アクセスFSA 第161号(2016年11月)

金融庁月刊オンライン広報誌 アクセスFSA 第161号(2016年11月)リンク先(http://www.fsa.go.jp/access/index.html)を開きます

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写真(12月6日 中小企業等の金融の円滑化に関する意見交換会にて挨拶する麻生大臣)
12月6日 中小企業等の金融の円滑化に関する意見交換会にて挨拶する麻生大臣

トピックス

(1) 「日本 IFIAR イフィアールネットワーク」の設立及び第1回総会の開催について

国をあげた誘致の結果、2017年4月、監査監督機関国際フォーラム( IFIAR イフィアール:International Forum of Independent Audit Regulators)が、金融関係の国際機関として初めて常設事務局を我が国に設立することが決定しました。

IFIAR イフィアールは、独立した監査監督当局により構成される国際機関で、監査法人の検査等を通じたグローバルな監査の品質の向上を目的としています。

東京での事務局開設を控え、12月7日(水)に以下を目的とした「日本 IFIAR イフィアールネットワーク」が設立されるとともに第1回総会が開催されました。

【目的】

  • ○監査関係団体・経済界・金融資本市場団体等でネットワークを築くことによって、我が国における IFIAR イフィアール事務局の活動を支援する。

  • IFIAR イフィアール要人との意見交換を通じ、我が国における監査品質に関する意識の向上を図る。

  • ○上記を通じて、グローバルな監査品質の向上に貢献する。

第1回総会では、来年4月の IFIAR イフィアール事務局開設に向けた状況の説明や、 IFIAR イフィアールと投資家や企業の監査委員等ステークホルダーとの対話の状況について有識者よりヒアリングを実施しました。

なお、金融庁としても、2017年4月に予定される事務局開設と東京での本会合開催、その後の円滑な運営に向け、必要な支援を行っていくこととしています。

※詳しくは、金融庁ウェブサイトのIFIAR事務局開設の中の、「我が国としての取組み」から、「日本IFIARネットワーク(Japan Network for IFIAR)の設立について」にアクセスして下さい。


(2) 金融審議会 市場ワーキング・グループ フェア・ディスクロージャー・ルール・タスクフォース報告について

フェア・ディスクロージャー・ルールとは、企業が、業績動向など公表前の重要な内部情報を特定の証券アナリストなどに提供した場合、速やかに他の投資家にも公平に情報提供することを求めるものであり、欧米やアジアの主要市場では既に導入済みですが、我が国では導入されていません。

特定の者のみに株価に影響を与える情報が提供されうる状況については、かねてより、個人投資家や海外投資家から、市場で不利な立場に置かれているのではないかとの懸念が示されていました。こうした中、上場会社から、証券アナリスト等、一部の証券市場の関係者に対して、公表前の決算情報が提供され、株式の売買の勧誘を行っていた事例が生じていることが明らかとなりました。

本年4月の金融審議会報告においては、このような状況を踏まえ、我が国においてもフェア・ディスクロージャー・ルールの導入について具体的に検討することが提言されました。これを受けて、金融審議会の下に設置されたタスクフォースにおいて検討が行われ、本年12月に報告が取りまとめられました。

タスクフォース報告においては、個人投資家や海外投資家を含めた投資家に対する公平かつ適時な情報提供を確保することにより、全ての投資家が安心して取引できるようにするため、フェア・ディスクロージャー・ルールを導入すべきであるとされました。当該ルールの導入には、同時に、いわゆる「早耳情報」に基づく短期的なトレーディングではなく、公平に開示された情報の正確な分析に基づく中長期的な視点に立った投資を促すといった意義もあるとされています。

タスクフォースにおける検討の過程では、対象となる情報の範囲が不明確であると、企業による情報発信が後退するのではないかとの懸念も示されました。このため、報告においては、

  • ルールの対象となる情報の範囲は、上場企業が適切に情報管理できるよう、インサイダー取引規制と基本的に一致させつつ、公表されれば発行者の有価証券の価額に重要な影響を及ぼす蓋然性がある公表直前の決算情報などを含める
  • 何がルールの対象となる重要な情報かについて、上場企業と投資家との間でプラクティスを積み上げることができるよう工夫する
  • ルールの対象となる情報受領者の範囲は、証券会社、投資運用業者、証券アナリスト、投資家等に限定する
  • 違反に対しては、速やかな公表を促すなどの行政的な対応を基本とする
  • ルールの趣旨についての啓発活動など、上場企業による早期の情報開示や投資家との対話が促進されるよう、環境整備を行っていく

