アクセスFSA 第148号(2015年10月)

トピックス

(1)「平成27事務年度 金融行政方針」の公表について

金融庁では、金融行政が何を目指すかを明確にするとともに、その実現に向け、平成27事務年度においていかなる方針で金融行政を行っていくかを「金融行政方針」として、本年9月18日に公表しました。

本方針において、金融行政は、

  • 世界経済・市場の将来についての不確実性の高まりや、 FinTech等の金融変革の動き等、金融行政を取り巻く環境が変化する中においても、

  • 金融機関による質の高い金融仲介機能の発揮、及びそれを支える金融システムの健全性の維持と市場の公正性・透明性の確保により、

企業・経済の持続的成長と安定的な資産形成等による国民の厚生の増大を目指すこととしています。

金融庁としては、こうした姿の実現を目指すとの目的の下、重点施策として、

  • 1.活力ある資本市場と安定的な資産形成の実現、市場の公正性・透明性の確保

  • 2.金融仲介機能の十分な発揮と健全な金融システムの確保

  • 3.顧客の信頼・安心感の確保

  • 4.IT技術の進展による金融業・市場の変革への戦略的な対応

  • 5.国際的な課題への戦略的な対応

  • 6.その他の重点施策

に取り組んでいきます。

更に、こうした金融行政を的確に進めていくためには、その基盤となる体制を整えていく必要があることから、外部からの提案や批判等が常に入る「開かれた体制」の構築や、金融庁職員の意識改革など、金融庁自身の改革についても進めていきます。

※ 詳しくは、金融庁ウェブサイトの「広報報道」の中の「報道発表資料」から「平成27事務年度 金融行政方針について」(平成27年9月18日)にアクセスしてください。


(2)インサイダー取引規制の見直しについて

インサイダー取引規制に関連して、内閣府令の改正(平成27年9月2日公布、同月16日施行)及びガイドラインの改正(平成27年9月2日公表・適用)を行いました。

主な改正内容は、以下のとおりです。

【改正の概要】

  • (1)有価証券の取引等の規制に関する内閣府令の改正

    「知る前契約」「知る前計画」に係るインサイダー取引規制の適用除外について、これまで適用除外とされてきた類型に当てはまらない取引であっても、インサイダー取引規制上問題のない取引については、これを円滑に行うことができるよう、次のイ~ハを要件とするより包括的な適用除外規定を設ける改正を行いました。(第59条及び63条)

    • イ.未公表の重要事実を知る前に締結・決定された契約・計画の存在

    • ロ.裁量性の排除のため、売買等の具体的な内容(期日及び当該期日における売買等の総額又は数)が、あらかじめ特定されている、又は定められた計算式等で機械的に決定されること

    • ハ.契約・計画に従って売買等が執行されること

  • (2)「金融商品取引法等に関する留意事項について」(金融商品取引法等ガイドライン)の改正

    「対抗買い」に係るインサイダー取引規制の適用除外規定について、被買付企業の取締役会が決定した「対抗買い」の要請が、次のイ及びロの要件を満たす場合には、「対抗買い」としてインサイダー取引規制の適用除外となる旨の解釈の明確化を図るための改正を行いました。

    • イ.公開買付け等があることについての合理的な根拠に基づくものであること

    • ロ.当該公開買付け等に対抗する目的をもって行われたものであること

なお、上記改正に伴い、改正内容等の明確化のため、「インサイダー取引規制に関するQ&A」に(問4)及び(問5)を追加しております。

【改正の背景】

金融審議会金融分科会報告「近年の違反事案及び金融・企業実務を踏まえたインサイダー取引規制をめぐる制度整備について」(平成25年2月27日)においては、いわゆる「知る前契約」「知る前計画」に係る適用除外や、いわゆる「対抗買い」に係る適用除外に関して、以下のような提言がなされました。

<提言の概要>

  • (1)いわゆる「知る前契約」「知る前計画」に係る適用除外について

    「知る前契約」「知る前計画」に基づく売買等に関するインサイダー取引規制の適用除外規定(金融商品取引法166条6項12号、167条5項14号)について、取引の円滑を確保する観点から、次の視点に基づいた、より包括的な適用除外の規定を設けることが適当。

    • 未公表の重要事実を知る前に締結・決定された契約・計画であること

    • 当該契約・計画の中で、それに従った売買等の具体的な内容が定められているなど、裁量的に売買等が行われるものでないこと

    • 当該契約・計画に従った売買等であること

  • (2)いわゆる「対抗買い」に係る適用除外について

    現行の対抗買いに関するインサイダー取引規制の適用除外規定(金融商品取引法166条6項4号、167条5項5号)について、実務面で利用し難いとの指摘があることを踏まえ、解釈の明確化等を図っていくことが適当。


