五味金融庁長官記者会見の概要

(平成18年3月20日(月) 17時01分~17時08分 場所:金融庁会見室)

【質疑応答】

問)

損害保険会社の積立保険の募集文書で、説明の不備が相次いで見つかっている問題で、金融庁は先週、保険会社86社に一斉点検を要請されました。この問題に対する長官の御所見と今後の対応について改めてお願いします。

答)

お話のように、複数の損害保険会社で保険商品の募集用資料等に、契約者が誤解されるおそれのある不適切表示がなされていたという事例が相次いで判明いたしております。このことは保険契約者の保護、更には保険募集の公正等の観点から誠に遺憾な事態であると考えております。こうした事態は個社のレベルに止まらず、保険会社一般に共通する問題である可能性が高いと考えられましたので、17日に全ての保険会社に対して、募集用資料等における不適切な表示等に関する一斉点検を要請いたしました。点検結果は4月17日までに報告するように求めておりまして、当局としては各社からの提出を受けて、点検結果の内容を十分に精査・分析をしていきたいと思います。この分析の内容を整理いたしました上で、いずれ何らかの形で国民の皆様に御説明をする方向で検討していきたいと考えています。

問)

東京証券取引所は西室会長が6月の株主総会後も社長を兼務する人事を固めたようですが、この人事についてどうお考えでしょうか。

答)

報道がなされておりますけれども、この社長人事というのは、東京証券取引所の判断で決定されることでございますので、人事についてのコメントというのは控えさせていただきます。

問)

ジャスダックのシステム開発に関する資料がウィニーを通じてネット上に流出しているという問題があるようですが、この件について現時点で把握されている情報と御所見、今後の対応についてお聞かせ下さい。

答)

ジャスダック証券取引所から伺いましたところでは、このウィニーを通じてネット上に流出した資料というのは、システム開発の委託先である株式会社日立製作所からの流出であるということでございました。ただ、いずれにしても委託先からとはいえ、証券取引所のシステムに係る情報が流出したということは、安定的で円滑な運営を確保するという観点からは問題でございまして、システムの整備については万全な対応を図っていただきたいというふうに考えています。分かっておりますことは、この流出した情報というのはジャスダック証券取引所が証券取引所として業務を開始した前後、平成16年10月から平成17年1月におけるシステム構築の工程に関する情報であるということだそうでございまして、従いまして、ジャスダックは今年の1月10日にシステムリプレースを行っておりますから、その前のものということになります。その結果として、現在のジャスダックのシステム運営上、問題になったり、或いは通常の市場運営業務に影響が出たりといったことが出てくるような性格の情報ではなかったということだそうでございます。なお、折角のご質問ですが、一部に証券取引法に基づく報告徴求命令をジャスダックに対して出したというものがありましたけれども、ジャスダックに対して今回の件について法令に基づく報告命令は行っておりませんので、念のため申し添えておきます。

問)

明治安田生命が経営の透明性を高めるために死差、利差、費差という三利源を公表するということを発表しました。一方、先週末に行われた横山生命保険協会協会長会見では、それは経営の根幹に関わるということで、公表に対して否定的な見解を示されたのですが、この三利源の公表ということに関して長官の見解をお聞かせください。

答)

明治安田生命が、いわゆる三利源について開示をする方向で検討中という報道があったことは承知しておりますけれども、このこと自体については個別会社の任意のディスクロージャーに関する決断、或いはその検討ということでございますから、当庁としてのコメントというのは控えた方がよろしいと思います。色々な御意見を述べておられる方もいるようですが、一般論で申し上げますと保険会社が自主的に行う情報開示、これは各社の経営判断においてそれぞれ行われるものでありまして、その内容というのは利用者の皆さんが保険会社の業務の内容ですとか、財務の状況、こういったものを適切に判断できるように、それぞれに創意工夫に基づいて分かりやすく情報開示をするように努める、ということが必要であろうと思っております。それに基づいて利用者の皆さんは商品の選定なり、会社の選定というものを納得感を持ってできるようにということであろうと思います。会社の営業の内容によって一律にどういう情報を開示したらよいかということが決められるものではありませんし、またこの情報自体、義務的な開示に馴染むようなものかというとそこは議論があるものだろうと思います。いずれにしても、各社におかれては保険会社における情報開示というものの重要性を十分に認識して、常に利用者、契約者の視点に立ってどのように自主的な開示というものを充実していったら良いかということを考えていかれることを期待したいと考えています。

(以上)

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