マッカーシー金融サービス機構長官と会談する山本大臣 バーナンキ連邦準備制度理事会議長と会談する山本大臣
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目 次
【トピックス】
 主要行等向け監督方針及び証券会社等向け監督方針の付記について
 バーゼルII適用開始後における金融検査について
 新会計基準の公表等に伴う財務諸表規則等の改正について
 平成19年度機構・定員及び予算について
 金融審議会公認会計士制度部会における主な提言
 「地域密着型金融の機能強化の推進に関するアクションプログラム(平成17~18年度)」の進捗状況について(平成18年度上半期)
 地域銀行の平成18年度中間決算の概要について(暫定集計値)
 半期報告書の作成・提出に際しての留意事項について(平成18年9月中間期版)
 山本大臣の中国、英国および米国出張について
【特 集】
 金融審議会金融分科会第二部会・情報技術革新と金融制度に関するワーキンググループ 「電子登録債権法(仮称)の制定に向けて~電子登録債権の管理機関のあり方を中心として~」
【金融ここが聞きたい!】
【お知らせ】
 金融庁職員を装った投資勧誘等にご注意!
 利用者相談室満足度調査へのご協力のお願い
 金融庁庁舎の移転について(平成19年度)
 「金融機関におけるITの戦略的活用の推進に関するシンポジウム」の開催について
 大臣・副大臣・政務官への質問募集中
 新着情報メール配信サービスへのご登録のご案内
【12月の主な報道発表等】

【トピックス】

主要行等向け監督方針及び証券会社等向け監督方針の付記について

平成18年8月に公表した「平成18事務年度主要行等向け監督方針」では、資産運用手法の多様化への対応として、「主要行等においては、例えば、(i)クレジットデリバティブ取引、(ii)不動産ファンド向け融資、(iii)オルタナティブ投資、の増加など新たな手法を通じた収益確保の動きが見られる。こうした新たな取引形態に伴うリスクが正確に把握・管理されているかについて検証を行う。」との重点事項を示しています。

同じく平成18年8月に公表した「平成18事務年度証券会社等向け監督方針」においても、利用者保護として、「投資信託委託業、投資法人資産運用業、投資顧問業については、引き続き顧客に対する忠実義務や善管注意義務の違反行為の有無について厳正なチェックを行う。」ことや、適正な業務運営態勢の構築として、「業務の多様化・複雑化による潜在的な利益相反の増加等に伴い、法的リスクや風評リスクの適切な管理の重要性も増していると考えられる。こうした認識に基づき、証券会社等によるリスク管理態勢について、総合的なヒアリング等を通じて検証していくこととする。」との重点事項を示しています。

金融庁では、これらの方針を踏まえ、平成18年10月~11月にかけて、各金融機関に対し、不動産ファンドに対する投融資の実態把握のためのヒアリングを実施しました。そのヒアリング結果を踏まえ、以下の内容を留意事項として、それぞれの監督方針に付記することとしました。

1.地価については、

  •  3大都市圏の商業地が15年ぶりに上昇しているが、これは一部地域の大幅な上昇が圏内の平均上昇率を牽引していることによる
  •  実際に賃料が上昇しているのは東京都心等の一部に限られ、これまでの地価上昇は将来の賃料上昇期待による面が大きい

ことが伺えた。

2.また、

運用中の不動産ファンドが保有している不動産残高(簿価ベース)が、最近1年半で2倍以上になっているとの指摘もあるなど、不動産ファンド市場は拡大している。

3.このような中で、

  • 信託銀行は、不動産管理処分信託にかかる今春の行政処分も踏まえ受託審査を厳格化している模様。

  • 他方、主要行等の不動産ファンド向けノンリコースローンは、各金融機関でその取組みにかなりの差がありつつも、全体としてみれば、平成17年9月期の5兆円から平成18年9月期6.6兆円へと約3割増加しており、業種集中リスク等を勘案した、適正なリスク管理が行われているかについて十分留意する必要がある。

  • また、J-REITの運用会社等に対しては、利益相反取引防止態勢、物件取得時のデューデリジェンス態勢等、業務を公正かつ的確に遂行する態勢の整備状況について、今後も注視していく必要がある。

  • 証券会社に対しては、J-REITの引受、不動産私募ファンドの募集及びCMBS(商業用不動産担保証券)等の組成の際の審査態勢や、それらの商品の販売時における顧客への説明状況について、今後も注視していく必要がある。

