アクセスFSA 第45号(2006年8月)
企業会計審議会企画調整部会において挨拶する与謝野大臣(7月31日) 子ども見学デーで参加者の子ども達とお話する櫻田副大臣(8月23日)
企業会計審議会企画調整部会において挨拶する与謝野大臣 子ども見学デーで参加者の子ども達とお話する櫻田副大臣
(7月31日) (8月23日)
目 次
【トピックス】
 ○  会計基準のコンバージェンスにかかる企業会計審議会企画調整部会の意見書の公表について
 ○  「金融サービス利用者相談室」における相談等の受付状況等に関する公表について
 ○  預金口座の不正利用に係る情報提供件数等について
 ○  オフサイト検査モニターの集計結果について
 ○  平成18検査事務年度検査基本方針及び検査基本計画について
 ○  「地域密着型金融の機能強化の推進に関するアクションプログラム(平成17〜18年度)」の進捗状況について
 ○  金融庁子ども見学デーの開催について(8月23日、24日)
 ○  金融コングロマリット監督指針の一部改正の公表について
 ○  信託会社等に関する総合的な監督指針の一部改正の公表について
 ○  信託検査マニュアル(金融検査マニュアル別編〔信託業務編〕)の概要について
【特集】
 ○  金融商品取引法制の概要について【第2回】
【金融便利帳】
 ○  敵対的TOB
【金融ここが聞きたい!】
【お知らせ】
 ○  大臣・副大臣・政務官への質問募集中
 ○  新着情報メール配信サービスへのご登録のご案内
【7月の主な報道発表等】


【トピックス】
 
会計基準のコンバージェンスにかかる企業会計審議会調整部会の意見書の公表について


.はじめに
 企業会計審議会企画調整部会は、平成18年7月31日に「会計基準のコンバージェンスに向けて」と題する意見書を公表しました。本意見書では、国際的に会計基準のコンバージェンスの動きが加速化し、各国の会計基準が互いに近づきつつあること、また、このようなコンバージェンスの進展等を背景に、主要金融・資本市場の監督当局間でも新たな相互承認の動きが出てきていることを踏まえ、今後のコンバージェンスへの対応にかかる我が国関係者間の意見集約が図られ、各関係者にとっての今後の課題が整理されています。


.意見書の概要
 本意見書に掲げられている主な内容は、以下の4つです。
 
 国際的なコンバージェンス加速化の動きに対し、関係者が一丸となって我が国として前向きに対応していく。
 欧州委員会(EC)による同等性評価に向けたスケジュールを視野に入れた工程表を策定し、内外の関係者に示す。
 相互承認に向けて、ECによるコンバージェンスの進捗にかかるモニタリングについて、金融庁がECと連携する体制を構築するよう努力。米国証券取引委員会とも積極的な対話を継続する。
 国際会計基準策定プロセスに積極的に参加するため、企業会計基準委員会から国際会計基準審議会への人材派遣に対し、前向きな対応が期待されるところであり、その際、経済界、公認会計士界等においても積極的に協力する。


.おわりに
 会計基準は資本市場の重要なインフラの一つであり、金融資本市場への信任を確保し、その活性化を図っていくためには、会計基準に対する国際的な信認の確保が不可欠です。金融庁としては、この意見書を踏まえ、コンバージェンスの進捗状況を注視しつつ外国当局との対話の強化を図る等、コンバージェンスに関し、積極的に対応していく考えです。


 詳しくは、金融庁ホームページの「報道発表資料」から、「企業会計審議会 企画調整部会の意見書の公表について」(平成18年7月31日)にアクセスしてください。

「金融サービス利用者相談室」における相談等の受付状況等に関する公表について(期間:平成18年4月1日〜6月30日)

概要
 相談室に寄せられた利用者からの相談件数や主な相談事例等のポイント等については、四半期毎に公表しています。平成18年4月1日から6月30日における相談等の受付状況及び特徴等は、以下のとおりです。
 

(1)

