【トピックス】

全国一斉多重債務者相談ウィークについて

現在、多重債務問題は深刻な社会問題となっています。多重債務者がどこにも相談できないまま生活に行き詰まるおそれがある中、住民に最も身近な存在である地方自治体等の相談窓口を整備・強化していくことは極めて重要な課題です。

こうした課題に対処するため、多重債務者対策本部では、全国の地方自治体における相談窓口の整備を一層促進するとともに、各地域の多重債務者が相談窓口を訪れる一つのきっかけとすることを目的として、平成19年12月10日から16日の一週間を「全国一斉多重債務者相談ウィーク」とすることを決定しました(平成19年8月15日 多重債務者対策本部新しいウィンドウで開きます決定)。

相談ウィークの期間中、都道府県及び当該都道府県の弁護士会・司法書士会が共同で無料相談会を実施し、その数は全国で延べ約450箇所、ご協力をいただいた弁護士、司法書士の方々は約1,400名に上りました。その結果、無料相談会には、全国で約6,000件の相談が寄せられました。

(全国の無料相談会の開催状況についてはこちらを御覧ください。)

12月4日(火)には、相談ウィークの実施に先がけて、相談ウィークの主催者である多重債務者対策本部、日本弁護士連合会及び日本司法書士会連合会のトップ(多重債務者対策本部長である渡辺金融担当大臣、日本弁護士連合会の平山会長、日本司法書士会連合会の佐藤会長)による共同記者会見が行われました。

日本弁護士連合会の平山会長からは、「是非、この問題を解決してより社会が安定するように、努力したい」、日本司法書士会連合会の佐藤会長からは、「今後とも大きな社会問題としての認識のもとに、これらの多重債務問題の解消に向かって、私どもも一端を担っていきたい」といった発言をいただきました。

そして、渡辺大臣からは、「借金で悩んでおられる皆様方は、是非この機会に相談窓口会場にまでお越しいただきたい」「今回の相談ウィークによってさらにこの相談窓口が強化をされていくことを期待したい」といった発言がありました。

相談ウィーク期間中の12月14日(金)には、山本金融担当副大臣が、東京都消費生活総合センターの無料相談会場を視察し、相談員の方や、当日会場を訪れた相談者の方と懇談を行いました。視察の概要は、以下のとおりです。

<相談員の方との懇談>

相談員の方からは、「自己破産した人は官報に氏名を掲載されるので、ヤミ金から融資を勧誘するダイレクトメールが山のように届く。自己破産直後は生活が苦しく、つい手を出してしまうが、返済するためには他から借金をする他なく、結局また多重債務に陥ってしまう。」

「多重債務者の多くはパソコンを持っていないので、インターネットによる広報は効果的ではない。大手4社の新聞への広告掲載も、あまり読まれていないため、非効果的。多重債務者がよく読んでいるのは、夕刊紙に出ている貸金業者の広告。これらの広告の最後に相談窓口を広報すれば、借金を思いとどまり、相談に訪れる人も増えるのではないかと思う。」

といったご意見が寄せられました。

山本副大臣からは、視察後の会見で「自己破産者が官報に掲載されるのはやむを得ないとしても、それをヤミ金が利用するのは問題。また、夕刊紙へ相談窓口を広報することは、何とかすべき課題。」といった旨の発言がありました。

<相談者との懇談>

借金の相談に訪れた相談者の方は、在住区役所の住民税担当課から「相談ウィーク」を紹介され、相談に訪れました。山本副大臣からは、視察後の会見で「区役所内での連携がなされており、大変良いことだと思う。このように、関係ありそうな部署同士は全て連携できるよう、全国的に徹底していきたい。」といった旨の発言がありました。

今後控える改正貸金業法の完全施行を前に、改正法の円滑な施行、多重債務問題改善プログラムの確実な実施等、今後も関係機関が一体となって、多重債務問題の解決に向けた取組みを進めていきます。


第3回国際コンファレンスの開催について
「金融の安定と金融部門の監督 ―過去10年の教訓と今後の対応― 」
(平成19年12月17日開催)

金融庁金融研究研修センター新しいウィンドウで開きますでは、諸外国の金融事情に関する研究を目的として、国際コンファレンスを開催しています。第3回の今回は、「金融の安定と金融部門の監督―過去10年の教訓と今後の対応―」をテーマとして、国際通貨基金アジア太平洋地域事務所、慶應義塾大学経済学研究科・商学研究科連携21世紀COEプログラムとの共催により、12月17日(月)に開催されました。国内外の研究者、政府関係者、金融機関、在京各国大使館関係者など、約150名の参加がありました。

 

アジア諸国では、金融危機を教訓に、過去10年間、金融システムを大幅に強化し、規制・監督の枠組みを大きく改善してきました。一方、競争は現在、ますます激化し、デリバティブや証券化を巡る新たな金融手法が次々に生まれています。こうした急速な変化や、アジア新興市場のダイナミズムに惹かれ発生した大規模な資本流入は、新たな課題を生み出しています。これらの課題に対し、監督当局はバーゼル II の導入に向けた検討を進める等、監督枠組みの強化で対応を図っています。

