アクセスFSA 第159号(2016年9月)

金融庁月刊オンライン広報誌 アクセスFSA 第159号 (2016年9月)リンク先(http://www.fsa.go.jp/access/index.html)を開きます

Contents

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写真(10月26日 財務局長会議にて挨拶する越智副大臣)
10月26日 財務局長会議にて挨拶する越智副大臣

トピックス

(1) 平成27事務年度 金融レポートの公表について

金融庁は、金融行政が何を目指し、その実現に向け、いかなる方針で金融行政を行っていくかについて、平成27年9月に「金融行政方針」として公表しました。「金融行政方針」においては、PDCAサイクルを強く意識し、継続的にその進捗状況等を評価することとしており、その結果を、本年9月、「金融レポート」としてとりまとめ、公表しました。

「金融レポート」の全体の構成は以下のとおりとなっています。

『I.我が国の金融システムの現状』では、世界経済・金融市場の動向、我が国の金融システムの評価とその健全性に影響を及ぼしうるリスクについて記載しています。

『II.金融行政の重点施策に関する進捗・評価』では、

マル1金融仲介機能の十分な発揮と健全な金融システムの確保

マル2活力ある市場と安定的な資産形成の実現、市場の公正性・透明性の確保

マル3顧客の信頼・安心感の確保

マル4IT技術の進展による金融業・市場の変革への戦略的な対応

マル5国際的な課題への対応

マル6その他の重点施策

といった重点施策の進捗状況を記載しています。

『III.金融庁の改革』では、内外の環境変化に行政対応が遅れないようにするための「開かれた体制」の構築や、新しい検査・監督のあり方に関する検討を含む、金融庁自身の改革の進捗状況を記載しています。

※詳しくは、金融庁ウェブサイトの「広報報道」の中の「平成27事務年度 金融レポート」にアクセスして下さい。


(2) 金融仲介機能のベンチマークについて
~ 自己点検・評価、開示、対話のツールとして ~

多くの金融機関は、経営理念や事業戦略の中で、金融仲介機能を発揮し、取引先企業のニーズや課題に応じた融資やソリューション(解決策)の提供により、取引先企業の成長や地域経済の活性化等に貢献していく方針を掲げています。

他方、企業からは、依然として、「金融機関は、相変わらず担保・保証に依存しているなど対応は変わっていない」との声が聞かれており、昨事務年度に実施した企業ヒアリングによれば、多くの企業が、金融機関に対して、事業の理解に基づく融資や経営改善等に向けた支援を求めていることが明らかになりました。

また、監督・検査を通じて、金融機関によって金融仲介の取組みの内容や成果に相当の差があること、また、企業から評価される金融機関は、取引先企業のニーズ・課題の把握や経営改善等の支援を組織的・継続的に実施することにより、自身の経営の安定にもつなげていることなどが確認されました。

金融機関が、金融仲介の質を一層高めていくためには、自身の取組みの進捗状況や課題等について客観的に自己評価することが重要です。

こうした考えの下、金融機関における金融仲介機能の発揮状況を客観的に評価できる多様な指標(「金融仲介機能のベンチマーク」)を策定・公表しました。

※詳しくは、金融庁ウェブサイトの「報道発表資料」から「「金融仲介機能のベンチマーク」について」(平成28年9月15日)にアクセスしてください。


(3) フィンテック・サミットの開催について

開催レポート「フィンテック・サミット」

-金融の新しい時代に向けて-

平成28年9月20日(火)、21日(水)、フィンテック(金融とテクノロジーの融合)をテーマとしたグローバルイベント「フィンテック・サミット」(当庁・日本経済新聞社共催)が、丸ビルホール(東京・丸の内)において開催されました。

