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佐藤金融庁長官記者会見の概要

(平成20年5月8日(木)17時06分~17時16分 場所:金融庁会見室)

【長官より発言】

お待たせしました。私の方からは特にございません。

【質疑応答】

問)

幹事から2問伺います。1問目はサブプライム問題ですが、アメリカのポールソン財務長官が7日付のウォールストリート・ジャーナルのインタビューで、金融市場の混乱について「最悪期は過ぎた可能性が高い」という認識を示しました。この発言について長官の感想、もしくは現状認識と今後の見通しについてご所見をお聞かせ下さい。

答)

米国のポールソン財務長官が5月6日にウォールストリート・ジャーナルとのインタビューで、サブプライム・ローン問題に端を発する金融市場の混乱は「最悪期は過ぎた可能性が高い」という認識を示されたという報道があったことは承知いたしております。米国の財務長官のご発言について直接コメントすることは差し控えさせていただきたいと思いますが、財務長官はこのインタビューの中で、「市場の混乱が完全に落ち着くまでにはさらに数ヶ月以上かかるであろう」という認識も同時に示されていると承知しております。

米国のサブプライム・ローン問題を契機とするグローバルな金融市場の混乱ですけれども、一方で、証券化商品の市場や株式市場で一部下げ止まり感が見られるという指摘があるのも事実ですけれども、同時にこの混乱の影響というのは続いていると認識をしているところであります。ポジティブな動きとしては、欧米の大手金融機関において各決算期にこの証券化商品等に関わる損失が認識をされ、それが公表をされているといった動きが続いていること、またその中で、それぞれの金融機関において必要と判断された場合には資本増強ということが実施されて、自己資本不足への対応というのが進められていること、また、更にはそういったエクィティ性の資金、資本の出し手というのもソブリン・ウェルス・ファンドなどを含めて、グローバルなマーケットの中では存在をしているということ、またシステミック・リスクの顕在化を防ぐための中央銀行等をはじめとする当局の対応も講じられているといったことは挙げられようかと思います。他方でポジティブではない側面として、米国の住宅市場の低迷が続いているということでありましょうし、住宅価格の低下、あるいは住宅ローンの貸倒れの水準の高さといったことは続いているということでしょうし、また証券化商品の市場における流動性が回復したというふうには言えない、つまり、一部で復調の動きがあるとも言われていますけれども、厚みのある取引が行われるという状況からはほど遠いということかと思います。また、こういった複雑な証券化商品についてのバリュエーションの問題、公正価値の評価についての信頼性の問題といったことも残っているということかと思います。今回のグローバルな市場の混乱の背景にある、いわば、過剰なレバレッジが解消されていくプロセスというのは今もなお続いているということでありましょうし、またそういった中で銀行の貸出し姿勢といったものも慎重なものになってきています。こういった要素にも目を向ける必要があるのではないかと思っています。

したがって、金融市場の混乱に対する現状や今後の見通しについては、市場は当然のことながら様々な要因で変動するものでありますので、これらについて直接コメントすることは差し控えたいと思います。市場に対して予断を与える可能性もございますので、差し控えたいと思っているところであります。いずれにいたしましても、金融庁としては引き続き警戒水準を維持しながら、株式、為替等々様々な市場の動向や、それが金融機関の経営に与える影響などについて、内外の関係当局とも連携しながら注意深くフォローしていきたいと思っております。

問)

若干古い話になるかもしれませんが、証券税制について伺いたいと思います。いろいろ議論があった証券税制ですが、遅れながら改正法が成立して1日には金融庁のウェブサイト等にも変更点等リリースされていますけれども、やはり投資家等からは、わかりにくいというふうな指摘もあるのですが、運用面で混乱等懸念はないのかというところをどのようにお考えになるのかお聞かせください。

答)

まず、復習ですけれども、平成20年度税制改正法が4月30日に成立・公布されたというところでございます。この中で証券税制に関しては、ご案内のとおり平成21年、22年の2年間について、500万円以下の上場株式等の譲渡益及び100万円以下の上場株式等の配当について、軽減税率10%を適用すること、また、平成21年より上場株式等の譲渡損失と配当との間で損益通算の仕組みを導入することが織り込まれているということでございます。 これによりまして、投資家においては譲渡益及び配当の上限額を管理し、上限を超える場合には確定申告を行っていただく必要があるわけですけれども、多くの一般投資家は、10%の源泉徴収のみで課税関係が終了することになるのではないかというふうに考えております。

そこで、こういったことを含めた制度の変更点等について、わかりやすく国民の皆様にご理解をいただくということは極めて重要なことだというふうに思っております。金融庁としては、新制度の円滑な移行に向けて、ウェブサイトでの広報のほか、日本証券業協会等関係団体とも連携しながら各証券会社等における顧客への説明を推進する等々といった、全体としての新制度の適切な周知に努めていきたいというふうに思っております。

(以上)

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