 平成18年4月1日から6月30日までの間に、13,938件の相談等が寄せられており、一日あたりの受付件数は平均225件(詳細については、PDF「金融サービス利用者相談室」における相談等の受付状況等に関する公表について(平成18年7月31日)別紙1をご参照ください。)となっており、平成18年1月1日から3月31日までの間の実績(158件)と比べ大幅に増加しています。
(2)  分野別の受付件数としては、預金・融資等に関するものが3,527件(25%)、保険商品等に関するものが3,882件(28%)、投資商品等に関するものが3,053件(22%)、貸金等に関するものが1,915件(14%)、金融行政一般・その他が1,561件(11%)となっています。
(3)  分野別の特徴等としては、
 
 預金・融資等に関するもののうち、融資業務については、融資の実行・返済についての相談等が、預金業務については、本人確認手続など預け入れ時の態勢についての相談等が寄せられています。
 保険商品等については、保険金の支払に関するもの、保険金請求時等における保険会社の対応に関するものについての相談等が寄せられています。
 投資商品等については、未公開株関係に関するもの、証券会社に関するもの、有価証券報告関係に関するもの、外国為替証拠金取引業者に関するものについての相談等が寄せられています。
 貸金等については、業者に関する登録の有無についての照会等一般的な照会・質問に関するもの、行政に対する要望等に関するもの、個別取引・契約の結果に関するものについての相談等が寄せられています。
(4)  なお、受け付けた相談等の中には、検査・監督上参考となる情報(注)も寄せられており、利用者全体の保護や利便性向上の観点から、当該金融機関に対する検査における検証や監督におけるヒアリング、報告徴求、行政処分等、金融行政を行う上での貴重な情報として活用しています。
(注)検査・監督上参考となる情報の例
 
 イ  貸し渋り・貸し剥がしに関するもの
 ロ  金融機関が借り手に対する優越的な地位を利用して行った金融商品の販売に関するもの
 ハ  保険会社の営業員等の不適正な行為(不告知の教唆、保険料の立替、無断作成契約、名義借り等)に関するもの
(5)  相談室で受け付けた相談等のうち、主なものについては、「利用者からの相談事例等と相談室からのアドバイス等」として、それぞれの分野から、これまでに下記の8つの事例を紹介していますが、「未公開株の取引に関する相談等」については、「投資事業組合から未公開株の購入を勧誘された。」等の相談等が寄せられたため、以下のとおり改訂しました(追加箇所は下記のゴシック太字・赤字を参照してください。)。


投資商品等
 
未公開株の取引に関する相談等
 
利用者からの相談内容】
(不適正な行為)
 
 「株式が上場間近」、「公開後の値上がりが確実な未公開株がある」との勧誘を受けた。
 業者より未公開株を購入したところ預り証が交付されたが、発行会社に預り証の内容について照会したところ「上場予定はない。」と言われた。
 業者から未公開株を購入し、発行会社に株式の名義変更について照会したところ、「第三者への譲渡制限があり当社の株式について名義変更はできない。」と言われた。
 投資事業組合から、未公開株の購入を勧める電話があり、投資事業組合なら、証券業の登録がなくても株式の売買ができると言われた。
 未公開株の購入を勧める電話があり、株式を購入したところ、投資事業組合の名義となっており、自分の名義にしてほしいと業者に請求したが断られた。


相談室からのアドバイス等】
 
 業として株式を販売する者は証券業の登録が義務付けられているので、購入する前に登録業者かどうか(投資事業組合だからといって、証券業や証券仲介業の登録が不要となるわけではないことに注意。なお、証券業の登録には、法人の名称に「証券」を使用する必要がある。)確認する。
 



 免許・登録を受けている業者を確認したい方は、「免許・登録を受けている業者一覧」をご覧下さい。
 

 日本証券業協会に所属する会員証券会社等では、グリーンシート銘柄以外の未公開株式については、原則として勧誘を行っていない。
 未公開株式の購入前に株式の発行会社、投資事業組合の出資先となる会社へ十分に確認する(ただし、発行会社、投資事業組合の出資先となる会社がペーパーカンパニーである場合や、発行会社、投資事業組合の出資先となる会社が株式の購入を勧誘したものと共謀し、詐欺的な行為を行っている場合もあることに注意する必要がある。)。


