五味金融庁長官記者会見の概要

(平成18年2月27日(月) 17時02分~17時10分 場所:金融庁会見室)

【質疑応答】

問)

金融商品取引法の関連ですけれども、先週、詳細案が自民党の財金部会の方で大筋了承となりまして、今国会に提出の運びになっていますが、中身を見ますと例えば不動産ファンド、或いは商品先物、こういったものの一部について監督或いは検査の権限というのが国土交通省、経済産業省、農林水産省に残るなど、効率的なチェックという意味では若干将来に課題を残したかにも思われますけれども、このあたりの将来の課題について、どのようなお考えでおられるのかお聞かせ願います。

答)

この法律を出すにあたって、金融審議会で大分御議論があったわけですが、喫緊の課題としてとにかく緊急性が非常に強いものというのは、規制の隙間があることによって、投資家の被害というのが拡大をしている状況がある。これをとにかく喫緊の課題として対応しなくてはいけない。これが審議会でのひとつの結論であったわけで、我々もそれに基づいて法律の改正を考えてきたということになっています。そこで整理としては、特にこういう点で問題になります投資性の強い金融商品というものに注目をして、これについて規制の漏れがないように包括的な規制を設けると同時に、投資家から見て同じような性格を持つ金融商品については同じような規制がかかるということが確保される。包括性と横断性というふうに言っていますけれども、こういうことで制度を整備しようということでこの法律案を今作成中ということになっているわけです。そういう視点から言いますと、投資家の側から見るということであれば、その商品を誰が売っているかとか、どの役所の所管であるとか、ということ以前の問題として漏れなくかつ似たものには同じような規制がかかって、自分達が保護されるということが何よりも大切なこと、しかも、これが一番急がれることだということで、今回こうした形での法律案を作ったと、作るように調整中であるということです。

金融商品の中には、当然のことながら金融商品としての固有の性格以外に政策的な監督上の配慮が必要な商品もあるわけでして、こういったものが今お話になったような形で金融庁以外の省庁の所管する法律というところに委ねられるという部分もありますが、規制というところに着目をしますと、そうした商品であっても投資性の強い金融商品という性格上必要な投資家保護ルール、これについては今回の金融商品取引法以外の法律において同等の規制内容を確保するという改正が併せ行なわれるということで、この金融商品取引法の改正全体が仕組まれる形になっている。そういう形で与党などにもご説明しているということでございます。

ですから、まず喫緊の課題への対応としては、そういうことで確保すべきものを確保し、そして監督、いわゆるエンフォースメント、規制のエンフォースメントに関して、これが他省庁で行なわれるようなものであっても、各省庁、これまで随分と投資家保護上の規制、体制ですね、規制の実効性を高めるための体制強化をしてきておられますし、今回こうした規制を新たに設けるということになりますれば、当然のことながらそれに応じて、またエンフォースメントの体制を整備してくださるというふうに考えています。この点については他省庁とよく連携を取りながら、やっていきたいというふうに考えます。

なお、包括性という意味で今後の課題という意味では、金融審議会で整理がなされていると、これはご承知のとおりであります。こうした投資性の強い金融商品に限らず、一般的な預金ですとか、その他の金融商品まで含めたより包括的な規制の枠組みということに関しては、例えばこの金融商品取引法の法制化ですとか実施の状況、或いはその対象となりうる金融商品の性格、更には中長期的な金融制度と言いますか、そういうもののあり方の議論とか、こういうようなものを踏まえて引き続き、精力的に審議会として検討するという整理がなされております。私どももそういったご議論を十分踏まえながら、この法律の次の形というのがどうあるべきかということは検討を続けていきたいというふうに考えております。ただいずれにしてもまだ国会にご提出する前の話ですので、当面私ども最大の課題というのはこうした今のようなお話よりも、確実に今国会にご提出をすること、そして今国会において円滑なご審議をいただくこと、それに全精力を傾けているというそういう状況です。

問)

先日、与謝野大臣直属の有識者懇談会で、東証の改革について、次世代システムの導入について極力簡素なシステムが望ましいといった方向性が主張されていますが、このことについての評価と言いますか、その東証はこの提言をどういうふうに利用されることを金融庁としては望んでいるのですか。

答)

この懇談会というものは、システム面での取引所の対応を含めて、取引所のあり方に関して有識者の立場でのご意見を役所として伺って、かつこれが方向性として望ましいというようなものであれば、それを取りまとめ、部外にも発信し、それによって各取引所の改革というものを後押ししたい。こういう考え方で出されているものであります。従って、ただいまお話のありました点も含めまして、第一次の取りまとめで、方向性が示されました点については、関係者、これは取引所だけでなくて、他にも関係してくる方がいらっしゃいますから、そういう関係者の皆さん含めまして真摯に受け止めて対応についてのご検討をお願いしたいというふうに考えております。

(以上)

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