山本前大臣と引継ぎを行う渡辺新大臣(8月28日) 「子ども見学デー・金融庁へGO!」でのひとこま(あんびるえつこ先生の講話)(8月22日、23日開催)
山本前大臣と引継ぎを行う渡辺新大臣(8月28日) 「子ども見学デー・金融庁へGO!」でのひとこま(あんびるえつこ先生の講話)(8月22日、23日開催)
目 次
【トピックス】
 オフサイト検査モニターの集計結果について
 「金融サービス利用者相談室」における相談等の受付状況等に関する公表について
 預金口座の不正利用に係る情報提供件数等について
 平成19事務年度証券検査基本方針及び証券検査基本計画について(証券取引等監視委員会)
 地域密着型金融(平成15~18年度 第2次アクションプログラム終了時まで)の進捗状況について
 金融持株会社に係る検査マニュアルの改訂について
 「子ども見学デー 金融庁へGO!」の開催について

【法令解説】
 信託法改正に伴う信託業法の改正の概要について

【特集】
  金融商品取引法制に関する政令案・内閣府令案等に対するパブリックコメントの結果等について【第1回】
 金融コングロマリット監督指針の一部改正の公表について
 金融商品取引業者等向けの総合的な監督指針について

【金融ここが聞きたい!】

【お知らせ】
 「金融検査指摘事例集」等の公表について
 証券市場における不正・違法行為に関する情報を受け付けています(証券取引等監視委員会)
 株券電子化について
 新着情報メール配信サービスへのご登録のご案内

【7月の主な報道発表等】

【トピックス】

オフサイト検査モニターの集計結果について

  • 1.  概要

    金融庁では、「金融検査に関する基本指針」の適切な運用の確保及び検査マニュアルの機械的・画一的な運用を防止する等の観点から、検査モニターを実施し、今後の検査業務の参考としております。

    検査モニターは、検査局や財務局の各幹部が検査先の金融機関へ赴き、検査の実施状況などについて直接ご意見を伺うオンサイトモニターと、検査終了後アンケートに回答をいただくオフサイトモニターの2方式を実施しております。

    今般、平成18検査事務年度に実施した検査に関する、オフサイト検査モニターのアンケート結果を取りまとめましたので、平成19年7月31日に公表いたしました。

  • 2.  アンケート要領

    • アンケートは、以下の2種類について、「1(妥当)」「2(概ね妥当)」「3(あまり妥当でない)」及び「4(妥当ではない)」の4択方式で回答していただくものです。

      • <アンケート式(1)> : 検査執行状況等に関する事項
      • <アンケート式(2)> : 検査結果通知に関する事項
    • 対象先、回収率

      • <アンケート式(1)>
        対象先 : 240先  (18年7月以降19年5月末までの間に立入検査を終了した先)
        回収率 : 158先  (66%)
      • <アンケート式(2)>
        対象先 : 179先  (18年7月以降19年5月末までの間に検査結果を通知した先)
        回収率 : 108先  (60%)
  • 3.  アンケート結果総括

    アンケート結果は、全体として「1」及び「2」とする回答が、それぞれ65%、29%寄せられています。

    昨年公表時はそれぞれ58%、35%であったことから、全体的には大きな変化はないものの、「1」とする回答に着目すると、7ポイントの上昇がみられます。

    • (注)「面談の希望」に関する項目は、以下取りまとめ結果から除外しております。

  • 4.  アンケート項目ごとの状況

    アンケート結果を項目別にみると、全24項目のうち20項目で、「1」と「2」を合わせた回答が90%を超えています。

    特に、昨年公表時に、「3」と「4」を合わせた回答の割合が高かった項目についてみると、例えば、「検査期間」や「内部監査を前提とした検査の実施」などの項目において、今回は「3」又は「4」とする回答の割合が減少しております

    一方で、「3」と「4」を合わせた回答が比較的多かった項目もいくつか認められております。そのうち、主なものについて、付記された意見の内容と併せて、金融庁としての検討結果をご紹介します。

