18年8月に実施した「中小企業金融モニタリング」の取りまとめ結果の公表について

 「中小企業金融モニタリング」は、中小企業金融の円滑化に向けた取組みの一環として、財務局・財務事務所職員が、商工会議所等、日本公認会計士協会地域会及び税理士会の協力を得て、各地域における中小企業から見た中小企業金融の実情等について的確に把握するために四半期毎に実施しているものです。
 今般、18年8月に実施した中小企業金融モニタリングの結果を当庁において以下のとおり取りまとめ、公表しました。
 今回の調査結果について俯瞰してみると、
 (a)  中小企業金融に関する最近3ヶ月間の貸出動向については、地域毎にばらつきは見られるものの、全11地域において「積極的である」、「やや積極的である」との意見が概ね50%〜80%を占めており、また、「消極的である」、「やや消極的である」との意見は全地域において10%を下回っています。
 (b)  また、中小企業金融の実情については、借り手側の財務内容に応じて融資姿勢に格差が生じているといった意見も聞かれるが少数であり、各金融機関においては、担保・保証に過度に依存しない融資など前向きな動きが着実に拡大しています。
 金融庁としては、今後とも本モニタリングを通じて中小企業金融の現場の声を積極的に把握するとともに、得られた情報について、金融機関の検査・監督の実施に当たり重要な情報として活用するなど、中小企業金融の円滑化に向けて引き続き努力していきます。


.モニタリング聴取先について

 全国47都道府県の商工会議所、商工会連合会、商工会、中小企業団体中央会等の経営相談に携わる者、税理士、公認会計士393人(248団体)からヒアリングを行いました。
団体先 聴取人数(団体数)
商工会議所 144人( 70)
商工会 109人( 96)
商工会連合会 46人( 21)
税理士会 32人( 24)
中小企業団体中央会  20人( 13)
日本公認会計士協会 27人( 19)
商工会議所連合会 6人(  3)
中小企業家同友会 9人(  2)
合 計 393人(248) 

(注

)当モニタリングは毎回同じ訪問先に調査を行うといった定点観測ではないため、ヒアリング対象数、対象先が調査実施毎に異なる場合があります。


.ヒアリング結果概要
 
(1)  「中小企業金融に関する最近3ヶ月間の貸出動向について」のヒアリング結果概要
 
(a)  地域毎の概要
 
各地域毎にばらつきは見られるものの、全地域において「積極的である」、「やや積極的である」との意見が概ね5割〜8割を占めています。また、「消極的である」、「やや消極的である」との意見は全地域において1割未満となっています。
 
 

(b)

  業態毎の概要
 
最近3ヶ月の
動向
主要行 地方銀行
第二地方銀行
信用金庫
信用組合
政府系
金融機関
全 体
1積極的である 60 26.8% 91 24.5% 100 27.7% 137 36.7% 388 29.2%
2やや積極的である 71 31.7% 162 43.7% 144 39.9% 126 33.8% 503 37.8%
3どちらとも言えない 74 33.0% 93 25.1% 92 25.5% 85 22.8% 344 25.9%
4やや消極的である 12 5.4% 17 4.6% 23 6.4% 22 5.9% 74 5.6%
5消極的である 7 3.1% 8 2.2% 2 0.6% 3 0.8% 20 1.5%

合 計

224 100.0% 371 100.0% 361 100.0% 373 100.0% 1329 100.0%
 
(注1) 当モニタリングは毎回同じ訪問先に調査を行うといった定点観測ではありません。
(注2) 上記表は、有効回答の内訳を表したものです。無回答及び不明は含まれておりません。このため、聴取人数と意見の合計数は一致しません。
 


