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佐藤金融庁長官記者会見の概要

(平成20年6月23日(月)17時02分~17時28分 場所:金融庁会見室)

【長官より発言】

私の方から特にございません。

【質疑応答】

問)

昨日、金融監督庁からちょうど10年ということで、この10年間を振り返って、自己評価あるいは今後の金融行政の課題について、長官の思われるところをお聞きしたいのですが。

答)

昨日で金融監督庁の発足から数えてちょうど10年の誕生日を金融庁は迎えたということでございまして、個人的にはいろいろな思いがございますけれども、それよりは、この10年間は金融行政の三つの大きな行政目的、すなわち「金融システムの安定」、「利用者の保護・利用者利便の向上」そして「公正・透明な市場の確立」、いずれの分野におきましても、実態面の改善と制度的な枠組みの整備、両方の面で相当な進展が見られたと認識をしております。これはおそらく官民の相当な努力があって実現したものだと思っております。すなわち、立法府における国会議員の先生方のご理解や努力、そして金融監督庁・金融庁における行政の取組み、そして我が国の金融セクター、民間セクターにおける取組み、これらが相まって実現できたものだと思っております。

現在は、これまでのこういった成果や教訓をしっかりと定着をさせて、さらなる進化を展望すべき時期にあたるのであろうと思っております。そういう意味では、局面のシフトが起きていると認識をしております。医療に喩えれば、しばらく前は対症療法に重点を置かざるを得なかったわけですけれども、ここにきていわば予防医学の方に重点をシフトさせてきているということでありましょうし、さらに今後はその延長線上として、より積極的に健康増進ということに取り組んでいくという局面になってきていると思っております。こういった局面では、各金融機関において創意工夫をしていただき、自助努力を進めていただいて、ベスト・プラクティスを追求していただくということが極めて重要であると思いますし、行政の方もこういった自助努力を尊重する枠組みとなっていく必要があると思っております。このような認識が昨年夏以来取り組んでいる金融規制の質的向上(ベター・レギュレーション)の背景にあるということでございまして、今後とも規制の質的向上に向けた取組みを着実に進めていきたいと思っております。

当面の具体的な課題として意識していることは二つございます。

一つは、市場の動向、特にグローバルなマーケットの動向をきちんとタイムリーに認識し、分析する能力ということでございます。ご案内のとおり、サブプライム・ローン問題というのは市場発の金融危機ということで、いわば、21世紀型の金融危機であるわけでありますけれども、金融危機の原因が市場の動きの中に潜んでいるという特徴があろうかと思います。そういう意味では市場の動きを先ほど申しましたように、タイムリーに把握し、それを十分に分析した上で、制度の企画立案、検査、監督などに有機的にフィードバックしていくという態勢が金融庁としても重要であると思っております。この態勢整備が一つの課題だと思います。

もう一つの課題は、今の話と密接に関わりますけれども、現在金融庁では国際業務が質的にも量的にも格段に増加をしてきております。例えば、このサブプライム・ローン問題に関連してFSF(金融安定化フォーラム)の作業部会といったものが高い頻度で開かれてきたわけですけれども、現在も開かれていますが、こういった国際的な取組みに積極的に参加し貢献をしていくということが重要でございまして、このための態勢作り、態勢強化ということも当面の課題として重要だと思っています。

いずれにいたしましても、金融庁としては今後も、時代の要請に応え、必要にして十分な、質の高い規制環境を実現するという心構えで、もちろん「国民のための行政」という原点を忘れないようにしながら、金融行政の進化ということに取り組んでいきたいと思っております。

問)

明日、金融トラブル連絡調整協議会が開かれる予定になっておりまして、一応、座長メモという形で報告書がまとまる予定です。3月以降会合が続いたわけですけれども、裁判外紛争処理について自助努力を主張する業界と、法的手当てを求める消費者団体、弁護士などの意見がかみ合わないような状況が続いていたと思うのですけれども、紛争処理支援制度の充実について長官はどのようにお考えなのかお聞きしたいと思います。

