五味金融庁長官記者会見の概要

(平成18年5月22日(月) 17時02分~17時10分 場所:金融庁会見室)

【質疑応答】

問)

貸金業の上限金利のあり方で、法務省と事務レベルの協議を始めているということですが、現在までの検討状況を教えてください。

答)

法務省の皆様には貸金業制度懇談会にもオブザーバーとして御参加いただいておりまして、これまでも金融庁として必要に応じて連絡を取り合ってきております。法務省とはこの懇談会とは別に意見交換のための会合を設けておりまして、懇談会の中間整理で示されました御指摘、或いは御意見、こういうものについての意見交換を行っております。今後いずれにしても金融庁としてはこの中間整理をしっかり受け止めていきたいと考えておりますので、法務省を含みます関係当局、或いは与党の関係者の皆様、こういった方の御意見を踏まえまして、また最近の最高裁の判決も十分念頭に置きまして、多重債務を防止する観点からどのような道筋をとることが適切かの検討を深めたいと、このような考え方で法務省の皆様方とも、今意見交換をしているところです。

問)

監査法人への行政処分で、業務改善命令を新たに導入したり、登録制を導入したりするという報道があったのですが、この事実関係を教えてください。

答)

今お話のありましたような報道の点について、金融庁として現時点で何らかの方針を持っているということはございません。金融庁としましては、金融審議会の公認会計士制度部会、これが再開されておりますので、そこで監査法人制度等のあり方についての総合的な検討を行うと、こういうことでございます。今後この部会で幅広い観点から、公認会計士制度を巡ります様々な課題についての御審議をいただきたいと、こういう考えでおります。

問)

大手銀行の決算が徐々に発表になっておりまして、かなり好調な利益というような見通しのようで、公的資金を早めに返すというようなことも表明があるようですが、今回の決算についての着眼されている点などについて改めてお伺いしたいと思います。

答)

多くの主要銀行は今日明日ということで、決算の御発表があると考えますので全体を取りまとめてのお話というのは、それが出たところで計数なども取りまとめましてお話ができればと思っております。これまで発表されております業績の見通しの修正など、こういったものを見てまいりますと仰るように利益の水準というのはだいぶ高いところにあるようでございます。ただ、そうした発表の内容をある程度見てみますと、やはり経済環境の好転を背景として取引先の業況が改善したということで、貸倒引当金、或いは信用コスト、こうしたいわゆる不良債権処理のコストというものが大幅に減少をしているということ、或いは一部引当金の戻り益が出るということもあるというような現象が見られるようでございまして、こうした不良債権処理が急速に進んで正常化したという過程での特異な要素というものもだいぶ寄与しているようには思われます。きちんとした分析は全体の決算が出揃いまして各銀行からの御説明も終わったところで、また申し上げたいと思います。

問)

銀行決算に関連して若干個別のことになるのですが、今日発表した三菱UFJが、公的資金の6月中の完済ということを発表されました。この点について公的資金の問題について、総論として長官は現在どのように捉えておられるかということをお聞きしたいのと、決算の関係でもうひとつ、みずほが前に退任された3人のCEOの方に対する退職金の支払いについて、公的資金完済後にということを前田さんが仰ったという点について、何かあればお願いします。

答)

今、お話がございました三菱東京UFJ銀行が、市場売却と自己株式の取得で6月中の完済を目指すというような御発表があったようでございます。こうしたこの三菱UFJグループに限らず、他の幾つかの主要行でも早期完済を目指すという意向が既に示されているわけでございまして、こうした公的資金の完済に向けた動きというのが主要行全体で進んできているということは、当初の資本増強から7年あまり経過する中で、各行それぞれ資本政策に基づいて健全性を維持しながら公的資金の返済に取り組む姿勢というものが明確に現れるようになってきた、或いは表すことができるようになってきたということで、これは評価をしたいと私は考えます。また、不良債権処理の進展と併せまして、公的資金返済の具体的な取組みというものが、可能な状況になっているということは、別の面から見ますと金融システムの正常化というものに向けた確実な動きであるということで、これを歓迎したいと私は考えております。

それから、今御質問のみずほグループのお話でございますが、この件については各企業のそれぞれのご判断、或いは手続きを経た上での御決定ということになると思いますので、個々の企業の退任された役員の方への退職金というお話は当局としてコメントすることは控えさせていただきたいと考えます。いずれにしても、そういうことをお考えになるについて、公的資金というものが導入をされた経緯、趣旨、こうしたものも十分にお踏まえになった上で、社内での御議論や手続きを進めていただけたらと考えております。

(以上)

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