本イベントにおいては日本やアジアのフィンテックの現状と潜在力をグローバルに発信し、フィンテック・エコシステムの整備を加速していくこと等を目的として欧米等の有識者や当局者等を招聘し、各国の取組み、新たな金融技術がもたらす影響、また既存の金融機関の戦略や公的セクターの課題等について議論等を行うシンポジウムが行われたほか、日本経済新聞社主催により、新たなビジネス展開に向けたスタートアップ企業のプレゼンテーション・コンテストや、体験型の展示スペース「フィンテック・アイランド」、学生が金融ビジネスについてアイデアを競うイベントが開催され、イベント全体にはのべ1万人が参加しました。(本イベントの概要等については専用ウェブサイト(http://finsum.jp/新しいウィンドウで開きます)ご参照。)

シンポジウムにおいては、麻生副総理兼財務大臣兼金融担当大臣、岡田日本経済新聞社代表取締役社長による開会挨拶がありました。大臣からは、「フィンテックという言葉の通り、今後更に技術が進み、それに併せてシステムが変わり、時代が変わり、人も変わらざるを得なくなる。実際に今年、銀行法の改正を行ったところだが、そうした時代の流れに合わせて今後も引き続き金融庁としての対応を考えていかなければいけない」、また「異端と呼ばれるものの中から新しいものが生まれる。世間でこのことを理解していない人たちに不安や不信感を抱かせることのないよう、ここにいる皆さんがフィンテックの重要性や有用性をより広く伝えていくことが大変重要」というお話がありました。

引き続き、パネルディスカッション等で活発な議論が行われました。(各セッションの概要は以下の通り。)

  • セッション: アジアの金融とフィンテック~境界を超えて

    本セッションにおいてはアジアにおけるフィンテックの現状や各国のフィンテックへの取組み、またフィンテックを通じた金融包摂の推進などについて議論が行われました。

    シンガポール及びインドネシア当局より自国のフィンテックの状況や当局の方針について紹介があり、金融機関からは新しい技術を導入するために国内外のフィンテック企業と提携・協力しているなどの話がありました。その後、フィンテックの発展を後押しする政府間あるいは政府とスタートアップ企業との協調、アジアにおけるフィンテックへの期待の高まり、更にフィンテックを通じた金融包摂の進展などについても議論が行われました。

  • セッション: ブロックチェーン時代の夜明け

    本セッションにおいてはフィンテックの中でも特にブロックチェーンに関する技術や今後の可能性などについて議論が行われました。

    ブロックチェーンを研究・開発している企業や研究者からは、一つの帳簿(ledger)で管理するというこれまでの概念を変える非中央集権化が特徴であるブロックチェーンの技術を成熟させていくためには、セキュリティ、プライバシー、性能などの最適なバランスを見つけ、保つことが課題であり、これに対しアカデミアは、技術検証の場としてのサンドボックスの提供等を通じて実用化に貢献することができるというお話がありました。また、金融機関からはブロックチェーンが金融業だけでなく社会インフラにおいても幅広く適用される技術となり得るということが述べられました。

  • セッション: 伝統的金融機関の戦略

    本セッションにおいては伝統的な金融機関がフィンテックについてどのような戦略を持ち、対応しているかについて発表が行われました。

    投資銀行での幹部経験を有するフィンテック企業幹部からは、「フィンテックを通じ、5年前にはビジネスの対象となり得なかった地域や人々を顧客層とすることが現在では可能となった。今後、益々金融包摂を推進させるであろう。」というお話がありました。金融機関からは、フィンテックによる新しいビジネスの創造と業務運営の低コスト化の側面について説明があったほか、伝統的金融機関とフィンテック企業は相互の強みを活かして今後協力していくことが大切であること、技術開発にあたってはオープン・イノベーションが鍵となることが述べられました。

