五味金融庁長官記者会見の概要

(平成19年3月19日(月)17時00分~17時21分 場所:金融庁会見室)

【長官より発言】

私からは特にございません。

【質疑応答】

問)

先週、損保10社に対する行政処分で、6社が業務停止という内容でしたけれども、昨年の三井住友海上に対する処分内容と比べて軽いのではないかという指摘もあります。今回の処分対象企業との違いはどういったものだと言えるのでしょうか。また、今後、生保を含めた保険業界の監督において、どのような点に注視されていくのかお考えをお聞かせ下さい。

答)

まず、前段の三井住友海上に対する処分内容との比較というお話ですが、不払い事案につきましては、この6社のうち、特に、東京海上日動、日本興亜についても三井住友海上と同様に、極めて重大で悪質な問題が見られたということでございました。一方で、三井住友海上におきましては、第三分野の不払い以外の問題も生じておりまして、業務の全般的な見直しが必要であったという事情がございました。それからもう一点、経営管理態勢、保険金支払管理態勢、いずれも極めて不十分である、或いは不十分であるというところでございましたけれども、今回の処分対象の会社におきましては、三井住友海上とは異なりまして、すでに、一定の業務改善が図られているなどの処分軽減事由があったということがございました。主に、このような違いがございまして、処分内容に違いが出ているということでございます。

平たく申しますと、行政処分と言うのは、全く同じ行為が行われるということは滅多にないのですけれども、同じような会社の行為があると、それを上から入れると、下から同じ行政処分が出てくるという性格のものではないのです。大事なのは、会社の視点から見てどうかということではなく、この会社を利用している国民・消費者の目からどうかということでございまして、国民・消費者が、将来にわたって同じような目に遭わないような経営態勢を会社に構築してもらうためには、個々の会社について、何をしてもらわなければならないかと言ったように、国民・消費者、この場合は保険会社ですから保険契約者、こうした皆さんの将来の保護ということで、同等の実効性のある行政処分というのは何であるかということを、会社ごとに考えて処分を行っていく、これが基本にあるわけです。従いまして、会社だけの目から見ますと、似たようなことをしたのに処分の内容が違うといったような見方が出るかもしれませんが、行政当局が、そうした意味での公平性を求めているのではなくて、国民・消費者から見た公正・妥当な処分であるかどうかということをチェックしているということでございます。

それから、後段でございますが、当局といたしましても、今後とも保険会社において、保険募集という入口と出口である保険金支払い、この入口から出口までを、一貫して保険契約者保護という観点から、適切な業務が行われているかどうかということを注視していきたいと考えております。保険金の支払いというのは、国民の皆さんが保険を掛ける最終目的であるわけですので、この部分で不適切なことが行われるということでは、保険自体の機能を果たしていないということになりますが、同時にそれは、中途の段階における保険契約の設計ですとか、或いはその設計部署と支払い部署との連携ですとか、支払いを管理できるためのシステムの構築ですとか様々な要素が関わってまいります。出口だけ入口だけという話ではなく、この一連のプロセス全体を、保険契約者を保護するという視点からよく見ていきたいと考えております。

問)

先週、東京証券取引所が、不正会計のあった日興コーディアルグループの上場維持を決めました。この点について改めてご所見を伺いたいということと、併せて、証券取引等監視委員会の話になるのですけれども、日興コーディアルグループに対して、組織的な関与の指摘もありましたけれども、東証の方は、組織的な関与に関しては、クロではなくグレーということで、上場維持という判断をされました。こう言った、広い意味での金融当局の処分上の指摘と、東証の上場廃止基準とのズレ、乖離についても含めて、お考えを伺えればと思います。

答)

まず、上場維持の決定に対する所見というお尋ねですが、これは、取引所関係規則に基づきまして、各々の取引所が判断をされる事柄でございますから、当局からコメントをすることは差し控えます。いずれにしましても、証券市場というのは、資本主義経済を支える重要なインフラでございますから、市場の透明性・公正性というものが確保されるように、取引所が運営をされる、そのための説明責任も取引所が適切に果たすということが重要であると考えております。

