アクセスFSA 第46号(2006年9月)
閣議後初会見を行う山本大臣(9月26日) 与謝野前大臣と引継ぎを行う山本大臣(9月27日)
閣議後初会見を行う山本大臣 与謝野前大臣と引継ぎを行う山本大臣
(9月26日) (9月27日)
目 次
【トピックス】
 ○  「平成17年度実績評価書」、「平成18年度事業評価書」、「平成18年度事後事業評価書」及びそれらの要旨の公表について
 ○  検査モニターの運用改善について
 ○  平成19年度税制改正要望について
 ○  平成19年度概算要求の概要について
 ○  広告の表示等に係る取組みについて
 ○  平成18年3月期における不良債権の状況等(ポイント)

【平成18事務年度 監督方針関係】
 ○  証券会社等向け監督方針について
 ○  主要行等向け監督方針について
 ○  中小・地域金融機関向け監督方針について

【特  集】
 ○  金融商品取引法制の概要について(第3回)

【金融ここが聞きたい!】

【お知らせ】
 ○  大臣・副大臣・政務官への質問募集中
 ○  新着情報メール配信サービスへのご登録のご案内

【8月の主な報道発表等】


【トピックス】
 
「平成17年度実績評価書」、「平成18年度事業評価書」、「平成18年度事後事業評価書」及びそれらの要旨の公表について


.はじめに
 金融庁においては、平成14年4月に施行された「行政機関が行う政策の評価に関する法律」の趣旨を踏まえ、政策評価の実施を通じて、
(1) 国民に対する金融行政の説明責任(アカウンタビリティ)を徹底すること
(2) 国民本位の効率的で質の高い金融行政を実現すること
(3) 国民的視点に立った成果重視の金融行政を実現すること
を目指しています。
 これまで金融庁においては、金融庁設置法で定めた法定任務(金融機能の安定、預金者・保険契約者・投資者の保護、円滑な金融)について、政策評価に係る基本計画や実施計画などを策定の上、政策評価に鋭意取り組んでおり、実績評価に関しては、平成13年度(13年7月〜14年6月)以降、毎年度を対象とする実績評価書を作成・公表しました。
 また、政策評価をより一層予算に活用するとの観点から、平成15年度以降、毎年度、予算措置を伴う事業のうち新規あるいは拡充を予定している主なものを対象として事業評価(事前評価)を実施することとし、事業評価書を作成・公表しました。さらに、過去に事業評価(事前評価)を実施し、効果が発現した事業のうち主なものを対象として事業評価(事後評価)を実施することとし、事後事業評価書を今年度初めて作成・公表しました。
 
 
【参考】
 政策評価とは、各府省が自らその政策の効果を把握・分析し、評価を行うことにより、次の企画立案や実施に役立てるものです。
 なお、政策評価には以下の3つの方式があります。

(1) 実績評価方式
 政策を決定する際に、あらかじめ達成すべき目標を設定し、これに対する実績を定期的・継続的に測定するとともに、目標期間が終了した時点で、目標の達成度合いについて評価する方式。

(2) 事業評価方式

 政策を決定する前に、あらかじめ期待される政策効果等を推計・測定し、政策目的が妥当か、行政が担う必要があるか、費用に見合った効果が得られるかなどの観点から評価する方式(必要に応じ事後の時点で、事前の時点に行った評価内容を踏まえ検証)。

(3) 総合評価方式

 政策の決定から一定期間を経過した後に、特定のテーマについて、政策効果の発現状況を様々な角度から掘り下げて分析し、政策に係る問題点を把握するとともにその原因を分析するなど総合的に評価する方式。



.平成17年度実績評価書の内容
 今回は、平成17年度(17年7月〜18年6月)を対象とする政策評価実施計画に定めた28の政策について、実績評価を実施しました。
 具体的には、金融庁が法定任務を遂行していくための28の政策について予め目標を定め、それぞれ目標の達成に向けて行った業務内容等を分析し、各政策の評価を行いました。なお、今回から評価結果が分かりやすいものとなるよう、パターン化した基本類型を参考に、政策ごとに「端的な結論」を付しています。


.平成18年度事業評価書の内容
 今回は、情報等の分野の事業で、平成19年度に予算措置を伴う事業のうち新規あるいは拡充を予定している主なものを対象に、事業評価(事前評価)を実施しました。
 事業評価(事前評価)の実施に当たっては、事業の目標、目的及び内容を明らかにするとともに、必要性、効率性、有効性の観点から評価を行っています。


.平成18年度事後事業評価書の内容
 過去に事業評価(事前評価)を実施し、効果が発現した事業のうち主なものを対象に、事業評価(事後評価)を初めて実施しました。
 事業評価(事後評価)の実施に当たっては、具体的成果を踏まえ、法律に示されている必要性、効率性、有効性等の観点から検証を行っています。


 詳しくは、金融庁ホームページの「報道発表資料」から「平成17年度実績評価書」、「平成18年度事業評価書」、「平成18年度事後事業評価書」及びそれらの要旨の公表について(平成18年8月31日)にアクセスしてください。