  • セッション: 公的セクターの役割と今後の課題

    本セッションにおいてはフィンテックの推進にあたり公的セクターが果たす役割について、各国当局による政策や今後の方針などを踏まえた議論が行われました。

    英国からは、政策立案の際に考慮すべき点として、利用者保護が第一であること、新しい技術を理解し対応を図っていくためには早期かつ継続的な業界との対話が非常に重要であることの説明がありました。また、ルクセンブルグ財務大臣によるビデオメッセージにおいては競争力を保ちつつ変化に対し機動的であるためには、イノベーティブな規制が必要であるという観点から、仮想通貨に関する規制を世界に先駆けて導入したという話がありました。日本からは利用者の利便性を高め、金融業界へも可能性をもたらすフィンテックを推進する観点から銀行法及び関連法令を改正したことのほか、スタートアップ企業を支援するための施策の実施、また決済システムの改善に向けた検討も行っていることについて説明しました。一方、学識者からは各国の状況に応じ、イノベーションの促進、利用者保護、セキュリティの確保等について最適なバランスを保ちつつ、こうした取組みを進めていく必要があるという指摘がありました。

最後に森長官より閉会のご挨拶がありました。「金融庁としては今後、利用者保護や不正防止、システムの安定性に留意しながら、利用者利便や生産性の向上につながるようなイノベーションを促し、金融・経済の発展につながるよう、必要な環境整備を行っていく」、また「今回、世界各国の有識者や当局者の方々に各国における取組み、新たな金融技術がもたらす影響、伝統的金融機関の戦略、公的セクターの課題に関する議論等を行って頂けたことは大変有意義なことであり、本日ご来場の皆様におかれてはここで繰り広げられた議論や知見を、今後金融の新しい時代を切り開く上でぜひ参考にして頂きたい」というお話を頂き、2日間にわたって行われた本イベントは大盛況のうちに幕を閉じました。

(以上)


(4) 金融審議会「市場ワーキング・グループ」(第5回、第6回)の開催について

9月21日(水)、10月5日(水)にそれぞれ第5回、第6回「金融審議会 市場ワーキング・グループ」が開催されました。

市場ワーキング・グループは平成28年4月開催の第37回金融審議会総会・第25回金融分科会合同会合における、麻生金融担当大臣による諮問を受けて設置されたもので、第5回会合では「インデックス運用の位置付けとETF等の投資商品」をテーマとして議論がなされました。また、第6回会合では7月の第3回、8月の第4回に続き「国民の安定的な資産形成とフィデューシャリー・デューティーマル3」と題して開催されました。

今後も市場ワーキング・グループ会合では、情報技術の進展その他の市場・取引所を取り巻く環境の変化を踏まえ、経済の持続的な成長及び家計の安定的な資産形成を支えるべく、日本の市場・取引所を巡る諸問題について、幅広く検討を行う予定です。

なお、第1~4回会合にかかる議事録・資料、第5、6回資料につきましては、金融庁ウェブサイトにて公表しています。

※詳しくは、金融庁ウェブサイトの「審議会・研究会等」の中の「金融審議会」から、「市場ワーキング・グループ」にアクセスしてください。


(5) 「金融モニタリング有識者会議」(第2回)の開催について

金融庁は、これまでルールとプリンシプルの最適な組み合わせ、担保・保証に過度に依存しない、事業をみた融資への転換等、モニタリングの考え方や手法を見直してきたところです。

今般、こうした新しいモニタリングの基本的な考え方や手法等について、外部の有識者を交えて議論、整理し、新しいモニタリングの考え方をとりまとめ、金融機関等と共有を図るとともに国際的に発信していくため、「金融モニタリング有識者会議」(座長: アジア開発銀行研究所所長、慶應義塾大学名誉教授)を設置し、8月24日に第1回会合を、9月30日に第2回会合を開催しました。

第2回会合では、検査・監督の新しいアプローチである「ベストプラクティスの追求に向けた対話」とその前提として整理しておくべき「金融行政の役割」をテーマに幅広く議論がなされました。

