アクセスFSA 第84号(2010年4月)


【法令解説等】

上場会社のコーポレート・ガバナンスに関する開示の充実について

上場会社のコーポレート・ガバナンスに関する開示内容の充実等を内容とする「企業内容等の開示に関する内閣府令等の一部を改正する内閣府令(平成22年内閣府令第12号)」(「改正府令」といいます。)が本年(平成22年)3月31日に公布・施行されました。

  • I. コーポレート・ガバナンスに関する開示の充実

    コーポレート・ガバナンスについて国内外の投資家の関心は非常に高く、その情報は投資者が投資判断を行う際の重要な情報であると考えられることから、従来より、有価証券報告書等において開示を義務付けている「コーポレート・ガバナンスの状況」の開示内容について、上場会社を対象として、一層の充実を図ることとしました。

    なお、上場会社のコーポレート・ガバナンスについては、金融審議会の我が国金融・資本市場の国際化に関するスタディグループにおいても議論が行われ、その議論を取りまとめた報告「上場会社等のコーポレート・ガバナンスの強化に向けて」が平成21年6月17日に公表されましたが、その後の内外市場関係者等との議論や指摘をも踏まえ、上場企業のコーポレート・ガバナンスに関する開示内容の充実を図るため、企業内容等の開示に関する内閣府令(以下「開示府令」という。)を改正しました。具体的には、有価証券報告書等において「役員報酬」、「コーポレート・ガバナンス体制」及び「株式保有の状況」に関する詳細な情報の開示を求め(開示府令第二号様式)、臨時報告書において「議決権行使結果」についての詳細な情報の開示を求めることとしました(開示府令19条2項9の2号)。

    なお、今般のコーポレート・ガバナンスに関する開示の充実は、上場会社を対象としており(注1)、非上場会社は従前どおりの開示となります。

  • II. コーポレート・ガバナンス体制

    1. 従前から会社のガバナンス体制は、従来、有価証券報告書等の記載事項となっており、今般の改正では、

    • (a) コーポレート・ガバナンス体制の概要やその体制を採用する理由

    • (b) 内部監査及び監査役(監査委員会)監査の組織、人員(財務及び会計に関する相当程度の知見を有する監査役又は監査委員が含まれる場合には、その内容)及び手続

    • (c) 社外取締役及び社外監査役の機能、役割(当該社外取締役又は社外監査役の会社からの独立性についての考え方)

    • 等の記載事項を追加しました(開示府令第二号様式・記載上の注意(57)a(a)~(c))。

    2. 適用

    • コーポレート・ガバナンス体制に関する「記載上の注意」の適用については、平成22年3月31日以後終了する事業年度に係る有価証券報告書から適用されます(注2)(改正府令附則第2条第2項。以下、適用については有価証券報告書を対象として記載します。)。

  • III. 役員報酬

    1. 上場会社の株主その他の投資者が会社のガバナンスを具体的に評価するに当たっては、人事と報酬が重要な要素になります。このうち、役員報酬についてのより具体的な情報は、会社又は個々の役員の業績に見合ったものとなっているのか、個々の役員に対するインセンティブとして適切か、会社のガバナンスが歪んでいないか等の観点から、投資判断及びガバナンス上、重要な情報であることから、有価証券報告書等において開示を求めることとしました。開示の対象となる「報酬等」は、役員としての職務執行の対価として会社から受ける財産上の利益であって、当事業年度において受けた報酬等及び当事業年度において受ける見込みの額が明らかになった報酬等のいずれも対象となります(過去に開示したものは除く。)。

    具体的な記載事項は次のとおりです(開示府令第二号様式・記載上の注意(57)a(d))。

    (1) 社外取締役を除く取締役、社外監査役を除く監査役、執行役並びに社外取締役及び社外監査役を合わせた社外役員の4つの区分ごとの報酬等の総額、報酬等の種類別(基本報酬、ストックオプション、賞与、退職慰労金等の別)の額等を開示する。

