アクセスFSA 第158号(2016年8月)

金融庁月刊オンライン広報誌 アクセスFSA 第158号 (2016年8月)リンク先(http://www.fsa.go.jp/access/index.html)を開きます

Contents

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写真1(9月21日 フィンテック・サミットにて挨拶する麻生大臣)   写真2(9月21日 フィンテック・サミットにて挨拶する麻生大臣)
9月21日 フィンテック・サミットにて挨拶する麻生大臣
写真3(8月24日 金融モニタリング有識者会議(第1回)にて挨拶する越智副大臣)
8月24日 金融モニタリング有識者会議(第1回)にて挨拶する越智副大臣

トピックス

(1) 金融庁の平成29年度税制改正要望について

金融庁では、平成28年8月31日に「平成29年度税制改正要望項目」をとりまとめて公表するとともに、要望書を財務省・総務省に提出しました。

今回の税制改正要望においては、金融行政における諸課題を踏まえ、

  • 1.活力ある資本市場と家計の安定的な資産形成の実現

  • 2.金融のグローバル化への対応

  • 3.その他の重要項目

の3つの柱を中心として、要望項目のとりまとめを行いました。

主な項目の内容は、以下のとおりです。

  • 1.活力ある資本市場と家計の安定的な資産形成の実現

    • (1)少額からの積立・分散投資の促進のためのNISAの改善

      NISAは、個人投資家の裾野を拡大し、家計の安定的な資産形成の支援と、経済成長に必要な成長資金の供給拡大の両立を図ることを目的として平成26年1月より導入された制度です。

      NISAについては、平成28年3月末時点で、口座開設数が1,000万口座、買付金額が約7.8兆円となるなど、着実に普及が進んでいます。一方、積立による利用は、総口座数の1割以下にとどまっており、背景として、少額から積立で投資できることが十分浸透していないことなどがあると考えられます。

      このため、家計の「貯蓄から資産形成へ」という流れを政策的に後押しすべく、少額からの積立・分散投資の促進のための「積立NISA」の創設等を要望しています。

    • (2)金融所得課税の一体化(金融商品に係る損益通算範囲の拡大)

      個人投資家の市場参加を促すためには、多様な金融商品に投資しやすい環境を整備することが重要です。このため、金融庁では、金融商品に係る損益通算範囲の拡大を要望しています。

      具体的には、平成28年1月より、損益通算の範囲が特定公社債等にまで拡大されたところですが、平成29年度税制改正要望では、昨年に引き続き、損益通算範囲をデリバティブ取引や預貯金等についても拡大することを要望しています。

    • (3)上場株式等の相続税評価の見直し等

      相続財産となった上場株式等は、相続時から遺産分割協議等を経るまで、譲渡できない実態がある中、原則として相続時点の時価で評価することとされており、価格変動リスクが考慮されておりません。

      このため、価格変動リスクの低い預金や債券などの他の資産と比べて不利になっており、投資家の株式離れが助長されているとの指摘があることから、平成29年度税制改正要望では、こうした上場株式等の相続税評価の見直しを含む所要の措置を講じることを要望しています。

  • 2.金融のグローバル化への対応

    • (1)外国子会社合算税制(CFC税制)の抜本的見直し

      CFC税制とは、軽課税国に所在する一定の外国子会社等(CFC)を通じた租税回避行為に対処するため、当該CFCの所得を国内の親会社の所得に合算して課税する制度をいいます。

      現行のCFC税制については、例えば、航空機リースを営む外国子会社等の所得に関し、租税回避目的が無いにもかかわらず、一律に合算対象になってしまうとの問題点が指摘されており、昨年(平成28年度)の与党大綱の「検討事項」において、「外国子会社合算税制については、喫緊の課題となっている航空機リース事業の取扱いやトリガー税率のあり方、租税回避リスクの高い所得への対応等を含め、外国子会社の経済実体に即して課税を行うべきとするBEPS(税源浸食と利益移転)プロジェクト最終報告書の基本的な考え方を踏まえ、軽課税国に所在する外国子会社を利用した租税回避の防止という本税制の趣旨、日本の産業競争力や経済への影響、適正な執行の確保等に留意しつつ、総合的な検討を行い、結論を得る。」とされました。

      そこで、CFC税制の見直しに際しては、我が国の適正な課税権の確保を目的とする一方で、租税回避目的がない事業(外国で価値創造を行っている金融・保険業、航空機リース業など)が合算対象とならないよう、ビジネスの実態に配慮することを要望しています。

