主要行等及び中小・地域金融機関向けの総合的な監督指針の一部改正について

1.はじめに

金融庁は、平成19年1月23日、ATMシステム及びインターネットバンキングのセキュリティ対策に関し、「主要行及び中小・地域金融機関向けの総合的な監督指針(以下、「監督指針」という。)」を改正しました。本コーナーにおいては、監督指針改正の経緯及び概要について説明させていただきます。

2.監督指針改正の経緯

当庁においては、ATMを巡る犯罪が多発したこと等を踏まえ、平成18年3月、警察庁や各金融関係団体を交えて「情報セキュリティに関する検討会」を設置しました。

同年3月から6月にかけて開催された検討会では、金融機関のATMシステム及びインターネットバンキングの情報セキュリティについて、犯罪手口や想定しうるリスクに関する詳細な情報を国内外の事例から網羅的に収集し、各種セキュリティ対策の有効性の検証を行い、検討結果を各金融機関に周知するとともに、その概要を公表しました。今般の監督指針の改正は、検討会における検討結果を反映させるために実施したものです。

なお、平成18年12月15日から平成19年1月15日までの間、パブリックコメントに付し、1月23日にお寄せいただいたご質問に回答するとともに、原案のまま適用することとしました。

3.改正の概要

今般の監督指針の改正は、ATMシステム及びインターネットバンキングのセキュリティ対策に係る監督上の着眼点等を明記したものであり、主な改正内容は以下のとおりです。

  • (1)内部管理態勢について

    • 自らの顧客や業務の特性に応じた検討を行った上で必要な態勢整備に努めているか。

    • リスク分析、セキュリティ対策の策定・実施、対策の効果の評価・見直しからなる、いわゆるPDCAサイクルが機能しているか。

  • (2)セキュリティの確保について

    • 体制構築時、利用時、被害発生時などの各段階におけるリスクを把握した上で自らの顧客や業務の特性に応じた対策を講じているか。

    • 個別の対策を場当たり的に講じるのではなく、セキュリティ全体の向上を目指しているか。

    • 本人認証については、個々の認証方式の各種犯罪手口に対する強度を検証した上で、取引のリスクに見合った適切な認証方式を選択しているか(インターネットバンキング)。

  • (3)顧客対応について

    • 顧客への周知が必要な場合、速やかに周知できる体制を整備するなど、被害を最小限に抑制するための措置を講じることとしているか。

    • 顧客自らが早期に被害認識を可能とするため、顧客が取引内容を適時に確認できる手段を講じているか。

    • 不正取引に係る損失の補償については、預貯金者保護法の趣旨を踏まえ、利用者保護を徹底する観点から、真摯な顧客対応を行う態勢が整備されているか(インターネットバンキング)。

※ 詳しくは、金融庁ホームページの「報道発表資料」から「主要行等及び中小・地域金融機関向けの総合的な監督指針の一部改正について」(平成19年1月23日)にアクセスしてください。


IOSCO国際コンファレンスの東京開催について

IOSCO国際コンファレンスが、本年11月8日(木)及び9日(金)の日程で、東京にて開催されます。IOSCO(証券監督者国際機構)とは、世界の116カ国・地域の182の証券監督当局、証券取引所等から構成される国際的な機関で、証券監督に関する原則や指針等の国際的なルールの策定などを行っています。

IOSCOでは、民間金融セクターとの交流を促進することを目的に、2004年から世界の主要な金融センターで国際コンファレンスを開催しています。第1回はニューヨーク、第2回はフランクフルトで開催され、昨年のロンドンでは、規制当局者や証券会社・銀行・運用会社などの経営幹部が約370名参加しました。

この国際コンファレンスは、証券行政のあり方や、その時々のタイムリーな金融・資本市場の話題について意見交換を行う場であり、昨年のロンドンでは、資産運用に対する規制の課題、監査・会計基準のコンバージェンス(国際的収斂)の行方、クロスボーダー化する市場・取引所に対する規制のあり方などについて、活発な議論が行われました。

今回、このような大規模な国際コンファレンスをホストすることは、金融庁発足以来初めてであり、今後、わが国が国際金融センターとしてのプレゼンスを高めていくうえでも、このコンファレンスを成功させることは重要と考えております。