    • 「検証にあたっての、双方向の議論」   ~ 「3」と「4」4% ~

      付記された意見には、「意見を述べても、検査官の一方的な主張で終わったと感じたケースが多かった」、「評定段階を付す際の議論については、各カテゴリー毎の『評価』に関する議論がやや不足していた」など、昨年公表時と同様の意見が散見されております。

      これらの意見に対しては、双方向の議論に努めるよう研修等の機会を通じて検査官に再度徹底することに加え、主任検査官には各検査官への指導を徹底し、きめ細かい管理を行うよう、今後も指導して参ります。

    • 検査マニュアルの機械的・画一的な運用」   ~ 「3」と「4」4% ~

      付記された意見には、「債務償還年数、債務超過解消年数に基づく債務者区分の判定において、機械的・画一的な判定が多かった」、「検査マニュアルにおける『合理的な』や『適切性』について、検査官と認識を異にするケースがあった」などの意見が見られます。

      また、「マニュアル別冊に基づいた検証」の項目では、「1」とする回答が47%にとどまっており、付記された意見には、「代表者の資質や取引実績など、計数面で表現できない部分をもう少し理解してほしい」との要望もあります。

      これらの意見に対しては、検査官には機械的・画一的な運用に陥らないよう、研修等の機会を通じて従来から周知徹底しているところですが、ご意見を踏まえ、さらに指導を徹底して参ります。

    • 「資料の提出期限の配慮」   ~ 「3」と「4」4% ~

      付記された意見には、「資料の提出期限にかなり無理があり、超過勤務を要する結果となった」、「終盤での(指摘事項)確認表のやりとりに、一部提出期限が短いものがあった」などの昨年と同様の意見が散見されております。

      これらの意見に対しては、金融機関の対応能力や事務負担に配慮するよう、今後とも研修等の機会を通じて検査官に対する指導に努めて参ります。

    • 「執務時間の考慮」   ~ 「3」と「4」4% ~

      「3」と「4」を合わせた回答の割合は、昨年公表時(10%)から減少したものの、付記された意見をみると、「終了時間が遅くなる場合は、前もって知らせてほしい」、「終了時間が22時を超えることがあったので、終了時刻を平準化してほしい」など、昨年公表時と同様の意見が散見されております。

      これらの意見に対しては、金融機関の負担への配慮や、就業時間外のヒアリング等を行う場合には、金融機関側の理解を求めることが必要なことから、主任検査官による管理を十分行うよう再度徹底するほか、今後とも研修等の機会も通じ検査官に対する指導に努めて参ります。

  • 5.  自由記載欄(「金融検査評定制度」について)

    「金融検査評定制度」に関して寄せられた意見をみると、「経営改善に向けての動機付けとして有用である」と評価する多くの意見がある一方で、「『軽微な弱点』『自主的な改善』の基準が明確でない」、「『規模・特性』をどのように考慮するのか」といった懸念や疑問を呈する声も相当数に上っております。

    これらの意見に対しては、金融機関の理解の一層の向上に資すること等を目的として19年3月に「金融検査評定制度に関するQ&A」を、19年7月に「金融検査指摘事例集」を公表したところです。これらを判断の参考材料として、検査現場において、より充実した双方向の議論を行うよう努めて参ります。

  • 6.  アンケート式(2)結果(「検査結果通知書」について)

    全体として、「1」と「2」を合わせた回答が99%に上っており、特に「1」とする回答が78%を占めております。

  • 7.  「検査モニター」について

    • オンサイトモニターの実施については、「全件実施すべきである」との意見が61%で、「希望により実施すべき」とする意見の約2倍に達しております。

    • オフサイト検査モニターについては、評定制度に関する項目を拡充するほか、改訂検査マニュアル及びバーゼル II に関する検査に対する自由記載欄を追加しました。

      また、「検証にあたっての双方向の議論」や「検査官の態度」など検査の執行状況に関する項目について、金融機関の率直な意見が一層反映するように、選択肢の記載振りを工夫のうえ、見直しました。

    • 検査モニター等において寄せられた種々のご意見も踏まえ、一層適正な検査の実施に努めて参ります。各金融機関におかれましては、今後とも、検査モニターについてのご理解とご協力をお願いいたします。

