アクセスFSA 第154号(2016年4月)

トピックス

(1)グローバル金融連携センターの設置について

金融庁では、平成26年4月に開設したアジア金融連携センターを改組し、本年4月1日、グローバル金融連携センター(Global Financial Partnership Center : GLOPAC)を設置いたしました。

グローバル金融連携センターは、マル1金融・資本市場に係る諸課題について検討を行い、金融インフラ整備支援に活用すること、及びマル2海外金融当局との連携・協力体制を強化することを主な目的としており、そのための取組みとして、各国の金融規制・監督当局者を研究員として受け入れています。平成26年7月以降、これまで13の国・地域(※)から、48名の研究員・インターン生がプログラムを修了しています。

※インド、ウズベキスタン、カンボジア、スリランカ、タイ、ドバイ、フィリピン、ベトナム、ボツワナ、マレーシア、ミャンマー、モンゴル、ラオス

グローバル金融連携センターでは、約2~3ヶ月間の期間の間、研究員の関心に応じたプログラムを提供しています。研究員は、金融庁のみならず、金融機関や外部関係機関等でも講義を受け、意見交換を行っています。また、研究員は、母国の金融システムの現状や課題、プログラムを通じて学んだ内容や今後の課題等について庁内で発表を行うほか、一部の研究員は金融庁主催シンポジウム等において講演を行っています。さらに、金融行政への理解を深めるだけにとどまらず、日本の文化や生活について知る機会も設けています。

金融庁としては、このような取組みを通じて、新興国における金融インフラ整備支援や専門人材の育成等により新興国の金融機能の強化に引き続き貢献するとともに、金融機関のグローバルな展開が進む中、金融当局間の国際的なネットワーク・金融協力を一層強化していく所存です。

詳しくは、金融庁ウェブサイトの「国際関係」の中の「国際関係情報(国際協力)」から「グローバル金融連携センターの設置」について(平成28年4月1日)にアクセスしてください。

写真1
【グローバル金融連携センター第6期研究員と河野グローバル金融連携センター長(平成28年5月)】

(2)「金融行政モニター」におけるご意見等の受付状況について

  • 1.金融行政モニターについて

    金融庁では、これまでも様々な手法により金融機関や一般の方々から、金融行政に関するご意見等をお伺いしておりましたが、金融機関などからは、聴き手が金融庁職員であることにより、必ずしも率直な意見等を言うことは難しいとのご指摘もあるところです。このような点に鑑み、金融庁職員ではなく中立的な第三者である外部専門家が直接にご意見・ご提言・ご批判などをお聞きするため「金融行政モニター受付窓口」を設置し、寄せられたご意見等を金融行政に反映できる仕組みを構築しており、平成28年1月29日より運用を開始しています。

    今般、本制度の実効性・透明性を図る観点から、運用開始からの1か月間に寄せられたご意見等の受付状況について、以下のとおり公表いたします。

    (注)このほか、引き続き、金融庁に対して直接ご意見等を提出して頂くための「金融行政ご意見受付窓口」も設置しています。当該窓口に寄せられた意見等は、平成28年1月29日から2月29日までの間に47件となっています。

  • 2.金融行政モニター受付窓口に寄せられたご意見等について

    平成28年1月29日の運用開始から同年2月29日までに寄せられたご意見等

    【受付件数】

    7件

    【主なご意見等】

    主なご意見等の概要 金融庁の対応

    金融行政(監督・検査)の運営に際し、中小企業向け融資に関して金融行政方針に示されたような政策(担保主義から事業性評価に基づく融資の推進)が、金融機関の実際の融資業務に反映されていないことを認識してほしい。

    金融機関においては、担保・保証に過度に依存せず、取引先企業の事業性評価に基づき、融資や本業支援等を実施し、企業や産業の生産性向上等に貢献することが重要であると考えます。

    金融庁においては、こうした認識に基づき、今事務年度においては、以下のような取組みを行っているところであり、今後とも、金融機関との対話を進めてまいりたいと考えています。

    マル1融資先企業からのヒアリングを通じて、金融サービスに係る企業側の認識を把握する。

    マル2金融機関へのモニタリングを通じて、事業性評価に基づく取組みについて、ベストプラクティスを把握するとともに、更なる改善策を議論する。

    マル3外部有識者により構成される「金融仲介の改善に向けた検討会議」において、担保・保証依存の融資姿勢からの転換、企業や産業の生産性向上への金融仲介のあるべき姿等を議論し、その内容を発信する。