金融庁では、コンファレンスの開催に向けての準備を本格化させるべく、先月1月22日に、総務企画局総務課内に「国際コンファレンス準備室(室長:総務課国際室黒澤企画官)」を設置しました。

※ 詳しくは金融庁ホームページの「報道発表資料」から「IOSCO国際コンファレンスの東京開催について」(平成19年1月22日)にアクセスしてください。


平成18年11月に実施した「中小企業金融モニタリング」の取りまとめ結果の公表について

「中小企業金融モニタリング」は、中小企業金融の円滑化に向けた取組みの一環として、財務局・財務事務所職員が、商工会議所等、日本公認会計士協会地域会及び税理士会の協力を得て、各地域における中小企業から見た中小企業金融の実情等について的確に把握するために四半期毎に実施しているものです。

今般、18年11月に実施した中小企業金融モニタリングの結果を当庁において以下のとおり取りまとめ、公表しました。

今回の調査結果について俯瞰してみると、

  • (a)地域毎にばらつきは見られるものの、全地域において「積極的である」、「やや積極的である」との意見が概ね6割~7割を占めています。また、「消極的である」、「やや消極的である」との意見は全地域において概ね1割を下回っています。

  • (b)また、中小企業金融の実情については、金融機関による融資先の選別が厳格であるなど融資姿勢が消極的といった意見も聞かれるが少数であり、各金融機関において、担保・保証に過度に依存しない融資など前向きな動きが着実に拡大しているとの意見が多く見られます。

金融庁としては、今後とも本モニタリングを通じて中小企業金融の現場の声を積極的に把握するとともに、得られた情報について、金融機関の検査・監督の実施に当たり重要な情報として活用するなど、中小企業金融の円滑化に向けて引き続き努力していきます。

1.モニタリング聴取先について

全国47都道府県の商工会議所、商工会連合会、商工会、中小企業団体中央会等の経営相談に携わる者、税理士、公認会計士422人(269団体)からヒアリングを行いました。

団体名 聴取人数(団体数)
商工会議所 168人 (83)
商工会 118人 (104)
商工会連合会 44人 (15)
税理士会 39人 (31)
中小企業団体中央会 22人 (12)
日本公認会計士協会 26人 (21)
商工会議所連合会 4人 (2)
中小企業家同友会 1人 (1)
合計 422人 (269)

(注)当モニタリングは毎回同じ訪問先に調査を行うといった定点観測ではないため、ヒアリング対象数、対象先が調査実施毎に異なる場合があります。

2.ヒアリング結果概要

  • (1)「中小企業金融に関する最近3ヶ月間の貸出動向について」のヒアリング結果概要

    • (a)地域毎の概要

      地域毎にばらつきは見られるものの、全地域において「積極的である」、「やや積極的である」との意見が概ね6割~7割を占めています。また、「消極的である」、「やや消極的である」との意見は全地域において概ね1割を下回っています。

      棒グラフ
    • (b)業態毎の概要

      最近3ヶ月の動向 主要行 地方銀行
      第二地方銀行
      信用金庫
      信用組合
      政府系
      金融機関
      全体
      1積極的である 50 23.9% 96 24.1% 121 31.2% 161 39.9% 428 30.6%
      2やや積極的である 69 33.0% 158 39.6% 158 40.7% 154 38.1% 539 38.5%
      3どちらとも言えない 69 33.0% 118 29.6% 86 22.2% 74 18.3% 347 24.8%
      4やや消極的である 13 6.2% 19 4.8% 18 4.6% 13 3.2% 63 4.5%
      5消極的である 8 3.8% 8 2.0% 5 1.3% 2 0.5% 23 1.6%
      合計 209 100.0% 399 100.0% 388 100.0% 404 100.0% 1400 100.0%