※ 詳しくは、金融庁ホームページの「報道発表資料」から「オフサイト検査モニターの集計結果の公表について」(平成19年7月31日)にアクセスしてください。


  「3」と「4」を合わせた回答状況 (昨年公表時と今回の比較)

「検査期間」

 

昨年 9%、今回 1%

「内部監査を前提とした検査の実施」

 

昨年 7%、今回 1%


「金融サービス利用者相談室」における相談等の
受付状況等に関する公表について
(期間:平成19年4月1日~6月30日)

概要

金融サービス利用者相談室に寄せられた利用者からの相談件数や主な相談事例等のポイント等については、四半期毎に公表しています。平成19年4月1日から6月30日までの間における相談等の受付状況及び特徴等は、以下のとおりです。

  • (1)平成19年4月1日から6月30日までの間に、12,130件の相談等(詳細については、PDF「金融サービス利用者相談室」における相談等の受付状況等に関する公表について(平成19年7月31日)別紙1をご参照ください。)が寄せられています。一日当たりの受付件数は平均196件となっており、19年1月1日から3月31日までの間の実績(200件)とほぼ同水準となっています。

  • (2)分野別の受付件数としては、預金・融資等に関するものが2,796件(23%)、保険商品等に関するものが4,641件(38%)、投資商品等に関するものが2,568件(21%)、貸金等に関するものが1,906件(16%)、金融行政一般・その他が219件(2%)となっています。

  • (3)分野別の特徴等としては、

    • 預金・融資等に関するもののうち、融資業務については、融資の実行・返済についての相談等が、預金業務については、本人確認手続など預入れ時の態勢についての相談等が、その他業務では、為替、両替についての相談等が寄せられています。

    • 保険商品等については、保険金の支払に関するもの、保険金請求時等における保険会社の対応に関するものについての相談等が寄せられています。

    • 投資商品等については、証券会社に関するもの、企業内容等の開示に関するもの、未公開株に関するものについての相談等が寄せられています。

    • 貸金等については、一般的な照会・質問に関するもの、個別取引・契約の結果に関するもの、不適正な行為に関するものについての相談等が寄せられています。

  • (4)なお、受け付けた相談等の中には、検査・監督上参考となる情報(注)も寄せられており、利用者全体の保護や利便性向上の観点から、金融機関に対する検査における検証や監督におけるヒアリング等、金融行政を行う上での貴重な情報として活用しています。

    (注)検査・監督上参考となる情報の例

    • 預金取扱金融機関によるリスク性商品等の販売時における顧客への説明態勢及び広告等の不適正な表示に関するもの

    • 預金取扱金融機関における本人確認や説明を求めた際の不適切な顧客対応に関するもの

    • 預金取扱金融機関の個人情報の取扱いに関するもの

    • いわゆる貸し渋り・貸し剥がしに関するもの

    • 損害保険会社の不払い等(付随的な保険金の支払漏れ、第三分野商品に係る保険金の不払い、火災保険の保険料過徴収)に関するもの

    • 保険募集人等の不適正な行為(不告知の教唆、保険料の立替、無断作成契約、名義借り等)に関するもの

    • 貸金業者による法令違反のおそれのある行為(取立行為規制違反、取引履歴の不開示等)に関するもの

    また、預金口座の不正利用に関する情報については、金融機関及び警察当局へ62口座の情報提供を行っています。

    さらに、平成19年1月1日から3月31日までの間における情報の活用状況は以下のとおりです。

    • 監督において行った189金融機関等に対するヒアリング等に際して、相談室に寄せられた情報を参考としています。

    • 金融庁が着手した16金融機関等の検査に際して、相談室に寄せられた情報を参考としています。

  • (5)寄せられた相談等のうち利用者の皆様に注意喚起する必要がある事例等について、「利用者からの相談事例等と相談室からのアドバイス等」として周知しております。今回、新たに追加する「利用者からの相談事例等と相談室からのアドバイス等」の項目・相談等は、以下のとおりです。