検査モニターの運用改善について

 検査モニター制度のより一層の活用を促すため、平成18検査事務年度より、オフサイト検査モニターについて、以下の点について運用の改善を実施します。

(1)

 オフサイト検査モニターについて、現行の記述式部分を廃止し、アンケート方式に統一します。

(2)

 オフサイト検査モニターのアンケート方式を以下の2種類にて実施します。
 
(1)  「アンケート方式(1)」
 
内容:検査の執行状況等に係る事項
提出期間:立入検査開始から立入検査終了手続後10日以内(土・日・祝日除く)
(2)  「アンケート方式(2)」
 
内容:検査結果通知に係る事項
提出期間:検査結果通知から10日以内(土・日・祝日除く)

(3)

 アンケート項目を見直します。
 評定制度に関する意見欄を設けたほか、「前回検査と比較して」の質問項目については、評定制度等の制度の改廃等を含まない旨を明記しました。


 詳しくは、金融庁ホームページの「報道発表資料」から「検査モニターの運用改善について」(平成18年8月9日)または、「所管の法令・ガイドライン等」関連リンク「意見申出制度及び検査モニターのより一層の周知徹底について」にアクセスして下さい。

平成19年度税制改正要望について

 去る8月31日、金融庁は「平成19年度税制改正要望」を財務省及び総務省に提出しました。
 本年の要望は、金融システムの一層の活性化を図り、
 1.「豊かで強く魅力ある日本経済」
 2.「安心で柔軟かつ多様な社会」
の実現に資する観点から、必要な税制上の措置を要望しています。


.豊かで強く魅力ある日本経済を実現する観点からは、
 
(1)  漸く緒に就き始めた「貯蓄から投資へ」の流れを加速・定着させるため、
(イ)上場株式等の譲渡所得に係る優遇税率(10%)の継続、
(ロ)配当所得に係る適切な軽減措置、
(2)  「金融商品課税の一体化」に向けた取組みとして、上場株式等の譲渡損失と配当所得との間の損益通算を可能とすること等、
(3)  金融機関について、不良債権問題の再発防止及び繰延税金資産の資産としての脆弱性に対処するため、
(イ)貸倒れに係る無税償却・引当の範囲拡大、
(ロ)欠損金の繰戻還付制度の凍結解除・期間の延長等、
(4)  信託法改正に伴う税制上の措置については、現行の信託税制の考え方を基本とするとともに、円滑な信託取引の実現に十分な配慮を行うこと、等を要望しています。


.安心で柔軟かつ多様な社会を実現する観点からは、
 
(1)  遺族・老後・医療・介護保障に係る自助努力を支援するため、多様なニーズに対応した簡素でわかりやすい汎用的な新たな生命保険料控除制度の創設、
(2)  自然災害等生活におけるリスクへ対処するため、火災保険等にかかる異常危険準備金制度を拡充すること、等を要望しています。


 詳しくは、金融庁ホームページの「報道発表資料」から「平成19年度税制改正要望について」(平成18年8月30日) にアクセスして下さい。

平成19年度概算要求の概要について


.はじめに
 多様な金融商品やサービスが普及している中で、金融サービスの利用者保護を図り、利用者が安心して安全に取引を行うことができるように、市場監視機能の強化や消費者保護施策等の推進を図ることが必要となっています。また、平成19年10月の郵政民営化を踏まえ、郵政民営化への的確な対応を確保することが重要です。さらに、利用者の利便性向上や業務の効率化のため、情報システムを整備することが必要となっています。金融庁では、これらの課題に対応するための諸施策等を実施するために必要な機構・定員及び予算の要求を行っています。


.機構・定員要求の内容
 金融庁としては、平成19年度機構・定員要求においては、「市場監視機能の強化」、「消費者保護施策等の推進」及び「郵政民営化への対応」の三つを体制整備の重点化項目としています。

(1) 市場監視機能の強化

 金融商品取引法の施行に伴い、開示検査や課徴金調査の対象が拡大されたことやファンド等が新たに監督対象とされたこと等から、金融商品取引法等の適切な運用のために必要な証券市場監視・監督体制を大幅に強化することとしています。また、恒常的に変貌を遂げている市場・企業開示に係る制度の企画・立案体制を強化するとともに、監査法人や公認会計士に対する検査・監督体制を強化することとしています。

(2) 消費者保護施策等の推進
 貸金業者や銀行、保険会社等に対する検査・監督体制及び金融サービス利用者相談・広報の体制を整備するとともに、消費者保護施策等の推進に関する制度の企画・立案体制を整備することとしています。

(3) 郵政民営化への対応
 郵政民営化関連法に基づき、平成19年10月から郵便貯金銀行及び郵便保険会社が、それぞれ銀行業及び保険業を開始することを踏まえ、民営化の円滑な実施により我が国全体としての金融システムがより効率的で利便性の高いものとなるよう、検査・監督体制を整備することとしています。
 これらの体制整備のため、総務企画局34人、検査局27人、監督局36人、証券取引等監視委員会86人、公認会計士・監査審査会12人、総計195人の増員要求を行っています。

