
16 |
新保護命令第1条の6の3第1項第2号イは補償対象契約の類型を明確化する観点から定量的な定義規定となっているため、いわゆる「年金払積立傷害保険」(新施行規則第212条の2第1項第4号)とは完全には一致しないことに注意が必要です。 詳しくは、「保護命令案等の考え方」番号8・9を参照してください。▲戻る |
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17 | なお、自動車損害賠償責任保険契約及び家計地震保険契約の保険金については、上記期間中に保険事故が発生したか否かにかかわらず、見直し前と同様、補償率は100%としています(新保護命令第1条の6第1項第5号等)。▲戻る | ||||
18 |
特定補償対象契約は「保険契約者等の保護のためその存続を図る必要性が低い」保険契約でありむしろ破綻処理期間中の解約が想定されているものであることから、保険契約の存続を図るために行われる早期解約控除(用語の意義については、改正法解説注5を参照してください。)を必要とする理由が認められず、特定補償対象契約については早期解約控除は禁止されています(新保険業法250条第1項。なお、改正法による改正後の金融機関等の更生手続の特例等に関する法律第445条第2項)。 新保護命令第1条の9の2各号は禁止されるべき特定補償対象契約に係る早期解約控除の設定の対象となる給付金として典型的なもの(任意脱退に伴うもの)を掲げることとしているところ、いうまでもなく、同条各号に掲げられた給付金以外の金額について早期解約控除の設定を許す趣旨ではありません。▲戻る |
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19 | なお、保険期間が5年を超える保険契約のうち破綻時に加入後5年を経過していなかったもの(加入から破綻までの間の予定利率が基準利率を常に超えていたものとします。)については、保険期間が5年以下である保険契約(加入から破綻までの間の予定利率が基準利率を常に超えていたものとします。)とのバランスの観点から、高予定利率契約の定義に該当するものではないと解することが相当と考えられます。▲戻る | ||||
20 | 金融審議会第二部会資料「生命保険の保険契約者保護制度の見直しについて(案)」(平成17年2月16日)。▲戻る | ||||
21 |
なお、補償対象保険金の支払率に係る補償控除率制度を定める新保護命令第1条の6第2項には新保護命令第50条の5第2項・第5項のような基準弁済見込率を下限とする規定がありませんが、これは、補償対象保険金の支払が行われる破綻処理期間中には基準弁済見込率の算定が困難であると考えられるためです。 破綻処理手続の進行を経て算定された基準弁済見込率が、補償控除率を減じて得られた補償対象保険金の支払率を上回ることとなった場合には、当然に所要の追払いが行われることが想定されています。▲戻る |
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22 | 改正法解説III.,1.,(3)にほぼ対応する部分となります。▲戻る | ||||
23 | なお、「施行規則案の考え方」番号7では、改正府令による改正前の保険業法施行規則第74条各号をも含めた表が示されています。▲戻る | ||||
24 | 金融審議会第二部会資料「生命保険の保険契約者保護制度の見直しについて(案)」(平成17年2月16日)。▲戻る | ||||
25 | 「保護命令案等の考え方」番号19・20を参照してください。▲戻る | ||||
26 | 概要については「変額年金保険等に係る責任準備金積立ルール等改正の概要について」アクセスFSA第23号(2004年10月28日発行)をご覧ください。▲戻る | ||||
27 | 補償対象保険金の支払に係る資金援助(保険業法第270条の6の7)の対象範囲(「保護命令案等の考え方」番号20を参照してください。)に鑑み、変額年金保険等の最低保証リスクに係る保険料積立金の全額を負担金の算定基礎から除くことは、していません。▲戻る | ||||
28 | なお、いわゆる追加責任準備金(保険業法施行規則第69条第5項・第150条第5項)の額についても、負担金の算定基礎から除くこととしています(新保護命令第25条の2第1項第2号)。▲戻る | ||||
29 | 上記I.なお書と同じ趣旨から、従来「保険契約者保護制度」と通称されてきたものを、「保険契約者保護機構制度」と称することとしています。▲戻る |