      (注1)当モニタリングは毎回同じ訪問先に調査を行うといった定点観測ではありません。

      (注2)上記表は、有効回答の内訳を表したものです。無回答及び不明は含まれておりません。
       このため、聴取人数と意見の合計数は一致しません。

      上記表の「4 やや消極的である」・「5 消極的である」を選択したものの理由
      上記4・5の理由 主要行 地方銀行
      第二地方銀行
      信用金庫
      信用組合
      政府系
      金融機関
      全体
      新規融資姿勢関連 10 33.3% 5 15.6% 10 37.0% 5 29.4% 30 28.3%
      担保・保証関連 4 13.3% 9 28.1% 5 18.5% 6 35.3% 24 22.6%
      金利関連 4 13.3% 0 0.0% 3 11.1% 0 0.0% 7 6.6%
      融資条件関連 6 20.0% 12 37.5% 3 11.1% 4 23.5% 25 23.6%
      審査手続関連 3 10.0% 4 12.5% 3 11.1% 0 0.0% 10 9.4%
      その他 3 10.0% 2 6.3% 3 11.1% 2 11.8% 10 9.4%
      合計 30 100.0% 32 100.0% 27 100.0% 17 100.0% 106 100.0%

      (注)一つのヒアリング先から複数の意見が寄せられることもあるため、上記4・5の合計回答件数(86件)と上記表の全体の合計回答件数(106件)は一致しません。

  • (2)「中小企業から見た地域における中小企業金融の実情等について」のヒアリング結果概要

    •  中小企業から見た地域における中小企業金融の実情等について以下の10項目を聴取しました。

      (a) 融資姿勢に関するもの

      (b) 担保・保証に関するもの

      (c) 経営指導に関するもの

      (d) 創業・再生支援に関するもの

      (e) 融資の際の説明態勢に関するもの

      (f) 相談苦情処理機能に関するもの

      (g) 金融機関の資質・能力に関するもの

      (h) 融資の際の審査期間に関するもの

      (i) 金利に関するもの

      (j) その他

      (注)今回ヒアリングより、「地域密着型金融の機能強化の推進に関するアクションプログラム」に即した実情をきめ細かく把握する目的から、「(f) 相談苦情処理機能に関するもの」に関するヒアリングを新たに実施しています。

    • 各項目に寄せられた主な意見は以下のとおりです。

    (注)主な意見における(  )内は、意見を収集した財務局名を指しておりますが、同一財務局において多様な意見を収集しており、それぞれの意見を抜粋して記載しています。

    • (a)融資姿勢

      •  地方公共団体における制度融資や、商工会議所及び信用保証協会と提携した制度融資を活用するなど、融資姿勢は積極的である(全地域)。
      •  支店長等が企業訪問を行い情報収集に努めるなど、新規取引先の開拓を積極的に行っている(北海道、東北、関東、東海、北陸、近畿、四国、九州、福岡)。
      •  リテール向け融資を重視する姿勢が顕著であるほか、経営者の方針や経営内容を把握しようとする姿勢が認められるなど、中堅・中小企業向け融資への積極的な取組みがみられる(北海道、東北、関東、東海、近畿、中国、四国、九州、福岡)。
      •  金融機関による融資先の選別は依然として厳格であるほか、特に運転資金の申し込みについては審査で減額されるなど、融資姿勢は消極的である(北海道、東北、関東、東海、北陸、近畿、中国、四国、九州、福岡)。
    • (b)担保・保証

      •  担保・保証に対する依存度については、不動産担保を求められる事案が減っているなど、従前より過度に依存していない(北海道、東北、関東、東海、北陸、近畿、中国、四国、九州、福岡)。
      •  信用保証協会の制度変更により第三者保証が原則不要の融資の利用が引き続き増えているほか、スコアリング・モデル(企業業績を定量分析し、算出された信用リスクに基づき融資可否を判定)を用いた金融商品を推進するなど、無担保・無保証の金融商品が増加している(全地域)。
      •  新規融資の申し込みに当っては担保・保証がないと融資を受けられないほか、プロパー融資については担保不足を理由に謝絶されるなど、依然として担保・保証に依存した融資姿勢が見られる(北海道、東北、関東、東海、北陸、近畿、中国、四国、九州、福岡)。
    • (c)経営指導