金融庁は、これらの監督方針等に基づき、今後とも検査部局との連携の強化に努めるほか、厳正で実効性のある監督行政を効率的に遂行することとしています。

※ 詳しくは、金融庁ホームページの「報道発表資料」から「主要行等向け監督方針及び証券会社等向け監督方針の付記について」(平成18年12月26日)にアクセスしてください。


バーゼルII適用開始後における金融検査について

1.はじめに

金融庁では、平成18年12月26日、「バーゼルII適用開始後における金融検査について」を公表しました。

バーゼルII(新しい自己資本比率規制)は、各国の銀行監督に関する国際協調を目的とするバーゼル銀行監督委員会において、現行の自己資本比率規制を見直し、平成16年6月に合意されたものです。具体的には、第1の柱(最低所要自己資本比率)、第2の柱(金融機関の自己管理と監督上の検証)及び第3の柱(市場規律)からなり、各金融機関のリスク管理の高度化を図ることを目的としたものです。第1の柱においては、自己資本比率の算定の精緻化、具体的には、信用リスクの計測の精緻化や、自己資本比率の算定に新しくオペレーショナル・リスクの計測を導入することを求めています。また、第2の柱においては、金融機関が、第1の柱の算式に含まれないリスクも含め、自らが抱えるリスクを総体として適切に把握・管理することを求めています。さらに、第3の柱においては、情報の開示の充実を通じて市場規律の実効性を高めることを求めています。なお、バーゼルIIは、平成19年3月期から実施される予定となっています。(詳細については、「バーゼルII(新しい自己資本比率規制)について」をご参照ください。)

以下、本コーナーにおいては、「バーゼルII適用開始後における金融検査について」の概要等について説明します。

2.「バーゼルII適用開始後における金融検査について」の概要

  • (1)策定の趣旨

    前述したバーゼルIIについて、現行の金融検査マニュアルがこれに対応したものとなっていないことから、今般、バーゼルIIに対応した確認検査用チェックリストを策定することとしました。

  • (2)公表までの経緯

    平成18年10月、金融庁検査局内に民間の有識者・実務者を含む検討会(金融検査マニュアル改訂に関する検討会)を設置し、検討を開始しました。検討会においては、バーゼルII対応部分以外の部分も含め、専門的・技術的な観点から議論が行われました(詳細については、検討会議事要旨をご参照ください。)。

    このような検討会における議論を踏まえた上で、バーゼルII対応部分については、特に関係者の関心の高さに鑑み、他の改訂部分に先立ち、平成18年11月、パブリック・コメント手続に付し、広く一般からの意見をいただきました。寄せられた意見等を踏まえ、今般、最終案を公表することとなりました。

  • (3)公表内容

    「バーゼルII適用開始後のおける金融検査について」において、具体的には、○統合的リスク管理態勢、○自己資本管理態勢、○オペレーショナル・リスク管理態勢、○信用リスク管理態勢中の標準的手法・内部格付手法の各検証項目リストについて、各確認検査用チェックリストを策定・公表しました。また、統合的リスク管理態勢に係る今後の検査の方針として、○統合的リスク管理態勢に関する検証の考え方についても公表しました。本チェックリスト等については、19年4月以降に実施する検査において適用することを予定しています。

    なお、現在金融庁では、金融検査マニュアル全体について改訂作業中であり、今回公表されたチェックリストは、今後、他の改訂部分とともに全体の改訂の一部を構成することになる予定です。

    以下、○統合的リスク管理態勢、○自己資本管理態勢、○オペレーショナル・リスク管理態勢の各確認検査用チェックリストの内容について説明させていただきます(○標準的手法・内部格付手法の各検証項目リスト、及び○統合的リスク管理態勢に関する検証の考え方については省略します)。

3.統合的リスク管理態勢の確認検査用チェックリストの内容

  • (1)統合的リスク管理とは

    統合的リスク管理とは、金融機関の直面するリスクに関して、自己資本比率の算定に含まれないリスク(与信集中リスク、銀行勘定の金利リスク等)も含めて、それぞれのリスク・カテゴリー毎(信用リスク、市場リスク、オペレーショナル・リスク等)に評価したリスクを総体的に捉え、金融機関の経営体力(自己資本)と比較・対照することによって、自己管理型のリスク管理を行うことをいいます。

