アクセスFSA 第68号(2008年7月)

【法令解説等】

「投資信託及び投資法人に関する法律施行令の一部を改正する政令(案)」等に対するパブリックコメントの結果について

  • 1. 経緯

    昨年12月に公表した市場強化プラン(金融・資本市場競争力強化プラン)では、取引所における取扱商品の多様化を図り、利用者利便の向上を図る観点から、上場投資信託(ETF)の多様化を一層推進するため、以下の制度整備を行うことが盛り込まれました。

    • (市場強化プラン中の該当項目)
      • (1)株価指数連動型ETFの多様化

        多様な指数を対象としたETFをより迅速かつ柔軟に組成できるようにするため、平成20年上半期を目途に投資信託及び投資法人に関する法律関係政府令等を改正し、現行の告示指定による対象指数の個別列挙方式を廃止するとともに、適切な価格形成や相場操縦防止等の観点から問題のない範囲で、対象となる株価指数を包括的に定める等の見直しを行う。

      • (2)株式以外の上場有価証券を投資対象とするETFの解禁

        投資信託法における現物拠出型ETFは、現在、その対象が株式に限定されているが、海外の取引所において多様な現物拠出型のETFが上場されている状況等を踏まえ、平成20年上半期を目途に投資信託法関係政府令等を改正し、投資者保護上問題のない上場有価証券等について、現物拠出型のETFの投資対象として認めるための方策を講じる。

    これを受け、「投資信託及び投資法人に関する法律施行令」及び「投資信託及び投資法人に関する法律施行規則」等について、改正を行いました。

  • 2. ETFについて

    投資信託のうち、取引所へ上場されているものは、上場投資信託(Exchange Traded Fund:ETF)と呼ばれており、現在、その1口あたりの純資産額がTOPIXや日経平均株価などの株価指数に連動するように作られたものなどが上場されています。

    ETFは、投資者にとって、個別株に投資することと比較すると、低コストで、簡便かつ効果的な分散投資が可能となる投資手段であり、また、非上場の投資信託と比較すると、取引所市場において、市場価格によるタイムリーな取引を機動的に行うことができる等のメリットがある商品でもあります。

    投資信託法において、投資信託は、政令で定める場合を除いて、金銭信託(金銭で信託を設定し、かつ、金銭で償還すること)であることを原則としていますが、ETFは、この政令で定める例外の規定に基づいて作られています。従来の政令(投資信託法施行令)では、現物株式により信託が設定され、投資信託の受益証券と現物株式との交換が可能である「現物拠出・現物交換型ETF」と、金銭により信託が設定され、投資信託の受益証券と現物株式との交換が可能である「金銭拠出・現物交換型ETF」の2つの類型が規定されていました。

  • 3. 改正の概要

    • (1)株式以外を投資対象とする現物拠出・現物交換型ETFの導入

      従来の投資信託法施行令では、現物拠出・現物交換型ETFについては、上場株式を投資対象とするもののみが認められていました。これを改正し、投資対象を上場有価証券等に拡大しました。

    • (2)現物拠出・現物交換型ETFの連動対象となる指標の拡大

      従来、現物拠出・現物交換型ETFの連動対象とすることができる指数は、株価指数に限定されており、当該株価指数は、告示により個別に指定することとされていました。これについて、不適正な指標を利用したETFが組成されること等がないよう、指標の算出方法が客観的で、公正を欠くものでないこと等の要件を設けた上で、指標一般を連動の対象とすることができるようにしました。

      なお、株価指数を個別に指定していた告示は廃止することとしました。

    • (3)空売り規制の適用除外の範囲の整理

      現物拠出・現物交換型ETFの連動対象となる指標の拡大に伴い、株価指数以外の指標を対象指標とするETFに係る空売りについて、株価指数を対象指標とするETFと同様の適用除外を規定するなど、所要の措置を行いました。

    • (4)施行期日

      上記の政府令改正及び告示の廃止については、6月27日に公布し、同日付で施行しています。


【国際関連】

金融庁と米国証券取引委員会(SEC)との間の「日米ハイレベル証券市場対話」の開催について

  • 1.平成20年6月27日、金融庁と米国証券取引委員会(SEC)との間の定期的な政策対話である「日米ハイレベル証券市場対話」(第4回)が、米国ワシントンDCにおいて開催され、金融庁総務企画局の丸山審議官(国際担当)及びケーシーSEC委員をはじめとするハイレベル職員が参加しました。

  • 2.今回の「日米ハイレベル証券市場対話」においては、最近の市場混乱に関連する課題や、会計基準・開示、執行上の課題など、幅広いトピックについて話し合いました。

  • 3.証券取引のクロスボーダー化が進む中、金融庁とSEC が共通して取り組むべき監督上の課題は多く、意見交換と相互理解を深めたことは、非常に有益かつ必要なことです。また、金融庁とSEC のハイレベル職員が互いに顔を合わせる機会は限られていることから、今回の「対話」によって、両当局の友好・協力関係が一層強化されました。

※ 詳しくは、金融庁ホームページの「国際関連情報」から、「金融庁と米国証券取引委員会(SEC)との間の「日米ハイレベル証券市場対話」の開催について」(平成20年6月30日)にアクセスしてください。


公開企業の規制当局による国際会計基準委員会財団(IASCF)のモニタリング・グループ設立に関する次のステップの発表について

金融庁は、6月18日、欧州委員会(EC)、米国証券取引委員会(SEC)及び証券監督者国際機構(IOSCO)と共同で、国際会計基準委員会財団(IASCF)のモニタリング・グループ設立に関する円卓会議(ラウンド・テーブル)を歓迎すること等を内容とした共同声明を発表しました。

IASCFは、評議会(Trustees)によって運営され、国際会計基準(IFRS)を作成している国際会計基準審議会(IASB)の理事の指名や資金調達などの運営等を行っている財団です。現在、IFRSは世界的に広く使用されるようになってきており、また我が国も、日本基準とのコンバージェンス(収れん)の加速化に取り組んでいる中で、IFRSの設定手続きの透明性向上をはじめ、IASBを含むIASCFのガバナンスの向上が極めて重要となってきています。

IASCFは、現在、5年に一度の定款の見直し作業を行っていますが、この見直し作業に先立ち、金融庁は、昨年11月、EC、SEC及びIOSCOと共同で、IASCFのガバナンス向上に向けた取組みを提案する共同声明を公表しました。IASCFは本年5月、定款の見直しの議論において、モニタリング・グループとIASCFとの関係構築及びIASBの理事の拡充について先行して議論する方針を示すとともに、これに関する市中協議資料の草案を公表しました。なお、6月19日に行われた円卓会議では、この草案をもとに参加者から様々な意見が寄せられました(金融庁もパネリストとして参加しました。)。これを踏まえ、7月21日に市中協議資料(コメント期限:9月20日)が公表されています。

金融庁としては、今後とも、EC、SEC及びIOSCO等と連携しつつ、IASCFのガバナンス向上のための取組みを支援していく方針です。

(参考)国際会計基準委員会財団(IASCF)の組織図

国際会計基準委員会財団(IASCF)の組織図

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