 このほか、これまで以下のものを公表しておりますので、こちらもご参照ください。
(1)  預金・融資等の「預金口座の不正利用に関する情報の提供」
(2)  保険商品等の「保険内容の顧客説明に関する相談等」「告知義務に関する相談等」「保険金の支払いに関する相談等」
(3)  投資商品等の「外国為替証拠金取引に関する相談等」「証券会社との取引に関する相談等」
(4)  貸金等の「違法な金融業者等からの借入れに関する相談等」


 詳しくは、金融庁ホームページの「報道発表資料」から、「「金融サービス利用者相談室」における相談等の受付状況等に関する公表について」(平成18年7月31日)にアクセスしてください。
 

 業界団体の連絡先等については、金融庁ホームページの「リンク集」を参照。

預金口座の不正利用に係る情報提供件数等について

 平成15年9月12日、金融庁は、預金口座を利用した悪質な事例が大きな社会問題となっていることを踏まえ、当局が預金口座の不正利用に関する情報提供を受けた場合には、明らかに信憑性を欠くと認められる場合を除き、当該口座が開設されている金融機関及び警察当局への情報提供を速やかに実施する旨事務ガイドラインを改正したところであり、その情報提供件数等について、四半期毎に公表しています。
 これによると、調査を開始した平成15年9月以降、本年6月30日までに、金融庁及び全国の財務局等において、12,379件の預金口座の不正利用に係る情報提供を行いました。
 また、金融機関としても、預金口座の不正利用と思われる情報があった場合には、直ちに調査を行い、本人確認の徹底や、必要に応じて預金取引停止、預金口座解約といった対応を迅速にとっていくことが肝要であり、本年6月30日までに、当局が情報提供を行ったものに対し、金融機関において、6,485件の利用停止、4,939件の強制解約等を行っています。


 詳しくは、金融庁ホームページの「報道発表資料」から「「預金口座の不正利用に係る情報提供件数等について」(平成18年7月28日)」にアクセスしてください。

オフサイト検査モニターの集計結果について

概要
 金融庁では、金融検査に関して、預金者等一般の利用者及び国民経済の立場に立ち、的確かつ効果的な検査等の実施に資するため、「金融検査に関する基本指針」を定めているところです。
 この基本指針の適切な運用を確保するとともに、検査マニュアルの機械的・画一的な運用を防止する等の観点から、検査モニターを実施しており、今後の検査業務の参考としております。
 この検査モニターは、検査局や財務局の各幹部が検査先の金融機関へ伺い、検査の実施状況などについて直接ご意見を伺うオンサイトモニターと、検査終了後文書で回答をいただくオフサイトモニターの2方式を実施しております。
 文書によるオフサイトモニターについては、平成17年7月から、アンケート方式を導入したところ、多数の回答とご意見をいただいておりまして、関係各位のご協力に厚く御礼申し上げます。
 つきましては、この度、このアンケート方式によるオフサイト検査モニターの結果を取りまとめましたので、平成18年7月27日に公表いたしました。

アンケート要領
 アンケート方式は、金融庁や各財務局が実施した検査の執行状況などに関する、各アンケート25項目に対して、基本的に、「1(妥当)」、「2(概ね妥当)」、「3(やや妥当でない)」、「4(妥当ではない)」という4段階から、検査先の金融機関に択一方式により回答していただくものです。
 対象先
 平成17年7月以降に検査マニュアルにより検査を実施した検査先で、平成18年5月10日までに検査結果を通知した177先
 回収期間
 平成17年7月から平成18年5月
 回収先(率)
 110先(62%)