  • (2)主なチェック項目

    •  業務の規模・特性及びリスク・プロファイル等に見合った適切な統合的リスク管理態勢が整備されているか。
    •  金融機関の直面するリスクを統合的に特定・評価・モニタリング・コントロールする統合的リスク管理プロセスが有効に機能しているか。
    •  各種リスクを統一的な尺度で定量的に計測する「統合リスク計測手法」を採用している場合には、統合リスク計測態勢が適切に運営されているか。
  • (3)検証上の留意点

    検査官が統合的リスク管理態勢の検証を行うに際しては、金融機関による統合的リスク管理態勢の整備・確立に向けた自主的な取組を最大限に尊重しつつ、それが金融機関の戦略目標、業務の規模・特性及びリスク・プロファイルに加え、金融機関が採用しているリスク評価方法の複雑さ及び高度化の水準に見合った適切な統合的リスク管理態勢が整備されているかを検証することが重要であると記載しています。

4.自己資本管理態勢の確認検査用チェックリストの内容

  • (1)自己資本管理とは

    自己資本管理とは、自己資本充実に関する施策の実施、自己資本充実度の評価及び自己資本比率の算定を行うことをいいます。

  • (2)主なチェック項目

    •  経営計画、資本計画等に基づき、自己資本充実に関する施策を円滑に実行しているか。
    •  業務の規模・特性及びリスク・プロファイルに見合った適切な自己資本充実度の評価を行っているか。
    •  自己資本比率について、告示等の定めるところにより、正確に算出されているか。
  • (3)検証上の留意点

    検査官が自己資本管理態勢の検証を行うに際しては、金融機関が採用している自己資本充実度の評価方法の複雑さ及び高度化の水準に見合った適切な自己資本管理態勢が整備されているかを検証することが重要であると記載しています。

5.オペレーショナル・リスク管理態勢の確認検査用チェックリストの内容

  • (1)構成

    現在金融検査マニュアル全体について改訂作業中ですが、オペレーショナル・リスク管理態勢の確認検査用チェックリストの全体の構成は、以下のようにすることを予定しています。

    • 1.オペレーショナル・リスクの総合的な管理態勢(今般公表部分)

    • 2.各オペレーショナル・リスク管理態勢

      • (別紙1) 事務リスク管理態勢

      • (別紙2) システムリスク管理態勢

      • (別紙3) その他オペレーショナル・リスク管理態勢(当該金融機関がオペレーショナル・リスクと定義したリスクのうち、事務リスク及びシステムリスクを除いたリスク管理態勢)

  • (2)オペレーショナル・リスクとは

    オペレーショナル・リスクとは、金融機関の業務の過程、役職員の活動若しくはシステムが不適切であること又は外生的な事象により損失を被るリスク(自己資本比率の算定に含まれる分)及び金融機関自らが「オペレーショナル・リスク」と定義したリスク(自己資本比率の算定に含まれない分)をいいます。

    また、オペレーショナル・リスクの総合的な管理とは、金融機関全体として総合的に、オペレーショル・リスクを特定、評価、モニタリング、コントロール及び削減することをいいます。

  • (3)主なチェック項目

    •  業務の規模・特性及びリスク・プロファイル等に見合った適切なオペレーショナル・リスクの総合的な管理態勢が整備されているか。
    •  金融機関全体として総合的にオペレーショナル・リスクを管理する態勢が有効に機能しているか。
    •  オペレーショナル・リスク計量手法を用いている場合には、オペレーショナル・リスク計量態勢が適切に運営されているか。
  • (4)検証上の留意点

    検査官がオペレーショナル・リスクの総合的な管理態勢の検証を行うに際しては、金融機関の業務の規模・特性及びリスク・プロファイルに加え、金融機関が採用しているオペレーショナル・リスク定量(計量)化手法(基礎的手法、粗利益配分手法も含む。)の複雑さや高度化の水準に見合った適切なオペレーショナル・リスクの総合的な管理態勢が整備されているかを検証することが重要であると記載しています。

6.おわりに

本チェックリストはあくまでも検査官が金融機関を検査する際に用いる手引書として位置づけられるものであり、各金融機関においては、自己責任原則の下、本チェックリスト等を踏まえ創意・工夫を十分に生かし、それぞれの規模・特性等に応じた対応がなされることが期待されています。

また、これらのチェックリストを金融機関と共有することで、検査における金融機関と検査官の双方向の議論が充実し、より効率的かつ実効的な検査に繋がるとともに、金融行政の透明性の向上に資することが期待されます。

※ 詳しくは、金融庁ホームページの「報道発表資料」または「パブリックコメント」から、『「バーゼルII適用開始後における金融検査について」に対するパブリックコメントの結果について』(平成18年12月26日)にアクセスしてください。