なお、会議は非公開ですが、会議後、資料・議事要旨を金融庁ウェブサイトにて公表しています。

※詳しくは、金融庁ウェブサイトの「審議会・研究会等」から「金融モニタリング有識者会議」にアクセスしてください。


(6) 「監査法人のガバナンス・コードに関する有識者検討会」(第2回、第3回)の開催について

7月15日に開催されました第1回「監査法人のガバナンス・コードに関する有識者検討会」に続いて、9月12日に第2回、9月30日に第3回検討会が開催され、監査法人のガバナンス・コードの策定に当たってポイントとなる主要な論点について議論を行い、有識者から「執行機関によるリーダーシップの確保」、「外部の知見等の活用」及び「組織運営の状況についての開示」等について様々な意見が出されました。

このような意見を踏まえて、引き続き監査法人のガバナンス・コードの策定に向けた議論を行っていく予定です。

なお、第1回~第3回検討会にかかる資料・議事録につきましては、金融庁ウェブサイトにて公表しています。

※詳しくは、金融庁ウェブサイトの「審議会・研究会等」の中の「監査法人のガバナンス・コードに関する有識者検討会」にアクセスしてください。


(7) 「フィンテック・ベンチャーに関する有識者会議」(第3回)の開催について

「フィンテック・ベンチャーに関する有識者会議」は、平成28年5月16日に第1回、6月14日に第2回会合が開催されたところ、10月5日に第3回会合が開催されました。

同会合では、NTTデータ経営研究所研究理事の山上聰氏、及びA.T.カーニーパートナーの佐藤勇樹氏・矢吹大介氏より、海外金融機関等の取組みについて紹介いただきつつ、日本の金融機関等の対応について討議を行いました。

※詳しくは、金融庁ウェブサイトの「審議会・研究会等」から「フィンテック・ベンチャーに関する有識者会議」にアクセスしてください。


(8) 「スチュワードシップ・コード及びコーポレートガバナンス・コードのフォローアップ会議」(第9回)の開催について

「スチュワードシップ・コード及びコーポレートガバナンス・コードのフォローアップ会議」は4月26日に第7回会合を、6月1日に第8回会合を開催したところですが、9月23日(金)に第9回会合を開催しました。同会合では、第8回に引き続き「企業と機関投資家の間の建設的な対話」を議題とし、運用機関のガバナンス・利益相反管理、議決権行使結果の開示等について議論が行われました。

本会議では、今後の会合において議論・検証されるべきと考えられる事項、その他コーポレートガバナンスの更なる充実等に関して、広く意見を募集しております。

※詳しくは、金融庁ウェブサイトの「公表物」→「審議会・研究会等」→「スチュワードシップ・コード及びコーポレートガバナンス・コードのフォローアップ会議」にアクセスしてください。


(9) NISA・ジュニアNISA口座の利用状況に関する調査結果の公表について

金融庁では、NISA(少額投資非課税制度)について、今般、「NISA口座の開設・利用状況調査(平成28年6月末時点)」を実施し、平成28年9月30日、その結果について公表しました。

【調査結果(平成28年6月末時点)のポイント】

  • ○NISA

    • 口座開設数は、約1,030万口座

      (平成28年3月末時点より1.7%増(約18万口座))

    • 買付額は、約8兆3,762億円

      (平成28年3月末時点より8.1%増(約6,249億円))

  • ○ジュニアNISA

    • 口座開設数は、約14万口座

      (平成28年3月末時点より77.4%増(約6万口座))

    • 買付額は、約122億円

NISAは、広く国民のみなさまに投資への関心を持っていただき、家計の中長期的な資産形成を促進していくとともに、日本経済の成長資金の供給拡大を図ることを目的として、平成26年1月から導入されました。

NISAについては、平成28年6月末時点で、口座開設数は約1,030万件、買付額は約8.4兆円となるなど、着実に普及が進んでいます。

また、ジュニアNISAについては、平成28年1月から口座開設が開始し、4月から実際に投資が可能となりました。現状では、口座開設数は約14万口座、買付額は約122億円となっています。

※詳しくは、金融庁ウェブサイト内の「NISA特設ウェブサイト」から「NISAとは?」→「データ集」→「平成28年6月末時点(平成28年9月30日公表)」にアクセスしてください。


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