    • □預金・融資等

      本人確認法に関する相談等

      • 10万円超の現金での振込みを行う場合には、本人確認が必要と言われましたが本当ですか。
    • □保険商品等

      ○保険内容の顧客説明に関する相談等

      • 生命保険の契約時に、保険会社から意向確認書面への署名、捺印を求められました。契約に必要な書面ですか。
      • 今日の心臓手術等においては、開胸式よりもカテーテル術式が主流であるにもかかわらず、カテーテル手術を支払対象外としている保険約款は問題ではないですか。
    • □投資商品等

      株券の電子化に関する相談等

      • タンス株を保有しています。株券が電子化されたら、証券会社に預け入れていない株券は無効になってしまうと聞きました。
    • □貸金等

      • (a)強引な取立てに関する相談等

        • 勤務先に督促の電話が頻繁にかかってきます。自宅にも夜遅く督促の電話があり精神的に参っています。
      • (b)取引履歴の開示に関する相談等

        • 貸金業者が取引履歴の開示に応じてくれません。
      • (c)返済条件の変更に関する相談等

        • 返済額を一方的に引き上げる旨のはがきが来ましたが応じなければなりませんか。

○ その他、当庁のホームページ(「一般のみなさんへ」)では、金融サービスを利用する皆様にご注意いただきたい情報を掲載しております。

※ 詳しくは、金融庁ホームページの「報道発表資料」から「「金融サービス利用者相談室」における相談等の受付状況等に関する公表について」(平成19年7月31日)にアクセスしてください。


預金口座の不正利用に係る情報提供件数等について

平成15年9月12日、金融庁は、預金口座を利用した悪質な事例が大きな社会問題となっていることを踏まえ、当局が預金口座の不正利用に関する情報提供を受けた場合には、明らかに信憑性を欠くと認められる場合を除き、当該口座が開設されている金融機関及び警察当局への情報提供を速やかに実施する旨事務ガイドライン(現監督指針)を改正したところであり、その情報提供件数等について、四半期毎に公表しています。

これによると、調査を開始した平成15年9月以降、本年6月30日までに、金融庁及び全国の財務局等において、14,916件の預金口座の不正利用に係る情報提供を行いました。

また、金融機関としても、預金口座の不正利用と思われる情報があった場合には、直ちに調査を行い、本人確認の徹底や、必要に応じて預金取引停止、預金口座解約といった対応を迅速にとっていくことが肝要であり、本年6月30日までに、当局が情報提供を行ったものに対し、金融機関において、7,715件の利用停止、5,985件の強制解約等を行っています。

※ 詳しくは、金融庁ホームページの「報道発表など」から「「預金口座の不正利用に係る情報提供件数等について」(平成19年7月31日)」にアクセスしてください。


平成19事務年度証券検査基本方針及び証券検査基本計画について

証券取引等監視委員会新しいウィンドウで開きますでは、先般(7月27日)、「平成19事務年度証券検査基本方針及び証券検査基本計画」を公表し、平成19事務年度における証券検査の実施方針及び実施予定数を明らかにしました。証券検査基本方針及び検査基本計画の概要は以下のとおりです。

証券取引等監視委員会は、取引の公正の確保を図り、市場に対する投資者の信頼を保持するという基本的な使命に則り、公正かつ透明性の高い健全な金融商品市場を確立し、市場に対する投資者の信頼を高めることを目指すこととし、特に個人投資家の保護に全力を尽くすことを最大の目標としています。

こうした中、検査の実施に際しては、以下の基本方針に基づき、常に市場動向に幅広い関心を持って機動的な対応を行うと同時に、検査対象先の内部統制など自主的な取組みが適切に機能するよう促す観点から、また、検査対象先が顧客や市場に対し誠実に対応することを促す観点から、検査対象先の問題の本質を見極める効果的・効率的な検査の実施に努めることとしています。

さらに、その結果に基づき、必要に応じ、金融庁等に対し、行政処分について勧告等を行うとともに、新たな市場ルールの整備についても関心をもって、建議を含めた適正な対応を図っていくこととしています。

