五味金融庁長官記者会見の概要

(平成18年9月11日(月)17時00分~17時11分 場所:金融庁会見室)

【長官より発言】

私からは特にございません。

【質疑応答】

問)

貸金業規制の見直しの問題ですが、結構世論の関心も高まっておりまして、今現在も自民党で協議が続けられていますけれども、このタイミングで改めてになりますけれども今回の規制見直しの意義ですとか、国民生活への影響について金融庁としてどういうところを特に強調なさりたいかという点をお伺いしたいのですが。

答)

本件の現在の検討の局面というのを申し上げますと、7月6日に与党等で貸金業制度等の改革に関する基本的考え方、これにおいて政府として検討を指示された論点を検討いたしまして、先週与党にその検討結果を提示をしたというところにあります。従いまして、現状与党におきまして議論が行われているということでございます。こうした枠組みで検討しておりますので、その意義等につきましても基本的考え方を基にして現在金融庁は検討中だと。この範囲内でご説明をすることになります。与党にお示しいたしました検討案というのは、この与党の考え方に沿ってフィージビリティを検討した結果であるということでございまして、方向性がはっきり示されている点につきましてはこれをフィージブルでかつ実効性のある制度として仕組むためにはさらに検討するとどういうことが必要になるか、またいくつかの案が示されている、或いは賛否両論が示されているといったようなものにつきましてはそれぞれの考え方についてのフィージビリティの分析を行う、或いは各案に示されました懸念、論点のようなものをいわば連立方程式のようにして解いていった場合、例えばこういった答えは出て来得るというような一つの案を選択肢の一つとして御提示してみるという性格のものでございます。その限りにおいて申し上げてみますと、意義といいますか、基本は多重債務者の発生を防止する。これが基本でございます。今回の制度改正の意義というのはそこに全て集約されていると考えていいと思います。少なくとも与党の案はそうなっておりますし、金融庁において行われました懇談会でもこの点が最重点課題ということになっております。従いまして、フィージビリティの検討をするに当たってもこういった視点からの検討を行ったということでございます。おそらく問題は、大きく分けて三つに分けられると思います。一つは業者側の問題、もう一つは借り手側の問題、三つ目は制度の枠組みそのものの問題であろうと思います。

業者側の問題としては、業者の質を適正化するということが与党の考え方でも述べられております。これに沿った検討を行ったということでございまして、貸金業者の財産面、或いは人的側面における参入規制これを強化する。更には勧誘の規制、取立ての規制、或いは説明義務、当局側の監督の手法、さらには罰則こういったものを強化するということ。そして、こうした法令上の規制以前の問題として、業者が自主規制でやっていただかなければならないこと、こういうことについて、業界の自主規制機能を強化するという観点から、例えば貸金業協会を認可法人として当局認可の下に規制、規則、自主規制規則を作っていただくというような一つの方法を出していくということでございます。

それから借り手側の問題への対処といたしましては、返せないお金は借りられないような形にする。過剰貸付の防止という観点からの考え方が示されております。これを具体化していくということでありまして、要するに借入れ総額を規制する、年収の三分の一を超えるような貸付けは原則として禁止をされるということであります。その仕組みを実行性を持たせるためには、借り手の借入れ総額を把握できるようにしておかなければならなりませんので、指定信用情報機関というのを創設いたしまして全ての取引をリアルタイムで報告するということでこの情報を基に返済能力を調査するとか、トータルを把握するだとか、周辺的な規制を整備いたします。もちろんこうした状況に陥りそうな方、或いは陥ってしまった方のためのカウンセリング体制の強化ということこの際行う必要がある。

三つ目の制度の枠組み自体の問題は、金利体系の適正化ということで御提言がされておりまして、これにつきましては要するにグレーゾーン金利を廃止するということに尽きるわけですが、まず貸金業法43条のみなし弁済規定の廃止をする、そして出資法の上限金利を利息制限法の上限金利水準に引き下げる。また、少額短期の特例ということについては、賛成、反対の両方の議論が党の考え方に出ておりますので、借り手のニーズという賛成論の方と、潜脱が行われるという反対論の方のそれぞれの考え方の連立方程式を解いてみると、例えば、一部の借り手のニーズに対応するために少額短期特例というものは設けるにしても通常の借入れがないこと等厳しい条件を付ける、また恒久制度とはしないといったような形を例えば考えられる一案というようなことでお示しをした。全体を整理しますとそういった形になっております。

生活への影響というお話ですが、多重債務者を防止するというこれが影響といいますか、好影響として我々が、これは与党の皆さんも当然ですが最大の影響として良い影響として目指しているところでございます。

問)

先週末の自民党の議論では、一部金融庁のフィージビリティ案をもう一回組み直して出すように自民党の方では指示をするという説明があったのですけれども、今日はそれをもう提出されたのでしょうか。

答)

金融庁案という形で別の案をお出ししたとは私は承知しておりません。ただ、これまでの金融調査会、報告会ですね、そういった場で出た議論を踏まえて様々な作業の御指示が党の方からいただいておりますので、そういった作業の御指示に対する御返事はしておりますけれども、それに尽きるものです。

問)

閣法で金融庁なり法務省なりがということも決まったことなのでしょうか。

答)

その点、私は決まっているとは承知しておりません。

問)

今は党の議論ということですけれども、党の方で何らか意見が集約されて、具体的な法案作成をすることになって金融庁に作成の指示が来た場合には、これまでの懇談会の御意見とかそういうものは、もし意向と違うという方向が入っているとしたら自民党の決めたことに対して何らか提案ですとか、政治的な変更ですとかアクションを起こされるのでしょうか。

答)

この点は、そもそも与党での御検討、そしてその結果に基づく制度の改正という段取りを踏んでいくというふうに心得ておりますので、いずれにしても与党での御検討を待つのが先決です。現状で申し上げられるのはそこまでです。

(以上)

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