五味金融庁長官記者会見の概要

(平成18年10月23日(月)17時00分~17時09分 場所:金融庁会見室)

【質疑応答】

問)

消費者金融業界の全般的な状況について、長官の見解をお尋ねしたいのですけれども、出資法の上限金利の引き下げですとか、あるいは、いわゆる過払い金の返還請求に備えた損失引当金の計上ルールを厳格に適用する等によってですね、消費者金融各社の経営環境には、今後大きな変化が予想されております。今後、金融庁としては、消費者金融業の監督にあたって、どのような点に力をいれて検証して行きたいと考えていらっしゃるのか、長官の見解をお願いします。

答)

消費者の方が、自分の生活設計の上で、ニーズに応じて金融機能を使うというのは広い意味で消費者金融です。ですから、例えば住宅ローン、自動車ローンというのはもちろんですけれども、割賦販売ですとか、あるいはクレジットカードですとか、我々の身近にこうした機能があって、それはそうした機能を上手に使う事で生活の満足度が上がっていますとか質が高まるということがあるわけです。いわば、金融の持っている一番大事な機能、つまり、お金に仕事をさせることで生活や経済の選択の幅を広げると、あるいは付加価値を高めるという機能がここでも見られるということで、消費者金融というのは国民生活の中で一定の役割を果たしているということだろうと思います。ただ、消費者金融といいますのは、ご承知のように消費者がその生活のために金融を使うということですから、自ずとその返済能力というものにはあまり多くを期待できません。また、そうしたローンを利用する、ローンといいますか、消費者金融機能を利用するについて、大法人が借入金を立てる時のような様々な視点からのチェックというのも必ずしも入るわけではない。ということで、消費者の金融機能を使う時の最大のポイントというのは、多重債務に陥りやすい、あるいは過剰債務に陥りやすい、そういう性格をもっているところをどうコントロールするのかというところだと思います。

現在、こうした消費者金融機能の中のひとつを担っておりますいわゆる貸金業者、今のご質問は貸金業者に関するご質問だと思いますが、この貸金業者への対応ということも、やはり新たな多重債務者を発生させない枠組を作るというのが、基本になると思います。金利の上限、あるいは引当、過払い金に対する引当というようなことから、その業績というものについて、自ずとしかるべき影響は出るでしょうけれども、当局の関心事項はこうした消費者金融機能を利用する消費者が多重債務に陥らないような枠組をどうやって作れるのか、というところに関心がございます。この点についての対応は既に何度かこうした場でも申し上げていますけれども、与党で基本的に了承されました改正案、貸金業法の抜本改正というものがございます。この改正案の中には、特に重要なものが3つあって、貸し手の質の問題を論じております「貸金業者に対する参入規制や行為規制の強化」、それから、返す当てのないお金は借りられないというこうした環境、過剰貸付禁止、総量規制、この導入。そして、制度上の問題として、長く議論されておりましたグレーゾーン金利を、上限金利の大幅な引き下げ、いわゆる出資法の上限金利を大幅に引き下げることを解消していこうというこういった3つの要素が入っておりまして、考え方は多重債務問題を解決すると言う視点から見て、総合的な対策が盛り込まれているといった形には私には思えます。こうした枠組を整備できれば、ある意味ではリスクに応じた金利が市場のメカニズムということで、貸金業の世界でも決定されまして適正な様式水準が実現するということになるだろうと思います。債務者負担を軽減し、同時に利用者の利便性にも配慮するといった視点から、この与党の方針に沿った法律改正を当面の対応としてやっていきたいというふうに思っております。

問)

貸金業法ですが、改めて法成立の見通し、今国会で可能なのかどうかを含めて現状のスケジュール感を教えてください。

答)

与党の基本的な考え方に基づく法律案の作成作業を現在、鋭意行っております。なお、さらに与党において引き続きご議論が行われて、考え方が示される部分もあろうかと思い、といった点は、はっきり致しましたところで法律案に盛り込むように作業をするということにいたしたいと思っております。そんなことで、スケジュールとしては、この臨時国会に法案を提出するべき法務省等の関係省庁とも連絡・連携をしながら、鋭意法案作成作業を進めているというところでございます。まだ、法案を提出したわけでもございませんので、その後の話というのは、国会の問題でございます。現在はとにかくこの国会に出来るだけ早く提出できるように作業をしているということを申し上げておきます。

問)

今週の26日で安倍政権発足から1ヶ月になるのですが、この1ヶ月間の意義、金融行政について何か変化があったのか、また何か変化を考えていかなければならないなど、どのように1ヶ月間を捉えていらっしゃいますか。

答)

金融行政の基本的進め方について、特段これまでの考え方を変更するようなことが必要だというご指示は頂いておりません。山本大臣ご就任の時に、例えば「市場のシステムですとかをきちんとワークするように」という趣旨のご指示があったと伺っておりますが、これは引き続きそういった方向で様々な施策を考えております。従いましてこの1ヶ月で何か特段基本的な方針が変更しなければいけないというようなことがあったとは思いません。大臣からもそのようなご指示はございません。もちろん北朝鮮情勢に関連をして金融当局として特に留意すべき事柄というものはその後発生をしておりますので、この点については一つ一つ取組んでおります。

(以上)

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