五味金融庁長官記者会見の概要

(平成18年11月20日(月)17時00分~17時22分 場所:金融庁会見室)

【長官より発言】

私からは特にございません。

【質疑応答】

問)

先週17日、損保26社に対して保険金不払いの調査期限を報告するように保険業法に基づく調査命令を出されました。今回、命令という形で報告を求めたことへのご所見をお願いします。それから、不払いを巡り報告を求めたのはこれで3回目になるのですが、ここまで深刻化した背景について、改めて説明をお願いします。

答)

まず一点目ですが、経過はご承知の通りですけれども、損保26社から去年11月に発出した業務改善命令のフォローアップとして付随的な保険金の支払漏れについての報告を再度9月29日にいただきました。この報告に基づきまして、各社の調査内容や調査体制について確認をいたしましたところ、支払い漏れに係る各社の検証は完了していないという事実が多数認められました。これはもう少し具体的に申しますと、発表文の中にも触れてありますが、一つは、支払い漏れの可能性がある臨時費用保険金をまだそもそも把握しきれていないという会社が一社ならず複数ある。本来の調査をお願いしたこと自体が終わっていないということです。それからもう一つは、より調査の難しい部分があるのですが、保険事故が発生した状況に応じて複数の保険種目が同時に払われるべき場合があって、そのときに片方だけ払われていてもう一方が漏れているという組み合わせが、会社において現にそういうことがあると認識をされているにも係わらず、こうした組み合わせについての調査を完了した会社はほとんどありません。代表的な事例ではこういったことがあるということであったわけです。最初の報告を求めましたのは昨年の9月ですから、1年以上経っているにも係わらず、付随的な保険金の支払い漏れの検証が完了していない。最初からそこは調べなければいけないと分かっているのに終わらないということは、非常に遺憾であります。そういった状態ですので、保険業法に基づく報告徴求をさせていただいて、調査完了時期を示して欲しいとお願いしたわけでございます。こうした問題の背景というのは、やはり経営管理態勢或いは内部管理態勢に欠陥があるという構造的な問題から起こっているのであろうと私は考えています。多数の会社において何を調査すればいいか分かっているのにそれが終わらないということですから、これは構造的な問題だろうと思います。

今後でございますけれども、まず各社はこの報告に対してはもちろん真摯な対応をお願いしますけれども、それ以上に、適切な経営資源の配分を行っていただいて、早急に支払い漏れの全容を解明して追加支払、これはしなくてはいけない支払いなのですから、追加支払いをきちんと実行していただく、これが大事だと考えています。その上で、詳細な発生原因の分析を行っていただきたい。

金融庁としての今後の対応でございますが、現在、いただいた報告の分析を鋭意続けているわけでございますけれども、その中で経営管理態勢或いは支払管理態勢などを詳細に検証させていただいて、更に今後、今回の命令で示された期日に沿った全容の解明が行われるのを待って、事案の内容に応じた行政上の対応を含めて適切な対応をしていきたいと考えています。

問)

りそなホールディングスが先週17日、金融庁に対し09年度までの新しい経営健全化計画を提出しました。この中で、2兆9千億円の公的資金を返済原資のうち、09年度までに利益剰余金で1兆8千億円まで積み上げると同時に、7千億から8千億分について民間からの外部調達を検討することとしています。実質的な国有化から3年強経て、これまでの経営陣が取り組んできた経営改革の進捗状況に対する評価と、今回打ち出した公的資金返済の方向性についてご所見をお願いします。あと、りそな傘下の近畿大阪や埼玉の今後について、あまり明確に方向性が出てないのですが、それについてどのように見ていらっしゃるか教えてください。

答)

まず、経営改革に関しましては、今回策定されました経営健全化計画において、中小企業取引等における取引基盤の拡大を通じて収益力を強化すると謳われておりまして、差別化戦略の徹底による持続的成長によって、公的資金返済を実現するという大きな方向性が示されていると承知しています。これまでりそなは収益基盤の確立に取り組んできていると承知していますけれども、今回の新計画の期間はこうした観点からも大変重要な時期であると考えます。従いまして、多額の公的資金を受け入れているという現状を踏まえまして、収益力の強化と企業価値の増大に向けて取組みを進めていただきたい。今回の計画に関連して言えば、そうしたことを望みたいと考えています。