 上記表の「4 やや消極的である」・「5 消極的である」を選択したものの理由
 
上記4・5の理由 主要行 地方銀行 信用金庫 政府系
金融機関
全 体
第二地方銀行 信用組合
新規融資姿勢関連 9 34.6% 10 27.0% 10 24.4% 13 41.9% 42 31.1%
担保・保証関連 3 11.5% 8 21.6% 8 19.5% 1 3.2% 20 14.8%
金利関連 3 11.5% 2 5.4% 5 12.2% 2 6.5% 12 8.9%
融資条件関連 5 19.2% 11 29.7% 13 31.7% 7 22.6% 36 26.7%
審査手続関連 4 15.4% 3 8.1% 4 9.8% 7 22.6% 18 13.3%
その他 2 7.7% 3 8.1% 1 2.4% 1 3.2% 7 5.2%
合 計 26 100.0% 37 100.0% 41 100.0% 31 100.0% 135 100.0%
 
(注) 一つのヒアリング先から複数の意見が寄せられることもあるため、上記4・5の合計回答件数(94件)と上記表の全体の合計回答件数(135件)は一致しません。

(2)

 「中小企業から見た地域における中小企業金融の実情等について」のヒアリング結果概要
 
 中小企業から見た地域における中小企業金融の実情等について以下の9項目を聴取しました。
 
 
 (a) 融資姿勢に関するもの
 (b) 担保・保証に関するもの
 (c) 経営指導に関するもの
 (d) 創業・再生支援に関するもの
 (e) 融資の際の説明態勢に関するもの
 (f) 金融機関の資質・能力に関するもの
 (g) 融資の際の審査期間に関するもの
 (h) 金利に関するもの
 (i) その他
 
(注 )今回ヒアリングより、従前のヒアリング項目「経営指導・創業再生支援に関するもの」については、創業・再生支援の実情をより適切に把握する観点から「(c) 経営指導に関するもの」及び「(d) 創業・再生支援に関するもの」に分けてヒアリングを実施しています。
 


 各項目に寄せられた主な意見は以下のとおりです。
 
(注 )主な意見における(  )内は、意見を収集した財務局名を指すが、同一財務局において多様な意見を収集しており、それぞれの意見を抜粋して記載しています。

(a) 融資姿勢
 
  • 貸し渋り・貸し剥がしといった声は聞かれず、信用保証協会等の制度融資を活用するなど、積極的に新規融資を実行している(全地域)。
  • 業況が良好な企業に対する融資姿勢については、低金利又は無担保、無保証等、有利な融資条件で新規開拓を図っており、金融機関間の競争が激しくなっている(全地域)。
  • 一方、業況不芳な企業に対する融資姿勢については、短期資金の借り換え時に実行期間を短縮するなど、融資姿勢は消極的である(全地域)。
(b) 担保・保証
 
  • 経営者の資質や事業計画・将来性を重視した融資が見られるなど、従前より担保・保証に対する過度の依存は見られない(全地域)。
  • 信用保証協会の制度変更(第三者保証は原則不要)により保証協会の保証付融資の利用が増えているほか、これを背景として、プロパー融資においても無担保・無保証人融資の商品が多くなっている(全地域)。
  • 「中小会社会計基準適用に関するチェックリスト」に基づく審査を行い、無担保・無保証の商品を販売している(北海道、北陸)。
  • 業況不芳な企業については保証協会の保証付融資が必須条件となるなど、依然として担保・保証に依存した融資姿勢が見られる(全地域)。
(c) 経営指導
 
  • 経営指導を行う専門部署の設置、異業種交流会の開催による販路拡大支援など、経営指導については組織として積極的に対応している(全地域)。
  • 企業におけるリストラ・遊休不動産の処分に当って積極的に協力するなど、経営指導については強化されつつある(北海道、東北、東海、北陸、中国、四国、九州、福岡、沖縄)。
  • 企業の財務内容を分析し具体的な経営指導を行うなど、積極的な対応を行っている(北海道、東北、関東、東海、北陸、中国、四国、九州、福岡)。
  • 経営相談の専門部署を設置しているものの、実態は債権管理にとどまるなど、積極的な経営支援は行われていない(全地域)。
  • 職員削減・店舗統廃合による事務の増加などから、職員に対する研修・人材育成などの体制整備は行われていない(北海道、東北、関東、東海、北陸、近畿、中国、四国、福岡)。
(d) 創業・再生支援
 