ことが提言されました。

報告を踏まえ、金融庁としては、ルールの導入に向けた具体的な制度設計を進めていくこととしています。ルールの導入を契機として、上場企業がこれまでにも増して情報開示に積極的に取り組み、投資家がその情報を活用した中長期的な視点からの投資を活発化させることにより、日本の資本市場がより魅力的なものとなっていくよう、上場企業や投資家などの市場関係者の声をよく聞きながら、具体的な検討を行ってまいります。

なお、第1~3回「フェア・ディスクロージャー・ルール・タスクフォース」及び第11回「市場ワーキング・グループ」にかかる資料等につきましては、金融庁ウェブサイトにて公表しています。

※詳しくは、金融庁ウェブサイトの「公表物」→「審議会・研究会等」→「金融審議会」→「フェア・ディスクロージャー・ルール・タスクフォース」、「市場ワーキング・グループ」にアクセスしてください。


(3) 金融審議会「市場ワーキング・グループ」(第10回、第11回)の開催について

第10、11回「金融審議会 市場ワーキング・グループ」が、それぞれ11月25日(金)、12月7日(水)に開催されました。

市場ワーキング・グループでは、日本の市場・取引所を巡る諸問題について、幅広く検討を行っております。第10、11回会合では、7月の第3回、8月の第4回、10月の第6回、11月の第8回に続き「国民の安定的な資産形成とフィデューシャリー・デューティー」をテーマに、これまでの議論を踏まえ、顧客本位の業務運営に関する原則に盛り込むべき事項(第10回)とその定着を図るための論点(第11回)について議論がなされました。加えて、第11回会合では市場ワーキング・グループの下に設置されている「フェア・ディスクロージャー・ルール・タスクフォース」から、その検討結果について報告がなされたほか、「ETF等の投資商品」についても議論がなされました。

なお、第1~7回会合にかかる議事録・資料、第8~11回資料につきましては、金融庁ウェブサイトにて公表しています。

※詳しくは、金融庁ウェブサイトの「審議会・研究会等」の中の「金融審議会」から、「市場ワーキング・グループ」にアクセスしてください。


(4) 「スチュワードシップ・コード及びコーポレートガバナンス・コードのフォローアップ会議」(第10回)の開催及び意見書の公表について

「スチュワードシップ・コード及びコーポレートガバナンス・コードのフォローアップ会議」は、11月8日に第10回会合を開催しました。同会合では、第6回会合から議論してきた、「企業と機関投資家の間の建設的な対話」に係る取りまとめに向けて、「機関投資家による実効的なスチュワードシップ活動のあり方」と題した本会議としての意見書の案について議論が行われました。同会合における議論を踏まえ、同月30日に意見書を公表したところです。

意見書においては、

  • マル1運用機関において、最終受益者の利益を第一に考えた顧客本位の活動が確保されるよう、系列親会社等との関係から生じうる利益相反の管理やガバナンスを強化すること、

  • マル2運用機関の経営陣がスチュワードシップ責任を実効的に果たせるよう、適切な能力・経験を備えた経営陣を確保すること、

  • マル3議決権行使の透明性や最終受益者の利益が確保されるよう、議決権行使結果の公表を充実させること、

  • マル4中長期的な企業価値を促す必要性がアクティブ運用よりも高いパッシブ運用において、より積極的なエンゲージメント(対話)を行うこと、

  • マル5運用機関が持続的に自らのガバナンス体制等を改善していくよう、スチュワードシップ・コードの実施状況を自己評価し、公表すること、

  • マル6最終受益者の利益が確保されるよう、アセットオーナーがスチュワードシップ活動に関して運用機関に求める事項・原則を明示するとともに、運用機関に対する実効的なモニタリングを実施すること、 等

が提言されています。

※詳しくは、金融庁ウェブサイトの「公表物」→「審議会・研究会等」→「スチュワードシップ・コード及びコーポレートガバナンス・コードのフォローアップ会議」にアクセスしてください。


(5) 「監査法人のガバナンス・コードに関する有識者検討会」(第4回、第5回)の開催及びパブリックコメントについて

本年3月の「会計監査の在り方に関する懇談会」の提言を踏まえ、7月に設置された「監査法人のガバナンス・コードに関する有識者検討会」について、11月24日に第4回、12月5日に第5回検討会が開催されました。

第4回検討会において、具体的なコードの策定に向けて、「原則に盛り込まれるべき事項」として、これまでの議論を踏まえたコードの論点整理が示され、有識者から様々な意見が出されました。

第5回検討会において、第4回検討会での意見を踏まえて作成された具体的なコード案について議論を行い、「監査法人の組織的な運営に関する原則」(監査法人のガバナンス・コード)(案)が取りまとめられました。