それから、組織的、或いは組織性といったお尋ねがございましたが、東京証券取引所の決定自体は、取引所と個別上場企業との契約に基づく個別案件の判断でございますから、コメントは控えますが、一般論で申し上げたいと思います。まず、課徴金納付命令でございますが、これは証券取引法の規定に基づいて、規制の実効性を確保するという行政目的の達成のために、法令に違反するものに対して金銭的な負担を課す行政上の措置でございます。一方で、個別の上場会社に対する上場の取扱いといいますのは、これは証券取引所と上場会社の間の上場契約に基づいて、取引所関係規則に照らして、取引所において判断をされるというものでございます。このように、この二つは、その性格・目的を異にするものでございますから、それぞれの観点から事態が判断されるということであると考えています。一般論はこういうことでございますが、もう少し解説を本件について申し上げてみますと、証券取引等監視委員会による課徴金の納付命令勧告、或いは金融庁による課徴金納付命令、これらの公表した資料を見ていただけばわかりますが、組織的という言葉を、処分の根拠として使っているわけではありません。ただ、これは確か勧告があった12月半ばの記者さんたちへのご説明だったと思いますが、日興コーディアルグループが、一社員の事務ミスというご説明をなさった点に対する見解を求められて、当局の担当者から、一社員による事務的なミスということではなく、複数が関与しているというご説明があったと私は聞いております。それから、日興コーディアルグループが、社内でお作りになられました特別調査委員会は、この件について、関係者によって組織的に進められたという報告書を出しておられます。それから、東京証券取引所は、文書にはそうしたことは触れられていませんけれども、上場維持の決定の時の社長の記者会見の中で、複数の当事者が、不適正な行為に関与したと見られることは確かに否定できない。このような言い方で言っておられます。同じ様な事情をみんな把握しているのですが、先ほど申しましたように、それをそれぞれの組織が、証券取引等監視委員会は行政目的であり、社内の特別調査委員会は、社内において実態を解明して将来の責任追及に繋げるという目的でありましょうし、東京証券取引所は、上場の維持が適切かどうかを規則に基づいて決めるという観点から同じ事実を見ているわけでありまして、その目的の違いから、その評価というものが、目的を判断する上でどう評価したらよいかというところで違っているように見えるだけでございまして、それぞれが全く違う事実を把握して判断をしたということではない、ただその時に、尺貫法とメートル法でしたら、単位が尺とかセンチメートルとか変わりますからわかるのですが、今回はそれを、組織的という同じ言葉で表現しようとするので、誤解を生じ易いということではないでしょうか。

問)

最近と言いますか、この1年ぐらいと言いますか、外国為替証拠金取引の取引が非常に増えていますが、金融庁としては行政処分をかなり頻繁にされていると思いますが、改めてこの局面、どういった点について注意して監督・監視といいますか、一般の方への呼びかけ等も含めて伺えればと思います。

答)

外国為替証拠金取引と言いますのは、デリバティブ取引ですが、少額で取引ができるということである反面、差し入れた証拠金以上の多額の損失が生ずる恐れもあるリスクの高い取引だということです。金融商品、ごく大雑把にリスクとリターンの関係を言えば、それは、一つは投入した元本が保証されるけれどもリターンは低い。或いは投入された元本が毀損するリスクがあるけれども、それは元本が全額毀損するところまでで止まると、その代わり元本保証に比べればリターンも高いということが予想できる。更に、投入した元本を、最悪の場合、失うことでは済まずに、その元本を超える追加的な損失が出る、元手をするだけでは済まないという商品もあるわけで、その代わり成功したらリターンは非常に大きいと。このような分類ができるのですが、この商品というのは、第三の類型になるわけでございまして、こうした取引を、ヘッジ手段を持たない個人がなさるというのであれば、それ相応の注意をしてこれにあたる必要があると言うことでございます。もちろん、金融庁の監督下に入る前に、相当詐欺的な商法があったというようなことがあったこともございまして、これについてはもちろん十分注意をしていただく必要がありますが、そうではない真っ当な取引であっても極めてリスクが高いということです。従いまして、個人投資家のみなさんに対してまして、金融庁では、ホームページなどで注意喚起をしております。例えば、取引に関して注意するべきポイントですとか、或いはこの取引に関する苦情・相談例、これは、金融サービス利用者相談室にこうした苦情や相談が参りますから、そうしたことの整理をして盛り込みました情報、こういったものをホームページに掲載をして注意喚起をするというようなこと。或いは外国為替証拠金取引の業者に対しまして行政処分を発出したという様な場合には、法令違反になるケースでございますけれども、こうした場合には、処分内容を公表してホームページへ掲載するというようなことを、どんなことが起こっているのか、監督の状況はどうかというのを皆さんに周知できるようにしております。今後とも特に不招請勧誘の禁止に関する違反行為なども含めまして、業者の不適切な業務運営というものについては、厳正で適切な対応をしていきたいと考えております。