    (2) 役員ごとに、提出会社の役員としての報酬等、また主要な連結子会社の役員を兼任している場合はその連結子会社の役員としての報酬等について、その総額と種類別の額を個別に開示する。なお、開示対象者は、提出会社と主要な連結子会社の役員としての報酬等の総額が1億円以上の者に限ることができるとしている。また、使用人兼務役員がいる場合、使用人給与分が重要である場合には、その内容を開示する。

    (3) 有価証券報告書等の提出日現在において、役員報酬等の額又はその算定方法の決定に関する方針を定めている場合には、有価証券報告書提出日における当該方針の内容と方針の決定方法を記載する。

    2. 適用

    • 役員報酬等の開示は、平成22年3月31日以後終了する事業年度に係る有価証券報告書から適用されます(改正府令附則第2条第2項)。なお、平成22年3月31日前に終了する事業年度において受け取る見込み額が明らかとなっていた報酬等(例えば、平成21年3月期に繰り入れた退職慰労金引当部分)については、平成22年3月期以降の事業年度に係る有価証券報告書での開示は不要です。

  • IV. 株式保有状況

    • 1. 会社による株式の保有には、取引関係の開拓・維持等、必ずしも財務諸表ではとらえきれないビジネス上の関係として積極的な意義があるという意見がある一方で、必ずしも効率的な投資とはいえないものがあるのではないかと消極的にとらえる意見もあります。このような状況に照らし、会社の株式保有に係る意義を積極的に開示することが、投資判断上、有用であると考えられることから、投資有価証券に区分される株式について、次のように保有目的に応じた情報を有価証券報告書等において開示を求めることとしました。

      (1) 政策投資目的で保有する株式

      • (a) 総額開示

        当事業年度に係る貸借対照表に計上されている「投資有価証券」に該当する株式(以下「投資株式」という。)のうち、保有目的が純投資目的以外の目的であるものについて、銘柄数及び貸借対照表計上額の合計額を開示します。

        なお、「純投資目的」とは、専ら株式の価値の変動又は配当の受領によって利益を得ることを目的とすることをいいますが、これは会社の主観の問題であり、より具体的な中身、基準や運用については、各提出会社の経営判断に従うことになります。

      • (b) 銘柄別開示

        純投資目的以外の目的で保有する投資有価証券に該当する株式のうち国内外の金融商品取引所に上場されている銘柄(以下「特定投資株式」といいます。)及び上場銘柄の「みなし保有株式」のうち、当事業年度と前事業年度のそれぞれにおいて、銘柄別に貸借対照表計上額が資本金額の1%を超えるもの(その銘柄数が30銘柄に満たない場合には、貸借対照表計上額の上位30銘柄に該当するもの)について、特定投資株式とみなし保有株式に区分して、銘柄、株式数、貸借対照表計上額及び具体的な保有目的を開示します(注3)。

        保有目的の記載について、一般的には、例えば「政策投資目的」といった純投資以外の目的であることを示す程度の記載ではなく、どういった政策投資の目的であるのかを具体的に記載することが適切です。

        なお、「みなし保有株式」とは、提出会社が所有権は有しないものの議決権行使権限又はその指図権限を留保している株式をいい、貸借対照表計上額は、みなし保有株式の事業年度末の時価に株式数を乗じた数とすることとしています。

      (2) 純投資目的で保有する株式 (記載上の注意(57)a(e)iii)

      • (a) 提出会社が純投資目的で保有する投資株式を、上場株式・非上場株式に区分し、当事業年度及び前事業年度における貸借対照表計上額並びに当事業年度における受取配当額、売却損益及び評価損益を記載します。

        (b) 当事業年度において保有目的を純投資目的から純投資目的以外の目的に、又は純投資目的以外の目的から純投資目的に変更したものがある場合には、それぞれ区分して、銘柄ごとに、銘柄・株式数・貸借対照表計上額を記載します。

