マクリーヴィ欧州委員と会談(6月13日) 「子ども見学デー・金融庁へGO!」を開催します。(6月19日公表)
マクリーヴィ欧州委員と会談(6月13日) 「子ども見学デー・金融庁へGO!」を開催します。(6月19日公表)
目 次
【トピックス】
 主要行の平成18年度決算について
 地域銀行の平成18年度決算について
 告示、並びに主要行等及び中小・地域金融機関向け監督指針の一部改正について

【特集】
 バーゼルIIの適用開始について

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【5月の主な報道発表等】

【トピックス】

主要行の平成18年度決算について

主要行の平成18年度決算発表を受けて、金融庁では、各行の発表した計数等を集計し、5月23日(水)に公表しました。

以下、主要行の平成18年度決算の概要について説明します。

≪主要行の決算≫

  • 1.収益の状況

    銀行の本業の儲けを表す実質業務純益は平成19年3月期3.4兆円となり、平成18年3月期対比0.4兆円減となりました。これは、貸出金等からの収益である資金運用利益が減少する中で、投信等のリスク性商品販売に係る役務取引等利益が横ばいに止まった影響が大きいと考えられます。

    当期純利益は平成19年3月期2.5兆円となり、平成18年3月期対比0.5兆円の減益となりました。これは、退職給付会計に係る年金資産の運用改善や繰延税金資産の計上年数変更に伴う法人税等調整額の増加などの特殊要因による利益計上があったものの、貸倒引当金の戻り益の剥落、ノンバンクに係る与信関係費用及び株式関係費用の増加などの要因が大きく影響したものと考えられます。

    しかしながら、今回の決算では、投信販売の拡大や海外向け貸出の増加等も見られ、また、一時的な経費の増加要因ではあるものの、海外拠点の再整備等を進めるなど、収益確保に向けた取り組みが見られます。

  • 2.財務の健全性の状況

    不良債権比率は、平成19年3月期1.5%となり、平成18年3月期対比0.3%ポイントの低下となりました。これは、不良債権残高が、ノンバンクを含む一部大口貸出先の新規発生による増加が見られたものの、全体としては、景気回復を背景に新規発生の減少や貸出先の業況改善等による債務者区分の上位遷移により減少したことが要因と考えられます。

    自己資本比率については、平成19年3月期よりバーゼルIIに基づき算出されており、13.1%と、平成18年3月期対比0.9%ポイント上昇しました。これは、貸出先の業況改善等を背景とする利益計上や信用リスク・アセット額の減少効果が、新基準による自己資本比率の計算結果に反映されたこと等によるものと考えられます。

    このように、主要行の財務面をみると、不良債権比率が引き続き低下するとともに、自己資本比率は上昇するなど、改善傾向が続いています。

※ 詳しくは、金融庁ホームページの「報道発表資料」から「主要行の平成18年度決算について《速報ベース》」(平成19年5月23日)にアクセスしてください。


地域銀行の平成18年度決算について

地域銀行の平成18年度決算発表を受けて、金融庁では、各行の発表した計数等を集計し、6月11日(月)に公表しました。

以下、地域銀行の平成18年度決算の概要について説明します。

≪地域銀行の決算≫

  • 1.収益の状況

    実質業務純益は、貸出金の増加や役務取引等利益の増加はあるものの、預金金利の引き上げが貸出金利の引き上げに先行し利鞘が減少していること等から、平成18年3月期比ほぼ横ばいの20,028億円となりました。

    当期純利益は、不良債権処分損が増加したこと等により、平成18年3月期に比べ、約2割減益の8,052億円となりました。

  • 2.自己資本比率の状況

    自己資本比率は、引き続き上昇し、平成18年3月期に比べ0.6%ポイント上昇の10.4%となりました。地域銀行の平均自己資本比率が10%台となったのは、初めてです。

  • 3.不良債権の状況

    不良債権(金融再生法開示債権)残高は、平成18年3月期に比べ0.9兆円減の7.8兆円となりました。不良債権比率は、平成18年3月期に比べ0.5%ポイント減の4.0%となりました。これはピーク時(14年9月期8.3%)の半分以下の水準であり、着実に改善しています。