    • (2)クロスボーダーの債券現先取引(レポ取引)に係る税制の見直し

      クロスボーダーの債券現先取引(レポ取引)については、金融機関の短期資金の調達を円滑にするという観点から、外国金融機関等が本邦金融機関等から受取るレポ差額は非課税とされています(レポ特例)。

      しかし、現行、レポ特例の対象は、本邦の金融機関等と外国金融機関等との取引に限定されており、短資会社や清算機関等が行うレポ取引は、非課税の対象となっていないため、クロスボーダーのレポ取引が阻害されているとの指摘があります。

      そこで、クロスボーダーのレポ取引に対して、税制が阻害要因とならないよう見直しを行うことを要望しています。

  • 3.その他の重要項目

    • (1)企業年金等の積立金に対する特別法人税の撤廃

      企業年金等の積立金に対して課税される法人税(以下「特別法人税」。)は、超低金利の状況や企業年金の財政状況等を踏まえ、平成11年から平成29年3月末までの間、凍結されています。

      引き続き、勤労者等の退職後の生活を支える年金資産の維持・安定等を図るため、特別法人税の撤廃を要望しています。

以上を含め、国税・地方税合わせて28項目の要望を行っています。

※詳しくは、金融庁ウェブサイトの「広報報道」の中の「報道発表資料」から「PDF金融庁の平成29年度税制改正要望について」にアクセスしてください。


(2) 「金融モニタリング有識者会議」の設置・開催について

金融庁は、これまでルールとプリンシプルの最適な組み合わせ、担保・保証に過度に依存しない、事業をみた融資への転換等、モニタリングの考え方や手法を見直してきたところです。

今般、こうした新しいモニタリングの基本的な考え方や手法等について、外部の有識者を交えて議論、整理し、新しいモニタリングの考え方をとりまとめ、金融機関等と共有を図るとともに国際的に発信していくため、「金融モニタリング有識者会議」(座長:アジア開発銀行研究所所長、慶應義塾大学名誉教授)を設置し、8月24日に第1回会合を開催しました。

第1回会合では、金融モニタリングに関する問題意識や今後検討すべき課題について、議論が行われました。

なお、会議は非公開ですが、会議後、議事要旨を金融庁ウェブサイトに公表する予定です。

※詳しくは、金融庁ウェブサイトの「審議会・研究会等」から「金融モニタリング有識者会議」にアクセスしてください。


(3) 金融審議会「市場ワーキング・グループ」(第4回)の開催について

8月2日(火)に第4回「金融審議会 市場ワーキング・グループ」が開催されました。

市場ワーキング・グループは平成28年4月開催の第37回金融審議会総会・第25回金融分科会合同会合における、麻生金融担当大臣による諮問を受けて設置されたもので、5月と6月の会合ではそれぞれ、「取引の高速化」「市場間競争と取引所外の取引」が取り上げられています。今回は7月6日(水)の第3回(「国民の安定的な資産形成とフィデューシャリー・デューティー」)に引き続き、「国民の安定的な資産形成とフィデューシャリー・デューティーマル2」をテーマに幅広く議論がなされました。

今後も市場ワーキング・グループ会合では、情報技術の進展その他の市場・取引所を取り巻く環境の変化を踏まえ、経済の持続的な成長及び家計の安定的な資産形成を支えるべく、日本の市場・取引所を巡る諸問題について、幅広く検討を行う予定です。

なお、第1~3回会合にかかる議事録・資料、第4回資料につきましては、金融庁ウェブサイトにて公表しています。

※詳しくは、金融庁ウェブサイトの「審議会・研究会等」の中の「金融審議会」から、「市場ワーキング・グループ」にアクセスしてください。


(4) 多重債務者相談強化キャンペーン2016の実施について

内閣に設けられた「多重債務者対策本部」においては、深刻な社会問題である多重債務問題を抜本的に解決するため、平成19年4月20日に「多重債務問題改善プログラム」を決定し、相談窓口の整備などの「借り手対策」をとりまとめました。これに基づき、全国の地方公共団体における相談体制の整備・強化が進められております。

平成22年6月の改正貸金業法完全施行後、多重債務問題は一時と比べ落ち着きをみせているところですが、多額の借入残高を有する層は現在も相当数存在し、継続的に多重債務者対策を講じていく必要があるところです。

このため、潜在的な相談者の掘り起こし及び常設の相談窓口の認知度向上等を目的として、本年9月1日~12月31日までの4ヶ月間、「多重債務者相談強化キャンペーン2016」を多重債務者対策本部と日本弁護士連合会、日本司法書士会連合会及び日本司法支援センター(法テラス)との共催で、実施するものです。(なお、これまでにも同様の趣旨により、平成19年度の「全国一斉多重債務者相談ウィーク」(平成19年12月10日~16日実施)、平成20年度~平成27年度の「多重債務者相談強化キャンペーン」(平成20~27年の9月1日~12月31日実施)を実施しているところです。)