お話のありました公的資金返済に関連してでございますが、公的資金はりそなだけが受けているわけではありませんので、他にもこれを受け入れ、或いはすでに完済をしたところもございますが、各社それぞれ自らの財務状況ですとか、或いは自社株式の市場での評価ですとか、そうしたことを踏まえて自らの資本政策に基づいてどう返済するかということをご検討なさって、またそれに沿って返済を実行なさっているわけでございます。今回の発表で示された事柄というのも、そうした視点からの検討の結果であると承知しております。やはりそれぞれの資本政策経営の判断がまず一義的に来るという話であろうと思います。今後、仮にりそなから公的資金の処分の申し出がありますれば、これは他の会社と同様に、預金保険機構のいわゆる三原則、つまり国民負担の回避、銀行の健全性の維持、そして市場への悪影響の回避、この三原則に沿ってこの申し出について判断していくことになります。

それから傘下銀行の今後の道筋というお話ですが、この点はりそなの企業価値増大という観点から、もっぱら経営が判断されることであると考えます。今回の計画には、今、例にお出しになりました近畿大阪銀行についてはりそな銀行とは異なる性格の体制がすでに構築されてるということで、独自の地域密着型の銀行としてりそな銀行との合併は行わないという方向性が示されております。また、埼玉りそな銀行につきましては、計画によりますと引き続き地元に根ざした地域金融機関として、これまでと変わらぬ営業体制でサービスを提供する。そして埼玉県の皆様に信頼され、地元埼玉と共に発展する銀行を目指すという表現で、この両行の将来像が計画の時点における経営判断として示されておるということでございます。これはご紹介でございます。

いろいろ申し上げましたが、いずれも個別行の具体的な経営方針・経営判断に係わる話であると思います。株主として必要な意見は当然株主総会の際に申し上げることになりますけれども、監督当局として具体的な銀行の経営方針についての評価は差し控えたほうがよろしいと思います。いずれにしても、利用者の信頼を確立していただいて、金融仲介機能を適切に発揮する、銀行としての基本的な機能を発揮していただくことを期待したいと考えています。

問)

今日、各銀行、いくつかの銀行の9月の中間決算が発表されたのですが、ご覧になりましたでしょうか。

答)

見ております。詳細は見ておりませんけれども、担当部局から概略の報告がありましたので、そこで見ております。

問)

まず、ご覧になったご感想をお聞かせください。次に、主要銀行が堅調に業績を伸ばしていると思うのですが、こういった状況の中で、長官ご自身は現在の金利水準は低すぎると、もう少し預金者に対して利益を還元すべきではないかとお思いになりますかどうかお聞かせください。最後に、地方の銀行の業績がかなり落ち込んでいるようなのですけれども、金融サービス等の地域格差を是正するために、金融庁として何らかの対策をお取りになる予定というのはございますでしょうか。宜しくお願いします。

答)

第一点目は、まだ全ての主要銀行が発表が終わったわけではなくて、お話のように一部あったわけであります。従って、主要行全体の中間決算を見ての監督当局としての取りまとめですとか分析、こういったものは全ての銀行、全ての主要行の決算が出揃った段階で改めてさせていただきます。この、現在までの各行からの発表、或いは中間決算未発表のところでも、通期の見通しなどは勿論発表しておられるところはあるわけで、こうしたものを一般的に見ますと、傾向としては18年3月期、今年の3月期の決算と同様に、貸倒引当金に戻り益が生じたというこの特殊要因ですね、これが引き続き寄与しているということが考えられそうです。ただ、まあいずれにしても全体が出揃ったら、きちんとした分析を、当局としての分析を申し上げたいと思います。

