五味金融庁長官記者会見の概要

(平成19年3月5日(月)17時00分~17時10分 場所:金融庁会見室)

【長官より発言】

私からは特にございません。

【質疑応答】

問)

現在検討されております公認会計士法の改正法案ですけれども、先日自民党に課徴金を報酬の1.5倍とするなどとした、一方で刑事罰は見送りというような内容の、現在検討中の案を提示されたと思うのですが、現在の検討状況と併せて、改めて改正の意義をお聞かせください。

答)

公認会計士法等の一部を改正する法律案は、今お話のように、与党のご了解を得るプロセスに今あるということでございます。改正の意義というお話でございますけれども、やはり証券市場・金融資本市場において、正しい情報開示というのは、公正な取引が行われることと並んで、車の両輪であるということで、この二つなしには正常に市場が機能することはありえないわけでございまして、これを確保するということのために、公認会計士・監査法人が適正な情報開示に一役買ってくださるということは、何より大事だということでございます。課徴金についてのお話がございましたけれども、その考え方をちょっと整理して申し上げますと、公認会計士・監査法人の非違がございました場合には、適切にこれが抑止できるようにしておくということが重要であります。金融庁としましては、経済的な抑止の手段として、虚偽証明を行った公認会計士・監査法人に対する課徴金制度を導入したいと考えているわけでございます。現在与党にご説明しております案は、具体的な課徴金額については、「やり得」を防止することが可能な水準ということで、違反行為に伴って受け取ります監査報酬額、これを計算の基礎におくということを考えております。また、非違行為のうち、故意による虚偽証明につきましては、相当な注意を怠ったことによる虚偽証明の場合に比べまして、これを抑止することは、より困難であるという認識に立ちまして、課徴金の額を加重する必要があると考えております。そこで、監査報酬額の1.5倍を課徴金額とすることとしたいというのが、現在の考え方でございます。なお、刑事罰の導入は、今回の金融庁の案では見送るという方向でございます。金融審議会の公認会計士制度部会のご報告におきましても、刑事罰の導入というのは、非違行為防止の観点から一つの検討課題ではあるが、非違事例に対しては、課徴金制度の導入をはじめとする行政的手法の多様化、これによって対応することをまず求めていくことが考えられる、こういう旨のご報告を頂いておるわけです。当庁といたしましては、監査法人の非違事例の対応としては、まずは行政的手法の多様化、課徴金制度の導入ということに取り組んで行きたいと考えております。

問)

課徴金についてなのですが、今回は報酬を基準にして、現行案では1.5倍という話でと聞いているのですが、今後例えば、金融商品取引法の課徴金についても、現行の金額引き上げを検討するお考えはあるのでしょうか。

答)

課徴金制度につきましては、2年程を目途に、さらに検討していくということになっております。独占禁止法の関係でも課徴金についてのご検討がさらに進められるとのことです。金融商品取引法の関連で申しますれば、まずは、金融商品取引法が施行されまして、具体的な運用をしていく過程で、よく課徴金の抑止効果というようなことをモニタリングしていく、そういったことが先決であろうと思います。現在、既に証券取引法において導入されている課徴金などもよくモニタリングしながら、今後の対応については、2年という検討期間中に勉強していくということであろうと思います。

問)

今回の1.5倍というのが仮に導入されるとして、それが他の課徴金に影響するとは限らないということでしょうか。

答)

直ちに、この改正が、自動的に他の課徴金の設計の仕方に影響するという性格のものではありません。基本になりますのは、違反行為を適切に抑止する観点から、金銭的な賦課をするということでありまして、適切に抑止をするというところがポイントになってくるということございます。

問)

会計士法の課徴金制度が、他に比べて厳しいような印象を受けるのですが、これについては如何でしょうか。

答)

今回の公認会計士法の課徴金のあり方については、金融審議会における議論も総合的に勘案しておりまして、当然、金融商品取引法も同じ審議会でのご議論の過程において議論をされたわけでございまして、特段、会計士だから厳しいかどうかという話ではなく、抑止効果というものを得るために、どういった水準が適当であるかということであろうと思います。経済的利得というものをどう定義するかという点におきましても、それぞれのケースによって捉え方が違うわけでございますので、一概に故意の場合に1.5倍というのが厳しいという話ではないと思います。

いずれにしても、実際に運用してみる必要がございますし、今後の運用の成果を見ながら全体として検討されていくということです。

問)

先週、日本旅行に対して、一部業務停止命令が出たわけですけれども、商品の販売であるとか、決済手段の多様化に伴って従来のような銀行などの金融機関以外の企業に対する検査・監督というのも、より視野を広げて強化する必要があると考えるのですが、如何でしょうか。

答)

金融に関連する商品というのは、色々なものがございますし、その商品或いはサービスを利用する顧客の方というのも、色んな立場の方がいらっしゃるわけです。従って、その業態によって、どこにポイントを置くべきかということは、色々違ってきますが、基本にありますのは、金融機関の利用者が、適切に保護されていること、特に、情報格差が大きい中で、それが適切に行われているということが大事であるということであろうと思います。前払式証票の発行について、今回、日本旅行に業務停止処分が出ておりますけれども、これは、この商品に特有の、ということではなく、前払式証票の発行者で旅行代理店が対象になったのが初めてというケースでありますが、その性格は、他の業者が発行する前払式証票と同じでございますし、関連する報告の虚偽でありますとか、供託の必要額が供託されていなかったという事実、こういう事実は、業種を問わず投資家或いは利用者の皆さんを保護するためには行われなければならないと思います。ですから、この事案があったから何か特別な対応をとるということではなく、一般消費者の方は、特に情報格差が大きいわけですので、これまで通り、利用者保護という基本に立った検査・監督を進めていくということが続くということございます。

(以上)

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