問)

生命保険の不払いについて、改めてお伺いしたいのですが、ガン特約の不払いについて、約款上、約款に則って処理しているので問題はないはずだという声が生保業界内にはあるのですが、それについては如何お考えでしょうか。

答)

新しいガイドラインで、注意喚起情報等を分かりやすく掲載するということを求めておるわけでありますが、そうした趣旨に沿った経営運営というものが期待されるということを申し上げたいと思います。約款でどうなっているかということを、それでは、募集の時にきちんと説明をしてあるのか、それを先方が、保険契約者側が十分に認識した上で契約をしているのかどうか、これは大いに疑問のあるところでございます。であるからこそ、そうしたような注意喚起情報といったようなものを分かりやすくまとめている、約款に書いてあるからいいでしょうということでは済まないということを、当局として、業界にガイドラインという形でお示ししているわけでありますから、そうした精神に沿った保険の募集なり支払いということをしていただく必要があると思います。それから、よくご本人に対する病名の告知との関係で、この難しい面があるというようなお話もあるということを聞いておりますけれども、工夫をすればよいのですから、現に補償されるべき状態になった方に対しては、そうした事務的な困難というのは、どうすれば克服できるかということを考えて、保険契約者の立場に立って経営をして頂く必要があると思います。この点も、やはり募集の時の説明で、相当程度やり方があるわけでございます。そう言った点を期待したいと思います。

問)

一部の生命保険会社で、先程のガンの告知の問題があって、なかなか請求勧奨をしにくいという話がありますけれど、一部の保険会社では、過去に請求勧奨していたのに、事務コストの問題から止めてしまったという話もあるようですが、それについてはどうでしょうか。

答)

詳細な事実を私自身が把握しているわけではありませんので、一般的なお答えになりますが、事務的なコストといっても、会社にとっては、たくさんかかるコストのうちの一つですが、ガンにかかられた人にとっては一生の問題ですし、家族の皆さんにとっても大変な問題であるわけですから、契約者の立場というものを考えた運営をして頂きたいと思います。

問)

止めたこと自体について、件数が非常に少なかったと、年間数件だということで問題ないのではないかというようなことを言うこともあるようですが、これについてはどうでしょうか。

答)

件数が少ないから止めたということですか。

問)

止めても影響がないのではないかと。

答)

件数が少ないなら丁寧にやってほしいです、なおのこと。やはり、大事なことだと思います。それが、保険業界に対する信任に関わってくるんですね。やはり、保険というものに入っておくということが、本当に安心を買うということを文字通り保証できる、察してもらえるんだという感覚を国民の皆さんが持たなかったら、保険業界自身も経営が成り立たなくなっていくわけですから、真剣に考えてほしいですね。

問)

件数の多い少ないに関わらず、来月の報告を見て不払いについて調べていくということでよろしいでしょうか。

答)

もちろん、これは以前にも申しあげましたと思いますが、件数の多寡だけが行政的な対応を判断する基準になるわけではありませんし、それ以外の要素というものもよく検証させて頂いた上で、必要な行政上の措置というものを取っていきたいと考えています。

(以上)

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