      •  経営相談の専門窓口を設置するほか、行員等による資格取得(中小企業診断士)に取り組み、地域の中小企業を育成しようとする姿勢が見られるなど、融資先に対する経営指導に積極的に取り組んでいる(北海道、東北、関東、東海、北陸、近畿、中国、四国、九州、福岡)。
      •  融資相談において決算書作成や在庫管理に関与するほか、経費節減のためのアドバイスや取引業者の紹介をするなど、踏み込んだ経営指導を行っている(北海道、東北、関東、東海、近畿、中国、四国、福岡、沖縄)。
      •  債権保全・回収に重点が置かれ経営指導にまで至っていないほか、金融機関において人的な余裕がなく具体的な実績が見えてこないなど、積極的な経営指導は行われていない(全地域)。
      •  金融機関では経営指導の専担部署を設置しているものの、人員不足から、融資先の債務者区分が確実に上方遷移する先や、要管理先債権を有する債務者への経営指導が優先され、経営指導を必要としている融資先に手が回っていないなど、経営指導のための体制が整っていない(北海道、関東、東海、北陸、近畿、中国、四国、福岡)。
    • (d)創業・再生支援

      •  創業支援を目的とした制度資金を活用するほか、金融機関が融資先である旅館等地元取引先企業の再生を援助するなど、創業・再生支援について積極的に取り組んでいる(北海道、東北、関東、東海、近畿、中国、四国、九州、福岡、沖縄)。
      •  経営改善計画に基づく指導や、債権売却・営業譲渡・会社分割等の手法により支援を行う事例が見られるなど、金融機関が積極的に再生計画を立案している(北海道、東北、東海、北陸、近畿、中国、四国、九州)。
      •  再生支援については、企業の業績が悪化した際に担保保全や債権回収を優先する傾向があるほか、創業支援については、企業からの創業支援の相談に対して実績を見てから判断するという対応にとどまっているなど、積極的な創業・再生支援は行われていない(全地域)。
      •  金融機関においては、創業・再生支援に関する知識が不足しているほか、支援に関するノウハウが蓄積されていないなど、創業・再生支援を実行する能力は不十分である(北海道、東北、関東、北陸、近畿、四国)。
    • (e)融資の際の説明態勢

      •  相手が理解しやすいようにパンフレットを利用するほか、融資先との認識相違がないように融資の条件面について丁寧に説明するなど、十分な説明を行っている(北海道、東北、関東、東海、近畿、中国、四国、九州、福岡)。
      •  説明事項をマニュアルにするほか、社内研修を実施してより厳格な取扱いに努めているなど、組織として説明の充実に向けた取組みがなされている(関東、北陸、近畿、四国、九州、福岡)。
      •  融資条件(金利、返済期間)を一方的に決定されることが多いほか、融資謝絶においても理由の説明がされないなど、説明不足と認められる事案がある(全地域)。
    • (f)相談苦情処理機能

      •  相談・苦情処理に関しては、本店に専門のスタッフを配置し、本支店一体となって取り組んでいるなど、処理機能は充実している(北海道、東北、関東、東海、北陸、近畿、中国、四国、福岡)。
      •  本店の担当部署と支店との連携を強化するほか、相談・苦情処理に関する内部研修を実施することにより再発防止に努めているなど、適切に対応している(関東、東海、近畿、四国、九州、福岡)。
      •  融資の条件変更について、金融機関に対して相談しても話を聞くだけに留まるほか、苦情内容が現場から本店まで伝達されないなど、解決に結びつかない(北海道、東北、東海、北陸、四国、福岡)。
    • (g)金融機関の資力・能力

      •  創業支援、資産運用など、種々の専門部署を設置し専門家を養成するなど、組織としての積極的な取組みが見られる(北海道、東北、関東、東海、近畿、中国、四国、九州、福岡)。
      •  他の金融機関と連携して、複雑な金型加工など高度な技術力に対する評価を実施するほか、企業回りに注力して相手企業をよく把握し、財務内容や経営者の資質も見ながら融資を行うなど、金融機関の目利き能力は高まっている(北海道、東北、関東、東海、北陸、近畿、中国、四国、九州、福岡)。
      •  支店においては、決算書を理解する力が弱いため、単純にスコアリング・モデルの結果で融資可否の判断をしていると思われるなど、職員の資質能力向上のための取組みが不十分である(北海道、関東、東海、近畿、中国、四国、福岡、沖縄)。
      •  中小企業の実態や資金需要に対する理解が不足しているほか、担保や個人保証、過去の決算実績に過度に依存しており、企業の将来性や経営者の資質等を殆ど考慮しない場合が多いなど、金融機関における目利き能力は不十分である(北海道、東北、関東、東海、北陸、近畿、中国、四国、九州)。
    • (h)融資の際の審査期間

