アクセスFSA 第66号(2008年5月)

【法令解説等】

金融商品取引業者等向けの総合的な監督指針の一部改正について

金融庁では、「金融商品取引業者等向けの総合的な監督指針の一部改正(案)」について、平成20年11月14日から平成20年12月15日にかけて広く意見の募集を行い、平成21年1月30日にパブリックコメント結果を公表し、監督指針の一部改正を行いました。

改正の概要は以下のとおりです。

  • 1.ファイアーウォール規制の見直し関係

    • (1)利益相反管理体制の整備

      金融商品取引法等の一部を改正する法律(平成20年6月13日公布)及び関連政令・内閣府令によるファイアーウォール規制の見直しに伴い、証券会社等に対して利益相反管理体制の整備が義務付けられることを受け、親子法人等との非公開情報の授受の範囲拡大を踏まえた経営管理やレピュテーション・リスクが顕在化するおそれにも留意した経営管理を行うことが望ましいこと、証券会社等が行う利益相反管理の水準・深度は必ずしも同一である必要はないと考えられることといった基本的な考え方のほか、以下のような監督上の留意点を定めました。

      • 利益相反のおそれのある取引を特定するための体制の整備に関して、当該取引の事前特定・類型化や、業務の内容・特性・規模等の適切な反映が行われているか。

      • 特定された利益相反のおそれのある取引の特性に応じ、適切な利益相反管理の方法を選択し、又は組み合わせることができる態勢となっているか。

      • 必要事項が記載された利益相反管理方針を作成し、かつ、必要事項を記載した概要が適切に公表されているか。

      • 業務運営手続等についての役職員への周知徹底等が行われるとともに、利益相反管理統括者等による一元的な管理、その独立性の確保及び必要な情報の集約等が行われ、かつ、利益相反管理に係る人的構成・業務運営体制が定期的に検証されているか。

    • ※ 「主要行等向けの総合的な監督指針」、「中小・地域金融機関向けの総合的な監督指針」、「保険会社向けの総合的な監督指針」及び「金融コングロマリット監督指針」の各指針についても上記と同様に一部改正を行いました。

    • (2)親子法人等との非公開情報の授受

      • 法人顧客に対するオプトアウト機会の付与の適切性について、以下のような留意点を定めました。

        • 必要事項を、個別に、書面等により通知しているか。通知内容に軽微な変更があった場合等にも、最新情報の常時掲載等や適切な説明等を通じて、必要な情報を入手できるようにしているか。長期契約の場合など、概ね1年以上にわたり通知を行っていない場合は、改めて通知を行っているか。

        • オプトアウト機会の通知から、親子法人等との非公開情報の授受の開始までの間に、必要な期間を確保しているか。

        • 個別通知と併せて必要な情報を常時掲載するほか、オプトアウト機会が常時付与されていることを明確にしているか。

        • オプトアウト機会を付与しない法人顧客(※オプトインをした場合のみ非公開情報の授受を行う取り扱いとする法人顧客)がある場合は、オプトアウト機会を付与する(しない)法人顧客の属性の情報が開示されているか。

      • 親子法人等との非公開情報の授受に係る留意事項として、以下のような点を定めました。

        • 親子法人等との間で授受を行う非公開情報の範囲が特定されているか。

        • 非公開情報について、十分な情報システム管理がされているか。

        • 非公開情報の管理責任者による一元的な管理体制が整備されているか。非共有情報(※オプトアウトした法人顧客・オプトインしていない顧客に係る非公開情報)は、他の非公開情報と分離して管理されているか。非公開情報・非共有情報の管理状況が、定期的に検証されているか。

        • 内部管理部門と営業部門等との間の兼務禁止を含め、非公開情報の管理責任者等が営業部門等に十分な牽制機能を発揮できる措置を講じているか。

        • 非公開情報の取扱い手続等が書面等で明確化され、研修等により周知徹底されているか。

        • 営業部門等職員について、一の法人が管理する非共有情報以外の非共有情報にアクセスできず、かつ、アクセスできる非共有情報を管理する法人等以外の法人等が非共有情報を管理する顧客へ当該非共有情報を用いて勧誘を行わない措置が講じられているか。

      • 内部管理業務等を行うために必要な非公開情報(非共有情報を含む。)の授受に係る留意事項として、以下のような点を定めました。

        • 内部管理部門等と営業部門等との間の兼務禁止を含め、内部管理部門等から非公開情報が漏洩しない措置が講じられているか。

        • 役員等が経営管理・内部管理のために非共有情報の提供を受ける場合は、目的外利用の禁止等の措置が講じられているか。

      • 親子法人等との間で兼職を行う際の誤認防止措置に係る留意事項として、以下のような点を定めました。

        • 同一の店舗内で取扱うサービスの範囲及びその提供主体である法人名が掲示されているか。

        • 営業を行う職員が、顧客に対して兼職の範囲を明示するとともに、契約締結時に、顧客がその契約主体を認識できるよう、書面等による確認の機会が設けられているか。

    • (3)親子法人等が発行する株券の引受け

      証券会社等が、その親子法人等が発行する株券の引受けの主幹事会社となる場合に、当該株券の発行価格の決定に関与する独立引受幹事会社について、引受業務の経験・実績に関する事項を定めました。

  • 2.その他

    最近の金融・資本市場を取り巻く環境の変化を踏まえ、以下のような改正を行いました。

    • デリバティブ取引等に関し、勧誘・説明態勢についての着眼点を追加しました。

    • 第一種金融商品取引業者の流動性リスク管理態勢についての着眼点を明確化しました。

    • 純財産額規制や自己資本規制比率に係るモニタリングの対象ではない第二種金融商品取引業者や投資助言・代理業者について、業務の継続性の問題に係る情報に接した場合の対応について定めました。

    • 投資法人について、吸収合併を行う場合の合併交付金の取扱いに係る留意事項や、フォワード・コミットメントを行う場合における留意点を定めました。

    • 適格機関投資家等特例業者等のリストの作成・公表及び更新等に係る事項を定めました。

  • 3.適用時期

    改正された監督指針のうち、ファイアーウォール規制の見直し関係については平成21年6月1日より適用されます。その他については平成21年1月30日より適用しています。


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