本コンファレンスでは過去10年に進められた金融改革の取組みを振り返り、金融監督・検査がどう変化してきたのか、更に、アジアの金融制度は国際金融環境の変化に対応した備えができているのか、バーゼル II の効果的実施を含め、今後の対応についてのディスカッションが行われました。

セッション1:金融危機以降の金融制度改革

アジア金融危機以降10年の金融制度改革を振り返り、これまでの取り組みの評価が行われました。ケーススタディとしてタイの金融改革の事例を取り上げ、危機の引き金となり、同時に、危機を深刻化させた原因として、金融制度の脆弱性が指摘されました。そうした脆弱性を克服するための取り組みとして、不良債権の資産区分の細分化、金融商品評価に係る国際基準導入、金融機関統合による効率化等が行われており、今後はバーゼル II の導入等の改革を周辺各国と足並みを揃えて進めていくことなどが報告されました。

セッション2:金融危機以降の金融監督・検査

金融危機の以前・以降それぞれの期間における金融機関監督・検査状況について、日本、韓国、マレーシア、フィリピンから報告がなされた後、今後の金融監督及び検査体制の整備において取り組むべき課題が議論されました。

アジア金融危機を経て、アジア各国の金融監督及び検査体制はリスク管理体制が強化されるなど、大きく進展したとの評価がありました。しかしながら、アジアの金融機関が今般の米国サブプライム・ローンに端を発する金融混乱の影響が軽微であったのは、必ずしもリスク管理の結果とはいえないので将来に対して楽観はできないとの指摘もありました。

今後、国際的な金融問題に対応するには、各国の監督当局が市場との対話を増やすことで早期に問題を発見し、海外の当局との情報を共有し連携を図ることが肝要との認識がありました。また、金融技術が急速に発展する中で、各国の監督・検査当局も職員の資質向上といった問題が重要な課題となっていることなどが議論されました。

総合司会を務める 吉野 直行 センター長(慶應義塾大学教授) 閉会の挨拶を行う 有吉 章 国際通貨基金アジア太平洋地域事務所長
総合司会を務める 吉野 直行 センター長
(慶應義塾大学教授)
閉会の挨拶を行う 有吉 章
 国際通貨基金アジア太平洋地域事務所長

セッション3 金融環境の変化への対応(パネル・ディスカッション)

パネル・ディスカッションでは、日本・香港・シンガポールの金融当局、金融機関及び格付機関からのパネリストによって、現在の金融が直面する課題が議論されました。

資本の大規模な流入によって流動性は世界全体で高まっており、資産価格の高騰が起きています。一方で、世界の流動性が今後大きく転換する可能性もあります。こうした状況を踏まえ、過去10年間で金融機関のリスク管理手法は改善しているものの、ストレス・テストは十分でないとの指摘がありました。また近年、アジアで金融監督の原則を「ルール・ベース」から「プリンシプル・ベース」へ移行する国が散見されるものの、両者を二者択一で捉えるのは適当でなく、両者の長所を組み合わせることが望ましいとの指摘がありました。

さらに、金融システムの安定にとって、バーゼル II といった新しい金融監督の枠組みや実施は必要不可欠であるが、こうしたミクロの政策だけでなく、国民経済全体の動向を考慮したマクロの政策も併せて必要であるとの指摘がありました。

最後に、危機というものは将来必ず「過去とは異なる形で」やってくるものなので、平時である現在においては、過去の教訓を整理するだけでなく、正しく学び将来に活用することが必要であると締め括られました。

※ 詳しくは、金融庁 金融研究研修センターウェブサイト新しいウィンドウで開きますに掲載しておりますのでアクセスしてください。なお、詳細な概要や会議資料について今後掲載する予定です。


「生活設計・資産運用について考えるシンポジウム」(大阪開催)の概要

金融庁では、近畿財務局新しいウィンドウで開きますとの共催により、「生活設計・資産運用について考えるシンポジウム」を平成19年11月17日(土)に、(社)大阪銀行協会大会議室(大阪市中央区)において開催しました。

 

今回のシンポジウムは、地域の住民の方々を対象に、金融商品が多様化するなかで金融商品の選び方や金融広告の注意点に触れながら、生活設計・資産運用の在り方について考えてもらうことを目的として、以下のプログラムにより開催しました。

主催者挨拶、基調講演、プレゼンテーションの後に行われたパネルディスカッションの模様についてはこちらをご覧ください。

≪プログラム≫ (敬称略)

開会挨拶
戸井田 とおる(内閣府大臣政務官))
基調講演
「「生活設計と資産運用の基本的な考え方」~ライフプランを実現するためのマネープランの作り方~」
神戸 孝(FPアソシエイツ&コンサルティング(株)
代表取締役))
プレゼンテーション
「最近の金融商品トラブル」
~資産運用で失敗しないために~
大久保 育子
(大阪府金融広報アドバイザー))
パネルディスカッション
○コーディネーター いちのせ かつみ
  (ファイナンシャルプランナー、生活経済ジャーナリスト)
 
○パネリスト 神戸 孝
大久保 育子
(FPアソシエイツ&コンサルティング(株) 代表取締役)
(大阪府金融広報アドバイザー)
 
 
篠原 総一
 (同志社大学経済学部 教授)
  勢登 朗彦
 ((株)近畿大阪銀行営業推進部長)

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