      •  融資の相談から決定までのプロセスが迅速化しているなど、融資の際の審査期間について問題は見られない(北海道、関東、東海、北陸、近畿、中国、四国、九州、福岡、沖縄)。
      •  融資の際の審査期間については、スコアリング・モデルに基づいた融資を活用するほか、審査期間の目標を5営業日以内と設定するなど、審査期間の短期化への取組みが見られる(北海道、東北、関東、東海、北陸、近畿、中国、九州、福岡)。
      •  融資の際の審査期間については、案件にもよるが、全般的に長く、支店決裁で1ヶ月以上要した事例もあるなど、審査期間は短くなっていない(北海道、東北、関東、近畿、中国、福岡、沖縄)。
    • (i)金利

      •  金利の水準については、概ね妥当であるとの認識が見られる(北海道、東北、関東、東海、北陸、近畿、中国、四国、九州、福岡)。
      •  融資先に対する金利設定については、金融機関が独自に開発した信用格付けに応じた金利を適用しており、客観的な根拠もあるなど、金利水準の公平性・妥当性が認められる(北海道、東北、関東、東海、北陸、近畿、中国、四国、九州、福岡)。
      •  中小企業の利益率が3%程度であるのに対して、貸出金利が6~7%の水準では(利払いが期間利益を吸収してしまうことから)業績回復も図れず、設備投資も実行出来ないなど、金利水準が高いとの意見が寄せられている(北海道、東北、関東、北陸、中国、九州、福岡、沖縄)。
    • (j)その他

      •  (信用保証協会による保証付融資について、金融機関にも代位弁済額の一部を負担させる制度へ変更するとの報道を受け)制度変更が実行された場合、金融機関が貸出金利を引き上げたり、貸出姿勢を停滞させるなどの動きが生じ、企業の円滑な資金調達に支障が出ないか懸念しているなどの意見が寄せられている(北海道、東北、近畿、中国)。
      •  金融機関が徴収する各種手数料について、最近は一部に振込手数料を無料にする等の動きが出てきたが、依然として振込手数料や両替手数料を取りすぎであるなどの意見が寄せられている(北海道、東海、九州)。
      •  地場産業は地域にとって必要な産業であり、地域金融機関が主導的に地場産業を生き残らせる、活性化する取組みを望んでいる(北陸)。
      •  在庫等を対象とした動産担保融資を積極的に推進して欲しい(関東)。
      •  担保設定の解除について、金融機関が担保に設定した抵当権の抹消手続きをなかなかしてくれず、他の金融機関からの新規融資に当り担保を提供できずに融資謝絶となった案件がある(四国)。
      •  政府系金融機関の統廃合については、(現状、制度設計について議論中だが)急減な方向転換等あればその対応に苦慮することが懸念されるので、慎重に行って欲しい(九州)。
      •  支店の統廃合により、地元利用者の利便性が大きく損なわれている(福岡)。
      •  担保付融資については実行するものの、業務改善や経営指導にはあまり積極的に取り組んでないように感じられる(沖縄)。
  • (3)「中小企業金融の円滑化策の浸透を示す事例について」のヒアリング結果概要

    •  中小企業金融モニタリングでは、中小企業金融の円滑化策の浸透を示す事例として、毎回、検査・監督に関する特定のテーマを設定し調査を行っています。
    •  今回の質問調査事項とそれに対する主な意見は、以下のとおりです。