  • 1.  効率的な検査のための事務運営上の重点事項

    検査対象先の市場における位置付けや抱えている問題点など各種情報・資料を総合的に勘案し、リスクに基づいた検査計画を策定するとともに、必要に応じ、特定の情報や横断的なテーマに基づく特別検査を実施します。

    また、財務局監視官部門と相互の連携を図り、また、金融庁検査局と、金融コングロマリットを構成するグループの同時検査を実施するとともに、自主規制機関、監督部局、外国証券規制当局と、定期的もしくは随時に情報交換を行います。

    なお、金融商品取引法施行までに、「証券検査に関する基本指針」や、「証券検査マニュアル」を改訂します。

  • 2.  深度ある効果的な検査のための検査実施上の重点事項

    複数の情報・資料の関連性を総合的に分析し、深度ある検査を実施します。特に、新たな検査対象先など金融商品取引に関する規制になじみの薄い業者においては、その組織風土に着目した検証を行います。

    また、公正な価格形成を阻害するおそれのある行為等だけでなく検査対象先の売買管理態勢等踏み込んだ検証を行います。さらに、内部統制のあり方は検査対象先の姿勢を把握する上で重要な要素であることを踏まえ、内部統制の有効性についても深度ある検証を行います。

    なお、投資運用業者等に対し、顧客のための忠実義務や善管注意義務等の法令等遵守状況について引き続き重点的に検証します。

本事務年度の証券検査基本計画では、第1種金融商品取引業者等135社(うち財務局等が行うもの115社)、投資運用業者、投資助言・代理業者60社(うち財務局等が行うもの30社)に検査を実施することを予定しており、さらに、自主規制機関、新たな検査対象先である第2種金融商品取引業者等に必要に応じて検査を実施する予定です。

※ 詳しくは、証券取引等監視委員会ホームページの「報道発表関係」からPDF「平成19事務年度証券検査基本方針及び証券検査基本計画」(平成19年7月27日) 新しいウィンドウで開きますにアクセスしてください。


地域密着型金融(平成15~18年度 第2次アクションプログラム終了時まで)の進捗状況について

平成15年3月に公表された「リレーションシップバンキングの機能強化に関するアクションプログラム(第1次AP)」、及び平成17年3月に公表された「地域密着型金融の機能強化の推進に関するアクションプログラム(第2次AP)」では、各地域金融機関は、それぞれの「地域密着型金融推進計画」(以下「推進計画」という。)に基づく施策の進捗状況について、半年毎に公表することとされています。

各金融機関が、平成18年度(18年4月~19年3月)における推進計画の進捗状況を公表し、また、全国地方銀行協会、第二地方銀行協会、全国信用金庫協会及び全国信用組合中央協会がその取りまとめの公表を行ったことから、金融庁においても、本年7月12日、平成15~18年度のアクションプログラムに基づく金融機関の取組み実績について取りまとめ、公表しました。概要は以下のとおりです。

(参考)対象金融機関数 566金融機関(19年3月末現在)

地方銀行 65行(埼玉りそな銀行を含む)、第二地方銀行 46行
信用金庫287金庫、信用組合168組合

1.地域金融機関の取組み実績

各金融機関の取組み実績や成果について、各金融機関の公表や業界団体の取りまとめをもとに主な傾向をまとめれば、以下のとおりです。

  • (1)創業・新事業支援機能等の強化

    創業・新事業支援のための融資は、政府系金融機関等との協調融資は伸び悩んだものの、自前の創業等支援融資商品による融資が順調に増加するなど、着実に進捗しています。また、少額ながらも、新連携事業等、産学や多業種間で連携した新たな取組みも実績が増加しています。

    (参考)

    • 創業等支援融資商品による融資
      15年度 1,948件 179億円 ⇒ 16年度 2,817件 250億円 ⇒ 17年度 5,449件 603億円

      18年度 6,983件 742億円

    • 政府系金融機関等との協調融資
      15年度 346件 374億円 ⇒ 16年度  702件 684億円 ⇒ 17年度  809件 987億円

      18年度  743件 803億円

  • (2)取引先企業に対する経営相談・支援機能の強化

    取引先企業に対するコンサルティング・情報提供機能の強化のため、商談会の開催等ビジネスマッチングの取組みが積極的に行われており、その成約件数は大幅に増加しています。また、社債発行支援、M&A支援、株式公開支援とも着実に実績が上がっています。