(参考 平成19年度定員要求)
(参考 平成19年度定員要求)
 

(注

)この他、マネーロンダリング・テロ資金対策強化のための法整備に伴い、FIU(犯罪に関連する疑いのある取引の情報を整理・分析して警察等へ提供する機関)を警察庁へ移管。



.予算要求の内容
 平成19年度予算要求については、歳出全般にわたる徹底した見直しを行った上で、(1)市場監視機能の強化や消費者保護施策等の推進などのための増員(195人)に必要な経費の他、(2)利用者の利便性向上や業務の効率化のため、業務・システムの最適化計画に基づく情報システム整備等に必要な経費、(3)機動的な検査・監視の実施、海外当局との連携強化等に必要な経費などを織り込み、総額で約249億円(対前年度比18.1%増)の要求を行っています。
 なお、預金保険機構に係る政府保証枠については、金融システムの安定を引き続き揺るぎないものとするとの考え方に基づき、48兆1,500億円を要求しています。


 詳しくは、金融庁ホームページの「報道発表資料」から「平成19年度機構・定員及び予算要求について」(平成18年8月29日)」にアクセスしてください。

広告の表示等に係る取組みについて


.金融機関がチラシ等による広告を作成するに当たって、その内容が誤認されることがないよう分かりやすい表示が行われることは、利用者保護及び利用者利便の観点から極めて重要であります。
 こうした中、先般、金融機関による広告の表示に関連し、公正取引委員会から景品表示法の有利誤認に係る規定に違反するおそれがあるとして、警告を受ける事態が発生しました。
 平成16年5月にも、公正取引委員会から外貨定期預金の利息額表示に関する警告を受けている事案が発生しており、金融機関が顧客に誤認されるような表示を行い、再度の警告を受けたことは遺憾であります。
 さらに、金融商品の多様化に伴い、投資信託や保険商品に加え、デリバティブを組み込んだ新たな形態の預金商品(いわゆる仕組預金)等、その商品のリスク性、複雑さゆえに、広告等に当たり、顧客に十分な説明を必要とする商品もみられるようになってきています。


.当局としては、本年8月9日に公表した平成18事務年度主要行等向け監督方針等における重点事項として、利用者保護ルールの徹底と利便性の向上を掲げています。その具体的な着眼点として、顧客への説明態勢及び相談・苦情処理機能の充実・強化等の検証を行っていくこととしています。


.このため、各金融機関に対し、今回の警告の趣旨や監督方針における重点事項の趣旨を踏まえ、顧客が誤認するおそれのない分かりやすい広告の表示等に努めるよう要請しました。また、「銀行業における表示に関する公正競争規約」を制定している全国銀行公正取引協議会に対し、顧客が誤認するおそれのない分かりやすい広告の表示を行うための一定の基準を策定し、その周知徹底を図ることを要請しました。


.なお、各金融機関が広告の表示や顧客への説明態勢の充実・強化等を適切かつ十分に取り組んでいることを前提に、当局の定例の検査において把握した内容、金融サービス利用者相談室等へ寄せられている情報等を踏まえ、必要に応じて監督上の対応を行っていくこととなります。


 詳しくは、金融庁ホームページの「報道発表資料」から、「広告の表示等に係る取組みについて」の公表について(平成18年8月9日)にアクセスしてください。

平成18年3月期における不良債権の状況等(ポイント)

 金融庁では、平成18年8月8日、平成18年3月期の不良債権の状況について公表しました。
 以下、平成18年3月期の不良債権の状況についてご説明します。

 平成18年3月期の全国銀行の不良債権残高(金融再生法開示債権ベース)は13.4兆円となり、平成17年3月期の17.9兆円と比べて▲4.6兆円の減少となりました。
 不良債権比率についてみると、主要行、地域銀行、全国銀行とも平成17年3月期に比べて低下し、いずれも金融再生法開示債権の公表を開始(平成11年3月〜)して以来最低の水準となりました。
 

 特に主要行の不良債権比率は、「金融再生プログラム」(平成14年10月)における不良債権比率の半減目標を達成した平成17年3月期の2.9%から、さらに▲1.1%低下して1.8%となりました。
 また、地域銀行についても、地域密着型金融(リレーションシップバンキング)の機能強化に向けた取組みが着実な進展を見せる中、不良債権比率は、全体として着実に低下しています。
 金融庁は、今後も、不良債権問題が再び発生し、それが日本経済の足枷となることのないよう、引き続き金融機関の監督に万全を期していきます。


 詳しくは金融庁ホームページの「報道発表資料」から「18年3月期における不良債権の状況等(ポイント)」(平成18年8月8日)、または「所管金融機関の状況(状況の一覧へ)」から「不良債権の状況等(平成18年3月期(平成18年8月8日))」にアクセスしてください。
 

 不良債権比率(=不良債権(金融再生法開示債権)/総与信額)

 不良債権比率の半減目標:平成16年度(平成17年3月期)には、主要行の不良債権比率を平成14年3月期(8.4%)の半分程度に低下させるという目標。


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