金融検査マニュアル別冊[中小企業融資編](改訂版)の中小企業への浸透状況について

【寄せられた主な意見】

  •  商工団体、経営指導員等の関係機関においては、マニュアル別冊の内容が浸透してきているが、中小企業者へは、浸透しているとは思えない。
  •  マニュアル別冊の策定時と比べ、資金調達に苦労することが少なくなっている環境下においては、関心も薄いのではないか。
  •  中小零細企業においては、マニュアル別冊の利用方法が良く分からないところも多いので、その点が分かれば興味を示すと思われる。
  •  事例やQ&Aを充実し、専門用語・活字を極力使用せず読みやすいリーフレットにした方が良いと思われる。

3.「中小企業金融モニタリング」の活用状況について

  • (1)ヒアリングの実施

    中小企業金融モニタリングで得られた個別金融機関に関する情報を活用し、当該金融機関の対応方針、態勢面等についてヒアリングを行いました。

  • (2)意見交換会における要請(金融庁での活用)

    金融庁幹部と業界団体代表者の意見交換会(毎月開催)等において、中小企業金融モニタリングで得られた事例について紹介しています。具体的には、事業からのキャッシュフローを重視し、担保・保証に過度に依存しない融資を含む健全な中小企業に対する資金供給の一層の円滑化や、これまでの取引関係や顧客の知識、経験及び財産の状況を踏まえた、顧客の理解と納得を得るような十分な説明の実施、PDF金融検査マニュアル別冊の周知等について要請を行っています。

  • (3)地域金融円滑化会議の活用等(財務局等での活用)

    都道府県毎に設置し、半期毎に開催している「地域金融円滑化会議」(金融当局、中小・地域金融機関及び関係業界団体から構成)や、財務局幹部等と金融機関代表者との面談など諸々の機会を通じて、顧客への説明態勢の整備や相談・苦情処理機能の強化について注意喚起を行うとともに、中小企業金融の円滑化に向けた取組みの要請を行っています。

※ 詳しくは、金融庁ホームページの「報道発表資料」から、「18年11月に実施した「中小企業金融モニタリング」の取りまとめ結果の公表について」(平成19年1月19日)にアクセスしてください。


第123回自動車損害賠償責任保険審議会について

平成19年1月17日(水)に第123回自動車損害賠償責任保険審議会が開催され、自賠責保険の基準料率の検証結果等について審議が行われました。

本来の自賠責保険料である基準料率については、料率検証結果を踏まえ改定の必要はないものとされました。他方、14年度から19年度の間、特別会計より交付されている保険料等充当交付金が17年度から段階的に減額されています。したがって19年4月以降の実際の契約者負担額は、例えば自家用乗用車2年契約の場合、現行の30,680円から30,830円(+150円、+0.5%)になります。

1.自賠責保険の料率検証結果について

本来の自賠責保険料である基準料率については、その料率の適正を確保するため、損害保険料率算出機構が毎年その妥当性の検証を行い、検証結果を金融庁長官に報告をすることとなっています。金融庁長官は、その検証結果を当審議会に報告します。検証の結果、基準料率が妥当でないと判断される場合には、基準料率の改定を行うことになります。

今回、損害保険料率算出機構から報告された料率検証の結果、18年度、19年度の予定損害率は99.4%となりました。17年4月の料率改定時における予定損害率106.9%との乖離幅は、それぞれ▲7.0%にとどまっており、基準料率の改定は必要ないものとされました。

契約年度 平成18年度 平成19年度
前回(平成17年4月)改定時予定損害率 106.9%
検証結果損害率 99.4% 99.4%

(注)損害率=(支払保険金/収入純保険料)×100

※ 平成17年4月の基準料率改定経緯については、金融庁ホームページの「アクセスFSA第27号(2005年2月25日)」にアクセスしてください。

2.19年度の自賠責保険料の契約者負担額について

14年度から19年度の間に自賠責保険を契約する自動車ユーザーが実際に負担する契約者負担額は、基準料率から保険料等充当交付金(以下「交付金」という。)を控除した金額を負担することとなっています。

これは、政府再保険の廃止(平成13年度末)に伴い、14年度から19年度までの間に効力を生じる自賠責保険又は共済契約について、特別会計より交付金が交付されていることによるものです。なお、17年度から毎年度、交付金額は残高に応じて段階的に減額されることとなっています。