      (3) 提出会社が持株会社の場合

      • 提出会社が持株会社(子会社の経営管理を行うことを主たる業務とする会社)である場合には、提出会社及び連結子会社のうち、投資株式の貸借対照表計上額(「投資株式計上額」という。)が最も大きい会社(「最大保有会社」という。)について、(1)・(2)の事項を開示します。

        なお、最大保有会社の投資株式計上額が、提出会社の連結貸借対照表上の投資有価証券である株式の連結貸借対照表計上額の3分の2を超えない場合には、提出会社及び連結子会社の中で次に投資株式計上額が大きい会社について、(1)・(2)の事項を開示します(ただし、上位30銘柄は上位10 銘柄になります。)。

        また、提出会社が最大保有会社に該当しない場合には、提出会社について、(1)・(2)の事項を開示します(ただし、上位30 銘柄は上位10 銘柄になります。)。

    • 2. 適用

      株式保有状況の開示については、上場会社の事務負担を考慮し、経過措置を設けています。

      • (1) 政策投資目的で保有する株式の総額開示(前述1.の(1)の(a))については、平成22年3月31日以後終了する事業年度に係る有価証券報告書から適用されます(改正府令附則第2条第2項)。

      • (2) 政策投資目的で保有する株式の銘柄別開示(前述1.の(1)の(b))については、次のとおりです(みなし保有株式については、平成23年3月期有価証券報告書から適用されます。)。

        • A. 銀行・保険会社以外の上場会社

          • (a) 平成22年3月期有価証券報告書については、平成22年3月期の貸借対照表計上額が資本金額の1%を超える銘柄(銘柄数が10 銘柄に満たない場合には、貸借対照表計上額の上位10銘柄に該当するもの)を記載します(改正府令附則第2条第3項)。

            (b) 平成23年3月期有価証券報告書からは、本則が適用されます。なお、前期分(平成22年3月期)については(a)の銘柄を記載します(改正府令附則第2条第4項)。

          B. 銀行・保険会社

          • (a) 平成22年3月期有価証券報告書については、平成22年3月期の貸借対照表計上額の上位10 銘柄を記載します。なお、提出会社以外の最大保有会社がある場合には、提出会社の上位10銘柄の記載に代えて、当該最大保有会社の上位10 銘柄に該当するものを記載します(改正府令附則第2条第5・6項)。この場合には、当該最大保有会社についても1.の(1)の(a)・(2)の事項を記載します(提出会社も1.の(1)の(a)・(2)の事項を記載します。)。

            (b) 23年3月期有価証券報告書からは、平成23年3月期の貸借対照表計上額が資本金額の1%を超える銘柄(50銘柄を上限とします。)(銘柄数が30銘柄に満たない場合には、貸借対照表計上額の上位30銘柄に該当するもの)を記載します。なお、提出会社以外の最大保有会社がある場合には、提出会社についての記載に代えて、平成23年3月期の貸借対照表計上額が提出会社の資本金額の1%を超える銘柄(50銘柄を上限とします。)(銘柄数が30銘柄に満たない場合には、貸借対照表計上額の上位30銘柄に該当するもの)を記載します(改正府令附則第2条第7項)。この場合には、当該最大保有会社についても1.の(1)の(a)・(2)の事項を記載します(提出会社も1の(1)の(a)・(2)の事項を記載します。)。また、前期分については(a)の10銘柄を記載します(改正府令附則第2条第7項)。

            (c) 平成24年3月期有価証券報告書等からは、本則(平成24年3月期のみ)が適用されます。なお、前期(平成23年3月期)分についてはB(b)の銘柄を記載します(改正府令附則第2条第8項)。

        (3) 純投資目的で保有する株式の総額開示(前述1.の(2))については、平成22年3月31日以後終了する事業年度に係る有価証券報告書から適用されます(改正府令附則第2条第2項)。