※ 地域銀行とは、

平成19年3月期は地方銀行64行、第二地方銀行46行、埼玉りそな銀行の111行、平成18年3月期は地方銀行64行、第二地方銀行47行、埼玉りそな銀行の112行。

※ 詳しくは、金融庁ホームページの「報道発表資料」から「地域銀行の平成18年度決算の概要(暫定集計値)」(平成19年6月11日)にアクセスしてください。


告示、並びに主要行等及び中小・地域金融機関向け
監督指針の一部改正について

(「銀行法施行規則第十七条の三第二項第三号及び第三十八号の規定に基づく銀行等の子会社が営むことのできる業務から除かれる業務等を定める件の一部を改正する件(案)」等、並びに、主要行等及び中小・地域金融機関向けの総合的な監督指針の一部改正(案)に対するパブリックコメントの結果について~預金取扱金融機関のグループ内信用保証会社による 事業性ローンに対する保証業務の一部解禁について~

預金取扱金融機関のグループ内信用保証会社の業務範囲については、告示等により事業性ローンの取扱いが禁止されていましたが、規制緩和要望を踏まえ検討を行った結果、グループ内における保証を除き、当該業務制限を撤廃することとしました。

そのため、平成19年4月10日付で関係告示並びに監督指針の一部改正(案)をパブリックコメントに付し、19年6月1日付でその結果について公表しました。寄せられたコメントを踏まえ見直しを行い、関係告示については同日付で公布・施行し、監督指針についても同日付で適用しました。

なお、今回の監督指針の改正では、信用保証会社の業務運営について当局として十分に注意を払っていく必要があると考えられることから、

(1)保証の特性を踏まえた保証料率の設定や適切な引当処理の実行、

(2)当該保証会社の業況が親銀行等の健全性の確保に影響を及ぼさないこと、

等、監督上の着眼点を明確化しました。


【特 集】

バーゼルIIの適用開始について

はじめに

本年3月期から、預金取扱い金融機関の新しい自己資本比率規制(バーゼルII)の適用が開始されました。バーゼルIIについては、すでに本紙でも何度か取り上げてきたところですが、今般、新規制の適用が開始されたことを踏まえ、バーゼルIIの国内実施に関する最近の動きにも触れながら、改めてその概要をご紹介します。

  • 1.第1の柱(最低所要自己資本比率)

    バーゼルIIは、自己資本比率の計算上、金融機関が抱えるリスクを従来の規制(バーゼルI)よりも正確に計測することを目指すものであり、そのことを通じて、金融機関により適切なリスク管理を促す新しい規制の枠組みです。バーゼルIは、信用リスクを主な計測対象としており、そのリスク計測方法は、金融機関が保有する資産を相対的なリスク度に応じて大まかなカテゴリーに分類した上で、予め設定された5種類のリスク・ウェイト(0%、10%、20%、50%、100%)を適用するという簡素なものでした。これに対し、バーゼルIIでは、一口に「企業向け与信」といっても借手企業等の信用力に応じて金融機関が最低限確保すべき自己資本額(最低所要自己資本額)は異なります。また、バーゼルIと比べて、中小企業や住宅ローン等の自己資本の負担水準が軽減された一方で、不良債権については引当率に応じて負担水準が加減されているなど、健全性基準としてのリスク感応度がより高いものとなっています。なお、後述の通り、バーゼルIIでは、オペレーショナル・リスクに対する所要自己資本の計算も新たに追加されています。

    バーゼルIIでは、担保や保証といった伝統的な信用リスク削減手法に加えて、近年の金融技術の発展を踏まえ、クレジット・デリバティブや証券化といった新しい金融商品・取引についてもリスク計測を精緻化しています。これに関連して、本年3月には、一定の条件を満たす動産担保についても、基礎的内部格付手法等において信用リスク削減効果が認識できるよう、自己資本比率の計算ルール(告示)を改正したところです。

    投資信託のように複数の資産を裏付けとする金融商品(いわゆる「ファンド」)の信用リスクの計測については、原則として、当該金融商品の裏付けとなる個々の構成資産を把握し、それらの構成資産の信用リスク・アセット額の総額を算出することになります。バーゼルIIにおけるファンドの具体的な取扱いについては、昨年12月及び本年5月に 、「バーゼルIIに関する追加Q&A」(解釈集)を公表しています。

