佐藤金融庁長官記者会見の概要

(平成20年1月28日(月)17時03分~17時34分 場所:金融庁会見室)

【長官より発言】

お待たせしました。冒頭に私の方から一点ご報告がございまして、先週の金曜日1月25日に、上場企業6社の株式総額20兆円超を取得したとする虚偽の大量保有報告書が提出され、EDINETに掲載されました。本件は株式の大量保有の状況に関する情報を迅速に公表することにより、市場の公正性・透明性の確保を図るという大量保有報告制度の運用にとって極めて重大な問題です。金融庁はこうした認識に基づきまして昨日27日日曜日に訂正報告書の提出命令を発出し、また、開示書類の審査を行う各財務局に対して審査態勢の充実強化を再徹底するという指示を出したところであります。今後とも、本件を含め虚偽の報告書の提出に対しては、事案に則して迅速かつ厳正な対応を行っていくこととしております。

これに加えまして、取引の透明性・効率性の維持に留意しながら市場の公正性を確保するため、大量保有報告制度等及びEDINETについて、再発防止策及び危機管理策を早急に検討すべく、実務者を中心に検討チームを立ち上げることといたしました。検討チームにおいてはできる限り速やかに実務的な検討を行い、再発防止策等を取りまとめることを予定しております。

私からは以上です。

【質疑応答】

問)

先週金曜日に名古屋証券取引所にセントレックスの上場審査態勢が不十分だったということで業務改善命令が出されましたが、名古屋証券取引所の記者会見では証券取引等監視委員会の指摘には納得いかないという趣旨も含まれていたようですけれども、これについて今後の業務改善に不安はないかということと、それから新興市場一般に上場審査は難しさも伴うということだと思いますけれども、取引所にはどういうことが求められるかということをお聞かせ下さい。

答)

名古屋証券取引所の件でございますけれども、金融庁としては証券取引等監視委員会による勧告以降、名古屋証券取引所との間で改善を要する問題点について意見交換を行い、聴聞手続きを経て行政処分(業務改善命令)を行ったものでございます。名古屋証券取引所においては、記者会見で証券取引等監視委員会の指摘には納得がいかないといった趣旨の発言があったとのご指摘でありますけれども、今回の行政処分を受けた名古屋証券取引所の対外公表文では、業務改善命令を厳粛かつ真摯に受け止め、早急に改善策の策定に取り組むと発表しているわけであります。名古屋証券取引所においては、この業務改善命令を真摯に受け止め、実効性ある改善策を講じることが求められておりまして、金融庁としてはその実施状況をしっかりとフォローアップしてまいりたいと思っております。

二点目のご質問である新興市場の上場審査についてでございますけれども、一般的に、申し上げるまでもなく取引所の上場審査業務は上場基準に則り公正な価格の形成及び適正な流通の確保を図るため、投資者保護の観点から適切に行うことが必要であると考えています。取引所は内外の企業等に成長資金の供給を行うとともに、家計部門等の金融資産に適切な投資機会を提供するということが使命であります。また、現代の取引所はシステムの運営が重要でありますので、こうした点を踏まえて、名古屋証券取引所においては、効率的で信頼される市場の構築に努力していただきたいと思っております。

問)

先ほどおっしゃった大量保有報告書の件で、実務者を中心とした検討チームということですが、この実務者というのは金融庁の内部で作られるのか、それとも外部、例えば東京証券取引所ですとかそういった方々も含まれるのか、どういうメンバーなのかという点と、この検討チームはいつ頃を目処に中間報告なり、最終報告なりが出されるのか、それと、再発防止というと何が考えられるのでしょうか。今回もネットを通じて適時開示をするというのは、過去の事例もあって、迅速にマーケットに伝えることが最も重要だという点からはじまっていると思うのですけれども、そういう意味で事前チェックをすればするほど時間がかかると思うのですが、この点で再発防止というのは、現実的に何ができると長官ご自身はお考えでしょうか。

答)

まず、メンバー構成でございますけれども、これから調整をしていくということでございますので、現時点で確定的なことは申し上げにくいわけでございますけれども、イメージとしては、もちろん金融庁の中だけでやるわけではなくて、例えば証券取引所の関係者、あるいは発行体サイドの関係者、そしてコンピューターシステムの関係者等、この問題にかかわりの深い関係分野の方々にお集まりをいただこうと思っております。

それから、タイミングの問題は、まずはお集まりいただき、検討していくということでございますので、今の時点で具体的な見通しを申し上げることは困難でございますが、いずれにいたしましても、この問題の性格からして速やかに何らかの方向性というものを取りまとめていただきたいと思っています。

