佐藤金融庁長官記者会見の概要

(平成20年1月17日(木)17時03分~17時26分 場所:金融庁会見室)

【長官より発言】

こんにちは。私の方からは特にございません。

【質疑応答】

問)

幹事社の方から数点伺います。今日、NHKの記者三人がインサイダーの取引の疑いで証券取引等監視委員会の調査を受けているようですけれども、これについて金融庁としてどのような事実関係を把握されているかお聞かせ下さい。

答)

ご指摘のような報道があったことは承知をいたしておりますが、個別事案でございますし、また独立した権限を持つ証券取引等監視委員会に関する事項でございますので、コメントは差し控えさせていただきます。

問)

先日、みずほコーポレート銀行がメリルリンチへの出資を発表しています。欧米の金融機関に邦銀が出資するのはバブル崩壊後、初ということですけれども、これについてどのように受け止めてらっしゃるかということと、みずほコーポレート銀行に限らず、日本の金融機関に同様の動きが今後出たり、また再び海外で存在感を発揮していけるような局面になりえるのかどうか、どのように見ていらっしゃるかお願いします。

答)

みずほコーポレート銀行がメリルリンチへの出資を発表したことは承知をいたしておりますが、個別金融機関の個別取引について直接のコメントは差し控えさせていただきたいと思います。なお、同行からは「リスク管理に留意した上で、投資としての経済合理性や今後のグローバルな事業展開を念頭に出資に応じたものである」と聞いております。

日本の銀行、とりわけメガバンクでは不良債権問題への対応に目処をつけた後、経営体力の改善をしてきたということかと思います。こういったことを背景に、収益力を強化するという観点もあろうかと思いますが、国際業務への取組みを強めつつあると承知をいたしております。このことは、例えば新しい海外拠点の設置であるとか、あるいは海外支店の貸出金等の残高の増加の傾向といったことでも読み取れるのではないかと思っております。いずれにいたしましても、日本の銀行の海外展開については、もちろん各行の経営判断の問題でありますけれども、金融庁としては各行が強固な法令等遵守態勢そして、リスク管理態勢を、また併せてしっかりとしたガバナンスの態勢を構築した上で、海外市場においても金融ニーズに的確に答えていけるようになるということを期待しているところであります。

問)

株価についてですけれども、今日は戻しているようですが、日経平均1万3000円台と低迷していると思います。サブプライム問題の余波とか、円高などの要素が指摘されていると思いますけれども、それ以外に日本経済そのものについての先行きだとか、経済運営がこれからどうなるか、地位が低下しているのではないかとか、そういった日本固有の要素が含まれていないか、その点についてどのようにお考えですか。

答)

市場の動向は、様々な市場参加主体がそれぞれの判断に基づいて投資行動を行った結果として、決まってくるというものでございますので、その要因について当局として直接的なあるいは、断定的なコメントを申し上げることは差し控えるべきであろうかと思います。ただ、昨今の動きについて市場関係者の皆さんから聞こえてくる指摘、あるいは意見といったようなもののうち主だったものとして、一つには、我が国の株式市場については、外国人投資家が売買シェアの約6割を占めているといった構造上の特徴があること、そして二つ目にはサブプライム・ローン問題、およびその深刻さというのが顕在化しつつあるこの局面でグローバルな市場全体において不確実性が高まっているといったこと、そして三つ目には、そういった中で投資資金が質への逃避(フライト・トゥ・クォリティ)という考え方で動くようになってきていて、その一部として株式市場から債券市場、特に国債等のマーケットに資金がシフトしている、あるいはオルタナティブ(代替)として原油、金等のコモディティ(商品)へシフトしているといったようなことが指摘されていると承知いたしております。

それから、日本の市場の株価の下げがきついのではないかという点についてでございますけれども、これも市場関係者が指摘するところですが、例えば過去一年間で見てみますと、我が国の株価(円ベース)が例えば米国の株価(これはドルベース)等と比べて下げる率が大きいという原因として、例えば中国、インド等の新興経済諸国と比べて、将来の成長期待が相対的に低いといった要因を指摘する見方がございます。ただ、同時に他方で、この日本の株価の下げが大きい理由はその円高ということが大きく効いている、円高がその主要な要因であって、これをドルベースに換算してみると日米の株価は概ね連動している、といった見方もございます。

いずれにせよ、サブプライムを発端としたグローバルな金融市場の混乱は続いておりますので、金融庁としては今後とも引き続き市場動向あるいは金融機関の健全性を注意深くフォローしていきたいと思っております。さらに、「金融・資本市場競争力強化プラン」の着実な実施によって、魅力的な市場を構築できるように政府一体となって取り組んでいきたいと思っております。

問)

サブプライム・ローンの件ですが、欧米の金融機関の決算で損失拡大が発表されておりますが、国内金融機関でも一部損失拡大の報道が出ています。金融庁は9月末で、国内金融機関のサブプライム・ローン関連の保有額と損失を発表しておりますが、その後、月次で集計しているというふうに承知していますが、12月末で損失拡大しているのかどうか、そのあたりの金融庁としての認識をお願いします。

答)

12月末の具体的な数字を持ち合わせているわけではございませんけれども、先に9月末の数字を公表させていただきました。9月末においては、預金取扱金融機関全体のサブプライム関連証券化商品の保有額が約1.4兆円であると、そのうち1,300億円ぐらいの評価損が生じていると、また、さらに9月期までに実現した損失として、たしか1,400億円ぐらいあったということだと思います。この9月末の評価損1,300億円程度というのは、グローバルなこのサブプライム関連の、あるいは関連していないところも含めてかもしれませんが、証券化商品の下落が続いておりますので、おそらく、この評価損は9月末に比して大きくなっているということが容易に推測できます。