(3)「会計監査の在り方に関する懇談会」について

会計監査については、これまで、その充実に向けて累次の取組みが行われてきたところです。しかしながら、近年のIPO(株式新規公開)を巡る会計上の問題や会計不正事案などを契機として、改めて会計監査の信頼性が問われている状況にあります。

このため、今後の会計監査の在り方について、経済界、学者、会計士、アナリストなど関係各界の有識者から提言を得ることを目的として、金融庁を事務局とする「会計監査の在り方に関する懇談会」を設置しました。

第1回会合は、10月6日(火)に開催され、今後の会計監査の在り方について、幅広い観点から議論が行われました。

なお、会議は非公開ですが、会議後、議事要旨を金融庁ウェブサイトにて公表する予定です。

※ 詳しくは、金融庁ウェブサイトの「審議会・研究会等」から「会計監査の在り方に関する懇談会」にアクセスしてください。


(4)金融庁ホームページを模倣したウェブサイト等にご注意ください!

金融庁ホームページを模倣したウェブサイトの存在が確認されています。

模倣サイトにアクセスすると、個人情報の提出を求められますので、ご注意ください。

また、金融庁を騙ったポップアップ広告の存在も確認されていますので、クリックしないようお願いいたします。

金融庁ホームページの正しいURL(アドレス)は「http://www.fsa.go.jp/」ですので、必ずご確認ください。

※ 詳しくは、金融庁ウェブサイトの「広報報道」の中の「報道発表資料」から「金融庁ホームページを模倣したウェブサイト等にご注意ください!」(平成27年9月11日)にアクセスしてください。


(5)NISA口座の利用状況に関する調査結果の公表について

金融庁では、NISA(少額投資非課税制度)について、今般、「NISA口座の開設・利用状況等調査」を実施し、9月15日、その結果について公表しました。

【調査結果の概要】

  • ○総口座数(平成27年6月30日現在)は、921万2,167口座

    • 前回調査時点(平成27年3月31日)から、約42万口座、約4.8%増加
    • 年代別の内訳の割合は、20~30歳代13.8%、60歳代以上55.0%
  • ○総買付額(制度導入時点~平成27年6月30日)は、5兆1,936億4,434万円

    • 商品別の内訳の割合は、上場株式31.4%、投資信託66.4%、ETF1.3%、REIT0.9%
    • 年代別の内訳の割合は、20~30歳代10.4%、60歳代以上60.8%

NISAは、広く国民のみなさまに投資への関心を持っていただき、中長期的な資産形成を促進していくとともに、日本経済の成長資金の供給拡大を図ることを目的として、平成26年1月から導入されました。

こうした中、制度導入から約1年半で、NISAの総口座数は約921万件となり、総買付額は5兆円を上回るなど、NISAの普及は着実に進んでいると考えられます。

NISAの口座を開設した顧客の年齢層を見ると、60歳代以上の割合が依然として半数以上を占める一方で、50歳代以下の割合については、6月末時点で約45%となっており、制度を開始した平成26年1月末時点では約37%であったことを踏まえれば、着実に増加しているものと考えられます。

※ 詳しくは、金融庁ウェブサイトの「NISA(少額投資非課税制度)が始まりました!」から「NISA口座の利用状況等に関する調査結果の公表について」(平成27年9月15日)にアクセスしてください。


(6)中小企業の業況等に関するアンケート調査結果の概要

中小企業金融の実態把握の一環として、平成27年8月に、全国の財務局等を通じて、各都道府県の商工会議所47先を対象に、会員企業の業況や資金繰りの現状と先行き等について聴き取り調査を実施したところ、その調査結果の概要は以下のとおりとなりました。

  • 1.中小企業の業況について、現状D.I.は前回調査に比べ6ポイント上昇しています。なお、先行きD.I.は、前回調査に比べ10ポイント上昇しています。

    悪いと判断した場合の要因としては、「売上げの低迷」の割合が最も大きいが、前回に比べて0.3ポイント低下しています。次に、「仕入原価の上昇、販売価格への転嫁の遅れ」の割合が大きく、前回に比べて2.5ポイント低下しています。

    中小企業の業況について
    (クリックすると拡大されます)

  • 2.中小企業の資金繰りについて、現状D.I.は前回調査に比べ1ポイント上昇しています。なお、先行きD.I.は、前回調査に比べ7ポイント上昇しています。

    悪いと判断した場合の要因のほとんどが、「販売不振・在庫の長期化等、中小企業の営業要因」となっています。

    中小企業の資金繰り
    (クリックすると拡大されます)

※ 詳しくは、金融庁ウェブサイトの「広報報道」の中の「報道発表資料」から「中小企業の業況等に関するアンケート調査結果の概要」(平成27年9月25日)にアクセスしてください。


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