アクセスFSA 第62号(2008年1月)

【トピックス】

第4回国際コンファレンスの開催について
テーマ:「地域金融の現状と今後」(平成20年1月18日開催)

金融庁金融研究研修センター新しいウィンドウで開きますでは、去る1月18日、慶應義塾大学経済学研究科・商学研究科連携21世紀COEプログラムとの共催により、第4回国際コンファレンス「地域金融の現状と今後」を開催新しいウィンドウで開きますいたしました。コンファレンスには、国内外の研究者、政府関係者、金融機関、在京各国大使館関係者など、約200名の参加がありました。

我が国では、地域密着型金融(いわゆるリレーションシップバンキング、以下リレバン)の機能強化に向けて、各地域金融機関が中小企業の再生や地域経済の活性化のための各種取組みを進めてきています。しかし、このような取組みの進捗にも関わらず、中小企業等の地域金融機関の利用者からは、一部の取組みについていまだ取組みが不十分との声もあります。

そこで本コンファレンスでは、地域金融が地域経済の活性化につながっていると言われているドイツや、地域・中小企業への融資が活発なアジアと日本の現状を比較検討するとともに、今後の日本の地域金融のあり方についてのディスカッションを行ないました。

セッション1:日本の地域金融の経験と現状

本セッションでは、各国の地域金融を比較するための軸として、まず金融庁から平成15年度から2次にわたり実施されたリレバン・アクションプログラムの成果と課題が報告されました。その後中小企業金融公庫から、日本の地域金融・中小企業金融における政府系金融機関の役割、及び証券化等の近年の取組みが紹介されました。更に、地方の企業からは、借り手の立場から見たリレバンへの現状評価についての報告が行われました。

報告後の自由討議では、動産(在庫)を担保とするなど不動産担保に過度に依存しない融資の増加や、地域再生に繋がる企業再生の成功事例の蓄積等のリレバンの取組み成果について、情報共有していくことの必要性等が議論されました。

「日本における地域密着金融の現状と課題」
と題して報告する
長谷川 金融庁監督局銀行第2課長

セッション2:ドイツの地域金融の経験と現状

ドイツでは地域金融が上手く地域経済の活性化につながっているといわれています。そこで本セッションでは、ドイツの地域金融から日本への教訓を探るため、ドイツ銀行貯蓄金融グループから、ドイツにおける地域金融・中小企業金融の現状・課題についての報告を受けた後、議論が行われました。ドイツの貯蓄銀行は、非営利組織の金融機関であり、地域の中小企業を主要貸出先とする点で、日本の地域金融機関と類似しています。また、各貯蓄銀行によって組織されるドイツ貯蓄銀行金融グループ全体では、総資産で欧米の主要金融機関を上回る規模を有しており、大きな影響力を持っています。

ドイツでは地域金融・中小企業金融を主要業務としながら、グループとして大手金融機関と対等に競争できている要因として、ドイツは歴史的に各地域が独自性を持っており、またドイツの中小企業は日本の中小企業に比べ事業の独立性が高いといった地域や借り手の背景の違いも指摘されました。

セッション3 アジアの地域金融の経験と現状

アジアに目を向けると、タイ・韓国などでは、中小企業への融資が活発化しており、大企業融資に偏っていた金融構造を中小企業に向けようとしている動きがあり、経済成長が高い中で、地域金融も進展していると言われています。そこで本セッションでは、タイ・韓国の報告を受けた後、日本とアジアの地域金融の現状を比較しました。

まず、タイ中小企業開発銀行から同行の設立経緯と役割の紹介、及び現状と課題が報告されました。タイでは商業銀行が中小企業への融資に消極的であったため、中小企業の資金需要は高金利の非組織金融市場に向かいがちでした。こうした状況を鑑み、中小企業の競争力改善を通じた持続可能な経済成長を実現する役割を果たすため、タイ中小企業開発銀行は2002年に設立されました。これまでの取組みとしては、一村一品融資(one village, one product loans)の実現が挙げられます。そして今後の課題として、「中小企業の金融機関」から「起業家社会を実現する機関」への同行の役割のパラダイムシフトが指摘されました。

次に、韓国中小企業銀行から同行の設立経緯と役割の紹介、及び現状と課題が報告されました。韓国中小企業銀行は1961年に中小企業支援を目的として設立され、現在では唯一の中小企業専門の政府系金融機関となっています。韓国では、韓国銀行(中央銀行)による中小企業振興基金などの政策金融によって、中小企業の資金調達を改善させる一方で、信用保証制度を充実させ中小企業の資金アクセスも改善させる施策を実施しています。他方課題としては、中小企業金融に対する政府の過度の関与によって、借り手企業のモラルハザードが懸念されることが指摘されました。

タイと韓国の報告を受け、日本の地域金融機関のリレバンへの取組み事例等が横浜銀行から報告されました。動産担保融資として、冷凍マグロ在庫を評価・管理する手法が紹介されたほか、リレバンへの取組みによって創業支援融資商品やビジネスマッチング成約件数等で成果が出ていることが報告されました。他方、課題としては、目利き能力のある銀行員をいかに育てるかが指摘されました。