        (4) 提出会社が持株会社に関する規定(前述1.の(3))は、銀行・保険会社以外の会社については平成23年3月期有価証券報告書、銀行・保険会社については平成24年3月期有価証券報告書から適用されます(改正府令附則第2条第9項。ただし、銀行・保険会社の平成22年3月期・23年3月期有価証券報告書については、前述(2)のB.の(a)・(b)のとおり経過措置を設けています。)。

  • V. 議決権行使結果の開示について

    • 1. 株主の地位が市場で日々取引され、変動するという上場会社の特質にかんがみると、株主総会における議決権行使結果の投資家に対する開示は、上場会社のガバナンス上重要であると考えられます。そこで、株主意思をより明確化し、市場を通じた経営陣への適切な牽制効果を期待する観点から、議決権行使の結果の開示を求めることとしました。

      • 具体的には、次の事項を臨時報告書において開示します(開示府令第19条第2項第9号の2)。

        (a) 株主総会の開催年月日

        (b) 決議事項の内容

        (c) 決議事項に対する賛成・反対・棄権に係る議決権数、当該決議事項の可決要件、決議結果(注4)

        (d) (c)の議決権数に株主総会に出席した株主の議決権数の一部を参入しなかった理由(前日行使分・当日出席の大株主分の集計により可決要件を満たし、会社法上適法に決議が成立したものとして議決権の一部を集計しなかった場合等)

        なお、上場会社の株主総会においては、出席株主の議決権数(事前行使分、電子投票分及び代理人行使分を含む。)の一部を集計しない場合が多いという実態を踏まえ、臨時報告書に、当該議決権数の一部を賛成、反対又は棄権の議決権数に算入しなかった理由(例えば、事前行使分及び株主総会に出席した大株主分の集計により可決要件を満たし、会社法に則って決議が成立したものとして議決権の一部を集計しなかった等)の記載を求めることとしました。株主総会の出席株主の議決権の集計は会社法に則って行うことになりますが、開示府令は株主総会当日の議決権行使の集計を義務化する内容ではなく、実務的に過度な負担を求めるものではないと考えています。

    • 2. 適用

      議決権行使結果の開示については、平成22年3月31日に終了した事業年度に係る定時株主総会から適用され、当該定時株主総会以降に開催される定時株主総会・臨時株主総会はすべて対象となります(改正府令附則第2条第1項)。

(注1) 上場会社は、非上場会社と異なり、株主という会社の所有者たる地位が市場で売買されていることから、一般投資家に対して、コーポレート・ガバナンスについて、より高い説明責任が求められると考えられます。

(注2) 有価証券届出書については、平成22年3月31日以後終了する事業年度の財務諸表を最近事業年度の財務諸表として記載すべき有価証券届出書に適用されます。

(注3) 「株式保有状況」の情報は、財務諸表の附属明細表である「有価証券明細表」と情報が重複する部分もありますが、「株式保有状況」の情報は、貸借対照表を補完するための「有価証券明細表」の趣旨とはまったく異なるものであり、非財務情報として開示する一方で、「有価証券明細表」については、引き続き、開示していただくことになります。

(注4) 個別の役員ごとの選任議案の得票数の開示についても、他の議案と同様に記載することになります。


金融商品取引業者等向けの総合的な監督指針の一部改正について

金融庁では、「金融商品取引業者等向けの総合的な監督指針の一部改正(案)」について、平成21年12月25日から平成22年1月25日にかけて広く意見の募集を行い、平成22年3月4日にパブリックコメント結果を公表し、監督指針の一部改正を行いました。

改正の概要は以下のとおりです。

  • 1.改正の概要

    • (1) 国際的に活動する金融商品取引業者グループについて

      • 大規模で複雑な業務を行う金融商品取引業者グループについては、リスクの集中によって、金融システムに与える潜在的なリスクが高まってきています。一方、特に国際的に活動するグループを中心に、組織の巨大化・縦割り化に伴って、グループ全体の経営管理が難しくなり、グループ全体のリスクの所在についても不明確になってきています。