    全ての金融機関が同一の手法で信用リスクを計測していたバーゼルIと異なり、バーゼルIIでは、「標準的手法」、「基礎的内部格付手法」及び「先進的内部格付手法」の3つの手法の中から、各金融機関にとって最も適切な手法を選択することが可能となっています。「標準的手法」はバーゼルIを一部修正したものですが、借手企業等の信用力評価に外部格付を活用するといった点が、従来の規制とは異なります。一方、「内部格付手法」(基礎的・先進的)は、各金融機関の内部管理上の手法を自己資本比率の計算にも活用するものであり、より精緻な信用リスク管理態勢や堅固な内部統制機能等を備えていることを前提に、各金融機関が信用リスクの計測に用いるデフォルト確率(PD)やデフォルト時損失率(LGD)等のパラメータを自ら推計することが認められます。「内部格付手法」の採用にあたっては、自己資本告示に定められた最低要件を充足し、監督当局の事前承認を得る必要があります。本年3月末には、国内の12グループ19金融機関に対し、「基礎的内部格付手法」の採用を承認したところです。なお、全てのパラメータを自ら推計することが認められる「先進的内部格付手法」は、平成20年3月末から実施予定となっています。

    バーゼルIIでは、最低所要自己資本比率の計算対象にオペレーショナル・リスクが新たに追加されました。オペレーショナル・リスクとは、事務事故、システム障害、不正行為等により金融機関が損失を被るリスクのことを指します。このオペレーショナル・リスクについても、「基礎的手法」、「粗利益配分手法」及び「先進的計測手法」の3つの手法の中から、各金融機関にとって最も適切な手法を選択することができますが、「粗利益配分手法」及び「先進的計測手法」の採用にあたっては、監督当局の事前承認が必要です。「粗利益配分手法」については、告示上の承認要件の充足状況を各金融機関が自ら評価する「セルフ・アセスメント・アンケート」を年2回実施した上で、本年3月、22グループ45金融機関の承認を行いました。なお、信用リスクの「先進的内部格付手法」と同様に、オペレーショナル・リスクの「先進的計測手法」も平成20年3月末から実施予定となっています。

    このように、バーゼルIIにおいては、信用リスク、オペレーショナル・リスクともに、各金融機関が3つの手法の中からそれぞれ1つずつの手法を選択することになります。先述の通り、内部格付手法等の先進的な計測手法を採用するにあたっては、一定程度のリスク管理態勢や内部統制機能等を備えた上で、告示の最低要件を充足する必要がありますが、最終的に全ての金融機関が最も先進的な手法を目指そうとする必要はありません。複雑又は高度なリスク評価方法を用いて多様な業務を手がけている金融機関と、伝統的な預貸業務を主たる業務とする金融機関とが、必ずしも同程度のリスク管理手法を一律に備えておく必要がないことは言うまでもありません。重要なことは、各金融機関が規模や特性に照らして最もふさわしい手法を選択することであり、自己資本比率の計算手法の如何に関わらず、各金融機関にとって最も適切と考えられるリスク管理態勢を整備していくことです。同時に、監督当局としても、金融機関のリスク管理実務等の進展に合わせて、監督手法等の不断の見直しが求められます。

  • 2.第2の柱(金融機関の自己管理と監督上の検証)

    バーゼルIIの第2の柱は、第1の柱(最低所要自己資本比率)の計算式に含まれないリスクを含め、各金融機関が抱えるリスクを総体として適切に把握・管理し、経営上必要な自己資本額を検討するという、金融機関の自己管理を促す枠組みです。監督当局としては、各金融機関が自発的に創意・工夫したリスク管理の方法を検証・評価し、必要に応じて適切な監督上の措置を講ずることが求められます。我が国における第2の柱の実施については、平成17年11月に公表した「実施方針」を踏まえ、「主要行等向けの総合的な監督指針」及び「中小・地域金融機関向けの総合的な監督指針」をそれぞれ改訂しています。

    具体的には、金融庁として、各金融機関の規模や特性等に応じた統合的なリスク管理態勢の評価を行うとともに、銀行勘定の金利リスクや信用集中リスクといった(第1の柱に含まれない)重要なリスクについて、「早期警戒制度」を活用したオフサイト・モニタリングを実施することとしています。このうち、統合的なリスク管理態勢については、本年2月に公表した改訂後の「金融検査マニュアル」においても、金融機関の統合的リスク管理態勢や自己資本管理態勢等に関する確認検査用チェックリストを整備したところであり(平成19年4月より適用)、今後、検査・監督を通じて評価していくこととしています。