このため、例えば自家用乗用車2年契約の場合、19年4月以降も現行基準料率は31,730円と据え置かれることになりますが、実際の契約者負担額は現行の30,680円から30,830円となります。詳しくはPDF別紙を参照ください。なお、交付金は、平成19年度予算の成立により正式に決定されますので、それまでは見込み額ということになります。

・契約者負担額の例【離島以外の地域(沖縄県を除く。)】
自家用乗用車 軽自動車(検査対象車)

基準料率

保険料等

充当交付金

B

契約者

負担額

C=A-B

基準料率

保険料等

充当交付金

契約者

負担額

F=D-E

12か月契約
(1年契約)
現行 18,470円 530円 17,940円 15,420円 410円 15,010円
改定 450円 18,020円 350円 15,070円
改定額 △80円 +80円 △60円 +60円
改定率 △15.1% 0.4% △14.6% 0.4%
24か月契約
(2年契約)
現行 31,730円 1,050円 30,680円 25,690円 810円 24,880円
改定 900円 30,830円 690円 25,000円
改定額 △150円 +150円 △120円 +120円
改定率 △14.3% 0.5% △14.8% 0.5%
36か月契約
(3年契約)
現行 44,720円 1,550円 43,170円 35,750円 1,200円 34,550円
改定 1,330円 43,390円 1,030円 34,720円
改定額 △220円 +220円 △170円 +170円
改定率 △14.2% 0.5% △14.2% 0.5%

(注1)契約者は基準料率から保険料等充当交付金を控除した金額を負担する。

(注2)平成19年度の基準料率に変更はない。

(参考)保険料等充当交付金とは?

  •  交付金については、国土交通省が予算を所掌しています。13年度末の政府再保険制度廃止時の累積運用益約1兆9,400億円について、その20分の11、約1兆700億円をユーザー還元して保険料負担の軽減を図るために交付金制度が創設されました。この制度に基づき、14年度から19年度末までの6年間の保険契約について予算の範囲内で交付することとなっています。
  •  交付金の交付方法は、当初3年間は厚めに交付し、従来の契約者負担額維持に必要な交付金を交付することにより、急激な保険料負担額の増加を防止するという考え方によっています。
  •  約1兆700億円のうち、18年度末までに累計約7,600億円を交付金としてユーザーへ還元予定です。また、13年度以前の契約に係る赤字料率分に約1,300億円、14年度以降の再保険金支払総額は予想より増加していることに伴う費用が約1,300億円必要であるため、平成19年度及び20年度に交付可能な総額は、約451億円と見込まれます。19年度の交付金の水準は、総額約376億円を交付される予定です。

3.20年度以降の自賠責保険料の契約者負担額について

20年度以降に効力が生じる自賠責保険に係る契約者負担額については、19年度中に効力が生じる保険契約分で交付金交付が完了することに伴い、基準料率がそのまま契約者負担額となる見込みです。

4.諮問事項について

事務局より、金融庁長官から諮問のあった(a)小型二輪自動車(250ccを超えるバイク)の車検期間延長に伴う基準料率の追加について、及び(b)自賠責共済規程の一部変更についての説明がなされました。諮問事項について検討した結果、本件諮問を受けた事項についてはいずれも異議はない旨の答申を行うことになりました。

5.報告事項について

  • (1)自賠責保険診療報酬基準案の実施状況については、現在45都道府県で実施されており、残る2県(山梨・岡山)に対し、早期実施に向けて引き続き協議を行っていくとの報告がありました。また、平成19年度自動車損害賠償保障事業特別会計の運用益及び平成19年度保険会社の運用益の使途等について報告がありました。

  • (2)行革推進法に基づく特別会計の改革に伴い、平成20年度に自動車損害賠償保障事業特別会計と自動車検査登録特別会計を、車両安全基準の策定から事故防止・被害者救済対策までの総合的な安全対策を実施する自動車安全特別会計として統合等されるとの報告がありました。

  • (3)平成13年の自賠法等改正に際し、衆参両院の附帯決議により、改正後5年以内に自動車事故対策事業の見直しを行うことが政府に求められたことから、国土交通省内に、「今後のあり方懇談会」が設置されました。平成18年3月から同年6月までに有識者により集中的に見直しの議論が行われ、同年6月30日に提言がなされた報告書の概要と、それに対する取り組み状況等について報告がありました。