アンケート結果

 アンケート結果は、全体として「1」及び「2」とする回答が、それぞれ58%、35%寄せられています。
 しかし、中には「1」とする回答が40%前後にとどまっているアンケート項目が散見されるほか、各項目のいずれかに「3」と回答した金融機関が相当数認められています。
 これら、「3」との回答が寄せられた項目について、付記された意見の内容と併せて金融庁としての検討結果をご紹介します。

「検査運営」について
 全体として、「1」と「2」を合わせた回答が93%となっております。
 「検査期間」及び「検査の時期」
 いずれにも「3」が、9%寄せられております。付記された意見をみると、検査の時期が、決算 時期などの繁忙期と重なる場合に負担感が大きく、金融機関の規模等によっては、業務執行へ影響するため検査期間を短くして欲しい、などの意見が散見されております。
 これらの意見に対しては、今後とも、金融機関の負担軽減には配慮していきたいと考えておりますが、一方で、検査の必要性や、現状の人員体制などの問題もあって、当方の対応にも限界があることもご理解頂きたいと思います。


 「執務時間の考慮」
 「3」が10%寄せられております。付記された意見をみると、検査官の退出時刻の遅い日があったことや、概ねの終了時刻を予め伝えて欲しい、などの意見があります。
 これらの意見に対しては、金融機関の負担への配慮や、就業時間外のヒアリング等を行う場合は、金融機関側の理解を求めることが必要なことから、主任検査官による管理を十分に行うよう徹底するほか、今後とも研修等の機会も通じ検査官に対する指導に努めて参ります。

「資料の提出」について
 全体として、「1」と「2」を合わせた回答が98%となっております。
 しかし、「提出期限の設定」については、「3」が5%寄せられており、付記された意見をみると、期限が短く事務負担を感じた、などの意見がみられます。
 これらの意見に対しては、主任検査官による管理を十分に行うよう徹底するほか、今後とも研修等の機会も通じ検査官に対する指導に努めて参ります。

「検査の執行状況等」について
 全体として、「1」と「2」を合わせた回答が89%となっております。
 しかし、「検証にあたっての、双方向の議論」については、「3」とする回答が5%寄せられており、付記された意見には、実のある双方向の議論が十分になされたか疑問、との意見もあります。
 これらの意見に対しては、マニュアルの機械的・画一的運用につながる恐れもあり、今後とも、主任検査官による各検査官への指導の徹底や、研修等の機会も通じ検査官に対して双方向の議論の徹底について指導して参ります。
 また、「検査官の態度」については、「3」が4%あり、一部検査官の言動に苦言が寄せられておりますが、この点につきましても、主任検査官による各検査官への指導の徹底や、研修等の機会を通じ検査官に対して穏健冷静な検査態度の徹底について指導して参ります。

「検査結果通知書」について
 全体として、「1」と「2」を合わせた回答は98%となっており、「1」とする回答は73%を占めております。
 しかし、「通知書の交付までの期間」については、「3」が3%あり、通知までの期間をもう少し早めて欲しいとの要望が寄せられております。
 これらの意見に対しては、当方としても検査結果通知の交付はできる限り早期に行うことが重要と考えており、原則として、立入終了後、概ね3ヶ月以内を目途に行うと基本方針に定め、可能な限り速やかに行うよう努めているところです。

「検査モニター」について
 オンサイトモニターについては、実施すべきではないとする意見は寄せられておらず、制度自体の必要性は認識されているものと思われます。
 オフサイトモニターについては、アンケートの項目が分かりにくいなどの意見もあり、項目の見直しを進めています。特に「前回検査との比較」については、一部新たな目線での検査であった、とする回答が30%寄せられていますが、これは評定制度の導入が背景にあったものと思われますので、質問方法を見直します。
 検査モニター等において寄せられた種々のご意見も踏まえ、一層適正な検査の実施に努めて参ります。各金融機関におかれましては、今後とも、検査モニターについてのご理解とご協力をお願いいたします。


 詳しくは、金融庁ホームページの「報道発表資料」から「「オフサイト検査モニターの集計結果」の公表について」(平成18年7月27日)にアクセスして下さい。

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