  • 創業・再生支援の専門部署を設置するほか、私募債の発行に対応するなど、積極的に対応している(北海道、東北、関東、東海、北陸、近畿、中国、四国、福岡)。
  • 経営改善計画や資金繰り計画策定に対する助言や、債権売却・営業譲渡・会社分割等の手法により支援するなど、積極的に再生・支援を行っている(北海道、東北、関東、北陸、中国、四国、九州)。
  • 企業の業況が少し悪化した段階においては、担保保全や債権回収を優先させたいとの姿勢が感じられるなど、積極的な再生支援は行われていない(全地域)。
  • 専門部署を設置するなど体制整備を図っているが、金融機関にノウハウが不足していることなどから支援実績が少ない(北海道、東北)。
(e) 融資の際の説明態勢
 
  • 与信取引説明書に基づき債務者・保証人の両者に説明を行うほか、融資申込書の添付書類一式を見せながら説明を行うなど、十分な説明を行っている(全地域)。
  • 説明態勢については、マニュアル化や行内研修実施により厳格な取扱いに努めているなど、組織として説明の充実に向けた取組みがなされている(北海道、東北、北陸、近畿、中国、四国、九州、福岡)。
  • 融資が困難な場合、そのように判断する要因(経営状況・財務内容等)についても説明が行われるなど、融資拒絶等に際しても丁寧な説明が行われている(北海道、東北、関東、四国、九州)。
  • 融資条件について、変動金利であることを認識しないままに契約していた事例のほか、少額融資の一本化に際して保証料率や貸付利率の説明がなされなかったなど、説明不足と認められる事案が見られた(東北、関東、東海、近畿、中国、四国、九州、福岡、沖縄)。
(f) 金融機関の資質・能力
 
  • FP(ファイナンシャル・プランナー)・中小企業診断士の資格取得を促すなど、積極的な取組みが見られる(全地域)。
  • 企業の財務内容だけでなく、経営者の資質、事業の将来性、企業の技術力、ビジネス・プランにも着目した融資・審査に取り組んでいる(北海道、東北、関東、東海、北陸、四国、九州、福岡、沖縄)。
  • 制度融資に関する理解不足のほか、短期間の財務諸表にのみ着目して融資判断を行っており企業の技術力・成長性、経営者の資質を見抜く能力が低いなど、目利き能力が不足している(全地域)。
(g) 融資の際の審査期間
 
  • 融資申請に当り、借手側が回答期限を明示し、金融機関側も期限内の回答に応じるなど、審査期間については特に問題となっていない(北海道、東海、北陸、近畿、中国、四国、九州、福岡、沖縄)。
  • 審査期間については、早ければ即日にも融資可否が決定される商品(スピードローン)を導入しているなど、審査期間は短期化している(北海道、東北、関東、近畿、中国、四国、九州、福岡)。
  • 審査手続きについては、金融機関から企業に対して早めに必要書類の提出要請等を行い、企業の負担とならないよう配慮されている(北陸)。
  • 担保評価に長期間を要した事例や、追加の資料を求められる事例などがあり、審査期間は長くなった(北海道、東北、関東、近畿、中国、四国、九州、福岡)。
(h) 金利
 