        よって、国際的に活動する金融商品取引業者グループに対し、グループ全体のリスク管理の強化等を求める国際的な議論なども踏まえて、以下のような項目について、グループの巨大化・業務の複雑化・国際展開の進展に対応した管理態勢を求めることとしました。

        (a) 経営管理

        • グループが目指すべき全体像等に基づいた経営方針・経営計画の明確化と海外拠点等への周知、運営状況の検証

        • 海外拠点を含むグループ全体の業務・財務内容やリスクの状況の適切な把握と、必要な対応の実施

        • 経営管理会社による直接的な管理と海外拠点等への権限付与の適切な組合せ、責任分掌の明確化 等

        (b) 業務の適切性(法令等遵守態勢等)

        • 海外拠点を含む適切な法令等遵守態勢の確立、運営状況の検証

        • 海外部門を含む、営業部門等への牽制・監視機能の適切な発揮 等

        (c) 自己資本の適切性・十分性

        • 証券ルールに基づく連結自己資本規制比率の算出・報告のほか、バーゼルIIの選択適用も容認

        • その場合、バーゼルIIの第3の柱(開示)に沿った対応 等

        (d) リスク管理態勢(特に、統合リスク管理態勢・流動性リスク管理態勢)

        • バーゼルIIの第2の柱(自己管理・監督)に沿った対応

        • 拠点間で勘定を付け替える場合の適切な取扱い

        • 適切な流動性リスク管理(バーゼル委原則等にも沿った内容)等

        (e) 報酬体系について

        • 報酬委員会等の役割

        • 報酬体系とリスク管理等との整合性

        • 報酬体系の設計・運用に関する公表

      (2) 外国グループの日本拠点について

      • 外国持株会社等グループにおいては、グループ本部等が行う経営管理やリスク管理に関する問題が顕在化することとなれば、当該グループの日本拠点である金融商品取引業者にも直接の影響が及ぶおそれがあります。

        よって、外国持株会社等グループの日本拠点である金融商品取引業者についても、国際的に活動する金融商品取引業者グループとの整合性を確保するため、上記(1)に準じた改正を行うこととしました。

      (3) その他

      • 最近の金融・資本市場を取り巻く環境の変化を踏まえ、以下のような改正等を行いました。

        (a) 幅広いファンドに係る基礎的な情報の収集を強化するため、ファンドモニタリング調査の対象業者・項目を追加しました。

        (b) 金融商品取引法等の一部を改正する法律(平成21年6月17日成立)により有価証券関連店頭デリバティブ(CFD)取引への分別管理義務が導入されたこと等に伴い、通貨関連店頭デリバティブ(FX)取引に準じて、監督上の着眼点を定めました。

        (c) 2顧客の注文(売・買)を取引所の立会外市場に取り次ぐシステム等について、PTSへの該当性に関する整理を明記しました。

        (d) 投資信託委託会社の業務継続体制(BCM)に関する監督上の着眼点を追加しました。

        (e) 不動産関連ファンド運用業者が、自己の勘定で不動産投資を行う場合の兼業承認の要否に関する監督上の留意点を明記しました。

        (f) 純財産額規制や自己資本規制比率に係るモニタリングの対象ではない第二種金融商品取引業者や投資助言・代理業者が、債務超過等により支払い不能に陥るおそれがあることを把握した場合の対応について定めました。

        (g) 無登録で金融商品取引業を行っているおそれがあると認められた場合の監督上の対応の強化を図りました。

    2.適用時期

    • 改正された監督指針のうち、有価証券関連店頭デリバティブ(CFD)取引に関するものについては平成22年4月1日から、その他については平成22年3月4日より適用しています。


主要行等向けの総合的な監督指針の一部改正について

金融庁では、「主要行等向けの総合的な監督指針の一部改正(案)」について、平成21年12月25日から平成22年1月25日にかけて、広く意見の募集を行い、平成22年3月4日にパブリックコメントの結果を公表し、監督指針の一部改正を行いました。