本コード案については、現在、パブリックコメントを実施(12月15日~翌年1月31日)しており、広く意見を募集しています。

なお、第1回~第4回検討会にかかる資料・議事録、第5回検討会にかかる資料につきましては、金融庁ウェブサイトにて公表しています。

※詳しくは、金融庁ウェブサイトの「審議会・研究会等」の中の「監査法人のガバナンス・ コードに関する有識者検討会」にアクセスしてください。


(6) 「金融モニタリング有識者会議」(第4回)の開催について

11月22日(月)に第4回「金融モニタリング有識者会議」が開催されました。

金融モニタリング有識者会議は、平成28年8月、ルールとプリンシプルの最適な組み合わせ、担保・保証に過度に依存しない事業をみた融資への転換等、これまで金融庁が見直してきたモニタリングの基本的な考え方や手法等について、外部の有識者を交えて議論、整理するために設置されたもので、第4回会合では、「金融庁がこれまで進めてきた検査・監督の見直し」をテーマとして議論がなされました。

なお、会議は非公開ですが、会議後、資料・議事要旨を金融庁ウェブサイトにて公表しています。

※詳しくは、金融庁ウェブサイトの「審議会・研究会等」から「金融モニタリング有識者会議」にアクセスしてください。


(7) 「金融トラブルから身を守るためのシンポジウム」の開催(福岡)について

平成28年12月7日(水)に、「金融トラブルから身を守るためのシンポジウム」を開催し、91名の方に参加していただきました。

弁護士を講師に招き、金融トラブルから身を守るためにはどのようなことを心がけるべきか分かりやすく講演していただきました。

また、金融庁からは、金融トラブルの相談事例の紹介や、金融商品に関することで少しでも不審に思った場合に、ご相談いただくよう金融サービス利用者相談室の案内をいたしました。

パネルディスカッションでは、金融トラブルについての様々な事例や対処方法等を紹介し、注意喚起を図りました。


(8) ファンドモニタリング調査の集計結果について

金融庁では、ファンド(投資信託、投資法人及び集団投資スキームをいう。)に関する販売(新規の募集、私募、募集の取扱い及び私募の取扱いをいう。)・運用の実態を把握するため、金融商品取引業者等向けの総合的な監督指針に基づき、調査を実施しています。平成28年11月、調査結果の概要を取りまとめ、公表しました。

【調査結果のポイント】

  • 1.調査対象ファンドの販売(新規募集等)状況(平成27年4月~同28年3月)

      販売本数
    (本)
    販売金額
    (億円)
    うち「ヘッジファンド」
    販売本数
    (本)
    販売金額
    (億円)
    国内投資信託 28,324 996,516 213 18,435
    国内投資法人 80 5,236 - -
    外国投資信託・
    外国投資法人
    973 43,381 81 3,943
    集団投資スキーム 4,137 23,470 41 115
       
    合計 33,514 1,068,603 335 22,493

    (注)販売本数については、複数の販売業者が同一のファンドを販売している場合があるため、実際の本数とは異なります。

  • 2.調査対象ファンドの運用状況(平成28年3月末時点)

      運用本数
    (本)
    運用財産額
    (億円)
    うち「ヘッジファンド」
    運用本数
    (本)
    運用財産額
    (億円)
    国内投資信託 12,096 2,189,692 210 18,877
    国内投資法人 71 164,993 - -
    外国投資信託・
    外国投資法人
    848 343,500 106 25,957
    集団投資スキーム 4,146 115,858 116 821
       
    合計 17,161 2,814,043 432 45,655

    (注)外国投資信託・外国投資法人の運用状況については、当該ファンドの代行協会員(設置されていない場合は販売業者)が回答しています。

  • 3.適格機関投資家等特例業務(「プロ向けファンド」)の販売(新規募集等)・運用状況(平成27年4月~同28年3月)

      本数(本) 金額(億円)
    プロ向けファンド 販売 750 10,815
    運用 2,165 86,531

    (注)販売本数については、複数の販売業者が同一のファンドを販売している場合があるため、実際の本数とは異なります。

  • 4.海外業者における集団投資スキームの販売(新規募集等)・運用状況(平成27年4月~同28年3月)

      プロ向けファンド 特例投資運用業務 合計
    本数
    (本)
    金額
    (億円)
    本数
    (本)
    金額
    (億円)
    本数
    (本)
    金額
    (億円)
    集団投資スキーム(海外) 販売 127 4,506     127 4,506
    運用 403 52,777 121 1,518 524 54,295

    (注)販売本数については、複数の販売業者が同一のファンドを販売している場合があるため、実際の本数とは異なります。

※詳しくは、金融庁ウェブサイトの「報道発表資料」から「ファンドモニタリング調査の集計結果について」(平成28年11月9日)にアクセスしてください。


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