キャンペーン周知のためのポスター

(キャンペーン周知のためのポスター)

キャンペーンでは、期間中に都道府県、当該都道府県の弁護士会、司法書士会、中小企業団体(全国の商工会議所、商工会、都道府県中小企業団体中央会)が共同で、消費者及び事業者向けの無料相談会等の取組み(電話による相談の受付けを含む)を行います。併せて、各地方財務局においても、無料相談会の開催等を行います。このほか、ヤミ金融の利用防止について、周知・広報を行うこととしています。

相談窓口、無料相談会等については、お住まいの都道府県・市区町村や最寄りの財務局・法テラス等において、ご案内しています。また、金融庁ウェブサイトの「多重債務者相談強化キャンペーン2016における相談会の開催予定等について」でも、随時、関連情報を提供していきます。

※詳しくは、金融庁ウェブサイトの「広報報道」の中の「報道発表資料」から「多重債務者相談強化キャンペーン2016の実施について」(平成28年8月30日)にアクセスして下さい。


(5) 金融庁を騙った詐欺にご注意ください!!

最近、金融庁の職員を名乗り、預金口座の番号を聞き出す等して財産を狙う詐欺事案の相談が多数みられます。

こんなケースにご注意ください

  • ●金融庁の職員を名乗る者が訪ねてきて、地震被害者への寄付を要求された。

    ⇒金融庁職員がご自宅を訪ねて寄付をお願いすることはありません。

  • ●個別の会社名等を名乗る者から、入居権や債券の購入権等を代理で購入するとの電話があり、その後、金融庁の職員を名乗る者から、これらの取引方法等が違法であるとして、取消し等のために金銭を要求された。

    ⇒金融庁が個人に対し、電話で金銭を要求することはありません。

  • ●警察や郵便局を名乗る者から電話があり、クレジットカードの不正利用がなされ、明日引き落としがなされる等と言われた。その直後、この関係で金融庁の職員を名乗る者から電話があり、「警察と連携する。」「救済制度につなぐ。」等と言われ、生年月日等の個人情報や銀行の口座番号を尋ねられた。

    ⇒金融庁が被害救済名目等で口座番号をお聞きすることはありません。

怪しいと思ったら・・・

上記のようなケースに限らず、不審に思った場合は、安易に個人情報等を伝えたりお金を振り込んだりせず、最寄の警察や金融庁金融サービス利用者相談室に情報提供・ご相談をお願いします。

【情報の受付窓口】

金融庁 金融サービス利用者相談室(平日10時00分~17時00分)

Tel(ナビダイヤル) 0570-016811

※IP電話からは、03-5251-6811におかけください。

Fax 03-3506-6699

※詳しくは、金融庁ウェブサイトの「報道発表資料」から「金融庁を騙った詐欺にご注意ください!!」(平成28年8月5日)にアクセスしてください。


(6) 「金融監督庁」を騙った不審なポップアップを表示させ、インターネット・バンキングのID・パスワードを盗み取る不正な手口にご注意ください!

最近、「金融監督庁」(注)を騙った不審なポップアップを表示させる手口が確認されています。これは、何らかの方法でインターネット・バンキング利用者のパソコンにウイルスを感染させられたものと考えられます。

当該ポップアップ画面は、表示されている金融機関名を利用者にクリックさせることで偽のサイトに誘導し、当該偽サイトでインターネット・バンキングのID・パスワード等を入力させて盗み取る不正な手口であることが確認されています。

当該ポップアップ画面にアクセスすると預金の不正払出し被害に遭うおそれがありますので、ご注意下さい。

(注)金融庁が省庁再編される前の名称。

なお、インターネット・バンキングによる預金の不正払出し被害に遭わないためには、

  • パソコンのセキュリティ対策ソフトを最新版にするとともに、定期的にウイルスチェックする。

  • 心当たりのないメールは開かない。

    (金融機関が、ID・パスワード等を電子メールで問い合わせることはありません。そのようなメールが来た場合は、直接金融機関に問い合わせて下さい。)

  • アクセスしたウェブサイトのアドレスが正しいか確認する。

  • インターネット・バンキングのログイン画面のアドレスをブックマーク(お気に入り)に登録し、当該ブックマークから利用する。

など、ID・パスワード等の管理に十分ご注意ください。

(参考)

金融犯罪にご用心!(全国銀行協会ウェブサイト)

http://www.zenginkyo.or.jp/topic/hanzai/index.html新しいウィンドウで開きます


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