第三点目のお話については、ご質問の中でもまさにおっしゃいましたように、EDINETというシステムは一つには迅速性ということがポイントです。他方で、こういった虚偽の報告がウェブサイトに掲載されるということをできるだけ防ぎたいという要請も当然あるわけでございまして、この辺のバランスをどう取るかということが一つの本質的な課題であるわけですけれども、この迅速にこういった大量保有の状況というものをウェブサイトを通じてディスクローズするというこの制度の趣旨からすると、この迅速性ということを損なうような対応というのはなかなか難しいでしょうし、またおそらく国際標準からしても事前に時間をかけて審査をするというようなことをやっているケースはあまりないのではないかと思っております。いずれにいたしましても、今度立ち上げる検討チームでこういった点も含めてご議論をいただくことになろうかと思っております。

問)

海外の開示システムで事前に中身をチェックしているというところはあるのでしょうか。

答)

現時点で、網羅的に全て調べ上げたわけではないのですが、代表的な例として米国のエドガー(EDGAR)という制度がありますけれども、この制度でももちろん形式から見て明らかにおかしいとか、要件を満たしていないとか、そういうものをチェックするという機能はあると思いますけれども、今回のような中身に即してこれを事前にチェックするそういった仕組みは導入していないと承知しています。

問)

今の関連なのですけれども、今回大量保有報告書を出した本人は未だに間違っていないということを言っているようですが、今後の対応としてその命令に従わない場合はどのように対応されるのでしょうか。

答)

本件の個別の事案についての進行状況については、コメントを差し控えさせていただきたいと思います。いずれにいたしましても、法令に則って厳正に対応していくということに尽きるかと思います。

問)

刑事告発も含めて検討されるという理解でよろしいでしょうか。

答)

法令に則って厳正に対応していくということであります。刑事告発については、起きた事案の社会的な広がりやその重要性、あるいは行われた行為の悪質性ということを一方で当然踏まえるわけでありますけれども、民間人、あるいは民間企業を刑罰に処することを求めるということの重大性ということも併せて考える必要があるというのが一般的な、基本的な枠組であろうかと思います。

問)

財務局の方にも審査態勢の充実強化を図るよう指示をされたようなのですけれども、具体的に財務局レベルではどういった対応が今後まだできるとお考えでしょうか。

答)

EDINETを用いた報告についての審査を速やかに、かつ、できるだけ実効性のある形で審査ができるように、態勢を改めて組んでもらうという趣旨であります。

問)

テラメント側の動機や背後関係についてはどう認識しておられますか。

答)

今の時点で個別の動きについて、中間的な状況に関してコメントをするのは、申しわけありませんけれども差し控えさせていただきたいと思います。

問)

今の検討チームの件なのですけれども、年末の(金融・資本)市場(競争力)強化プランの中にもEDINETに絡んで、中身を正しく理解していないと思うのですが、XBRLの導入でバージョンアップ、機能強化をしていくという方向性を示されていましたけれども、今回の検討チームで再発防止策を検討していく中で、そのスケジュールに変更はあるのでしょうか。

答)

基本的には、XBRLの導入というのは、EDINETで用いられるコンピュータ言語を切り替えるということでございますので、基本的にそこへの影響はないと思っております。ただ、私はコンピュータシステムの専門家ではありませんので、検討チームにおいて、もし全く新しい論点が出てくれば、そこはしっかりと検討する必要があろうかと思いますが、現時点においてXBRL導入のスケジュールに影響があるという認識は持っていないというところです。

問)

今回は金曜の場が閉まった後で、土曜、日曜と取引所が開いていなかったわけですが、今回のような案件が場が開いている最中に起きた場合、どうだったのかという点と、今回はあまりに金額が大きくてなかなか現実的ではないというのは見れば分かるわけですが、非常に現実的なものだけれども虚偽であったというものが出た場合の市場の混乱というのはあると思うのですが、このようなものが場中に出てきてしまった場合、どのような影響があるとお考えでしょうか。

答)

そのような事態というのは、身の毛のよだつ思いがいたします。であるからこそ、先ほどもちょっと申し上げましたように、この検討チームで実効性のある再発予防策、そして万が一に備えた危機対応のあり方といった点も含めて検討をしていただきたいと思っているところです。

問)

週が明けまして場が今日開いたわけですが、国内外の投資家から何らかの問合せというのは改めてあったのでしょうか。

答)

ご案内の通り、本件については大量保有報告書が提出されたのが先週金曜日の16時12分ころでございました。その後の対応としては、金融庁においてEDINET及び金融庁ウェブサイトのフロントページに注意喚起の情報を掲載しました。これは21時30分でございました。それから、海外も含めまして、該当銘柄が上場されている取引所ほか関係各機関に連絡をしたということでございます。また昨日、27日日曜日に訂正報告書の提出命令を発出したことについても、その旨をEDINETそして金融庁ウェブサイトのフロントページに掲載をしたということでございまして、最大限迅速な情報伝達に努めたところでございます。海外も含めまして、各取引所にヒアリングを行ったところでは、現時点で本件が市場へ影響を及ぼしたという報告には接していないということでございます。