改正の概要は、以下のとおりです。改正された監督指針については、平成22年3月4日より適用しています。

  • ○ 金融機関をめぐる国際的な議論を踏まえた改正

    金融機関の報酬体系をめぐる国際的な議論、外国グループの日本拠点における業務の適切性の確保の観点から、以下のような項目について、適切な管理態勢の構築等を求めることとしました。

    • (a) 報酬体系について

      • 報酬委員会等の役割

      • 報酬体系とリスク管理等との整合性

      • 報酬体系の設計・運用に関する公表

      (b) 外国銀行支店の監督について

      • 本店等が策定するグループ全体の経営方針・経営計画等と、支店のグループ内における位置づけの明確化、業務の整合性

      • 支店の業務・財務内容に加え、支店の抱えるリスクの状況の適切な把握と、必要な対応の実施

      • 支店における法令遵守態勢の確立、運営状況の検証

      • グループ内の複数拠点が関与する取引における勘定等の適切な取扱い

      • 本店等又は支店の内部監査の適切な実施の確保とその検証等

      • 報酬体系について


保険会社向けの総合的な監督指針等の一部改正について

金融庁では、「保険会社向けの総合的な監督指針」の一部改正(案)について、平成21年12月25日から平成22年1月25日にかけて広く意見の募集を行い、3月4日にパブリックコメント結果を公表し、監督指針の一部改正を行いました。改正された監督指針は、同日から適用を行っています。改正の概要、主な意見については、以下のとおりです。

1.改正の概要

金融機関の報酬体系の設計・運用に関する国際的な議論を踏まえ、海外拠点を有する保険会社等の報酬体系について、以下のような監督上の着眼点を記載しました。

  •  報酬委員会等の役割
  •  報酬体系とリスク管理等との整合性
  •  報酬体系の設計・運用に関する公表

2.主な意見

報酬体系とリスク管理等の整合性に係る趣旨及び解釈に関する確認が多く(5件)、海外当局との連携に対する意見も寄せられました(1件)。

※ 詳しくは、金融庁ウェブサイトの「報道発表資料」から「保険会社向けの総合的な監督指針等の一部改正(案)」に対するパブリックコメントの結果等について(平成22年3月4日)にアクセスしてください。


金融商品取引業者等向けの総合的な監督指針

(別冊)信用格付業者向けの監督指針について

金融庁では、金融商品取引法等の一部を改正する法律(平成21年6月17日成立)が本年4月1日に施行され、格付会社規制が開始されることに伴い、同年3月31日に、「金融商品取引業者等向けの総合的な監督指針(別冊)信用格付業者向けの監督指針」を決定・公表しました。本監督指針の概要は以下のとおりです。

(注)当局へ登録を行った格付会社を「信用格付業者」といいます。

1.基本的考え方

信用格付業者の監督の目的は、その業務の適切な運営を確保し、その機能を適切に発揮させることにあります。

一方、信用格付業者に対する規制においては、信用格付が将来の不確定な信用リスクについての専門的知見に基づき表明される意見であることに鑑み、個々の信用格付の実質的内容そのものを規制対象とすることは適当でないとの考え方がとられており、内閣府令においても、法令に基づく権限を行使する際には、個別の信用格付又は信用評価の方法の具体的な内容について関与しないよう配慮しました。監督当局においては、この点を十分に踏まえて対応します。

また、本監督指針の適用に当たっては、機械的・画一的な運用に陥らないように配慮します。

2.監督上の評価項目と諸手続

(1) 業務管理体制の整備

  • 信用格付業者は、信用格付業を公正かつ的確に遂行するための業務管理体制を整備することが求められており、内閣府令において整備することが求められている業務管理体制の各項目につき、自社の業務の特性・規模・複雑性等に応じた適切な水準・深度となるよう体制を整備する必要があります。