    なお、第2の柱の対象となる重要なリスクの1つとして、銀行勘定の金利リスクが挙げられます。銀行勘定の金利リスクについては、金利変動に関する標準的な仮定(標準的金利ショック)によって計算される資産・負債ネットの経済価値の低下額が、金融機関の自己資本額(Tier1+Tier2)の20%を超えているか否かを、「早期警戒制度」の枠組みの中でモニタリングすることとしています(アウトライヤー基準)。ただし、金融機関がアウトライヤー基準に該当することとなった場合であっても、そのことのみをもって当該金融機関の経営が不健全であると自動的にみなされるものではなく、必ずしも直ちに特定の経営改善措置を求めるものではありません。金融庁としては、アウトライヤー基準に該当した金融機関に対し、「早期警戒制度」におけるヒアリング等の実施を通じて、より適切なリスク管理を促していくことになります。

    第2の柱は、バーゼルIにはなかった新しい規制の枠組みであり、その対象となるリスクは、第1の柱における最低所要自己資本比率の計算式には含まれません。しかしながら、それらのリスクは、バーゼルIIの実施によって新たに発生したものでもありません。本来、金融機関は、金利リスクをはじめとする様々なリスクを自ら適切に管理し、経営の健全性を確保していくことが期待されています。第2の柱は、金融機関のこうした自主的な取組みの重要性を改めて確認するための枠組みであると言うことができます。

  • 3.第3の柱(市場規律)

    第3の柱は、情報開示の充実を通じた市場規律の活用により、金融機関の自己管理をより強固なものとするための枠組みです。銀行の業務及び財産の状況については、銀行法等の規定により、少なくとも年2回(協同組織金融機関は年1回)の情報開示が義務づけられています。このうち、第3の柱における開示項目は自己資本の充実の状況に関するものであり、具体的には、自己資本比率とその内訳、各リスクに関する計算手法や定量的なリスク情報等が挙げられます。第3の柱における開示項目については、本年3月に告示の最終版を公表(官報掲載)したほか、監督指針についても所要の改正を行ったところです。自己資本比率、Tier1比率等の重要な項目については、銀行法施行規則等により四半期ごと(協同組織金融機関は半期ごと)の開示に努めなければならないとされています。特に、国際的に活動する金融機関や、内部格付手法(信用リスク)及び先進的計測手法(オペレーショナル・リスク)を採用する金融機関は半期及び四半期開示を適切に実施する必要があり、そのことが各手法を採用する際の承認要件の1つとされています。

  • おわりに

    繰り返しになりますが、バーゼルIIは、個々の金融機関が抱えるリスクをバーゼルIよりも正確に計測することを通じ、金融機関により適切なリスク管理を促すものです。具体的には、「第1の柱」において、金融機関の内部管理上の手法を活用した自己資本比率の計算手法が選択肢として設けられているほか、金融機関の自己管理を促すための「第2の柱」や、市場規律の活用に関する「第3の柱」といった枠組みが盛り込まれています。

    一方、バーゼルIIは、自己資本比率規制の内容を強化(もしくは緩和)することを意図したものでは決してありません。バーゼルIよりもリスク感応度が高い新規制の性格上、その実施による影響は個々の金融機関によって異なり得ます。しかしながら、全体としては、オペレーショナル・リスクに対する所要自己資本が新たに追加された一方で、中小企業や住宅ローン等を中心に信用リスクに対する負担水準が軽減されたことから、平均的な自己資本の負担水準は概ねバーゼルI並みとなっています。

    本来、適切なリスク管理態勢や財務の健全性の確保は、各金融機関が自らの責任において行うべきものですが、バーゼルIIの実施は、各金融機関の経営陣がこうした基本原則に立ち返るための良い機会になるのではないかと考えられます。金融庁としては、各金融機関がバーゼルIIを単なる規制対応として受動的に捉えるのではなく、リスク管理の更なる高度化のために前向きに役立てて頂きたいと考えています。

※ バーゼルIIに関する国内実施ルールや監督指針等の詳細については、金融庁ホームページの「金融庁の政策」から、「バーゼルII(新しい自己資本比率規制)について」にアクセスしてください。


1 バーゼルIIの概要については、アクセスFSA 第41号をご参照ください。

2 バーゼルII第2の柱の実施方針については、アクセスFSA第37号をご参照ください。

3 バーゼルII適用開始後の金融検査については、アクセスFSA第50号をご参照ください。

4 平成19年3月期の邦銀の自己資本比率の状況を見ると、主要行の平均値は13.1%(前年同期比+0.9%ポイント)、地域銀行の平均値は10.4%(同+0.6%ポイント)となっている。


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