    (1) 取引情報蓄積機関制度について

    店頭デリバティブ取引の報告には取引情報蓄積機関(TR)による報告を含めて三種類があり、取引内容が合致していることを照合する作業は金融庁が行っている。しかし、本制度の導入の契機となったG20ピッツバーグ・サミットの合意を素直に読めば、取引情報の蓄積はすべてTRによって行われることを予定していると考えられ、三種類の報告の併存を認めている現在の制度には問題がある。コストの点でも金融庁はお金がかかる制度を運用しているように思われる。その他にも改善すべき点はあり、本制度を本来の趣旨に従って運営しようとしているのであれば、何等かの改革が必要ではないか。

    (1) 取引情報蓄積機関制度について

    日本では、平成21年のピッツバーグ・サミットの合意を踏まえ、平成22年に金融商品取引法改正を行い、店頭デリバティブ取引に係る取引情報の保存・報告制度を整備しました。

    日本の制度では、金融商品取引業者等から、3種類のルートで金融庁に対して報告がなされていますが、これは、日本における取引の実態や取引報告者も含めた制度全体の費用対効果を勘案したものです。

    いずれのルートで報告されるにせよ、監督当局に取引情報が集約され、また、集計した情報が公表されることで、市場の透明性を高めるとの国際合意の目的は達しているものと認識しており、現時点においては制度を改正する必要はないと考えています。

    (2) 担当職員について

    知識、経験が引継がれないので、人事異動の度に同じ基本的な説明を繰り返さざるを得ないことになる。スペシャリティが求められている分野については、スペシャリストを配置して欲しい。

    (2) 担当職員について

    高度に専門化が進み、変化が早い金融に適切に対応していくためには、高度な専門的知識・経験を有する人材の育成・確保が重要であると考えています。

    このため、金融庁では、これまでも、内部における人材育成と外部からの人材の登用を適切に組み合わせることにより、組織としての専門性の向上に努めてきました。

    現在、金融庁では、人材育成のあり方の見直しについて検討しており、その一環として、個別の専門分野ごとに専門分野に求められる資質やキャリアを明確にしつつ、人材育成を行うための体系的な枠組みを構築していくことを検討しています。このような取組みを通じて、専門人材の知識・経験を組織として引継ぎ、共有していきたいと考えています。

    日本に拠点のない外国銀行に居住者が預金口座を開設することを支援するサービスについて、近時、金融庁HPにおけるネガティブな記述が一定程度修正されたが、金融庁のHPにおける他の公表部分に、その修正が反映されていない箇所があり、その結果、当該サービスの利用者に誤解を与えている。「グレーゾーン解消制度」を所管する経済産業省からの公表文とも齟齬が生じている。大至急金融庁HPの修正を求める。

    ご意見を踏まえて以下のとおり対応しました。

    マル1(金融庁HP)平成24年4月6日公表「日本に拠点のない外国の銀行への預金口座の開設勧誘について」を削除。

    マル2(金融庁HP)「預金・融資等に関する利用者からの相談事例等と相談室からのアドバイス等」に掲載する【相談事例等】「業者から、日本に拠点のない外国の銀行への預金口座の開設を代行すると勧誘されたが、当該業者の口座に資金を振込みしても大丈夫だろうか。」の【アドバイス等】の内容について、平成27年12月18日に公表(更新)した「預金口座開設の勧誘に関する注意喚起について」の表現に統一。

    なお、経済産業省にも連絡を行い、経済産業省HPに掲載されていた「外国銀行口座開設支援サービスにおける銀行法の取扱いが明確になりました~産業競争力強化法の「グレーゾーン解消制度」の活用~」(平成28年2月10日公表)が、同制度の照会者への回答書と一部齟齬があったことから、HP掲載文を回答書の書きぶりと整合的になるよう修正。

    公表にあたっては、金融行政モニター委員から金融庁幹部等にフィードバックのあったご意見等のうち、主なものについてご意見等の提出者の同意があるものに限り公表し、所属組織や個人等に係る情報は非公表としております。

詳しくは、金融庁ウェブサイトの「ご意見・情報を受け付けます」の「金融行政モニター」にアクセスしてください。


(3)第37回金融審議会総会・第25回金融分科会合同会合について

平成28年4月19日に、第37 回金融審議会総会・第25 回金融分科会合同会合を開催し、市場・取引所を巡る諸問題に関する諮問、諮問事項に対する報告が行われました。