  • 企業に対する信用格付けの付与に伴い、信用リスクに見合った金利水準が設定されている(全地域)。
  • 日銀のゼロ金利政策解除により金利は上昇局面にあるが、このような環境変化を踏まえれば、現状の金利水準に不満はない(北海道、東北、東海、北陸、近畿、中国、四国、九州、福岡)。
  • 金融機関間の貸出競争などから、金利は低下傾向にある(関東、東海、四国)。
  • 預金金利と貸出金利との乖離が大きいなど、金利水準に対する不満は依然として高い(北海道、関東、北陸、近畿、中国、四国、九州、福岡)。
  • 業況が良好な債務者と、業況不芳の債務者との金利格差が大きい、又は拡大傾向にあるなどの事例が見られる(北陸、近畿、四国、福岡)。
  • 日銀のゼロ金利政策解除により一時的に金利は上昇した。現状は落ち着いているが、過度の金利上昇につながらないよう指導していただきたい(北海道、東北、東海、近畿、四国、九州)。
(i) その他
 
  • 個人情報保護法施行により、個人情報の取扱いが厳正になったのは理解できるが、金融機関での手続きが煩雑になり過ぎて非常に不便である。今後、運用面の緩和を望む(北陸)。
  • 中小企業が金融機関に対して最も重要視しているのは、「安定した資金供給」である。金融機関は「金融環境の変化に対応できているか」、「CS(顧客満足)の観点で顧客に役立つサービスを行っているか」等、現状の中小企業金融に関する改善点(着目点)は数多くあるのではないか。今後、金融機関は経営方針を明確にしたうえで、顧客の評価を検証していく姿勢が必要(近畿)。
  • 信用保証協会の「信用保証率体系の改正」については、これまで一律だった保険料率が債務者の定性要因を加味して適用料率を決定するよう変更されたところだが、定性要因をどのように判定していくのか注視していきたい(九州)。
(3)  「中小企業金融の円滑化策の浸透を示す事例について」のヒアリング結果概要
  • 中小企業金融モニタリングでは、中小企業金融の円滑化策の浸透を示す事例として、毎回、検査・監督に関する特定のテーマを設定し調査を行っています。
  • 今回の質問調査事項とそれに対する主な意見は、以下のとおりです。
(a)  金融検査マニュアル別冊[中小企業融資編](改訂版)の中小企業への浸透状況について
【寄せられた主な意見】
  • 商工会等連合会のセミナー等で講習会を行っており、徐々に浸透しつつある。
  • リーフレットは承知しているが、中小零細企業への浸透度はまだ薄く、マニュアルの存在を知 らない経営者は多い。
  • 商工会等の支援機関は取組については承知しているが、経営者側において認知及び理解をしている企業は少ない。
  • テレビ・ラジオCM等での広報活動を望む。
(b)  担保、保証に過度に依存しない融資、及び担保・保 担保、保証に過度に依存しない融資、及び担保・保証徴求について
i .担保・保証に関する説明態勢について
 担保・保証の契約時、又は条件変更時における、契約の内容、契約の客観的合理的理由、又は契約の意思確認についての説明に関する具体例について聞いたところ、主な回答は以下の通りとなりました。
 
 担保・保証に関する説明態勢について、特段の不満等は聞いていない(北海道、関東、北陸、東海、四国、沖縄)。
 特に不十分な例はない。説明にあたってはパンフレットを作成して、それに従って説明している事例がある(東北)。
 保証期限の更新時には金融機関担当者が来訪し、丁寧な説明のうえ保証人意思確認を行っている(北陸)。
 金融機関は十分な説明を行っていると思うが、経営者側がきちんと説明を聞いていない場合もあり、結果的に十分理解していない経営者がいるのではないか(四国)。
 担保設定の条件について、抵当権と根抵当権設定の違い、又は根抵当の設定金額など、説明が不十分な場合がある(関東、中国)。
 

ii

.担保・保証に過度に依存しない融資の融資手法の多様化について
 担保・保証に過度に依存しない融資の各融資手法の取組み状況を聞いたところ、以下の通りとなりました。
多く取り組まれていると聞いている融資手法・・・・・  ◎
取り組まれている事例があると聞いている融資手法・・  ○
取り組まれている事例を聞いたことがない融資手法・・
 