    要注意先債権等の健全債権化等に向けた取組みについては、各金融機関において引き続き多様な経営改善支援の取組みが実施されており、17~18年度(第2次AP)に経営改善支援を行った債務者(正常先を除く。)の22.1%(約15,573先)の業況が改善し、債務者区分がランクアップしています。このランクアップ率については、各金融機関の経営改善の取組みが既に一巡し、困難な事案が多いこともあり、15~16年度(第1次AP)の実績率と比べて微減となっています。

    (参考)

    • 経営改善支援取組み先(正常先を除く)のランクアップ率
      15~16年度(第1次AP) 24.5%

      ⇒   17~18年度(第2次AP) 22.1%

    • ビジネスマッチングの成約案件
      15年度6,228件  ⇒  16年度 10,428件  ⇒   17年度 15,954件

      ⇒  18年度 24,000件

  • (3)事業再生に向けた積極的取組み

    事業再生に向けた取組みについては、全般的な傾向として、大口先からより規模の小さい先やより再生が困難な先へ対象が広がる中、中小企業再生支援協議会の活用件数は堅調に推移しています。そのような中、特に整理回収機構を活用した支援が伸びており、また、再生手法としては、DES(債務の株式化)やDIPファイナンス(法的再生手続に至った企業に対する運転資金の供給)が引き続き活用されています。

    (参考)

    • 中小企業再生支援協議会の再生計画策定先
      15年度 201件 2,305億円 ⇒ 16年度 302件 3,422億円 ⇒ 17年度 380件 3,572億円

      18年度 391件 2,803億円

    • 整理回収機構の支援決定先
      15年度 3件  608億円 ⇒ 16年度 10件  631億円 ⇒ 17年度 22件  942億円

      18年度 38件 1,176億円

    • 企業再生ファンドへの出資
      15年度     109億円 ⇒16年度     168億円 ⇒ 17年度     169億円

      18年度162億円

    • DES(債務の株式化)
      15年度 29件  175億円 ⇒ 16年度 33件  261億円 ⇒ 17年度 24件  191億円

      18年度 34件  256億円

    • DDS(債務の資本的劣後ローン化)
      15年度  7件  56億円 ⇒ 16年度 57件  281億円 ⇒ 17年度  64件 257億円

      18年度 51件  166億円

    • DIPファイナンス(法的再生手続に至った企業に対する運転資金の供給)
      15年度 152件  566億円 ⇒ 16年度 188件  192億円 ⇒ 17年度 136件 160億円

      18年度 563件  197億円

  • (4)担保・保証に過度に依存しない融資の推進等

    財務制限条項を活用した融資商品やシンジケートローン組成の金額が増加しています。また、動産・債権譲渡担保融資については、幅広く普及しつつある中、少額ながらも動産担保融資の実績件数が急増しています。

    (参考)

    • 財務制限条項を活用した商品による融資
      15年度 2,131件  339億円 ⇒ 16年度 3,632件  954億円 ⇒ 17年度 5,486件 2,031億円

      18年度 4,592件 2,385億円

    • シンジケートローンの組成
      15年度  219件 2,993億円 ⇒ 16年度  420件 4,792億円 ⇒ 17年度  567件 5,245億円

      18年度  635件 6,700億円

    • 動産・債権譲渡担保融資
      15年度10,098件 1,102億円 ⇒ 16年度19,000件 1,737億円 ⇒ 17年度23,585件 1,998億円