1 基準料率とは、損害保険料率算出団体が算出する保険料率の一つです。損害保険料率算出団体の会員である保険会社は、損害保険料率算出団体が算出した基準料率を自社の保険料率として使用するという届出の手続きをすれば、保険業法に基づいた認可を取得したものとみなされます。現在は、損害保険料率算出機構が自賠責保険の基準料率を算出しており、自賠責保険を取り扱っている全ての保険会社がこれを使用しています。


我が国金融・資本市場の国際化に関するスタディグループについて

平成19年1月30日、金融審議会金融分科会の下に、「我が国金融・資本市場の国際化に関するスタディグループ」(座長:池尾和人 慶應義塾大学経済学部教授、メンバー:PDF別紙)が設置されました。

本スタディグループが設置されることとなった背景には、少子高齢化・グローバル化が進み、人口減少時代の到来を迎える中、一人当たりの所得の向上を図るためには、我が国経済の基礎的インフラである金融・資本市場の利用者利便を更に高めるとともに、金融サービス業を、経済の一層の発展をさせる中核的な産業として位置付けていくことが求められているということがあります。

こうした問題意識の下、本スタディグループにおいては、国際的に魅力ある金融・資本市場の構築に向けて、制度面のみならず人材、専門サービス、インフラ等多岐にわたる課題について、幅広い観点から検討を行うこととしております。

※ 詳しくは、金融庁ホームページの「研究会・審議会等」から「我が国・金融資本市場の国際化に関するスタディグループ」にアクセスしてください。


多重債務者対策本部有識者会議について

平成18年12月に「貸金業の規制等に関する法律等の一部を改正する法律案」が成立しました。この改正法において、政府は、関係省庁相互の連携強化により、多重債務問題解決のための施策を総合的かつ効果的に推進することとしております(貸金業法附則第66条)。

この多重債務者対策の円滑かつ効果的な推進を図るため、同月、内閣官房に多重債務者対策本部新しいウィンドウで開きますが設置されました(本部長 山本金融担当大臣)。

多重債務者対策本部においては、カウンセリング体制やセーフティネットの充実、金融経済教育の強化、ヤミ金融の徹底した取締りを含む執行体制の強化、改正法の円滑な施行といったテーマについて検討を行い、今春を目途に「多重債務問題改善プログラム(仮称)」を策定することとしております。

その際、多重債務の現状に対する理解とともに、その背景にある社会経済問題への洞察が不可欠であり、専門的な知見と幅広い視野が求められることから、有識者に基本的な方針について議論をしていただき、本部における検討の参考とするため、多重債務者対策本部有識者会議を設置しました。

有識者メンバーは、多重債務問題について議論を重ねてきた「貸金業制度等に関する懇談会」のメンバーを中心に選定し、座長には引き続き吉野 直行 慶應義塾大学経済学部教授が選出されました。また、会議には関係省庁の課長クラスの担当者も出席し、議論に参加しています。

多重債務者対策本部有識者会議は、これまで1月29日(月)、2月7日(水)、2月22日(木)の3回開催されています。

第1回会議では、改正貸金業法や本部の検討課題などについて金融庁より説明を行った後、メンバーの皆様にフリーディスカッションをしていただきました。

第2回会議では、多重債務問題に対し、先進的な取組みを行っている盛岡市消費生活センター、岩手県消費者信用生活協同組合、岩手県弁護士会の担当者をお招きして、その取り組みについて発表していただいた後、メンバーと議論を行いました。

第3回会議では、日本司法書士会連合会から金融教育への取り組み等について発表していただいた後、これまでの2回の会議で出された主な意見について、メンバーの皆様に議論をしていただきました。

なお、会議は公開ですので、どなたでも傍聴していただけます。また、会議資料や議事録は、会議後、金融庁ホームページにて公表されます。これまでの会議の詳細については、金融庁ホームページの「審議会・研究会等」から「多重債務者対策本部有識者会議」にアクセスしてください。


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