ただ、これは以前から申し上げていることでございますけれども、私どものモニタリング、また公表させていただいた集計結果というのは、1.4兆円というエクスポージャーの額もあわせて発表をさせていただいているということでございますので、このエクスポージャーがある意味では最終投資家としての保有額に着目すれば、この保有額というのが今後生じるかもしれない評価損の上限を画するということであるわけでございまして、グローバルなこのサブプライム・ローン問題のマグニチュード、あるいは欧米の大手金融機関が昨今の決算で発表している損失額等に比べてみても、金額自体は相当に限定されているということが理解できようかと思います。また、重要なことはこの我が国のエクスポージャー、あるいは今後の評価損について、これを我が国の金融機関の自己資本の厚みであるとか、あるいは期間利益のレベルであるとか、そういったものと比較をした場合、基本的に各金融機関の対応によって、対処可能であるということが一般的に言えるのでないかというふうに思っております。

問)

評価損については、おそらく大きくなっているのではないかという話でしたけれども、エクスポージャーの1.4兆円については、その後膨らんでいるということはありうるのでしょうか。

答)

最終投資家としてのエクスポージャーは、その後サブプライムに関連する証券化商品の買い増し等を行っていなければ、基本的には増える要因はないのではないかというふうに思いますし、例えば、評価損が生じている商品について損切りをするというようなことで、売却をしていればむしろ減る要因になるということではないかというふうに思います。

問)

買い増しを行わなければ増えないですが、例えば、サブプライム関連ローンの定義の引き直しとか、そういった動きについて当局として把握していることはないのでしょうか。

答)

9月末で、我が国金融機関のエクスポージャーなり、損失見込額を把握するという作業をした時に、これはそもそも諸外国、主要国でも行っていない作業でありまして、どこで線を引くかということが非常に難しい作業です。先般公表させていただいたこのエクスポージャーの金額というのは、原資産としてのサブプライムがほんのわずかでも入っていれば、それはサブプライム関連金融商品、あるいは証券化商品というふうにとらえようということ、あるいは、サブプライムとサブプライム関連商品を参照するような金融商品、そういうものはこれに含めていこうということでとらえたものであります。その定義を安易に変更するということになりますと、集計作業自体が膨大な作業でございますが、却って統一的な見方をすることが困難になるということではないかと思います。

問)

関連で、日本の要因を先ほど挙げられましたけれども、市場の関係者の中には、アメリカの金利の引下げとか減税をうちだすとか、政策的な対策が取られようとしているのに対して、日本はその辺の動きが非常に鈍いのではないかという批判といいますか、意見もありますが、そういう指摘というか批判についてどうご覧になりますでしょうか。

答)

今のご質問の中で、欧米の当局の対応というのは、具体的にどういうことですか。

問)

中央銀行では金利の引下げとか、住宅関連では減税措置を取るとか、そのような具体的な、始まった動きではありませんが、そういう期待感が多少あるというのに比べて日本はそれがない、政治・政府の動きが鈍いのではないかという意見も聞きましたので。

答)

そういう見方は、私はいたしておりません。各国の経済政策というのは、各国が置かれた諸条件を踏まえて、各国の責任において行うものであるわけであります。我が国における対応については、我が国の状況を踏まえた、それに対応するものであるというふうに基本的には思っております。

問)

「消費者庁」の構想が出ておりますが、金融も消費者と向き合うというアングルですが、この窓口の一元化ですとか、そうした消費者行政の一元化ということで、そういうことについての、金融庁でもそういった役割分担というものを現段階でご検討されているか、この構想自体に対する見方があれば教えてください。

答)

詳細を承知しておりませんので、あまり具体的なコメントをしうる段階にないと思いますが、ご案内のとおり、金融行政の三大目標、行政目的という形で常日頃から、信用秩序の維持・金融システムの安定、そして利用者の保護・利用者利便の向上、そして3つ目に透明・公正で活力のある市場の確立と、この3つを従来から金融庁は掲げてきているわけであります。過去数年間振り返っていただいても、保険金の不払いの問題、外為証拠金取引に関わる様々な対応等々、利用者の保護、投資家の保護という観点からの行政対応には大きな重点をおいて取り組んできたということであります。そういう意味で、金融行政において利用者保護、投資家保護、消費者保護という大きな柱が揺らぐことはないということだろうと思います。この金融行政の一部である利用者保護ということが、政府全体としての消費者保護という大きな枠組みとの接点を持つことになれば、それについては適切に対応していくということだろうと思います。金融行政そのものが変わるということではないのではないかというふうに思っています。

問)

来月に東京でG7について、第一義的には財務省が管轄するというのは承知しているのですが、金融庁としてどのように関わる可能性があるか教えてください。

答)

その話は財務省の方で、議題(アジェンダ)の設定を含めて調整をされることであろうかと思います。中央銀行総裁、財務大臣の会合でございますので、その所掌と関わりの深いテーマが取り上げられるであろうことは想像できるわけでありますけれども、仮にその中で、何らか金融行政に関わる部分があるとすれば、財務省とも連携を取って対応していくということであろうかと思います。

(以上)

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