  • なお、グループとして業務を行う信用格付業者については、内閣府令において、一定の条件の下で、グループで共同して業務管理体制を整備することが認められていますが、この場合において、グループ内の格付会社であっても、無登録業者に業務管理体制の一部を担わせることはできないことに留意する必要があります。

  • 信用格付業者は、内閣府令で整備することが求められている業務管理体制の各項目ごとに、社内規則等で対応方針等を定め、それに沿って適切に対応するとともに、当該対応方針等の妥当性・実効性を検証し、必要に応じて見直しを行う必要があります。

(2) 禁止行為

  • 信用格付業者は、金融商品取引法・内閣府令で定められた禁止行為に抵触しないよう、必要な確認を行う態勢となっている必要があります。

  • このうち、名義貸しの禁止に関しては、グループ内の無登録業者が付与に関与した信用格付であっても、登録業者が当該無登録業者の業務の適切性等を検証し、問題がないことを確認した上で信用格付の付与について決裁し、又は格付委員会の議決を行う場合には、登録業者が付与したものと認められ、グループ内の無登録業者への名義貸しに該当しないことに留意します。

(3) 諸手続

  • 登録審査においては、申請者の業務管理体制が、その業務の特性・規模・複雑性等に応じた適切なものとなっているか等を確認します。

  • また、外国法人である信用格付業者には国内拠点設置義務がありますが、国内拠点の役職員は、当該信用格付業者の業務状況を的確に把握し、投資者等に適切に説明できる能力を有している必要があります。

  • さらに、外国法人である信用格付業者は、金融庁長官の承認を受けた場合には、業務管理体制の整備義務の一部が適用除外されますが、本監督指針では、適用除外承認に当たって留意する点を例示しています。

「信用格付業者向けの監督指針」のポイント

※ 詳しくは、金融庁ウェブサイトの「報道発表資料」から「金融商品取引業者等向けの総合的な監督指針(別冊)信用格付業者向けの監督指針(案)」に対するパブリックコメントの結果等について(平成22年3月31日)にアクセスしてください。


事務ガイドライン(第三分冊:金融会社関係 5 前払式支払手段発行者関係、14 資金移動業者関係)について

金融庁では、「事務ガイドライン(第三分冊:金融会社関係 5 前払式支払手段発行者関係、14 資金移動業者関係)(案)」について平成21年12月14日から平成22年1月15日にかけて公表し、広く意見の募集を行い、平成22年3月1日にパブリックコメントの結果を公表しました。同ガイドラインは、同日に公表され、平成22年4月1日より施行されています。

概要は以下のとおりです。

【前払式支払手段発行者関係】

I.総則

1.前払式支払手段の範囲等

    • ○ 前払式支払手段に該当しない証票等又は番号、記号その他の符号や法の適用を除外される前払式支払手段等について明示

2.基準日未使用残高の算出方法

II.前払式支払手段発行者の監督上の評価項目

1.法令等遵守

○ 法令等遵守(コンプライアンス)態勢整備等

  • 発行者の規模・特性に合わせた態勢構築、コンプライアンスに係る基本方針等の策定、見直し等の実施がなされているか。

○ 反社会的勢力による被害の防止

2.利用者保護のための情報提供・相談機能等

○ 表示義務

  • サーバ型前払式支払手段にも券面表示義務が課せられる場合(権利行使に必要な有体物がある場合)を明示

  • 券面表示に代わり、ホームページ等によって情報提供を行う場合の留意点を明示

○ 帳簿書類

  • 前払式支払手段の種類、発行営業所等ごとの発行・在庫枚数の適切な把握及び内部監査部門等における帳簿の正確性の検証態勢等について整備がなされているか。

○ 利用者情報管理

○ 苦情処理態勢

  • 担当部署の設置や手続きの制定など迅速な対応のための態勢整備がなされているか。

  • 苦情等の実績を蓄積し、再発防止策等への活用がなされているか。

3.事務運営

○ システム管理

○ 前払式支払手段の払戻し

  • 法第20条第1項に基づく払戻しの際の、適切な方法・手段による公告等が実施されているか。

  • 払戻しの上限額超過の場合は期中でも払戻しが出来なくなることを踏まえ、必要に応じて期中における払戻実績を把握する等、上限額超過を防止する態勢整備がなされているか。