問)

仮に命令に従わなかった場合、命令を再度確認してもう一度伝えるというようなことはされるのでしょうか。確認というか命令を出しましたよ、というのをもう一度先方に言ったりするのでしょか。

答)

様々な場合における具体的な金融庁としての対応については、その時点、その時点で法令に則って最善の対応をしていくということかと思います。具体的に今のような仮定のご質問にお答えをするのは、この場では差し控えさせていただきたいと思います。

問)

先ほどの検討チームのお話の中で、万が一の危機対応を含め検討していただきたいというお話がありましたけれども、場中でそのようなことがでてきた場合は、当該銘柄については取引停止にするなどということを意味していらっしゃるのでしょうか。

答)

予断を持っていろいろなアクションを想定するのは時期尚早かと思いますけれども、このような虚偽の報告がなされたということが認識をされ、その時点で場が開いているというような状況の場合には、まずは迅速な連絡体制が機能するということが大事でしょうし、その迅速な情報伝達を受け、ご質問のような取引の停止といったようなアクションを取引所の方で取るといったケースというのは、一つの例として考えられることではないかと思います。ただ、これはあくまで現時点で例示として申し上げているだけでありまして、今後、検討チームでご検討いただくテーマでございます。

問)

厳罰化のための法改正の必要性についてのご認識はいかがでしょうか。

答)

再発防止のためには、先ほどから申し上げておりますように、今回のケースについても厳正な対応をしていくというのが金融庁の基本的な方針でございます。ご質問のような、法的枠組みの話までこれが及ぶのかどうか、結果としてそのようなことになるのかどうかについても、検討チームでご検討いただくテーマになるのかもしれません。これもあくまで例示として申し上げているわけでありまして、直ちに法的な手当てということを示唆申し上げているという趣旨ではございませんけれども、実効性のある再発防止に繋がるための抑止力になる仕組みということが大事であろうかと思います。

問)

一点確認ですが、検討チームの設立は早急にということでよろしいでしょうか。2月中など。

答)

できるだけ早く作りたいと思っています。

問)

今回の事案の社会的な広がり、あるいは重要性、悪質性というのは現段階ではいかがでしょうか。

答)

EDINETによる有価証券報告書のディスクロージャーあるいは今回のような大量保有報告というのは、正確で的確な情報を迅速に投資家あるいは関係者、市場参加者のみなさんに提供するという、極めて高い公共性を担った資本市場のインフラストラクチャーであると思います。このインフラストラクチーがその目的に沿って的確に機能を発揮するということは、我が国の金融・資本市場全体の発展ということのためにも必要不可欠な事柄であると思っております。このような高い公共性を担っているシステムでございますので、事柄の重大性というのは相当大きなものがあるのではないかと思っています。

問)

他方、行政が民間人・企業に対して刑罰を科すということに対しては慎重な議論もあると思います。今おっしゃったのは、高い公共性が相当程度傷ついているというような発言だったと思うのですが、バランスとしてはどっちの方が重いと現段階ではお考えでしょうか。

答)

現段階でその質問についてのお答えは差し控えるべきだと思います。

問)

サブプライムについてですが、今週、日本の大手銀行の四半期決算が控えておりますけれども、サブプライムの損失が拡大をしているという認識はされておりましたけれども、だいぶ数字が固まってきているようですが、拡大の具合はどのように認識されていますか。

答)

昨年、9月末時点における預金取扱金融機関のサブプライム関連商品のエクスポージャーを集計ベースで公表させていただき、それが1.4兆円ということを申し上げ、またその内評価損が1,350億円ということを申し上げました。10月以降において特にサブプライムと関わりのある証券化商品の価格が相当下落をしているということでございますので、この評価損というのは拡大しているということが推測されます。具体的に計数について現時点で申し上げる材料は持っておりませんけれども、重要なことは、それぞれの金融機関が適切な価格評価を行い、それを全体の金融機関としてのリスク管理の中できちんと位置づけていくということが何よりも大事だと思っています。いずれにいたしましても、そのような各金融機関の取組みを金融庁としては警戒を怠ることなく注意深くフォローしていきたいと思っております。

問)

テラメントの話に戻りますが、28日、今日中の提出を求めて訂正命令を求めていたかと思うのですが、今、それに応じたのか、応じていないのかという状況はわかりますでしょうか。

答)

この時点で、まだ私は把握しておりません。

問)

ちなみに、今まで早いディスクロージャー、ホームページに公表文などを載せるなどをしてきたのですが、訂正命令を出しました、それに対して今日中に回答がなかった場合はその旨というのは発表されるものなのでしょうか。

答)

そのあたりは、まずは事実の確認を正確に行った上で検討させていただきたいと思っております。

問)

命令自体は相手方に受け取られているということでしょうか。

答)

交付いたしまして、受領されています。

問)

受領されているのですね。

答)

はい。

(以上)

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