1 今般公表した標準的手法・内部格付手法の各検証項目リストは、検査における検証の便宜上の観点から、金融庁告示第19号(銀行法第14条の2の規定に基づき、銀行がその保有する資産等に照らし自己資本の充実の状況が適当であるかどうかを判断するための基準)を整理したものです。検査においては、本検証項目リストを参考にしつつ、上記告示及び「バーゼルIIに関するQ&A」等に基づき検証が行われることとなります。


新会計基準の公表等に伴う財務諸表規則等の改正について

企業会計基準委員会(ASBJ)から平成18年8月11日に「繰延資産の会計処理に関する当面の取扱い」及び「金融商品に関する会計基準」が、平成18年7月5日に「棚卸資産の評価に関する会計基準」が公表されました。

これらの新会計基準等の公表に伴い、「財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則」(財務諸表規則)等の一部を改正するための内閣府令(内閣府令第88号)が平成18年12月26日に公布されました。

1.繰延資産の範囲等の規定の改正

  • (1)株式交付費

    「繰延資産の会計処理に関する当面の取扱い」(実務対応報告)では、新株発行費と自己株式の処分費は、株式の交付を伴う資金調達活動などの財務活動に要する費用としての性格は同じであること、また、会社法において、新株発行と自己株式の処分の募集手続は同一の規整に従うことになったことから、これまで繰延資産として会計処理することが認められなかった自己株式の処分費について、繰延資産として会計処理することが認められました。また、新株発行費と自己株式処分費は同様の性格を有することから両者を株式交付費として取り扱っています。

    実務対応報告の設定を受けて、財務諸表等規則等では、これまでの新株発行費の名称を株式交付費に変更し、その中に実質的に自己株式の処分費を含める改正を行いました。

  • (2)社債発行差金

    会社計算規則において、収入額が債務額と異なる社債は、事業年度の末日に適正な価格を付すことができるとされたことを受け、「金融商品に関する会計基準」が改正されました。改正会計基準では、発行した社債の貸借対照表価額について、収入額と債務額の差額を償却原価法(差額を償還期に至るまで毎期一定の方法で帳簿価額に加減する方法)に基づいて算定された価額とすることとされ、社債発行差金の規定は削除されました。

    この改正を受けて、財務諸表等規則等では、繰延資産の項目から社債発行差金を削除しました。

2.たな卸資産の評価及び表示に関する規定の改正

「たな卸資産の評価に関する会計基準」では、たな卸資産について、(1)販売目的で所有するたな卸資産と(2)市場価格の変動により利益を得る目的(トレーディング目的)で所有するたな卸資産に分けて規定しています。

(1)販売目的で所有するたな卸資産(販売目的のたな卸資産)については、原価法と低価法の選択適用を廃止し、たな卸資産の収益性が低下した場合には、帳簿価額を正味売却価額まで切り下げる処理が義務付けられました。(2)市場価格の変動により利益を得る目的(トレーディング目的)で所有するたな卸資産(トレーディング目的のたな卸資産)については、市場価格の変動を財務諸表に反映させる処理が導入され、期末に評価益を計上する処理が認められました。ただし、評価益又は評価損については、売上高に含めて計上されます。

新会計基準の設定を受けて、財務諸表等規則等では、たな卸資産について所有目的別に規定せず、低価基準を認めていたこれまでの規定を削除しました。その上で、(1)販売目的のたな卸資産については、帳簿価額の切下げ額について、原則として売上原価の内訳項目として表示すること、(2)トレーディング目的のたな卸資産については、原則として売上高に含めて表示することを規定しました。

3.適用時期

  • (1)繰延資産の範囲等の変更に係る規定

    内閣府令の施行日(平成18年12月26日)以後に提出する有価証券届出書、有価証券報告書及び半期報告書に記載される(連結)財務諸表及び中間(連結)財務諸表で、平成18年9月30日以後に終了する事業年度(連結会計年度を含む)及び中間(連結)会計期間に係るものから適用されます。

  • (2)たな卸資産の評価及び表示に関する規定

    平成20年4月1日以後に開始する事業年度(連結会計期間を含む)に係る(連結)財務諸表から適用されます。

※ 詳しくは、金融庁ホームページの「報道発表資料」または「パブリックコメント」から「財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則等の一部を改正する内閣府令(案)」に対するパブリックコメントの結果について」(平成18年12月26日)にアクセスしてください。


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