 ×
 
 
 

(注)

(a)

 スコアリングモデルを活用した融資

 借り手企業の財務情報等から統計的に倒産確率などを算出し、そのリスクに見合った融資条件とすることで、原則無担保、第三者保証不要としている融資
  (b)  財務諸表の精度が相対的に高い企業への融資
 例えば、「中小企業の会計に関する指針」(日本税理士会連合会等が策定した中小企業向け会計指針)の適用に関するチェックリストを税理士が作成し、同会計指針が適用されていることを確認する等の方法によって、財務諸表の精度が相対的に高い企業に対し、担保保証等の融資条件を優遇した融資
  (f)  ABL(流動資産一体担保型融資)
 在庫が販売され売掛金となり、売掛金が回収され流動預金となるライフサイクルに着目し、在庫、売掛金、流動預金、を一体として担保取得するとともに、一定の融資極度枠を設定するスキーム
  (g)  CLO
融資債権を裏付けとした証券を投資家に販売することで金融市場から資金を調達する手法
(地方公共団体、信用保証協会、政府系金融機関等が関与して、中小企業向けの無担保融資を裏付けとしたCLOを発行する事例がある)
  (h)  コベナンツ(財務制限条項)を活用した融資
 借入時点において、予め将来の財務内容、事業運営等の誓約をさせることで、借り手企業の事業運営の確実性、透明性を高め、担保・保証への依存を小さくしている融資
 
寄せられた意見は以下の通りです。
(a)  スコアリングモデルを活用した融資
 
 スコアリングモデルを活用した融資で、迅速な融資判断を行っている銀行、信用金庫がある(北海道、東海)。
 ほとんどの金融機関が積極的に取り扱っている(関東、福岡、沖縄)。
 スコアリングモデルでは基準をクリアしたが、審査で拒否された事例がある(関東)。
 保証協会の保証諾否・内容を検討する手法の1つとしてスコアリングモデル(CRDモデル)が原則使用されている(関東)。
 地銀等では顧客毎にスコアリングモデルによるリスク管理を実施しており、できる限り担保・第三者保証に依存しない、あるいは金利面で積極的な姿勢をとっている(北陸)。
 スコアリングモデルでは、財務データしか見ておらず、経営者の資質を含めた企業の実態をどこまで見ているか、業績変動時に対応できるか不安である(近畿)。
 都銀が税理士会と連携したスコアリングモデルを活用した融資を積極的に販売している(近畿)。
 当会会員は零細企業ばかりで、利用実績はあまり上がっていないと思われる(四国)。
(b)  財務諸表の精度が相対的に高い企業への融資
 
 税理士会の作成する財務諸表を導入している企業については、信用金庫が優先的に融資を行っている(北海道)。
 「中小企業の会計に関する指針」を使用している企業に対し、金利や保証利率の優遇を行っている(関東、北陸、東海)。
 税理士会と提携した、財務諸表の精度が高い企業への優遇ローンのある金融機関がある
(関東、四国)。
 「中小企業の会計に関する指針」は、保証協会の保証料率に影響しているためほぼ全部が採用しているが、高度な経理処理を要求しており、これに従って会計処理を行うことは困難である(東海)。
 税理士から聞いたことがある程度で詳細は承知していない(四国)。
(c)  私募債
 
 金利が高く、実績は少ないと聞いている(東北)。
 低利で安定的な資金調達のため、地域銀行を窓口として私募債を発行した(関東)。
 銀行からの提案で私募債としたが、なぜ私募債としたのか、会社側で理解されていない事例がある(東海)。
(d)  売掛債権担保付融資
 