○ 加盟店の管理(第三者型発行者のみ)

  • 加盟店契約締結の際の当該契約先が提供する物品・役務の内容が公序良俗等に反していないかの確認等を行っているか。

4.自家型前払式支払手段の発行の業務の承継に係る特例

○ 譲受人における供託実施の確実な担保

○ 譲受人の役務等提供の内容について、利用者にとって譲渡人の役務等提供内容と同様の利便性を確保

5.外国において発行される前払式支払手段に対する基本的考え方

○ 外国前払式支払手段発行者の日本国内にある者への勧誘行為禁止の明示

III.前払式支払手段発行者の監督に係る事務処理上の留意点

○ 一般的な事務処理等

  • 日々の発行者の業務についての監督上の留意点、苦情・照会対応等。

○ 資金決済法等に係る諸手続

  • 登録申請・届出の受理、廃業等の取扱い等を明示。

【資金移動業者関係】

I. 資金移動業者の監督上の評価項目

1.経営管理等(ガバナンス)

  • 法令等遵守のため、経営陣が率先して法令遵守のための内部管理部門等を機能強化するなど、具体的な方針の策定への取り組みがなされているか。

  • 経営陣により、内部監査部門の機能が発揮できる態勢の構築がなされているか。

2. 業務の適切性等

2-1.法令等遵守

○ 法令遵守(コンプライアンス)態勢等

  • 事業者の規模・特性に合わせたコンプライアンス態勢の構築が行われているか。

○ 本人確認、疑わしい取引の届出

  • 本人確認、疑わしい取引の届出を適切に実施するためのマニュアルの作成や社内研修が実施されているか。

  • 資金移動サービスの不正利用防止等のための態勢整備がなされているか。

○ 反社会的勢力による被害の防止

○ 不祥事件に対する監督上の対応

  • 不祥事件発生後の適切な対応、再発防止のための改善策の策定等が実施されているか。

2-2.利用者保護のための情報提供・相談機能等

○ 利用者保護措置

  • 対面及び非対面等の取引形態に応じ、利用者の知識経験に応じた説明等を行うための態勢整備及び社内規則等の制定並びに社内研修等が実施されているか。

○ 帳簿書類

  • 法定帳簿の作成に係る社内規則等の制定及び社内研修等による周知徹底、内部監査部門等における帳簿の正確性の検証態勢の整備がなされているか。

  • 未達債務の移転及び消滅の時点の適切な認識に係る留意事項等の明示。

○ 利用者情報管理

○ 苦情処理態勢

  • 担当部署設置や手続の制定など迅速な対応のための態勢整備等がなされているか。

  • 苦情等の実績を蓄積し、再発防止策等への活用がなされているか。

2-3.事務運営

○ システムリスク管理

○ 事務リスク

  • 事務リスク管理態勢の整備やリスク軽減のための具体的方策が講じられているか。

○ 外部委託

  • 外部委託に係る選定基準やリスク対応等の社内規則の策定及び社員研修等による周知徹底がなされているか。

3.外国資金移動業者に対する基本的考え方

○ 外国資金移動業者の日本国内にある者への勧誘行為禁止の明示

II.資金移動業者の監督に係る事務処理上の留意点

○ 一般的な事務処理等

  • 日々の資金移動業者の業務についての監督上の留意点、苦情・照会対応等

○ 資金決済法等に係る諸手続

  • 登録申請・届出の受理、廃業等の取扱い等

※ 詳しくは、金融庁ウェブサイトの「報道発表資料」から「事務ガイドライン(第三分冊:金融会社関係 5 前払式支払手段発行者関係、14 資金移動業者関係)(案)」に対するパブリックコメントの結果等について(平成22年3月1日)にアクセスしてください。


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