  • 1.新たな諮問について

    福岡副大臣より、次のとおり諮問が行われ、具体的な検討を進めていくため、市場ワーキング・グループの設置が決定されました。

    市場・取引所を巡る諸問題に関する検討

    情報技術の進展その他の市場・取引所を取り巻く環境の変化を踏まえ、経済の持続的な成長及び家計の安定的な資産形成を支えるべく、日本の市場・取引所を巡る諸問題について、幅広く検討を行うこと。

  • 2.諮問事項に対する報告について

    「ディスクロージャーワーキング・グループ」の検討結果について、事務局より報告がなされ、報告書が了承されました。

    また、1.において諮問が行われた市場・取引所を巡る諸問題に関する検討について、事務局より説明されました。

詳しくは、金融庁ウェブサイトの「審議会・研究会等」の中の「金融審議会」から「第37回金融審議会総会・第25回金融分科会合同会合議事次第」(平成28年4月19日)及び議事録にアクセスして下さい。


(4)「金融仲介の改善に向けた検討会議」(第3回)の開催について

「金融仲介の改善に向けた検討会議」は昨年12月21日に第1回、本年2月22日に第2回会合が開催されたところ、同年4月4日に第3回会合が開催されました。同会合では、地方銀行の取引先支援への取組みや収益分析に係る報告に対して議論が行われました。

なお、会議は非公開ですが、会議後、議事要旨を金融庁ウェブサイトにて公表しています。

詳しくは、金融庁ウェブサイトの「審議会・研究会等」から「金融仲介の改善に向けた検討会議」にアクセスしてください。


(5)金融審議会「ディスクロージャーワーキング・グループ」(第5回)の開催について

本年4月13日、第5回 金融審議会「ディスクロージャーワーキング・グループ」において、「企業の情報開示のあり方等」に係る取りまとめに向けた議論が行われ、同月18日、報告書及びその概要を公表しました。

報告書では、

マル1決算短信について、監査・四半期レビューが不要であることを明確化することや、記載を要請する事項を限定することで、速報性を高める

マル2事業報告・計算書類について、一般社団法人日本経済団体連合会が提供するひな型に即している必要はない旨を明確化し、有価証券報告書と事業報告・計算書類との記載の共通化や一体化をより容易にすることで、効率的な開示を可能にする

マル3有価証券報告書について、新株予約権等の記載に係る重複を排除することで開示内容の合理化を図りつつ、経営方針や経営者による経営成績等の分析(いわゆるMD&A)などの記載を充実する

マル4より柔軟な株主総会日程の設定を容易にするため、大株主の状況の開示に関して大株主判定の基準日を柔軟化する

こと等、開示に係る自由度を向上させるとともに、対話に資する情報を充実させることが提言されています。

今後、本報告書を踏まえて有価証券報告書の記載事項の見直し等を行うとともに、関係者とともにより効果的・効率的な開示に向けた取組みを継続的に行ってまいります。

なお、第5回会合に係る議事録並びに金融審議会「ディスクロージャーワーキング・グループ」報告及びその概要につきましては、金融庁ウェブサイトにて公表しています。

詳しくは、金融庁ウェブサイトの「公表物」→「審議会・研究会等」→「金融審議会」→「答申・報告書等」又は「ディスクロージャーワーキング・グループ」にアクセスしてください。


(6)「スチュワードシップ・コード及びコーポレートガバナンス・コードのフォローアップ会議」(第7回)について

「スチュワードシップ・コード及びコーポレートガバナンス・コードのフォローアップ会議」は1月20日に第5回会合を、2月18日に第6回会合を開催したところですが、4月26日(火)に第7回会合を開催しました。同会合では、第6回に引き続き「企業と機関投資家の間の建設的な対話」を議題とし、これまでのフォローアップ会議における意見や、コーポレート・ガバナンス報告書における対話促進のための取組方針等の開示状況、日本投資顧問業協会によるスチュワードシップ・コードへの対応状況のアンケート結果を踏まえ、企業と機関投資家の間の「建設的な対話」のあり方について議論が行われました。

本会議では、今後の会合において議論・検証されるべきと考えられる事項、その他コーポレートガバナンスの更なる充実等に関して、広く意見を募集しております。

詳しくは、金融庁ウェブサイトの「公表物」→「審議会・研究会等」→「スチュワードシップ・コード及びコーポレートガバナンス・コードのフォローアップ会議」にアクセスしてください。


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