五味金融庁長官記者会見の概要

(平成18年5月8日(月) 17時01分~17時13分 場所:金融庁会見室)

【質疑応答】

問)

アイフルの業務停止が今日から始まりましたけれども、改めてお伺いしたいのですが、貸金業者への今後の検査、監督をどのような着眼点で行っていくかということと、現時点で業務停止命令の履行状況はどうなっているか教えてください。

答)

貸金業者に対する検査、監督、これは資金需要者の利益保護、この観点から従来から行っていますが、今後もそういった視点から行います。特に取り立て行為規制違反等の法令違反に対しては厳正に対処してまいります。今般のアイフルの事例と同様の違反事例が今後も発生し得るという認識の下で、緊張感を持って行政をしていきたいと考えております。

それから業務停止命令の履行状況でございますが、本日から業務停止期間が始まっておりますので、近畿財務局において命令の履行状況を必要に応じて関係する営業所への臨店ということも含めまして確認をしております。現時点では特段問題があるという報告は受けておりません。当社については今回の業務停止を踏まえまして法令遵守態勢、或いは内部管理態勢を再構築していただいて法令違反の再発防止に努めていただくことを期待したいと考えています。

問)

金融機関の不動産証券化業務で、先月、行政処分が出ましたけれども、投資法人等からの不動産証券化業務についての一斉聞き取り聴取ですとか、そういうことが行われているのかどうか、また今後の検査、監督、どういう観点で行っていくのか教えてください。

答)

御指摘がありましたように先般、不動産管理処分信託業務に関して受託審査態勢に問題があるということで、一部の信託銀行が銀行法等に基づく行政処分を受けることになりましたが、これは大変遺憾なことでございます。只今一斉聴取といったようなお話がございましたので、ちょっと補足した説明をさせていただきますと、このJPモルガン信託銀行と新生信託銀行の案件については特殊な背景がございます。すなわちこれらの事例ではJPモルガン信託銀行におきまして、受託審査、或いは内部管理態勢、こういうものを構築しないままにそのリスクを信託受益者等へ転化する、そうして不動産関連の信託業務の営業や実績を伸ばしていく、こういうビジネスモデルがあったわけでございますが、このモデルを承継した役職員が、新生信託銀行に転籍をしたと、こういうことで、それまで新生信託の、流動化信託業務の実績しかなかった当時の新生信託銀行でこれらの人達が、取締役になったり、或いは重要な業務運営責任者となってJPモルガンと同様の営業を急拡大させたと、こういう特殊な背景がございます。そういった事情でございますので、一部の報道でこの一斉聞き取り調査といったようなことが報ぜられているということは承知いたしておりますけれども、いわゆる一斉点検のような調査は行っておりません。

いずれにしましても金融庁としましては、いわゆるジェイリート(J-REIT)と、これは一般投資家の皆様が購入なさるものですから、いわゆるジェイリート等を運用する投資信託委託業者等に対しましては、必要に応じて投信法に基づく報告を求める等、投資家保護のために引続き適切な検査、監督を行っていきたいと考えております。

着眼というような視点で言いますと、投資信託委託業者といいますのは、法令によって資産運用に係る業務運営態勢等の状況に照らし、十分な業務執行を行い得る能力というものが求められております。従いましてこうした投資信託委託業者が、資産運用等の業務を公正に、かつ的確に遂行する態勢を整備するということを確保していただく、こういった視点で監督対応を今後行っていきたいと考えております。

またこの投資信託委託業者等に対する検査については、証券取引等監視委員会に委任されております。この証券取引等監視委員会の検査におきましては、投資法人に対して忠実に資産の運用にかかる業務を遂行しているかどうか等についての検証ということを重点的に行っていると承知いたしております。検査という側面ではそういった点がポイントになるということでございます。

問)

連休前のことですが、大分県の豊和銀行が金融庁の検査を踏まえて不良債権の追加処理を行った結果、18年3月期過小資本に陥って公的資金を申請するという考えを正式に発表しましたが、こうした豊和銀行の経営状態、及びこの案件についての長官のお考えと、地域金融機関における不良債権処理の進捗状況について、現在どういう認識でおられるかお聞かせ願います。

答)

豊和銀行は18年3月期の業績予想修正の際に、当局の検査結果も踏まえて抜本的な不良債権処理を行うということで、その結果、18年3月期の単体自己資本比率が2.2%となったという説明をなさっておられます。従いまして、資産超過の状態で、しかし健全性基準は下回っているということでございまして、当座直ちに経営に問題が生じているということではないと考えております。既に資本回復策に着手をなさいまして、具体的には西日本シティ銀行から30億円の出資を受ける予定で、4%を十分上回る水準に9月までには回復するということ、また、第三者割当増資も予定をして8%を目指すといったことでございました。この銀行の特徴といいますか、これは大口の与信先に対する管理が十分でなかったということから、その与信集中のリスクが顕在化をして健全性の基準を下回るところまで不良債権処理が必要となったということでありまして、特異な事例であったと思います。言わばこの銀行の独自の経営上の問題であって、地域金融機関全般に何か問題があることの表れとしてこういう問題が生じたということではないと認識をしております。

地域金融機関全体の不良債権ということになりますと、ご承知のように地域密着型の金融、いわゆるリレーションシップバンキングを推進することで経営力の強化の取組みが着実に進んでおりまして、地域金融機関全体の不良債権比率を見ますと、着実に低下のトレンドを続けております。もちろん主要行のような不良債権処理の手法とは異なりまして、地域密着型金融ですから、取引先の中小企業等地元の企業の健全化を支援する中で、いわゆる単なるオフバランスという手法ではなく、債務者の経営状況を改善させることで自らの経営も改善し、地域の発展にも貢献していくというビジネスモデルでやっておられますから、不良債権比率の低下のスピードといったようなものについては、主要行とは違う様相を持ちます。しかしこれは成功すれば非常に強い足腰を持った金融機関になるということであろうと思います。現状は、この地域の経済を良くし、その結果として自らの健全性も向上をし、それが更に地域に対する貢献を高めていくという地域密着型の金融のあり方に沿った方向で経営が行われていると考えておりまして、引き続きこれを続けていただくことで地域金融機関全体の健全性が更に向上していくと考えています。

(以上)

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