      18年度18,260件 2,029億円

      (うち動産担保融資)               17年度  27件  47億円

      18年度  153件  131億円

2.地域金融機関の取組みについての評価及び今後の課題

地域密着型金融の機能強化に向けた取組みは、2次のアクションプログラムの4年間に、件数・金額を見ると、総じて着実に実績が上がっていると言えます。

しかしながら、利用者からは、事業再生への取組み、担保・保証に過度に依存しない融資、地域貢献等が不十分であるとの指摘があります。

本年4月5日に、金融審議会金融分科会第二部会においてとりまとめられた報告書「地域密着型金融の取組みについての評価と今後の対応について」においては、「ライフサイクルに応じた取引先企業の支援の一層の強化」、「事業価値を見極める融資手法をはじめ中小企業に適した資金供給手法の徹底」、「地域の情報集積を活用した持続可能な地域経済への貢献」の3項目について、各金融機関に引き続き取組みを求めており、その際「地域の利用者ニーズを的確に把握し、経営戦略へのフィードバックに繋げる」ことも必要としているところです。

これらを踏まえた、各地域金融機関の一層の取組みを期待するとともに、当局としても必要なフォローアップを行ってまいります。

※ 詳しくは、金融庁ホームページの「報道発表資料」から「地域密着型金融(平成15~18年度 第2次アクションプログラム終了時まで)の進捗状況について」(平成19年7月12日)にアクセスしてください。


金融持株会社に係る検査マニュアルの改訂について

1.はじめに

金融庁は、平成19年7月9日、「金融持株会社に係る検査マニュアル」を改訂し、検査局長通達として発出しました(平成19年7月9日金検第272号)。

以下、本コーナーにおいては、改訂金融持株会社に係る検査マニュアルの概要等について説明します。

2.金融持株会社に係る検査マニュアル改訂の経緯

「金融持株会社に係る検査マニュアル」(平成15年7月策定)は検査官が金融持株会社を検査する際の手引書として用いられているもので、その内容は「預金等受入金融機関に係る検査マニュアル」(以下「金融検査マニュアル」という)、「保険検査マニュアル」及び「証券検査マニュアル」をそれぞれ参考とし、その構成を基に、各業態の持株会社に係るチェック項目が記述されています。しかし、平成18年6月の「保険検査マニュアル」の全面改訂に加え、平成19年2月には「金融検査マニュアル」の全面改訂を行ったことから、これらをベースに策定された「金融持株会社に係る検査マニュアル」の各チェックリストの改訂が必要となったため、「銀行持株会社に係るチェックリスト」及び「保険持株会社に係るチェックリスト」を中心に改訂を行いました。改訂に際しては、平成19年6月5日に改訂案をパブリックコメントに付した上で、平成19年7月9日に「改訂金融持株会社に係る検査マニュアル」を公表しました。

なお、本マニュアルは、平成19検査事務年度(平成19年7月以降)に実施する検査から適用することとしています。

(注) 「証券持株会社に係るチェックリスト」については、改訂当時、金融商品取引法の施行に向け、証券取引等監視委員会事務局において「金融商品取引業者等検査マニュアル」を策定中であったことを踏まえ、改訂を行っていません。

3.改訂金融持株会社に係る検査マニュアルの構成

金融持株会社の検査に係る「基本的考え方」に加え、金融持株会社の検証項目の主要なものとして「グループ経営管理(ガバナンス)態勢の確認検査用チェックリスト」、「グループ自己資本管理態勢の確認検査用チェックリスト」及び「グループ統合的リスク管理態勢の確認検査用チェックリスト」で構成されています。

4.各チェックリストの概要

  • (1)グループ経営管理(ガバナンス)態勢の確認検査用チェックリスト

    子会社である金融機関の業務の健全性及び適切性を確保するため、

    ア.グループの経営方針等の策定、

    イ.グループ内会社管理態勢の整備・確立、

    ウ.モニタリング及び見直し、

    エ.グループ内取引管理

    といったグループ体制において特に留意すべき個別の問題への対応の適切性等の観点から、金融持株会社の経営管理(ガバナンス)が有効に機能しているかを確認することとしています。

  • (2)グループ自己資本管理態勢の確認検査用チェックリスト

    ア.グループの自己資本充実に関する施策の実施、

    イ.グループの自己資本充実度の評価、

    ウ.連結自己資本比率の算定(銀行持株会社のみ)