第二点の預金者への利益の還元というお話ですけれども、当然のことですが、どのような預金金利を設定するかというのは、当局の統制の基にあるわけではありませんので、各銀行のそれぞれの自らの状況を踏まえた、或いは経営戦略を踏まえた経営判断ということになります。しかしながら、全体として高い水準の利益が実現しつつある中で、そうした利益を銀行の様々なステークホールダー、それは預金者だけではございません。株主もおります。従業員もおります。或いは取引先、預金者以外の取引先もおられるでしょう。そうしたステークホールダー全体に対して、どのように還元していくのかということは経営者としてはその認識が問われるところであろうというふうに考えております。利益が上がったのであれば、それなりの還元というものが真剣に検討されるべきであって、それは、一預金者というだけではございませんで、あらゆるステークホールダーに対してどのようにという大きな視点からのご検討が必要だと思います。

地域銀行については、その業績についてまだその資料が揃っているわけではございませんし、文字通り「地域銀行」でありますので、それぞれの地域の特性、銀行の特性というものが、主要行とは違う形でその経営の影響してくるわけでございます。ひとくくりで議論をすることは必ずしも適切ではない場面もございます。そうした上で申し上げますと、やはりその特性に応じて金融仲介機能というものを果たすことで、特性といいますのは地域の特性と自らの特性、それに応じて金融仲介機能を果たすことで、地域の経済も発展させ、それによって自らの経営の体力、或いはこういったものも向上していくというのが地域を営業基盤とする金融機関の一般的な経営のモデルであろうと思いますし、それ以外のやり方では地域の皆さんや利用者の支持を得るということも難しいであろう、かといって地域から逃げ出してしまうことも出来ないと、いわゆる取引銀行です、従いましてこの各地域の経済の状況やそこを営業基盤とする金融機関の現状によって、そのサービスのあり方というのは、様々であろうと思います。これを一概に主要行と比較をし、他の地域と比較をしてそこに格差があると論じてもあまり意味がなくて、その地域において必要とされる金融仲介機能をどこの銀行が果たせているか、果たせていないとすればその銀行はどうするつもりか、或いはよその競争相手に敗れるというのを選ぶのかというところを経営者が判断していくということかと思います。格差の是正という視点からは、またちょっと違う評価が必要だと思います。

問)

公的資金の返済で、あれは昨年明けだったか一昨年明けだったかちょっとすみません。新しい金融庁方針を出されて、金融機関の申出がなくても、その返済を求めていくというふうな利益を失わないためにということで、そういう方針をだされたかと思うのですが、その時、預金保険機構の会見で、「りそなはどうでしょうか」という質問があった時に、その時点では「りそなはまだそういった銀行としては対象外です」ということをはっきりおっしゃっていたのですが、それからまた時間が経ちまして、普通株及び優先株について、具体的なそのタイミングはまた色々あるのでしょうが、そういったその早期に求めるというようなところまで進んだかどうかという、そのあたりのご所見を伺いたいと思います。

答)

ご指摘の方針といいますのは銀行が公的資金を既に何と言いますか、公的資金の注入の効果もあってマーケットでの信用を十分確立して、マーケットから資金が調達できるという、こういうような状況になったことを踏まえまして、納税者の利益ということに、より視点を置いた運営をしようと、こういう視点から発表させていただいたものでございます。しかし基本は、あくまで当該資本注入を受けました銀行からの申出があるかどうか、その銀行との協議を全体的に把握した上で、そのうえで検討を行うという性格のものでございまして、これまでも基準にあてはまる銀行というのが出てきて、そこからその後返済が行われたという例はいくつもございますけれども、他の基準に基づいて、銀行側の申出を待たずに一方的に預金保険機構が処分をしたという例は、まだないわけでございます。やはり、銀行との協議が基本になるという形でございます。りそな銀行がその対象であるかないか、預金保険機構がどんなコンテクストでのコメントであったかわかりませんが、注入からまだあまり日が経っていないような状況で経営の健全化に向けての道筋というのものが、既に返済を続々と実行しておられる他の銀行とは状況が異なる中での返事だっただろうという返事だったろうと思います。その状況というのは現在も変わってはいません。ただ新しい計画も出ましたし、銀行の方で返済に向けての道行きというものを年頭になり発表をなさっているという状況でございますから、預金保険機構との連絡は、より密に取っていただく必要があろうと思います。

(以上)

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