セッション4 地域金融の今後の取組み(パネルディスカッション)

まず、金融庁から地域金融の動向について報告があり、2次にわたり実施されたリレバン・アクションプログラムによって着実に実績が上がっている一方、今後は収益力向上も視野に入れた「選択と集中」が必要であることが課題として指摘されました。続いて福岡銀行から、リレバンの特色ある取組み事例について報告があり、伝統的な商業銀行部門においては「業種・業界特性の情報蓄積」「対面営業の高付加価値化」等の実施、新規の活動としてファンドを活用した事業再生や地域貢献の実施が紹介されました。

その後、各国報告者を交えて、地域金融・中小企業金融の今後の在り方についてパネルディスカッションが行われました。議論では、地域や中小企業の現状を踏まえると、不動産に限らず動産であっても担保に過度に依存にする融資は望ましくなく、また事業採算性の審査を強化して、起業の「再チャレンジ」を可能とすることが望ましいとの指摘もありました。

   最後に、吉野 直行 教授(慶應義塾大学経済学部教授 兼 金融庁金融研究研修センター長)から総括の報告がありました。報告では、地域経済・中小企業の活性化にはリスクテイクが必要であるから、資金需要の全てが銀行貸出という単一の資金供給手段でまかなわれるのは望ましくなく、金融持株会社の傘下に多様な金融機関を配置し、事業プロジェクトのリスクに応じて貸出、投資信託、ファンドといった複数の資金供給スキームを用意すべきであるとの指摘がありました。

※ 本コンファレンスのプログラムについては、金融庁金融研究研修センターウェブサイト新しいウィンドウで開きますに掲載しておりますので、アクセスしてください。なお、詳細な概要や会議資料について今後掲載する予定です。


地域密着型金融に関するシンポジウムの開催について

金融庁と関東財務局新しいウィンドウで開きますは、1月16日(水)に「地域密着型金融に関するシンポジウムIN TOKYO ~中小企業と地域金融を考える~」を東京都港区のサントリーホールにて開催いたしました。

本シンポジウムは、地域金融機関(地域銀行、信用金庫及び信用組合)による、中小企業の再生支援や中小企業金融の円滑化に向けた特色ある取組み等について、広く地域に紹介することにより、事業再生等のノウハウの共有の促進など、地域密着型金融の一層の推進を図ることを目的とするものです。

   シンポジウムの開会に当たり、山本 金融担当副大臣より挨拶があり、これまでの2次にわたるアクションプログラム(平成15~18年度)の取組みに対する利用者からの評価や、地域金融機関に取組みを求める3つの柱((1)ライフサイクルに応じた取引先企業の支援の一層の強化、(2)事業価値を見極める融資手法をはじめ中小企業に適した資金供給手法の徹底、(3)地域の情報集積を活用した持続可能な地域経済への貢献)の紹介等がなされました。

1.基調講演

地域密着型金融の本質と地域金融機関の今後の方向性について有識者講演がなされ、新たな地域密着型金融のキーワードとして「地域密着型金融と収益力向上の両立」が示されました。

2.特色ある取組み事例の発表

関東財務局管内の地域金融機関より、地域密着型金融に関する以下の取組み事例の発表がなされました。

  • (1)取引先企業の経営相談・支援機能の強化

    • 円滑な事業承継に向けた支援機能の強化(八十二銀行)
    • 第1回「TOKYO物産・逸品見本市」の開催について(西武信用金庫)
    • 第1回「かわしんビジネスフェア」の開催について(川崎信用金庫)
  • (2)早期事業再生に向けた取組み

    • 公的機関・外部専門家を活用した企業再生支援(城北信用金庫)
  • (3)新しい中小企業金融の取組みの強化

    • 農業分野への取組みとABL(山梨中央銀行)

3.パネルディスカッション

 金融機関においては、顧客ニーズに対応した金融サービスの提供が期待される一方、金融商品取引法等に基づき、利用者保護に向けた一層の取組みが求められていることや組織犯罪による金融サービスの利用を防止するための対応が求められていること等を踏まえ、利用者保護の徹底と利便性の向上について、貸し手代表、借り手代表及び有識者より意見を伺いました。
 また、これまでの地域密着型金融の取組みの評価や今後のあり方についても議論がなされ、今までの取組みについての成果を確認したうえで、顧客側の立場に立った経営や小規模な企業への総合的な支援、地域のリーダーの育成等、今後力を入れるべき点についてご意見をいただき、さらに継続して地域密着型金融の取組みを進めていく必要があると締め括られました。
 

※ 詳しくは、金融庁ウェブサイトの「報道発表資料」から「地域密着型金融に関するシンポジウムIN TOKYO」の開催について」(平成19年12月21日)にアクセスしてください。


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