    が適切に行われているか等の観点から、金融持株会社の自己資本管理態勢が有効に機能しているかを確認することとしています。

  • (3)グループ統合的リスク管理態勢の確認検査用チェックリスト

    グループ内会社が抱える各種リスクを統括し、グループ内のリスクの波及等、個々のグループ内会社では対応できないグループ体制特有のリスクを統合的に捉え、グループの経営体力(自己資本)との比較・対照が適切に行われているか等の観点から、金融持株会社の統合的リスク管理態勢が有効に機能しているかを確認することとしています。

(注) 各管理態勢の検証に当たっては、それぞれの金融持株会社の役割・責任に応じて、「金融持株会社に係る検査マニュアル」の他、適宜「金融検査マニュアル」、「保険検査マニュアル」の該当部分を用いて検証を行います。

5.終わりに

本マニュアルは、金融持株会社グループの実態を十分に踏まえ、様々なケースに対応できるように作成したものであり、本マニュアルに記載されているチェックリストの内容の全てを各々の金融持株会社及びグループ内会社に一律に求めているものではありません。金融持株会社においては、自己責任原則のもと、本マニュアルを踏まえ、創意・工夫を十分に生かし、それぞれの規模・特性に応じた対応がなされることが期待されます。

※ 詳しくは、金融庁ホームページの「報道発表資料」または「パブリックコメント」から、「「金融持株会社に係る検査マニュアル」の改訂(案)に対するパブリック・コメントの結果等について」(平成19年7月9日)にアクセスしてください。


「子ども見学デー 金融庁へGO!」の開催について

去る8月22日(水)と23日(木)の2日間、金融庁において「子ども見学デー 金融庁へGO!」が開催されました。

「子ども見学デー」とは、主催の文部科学省をはじめとした府省庁等が連携して、業務説明や省内見学などを行うことにより、親子のふれあいを深め、子どもたちが夏休みに広く社会を知る体験活動の機会とするとともに、あわせて府省庁等の施策に対する理解の増進を図ることを目的としており、今年は霞が関界隈の省庁をはじめ、計28省庁が参加しました。

金融庁については、平成16年度からこの見学デーに参加しており、この機会に暮らしの中の金融の動きや金融庁の仕事について理解を深めてもらうことを目的として開催しております。

今年の見学デーについては、昨年と同様に往復はがきと今回からFAXにて参加者募集を実施しました。その結果、全国各地から昨年以上の応募があり、広報室での抽選の結果、22日当日は、18名の子ども達と13名の保護者・引率者、23日は24名の子ども達と19名の保護者・引率者にご参加いただきました。

両日とも朝10時に集合いただき、まず、オリエンテーションを行い、引き続き、「金融ってなぁ~に?(カレー作りゲームを通じて)」と題しまして、「子供のお金教育を考える会」代表・あんびるえつこ先生からお話をいただきました。スクリーンに映像を映しながら、カレーを作るにあたって、限られたお金で必要な材料を購入するといった事例を用いて、金銭感覚を養うと同時に、経済の基礎知識を学び、後半はクイズ形式で消費税やお金の流れについて勉強しました。

続いて、三好広報室長から「金融庁ってこんなところ」と題しまして、金融庁の組織や仕事内容を説明しました。

引き続き、「大臣室をのぞいてみよう」と題し、金融担当大臣室を子供、保護者・引率者の皆さんで訪問しました。両日とも、山本金融担当大臣(当時)に時間をとっていただき、子供達の質問に対して、お答えいただいたり、最後に山本金融担当大臣(当時)を囲んで記念撮影を行うなど、子供達や保護者・引率者からも大変好評でありました。

子供達及び保護者・引率者に記入いただいたアンケート結果からは、「とてもおもしろかった、とてもよくわかった」との感想が多く寄せられました。特に、あんびるえつこ先生のお話や山本金融担当大臣(当時)との質問コーナーや写真撮影に人気が集まりました。

今回いただいた様々な参加者の声は、次回の子ども見学デーに活かしていくことはもちろんのこと、今後も子ども達に金融の動きや金融庁の仕事について興味を持ってもらい、理解を深めてもらえるように金融庁としても努力していきたいと思います。

山本金融大臣(当時)とお話する子供達(22日)
あんびるえつこ先生のお話の模様(22日)

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