 町内金融機関全てで取り扱っており、浸透もしている(関東)。
 保証協会付での各金融機関の利用が増えている(関東)。
 与信枠がいっぱいになっている者などに対し、売掛債権担保付融資(県の制度融資)活用での融資が実行されている(東海)。
 手形割引と同様の役割を果たすため多くの会社で利用している(東海)。
 売掛債権を担保とするためには、売掛先の承諾を要する場合があることから、売掛先の印象を悪くするため、同融資手法は使いづらいとよく聞いている(近畿)。
 建設業者、食品製造業者に対し、売掛債権担保付融資を実行したと聞いている(四国)。
 県の制度融資はあるが実行例は聞いていない(九州)。
(e)  シンジケートローン
 
 東北の地銀・第二地銀10行が、地元企業に対しシンジケートローン契約を締結した(東北)。
 県・市再開発事業の際に、メガバンク及び地元有力金融機関が取り組んでいる。但し、県・市の工事を受注しても、工事完了後の債権が確定しないと使用できず、時間がかかりすぎるのではないかと思われる(関東)。
 大手行及び上位地銀においては、シンジケートローンのアレンジャーとして多くの事例が見られる(福岡)。
(f)  動産担保型融資(ABL含む)
 
 19トンまでの船舶を動産担保として、20件ほどの融資が実行されている(四国)。
 地域銀行が政府系金融機関と提携して、ABLを行った事例を聞いた(福岡)。
(g)  CLO
 
 地元信金が政府系金融機関と提携した商品の取扱を開始した(東北)。
 福岡県の制度融資として取り組まれている(福岡)。
(h)  コベナンツ(財務制限条項)を活用した融資
 
 政府系金融機関との協調融資においてコベナンツを取り入れた覚書を締結し、製材業の工場移転資金の融資を実行した事例がある(東北)。
(i)  知的財産権担保融資
   (寄せられた意見なし)
 その他全般に対するもの
 
 新聞等の情報で見聞きしている程度で、中小企業、零細企業には関わりが薄いのではないか(東北、東海)。
 

iii

.第三者保証人について

 民間金融機関が第三者保証人を求めているかについて聞いたところ、以下の通りとなりました。
 「借入人の財務内容等によるが、第三者保証人を求める場合は少ない」、「第三者保証人を求めていない」とする意見が半数を超えています。

 

iv

.包括根保証制度の廃止について
 
17年4月の民法改正により、包括根保証制度が廃止されたが、その廃止に伴い、例えば、資金調達が困難になった、追加の保全を求められた、といったトラブル発生の有無について聞いたところ、以下の通りとなりました。



.「中小企業金融モニタリング」の活用状況について
 
(1)  ヒアリングの実施
 中小企業金融モニタリングで得られた個別金融機関に関する情報を活用し、当該金融機関の対応方針、態勢面等についてヒアリングを行いました。
(2)  意見交換会における要請(金融庁での活用)
 金融庁幹部と業界団体代表者の意見交換会(毎月開催)等において、中小企業金融モニタリングで得られた事例について紹介しています。具体的には、事業からのキャッシュフローを重視し、担保・保証に過度に依存しない融資を含む健全な中小企業に対する資金供給の一層の円滑化や、これまでの取引関係や顧客の知識、経験及び財産の状況を踏まえた、顧客の理解と納得を得るような十分な説明の実施、金融検査マニュアル別冊の周知等について要請を行っています。
(3)  地域金融円滑化会議の活用等(財務局等での活用)
 都道府県毎に設置し、半期毎に開催している「地域金融円滑化会議」(金融当局、中小・地域金融機関及び関係業界団体から構成)や、財務局幹部等と金融機関代表者との面談など諸々の機会を通じて、顧客への説明態勢の整備や相談・苦情処理機能の強化について注意喚起を行うとともに、中小企業金融の円滑化に向けた取組みの要請を行っています。
 


  詳しくは、金融庁ホームページの「報道発表資料」から、「18年8月に実施した「中小企業金融モニタリング」の取りまとめ結果の公表について」(平成18 年10月12日)にアクセスしてください。

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