答)

金融分野における裁判外紛争解決支援制度、いわゆるADRにつきましては、平成12年の金融審議会答申を踏まえて金融トラブル連絡調整協議会というものが発足し、様々な取組みが行われてきたということでございます。このいわゆる金トラ協はご案内のとおり、消費者団体、自主規制機関ないし業界団体、弁護士会、学識経験者そして関係行政機関の自主的な参加による取組みということでございます。協議会におけるこれまで8年間の自主的な取組みによって、金融ADRは一定の改善を見てきたわけですが、未だ、十分な水準とは言い難いということでございまして、自主的な取組みの枠を超えた施策が必要ではないかといった意見が消費者委員を中心に出てきているところでございます。

現在、この金トラ協におきまして金融ADRの整備に関る今後の課題について議論が行われているところでございまして、明日開催予定のこの協議会において座長メモとして取りまとめる方向で調整がなされております。この協議会の議論では、消費者委員を中心とした「法的整備が必要である」といった意見と業界団体等を中心とした「自主的な取組みを強化していくべき」といった意見が出されているところであります。

この協議会は審議会と異なりまして、業界団体を含む各委員が金融ADRの改善のため対等な立場で自主的に参加しているという位置づけでございまして、政策提言として何らかの結論を得るという位置づけのものではないと承知をいたしておりますけれども、いずれにいたしましても、金融庁としてはこの協議会における議論を踏まえまして、金融ADRの改善に一層努めていくとともに、今後の金融ADRのあり方についても検討をしていきたいと思っております。

問)

今の金融ADRの話で、業界団体の自主規制機関の取組みが数字的に見てもまだまだ足りないという意見もありますが、佐藤長官は現状の水準というのはどのあたりが足りないと思われていますか。

答)

具体的に今の状況に点をつけるということよりは、この金融商品の販売、あるいは金融サービスの提供といったことをめぐって、当事者間で、金融サービスを提供する側、そしてそれを受ける側・購入する側、双方が最終的に十分な納得感を持って解決ができるような、そういう仕組み・取組みが定着するということが、いわば理想形であり、最終目標であるのだろうと思います。そういった姿としてどういう枠組みが我が国において最も現実的であり、かつ、持続的・継続的に効果を維持できるのか、といった心構えでこれから引き続き研究をしていくと、そういう今の気持ちでございます。

問)

先週末ですが、アメリカの検察当局がベアー・スターンズ傘下のヘッジファンドの運用責任者2人を証券詐欺の罪で起訴したのですが、サブプライム・ローン問題がこういった刑事問題に発展してきたわけですけれども、これに絡んで、日本の金融機関等でこの起訴案件について被害を受けている投資家はいないのかどうか、現在日本の当局でどのあたりまで把握しているのかということと、サブプライム・ローン問題がこういう形で刑事事件にまで、大手証券会社の幹部が逮捕されるような事態にまで発展したことについてのご見解をお願いします。

答)

海外の司法当局・警察当局の動きについて直接コメントすることは差し控えたいと思いますけれども、このサブプライム・ローン問題をめぐってこういう動きに発展したということの背景には、昨年の秋以来金融庁としては基本的な認識としてそういう問題点を認識しておりましたし、渡辺大臣の「金融市場戦略チーム」の第一次報告にも述べておりますけれども、証券化という金融技術を前提とした、いわゆるオリジネイト・トゥ・ディストリビュート(originate-to-distribute)というビジネスモデル(自らは保有せず他に移転することを前提に信用を創造するというビジネスモデル)は、原債権が貸し手と借り手との間で創造された後、証券化商品の組成者(アレンジャー)によって証券化を経て、最終的に投資家に販売されるまでの一連の流れで構成されているわけであります。その中で、それぞれの証券化プロセスの各段階でいわゆるモラルハザードの問題があるのではないかという認識を持っていたところであり、具体的には原債権の信用リスクについてきちんとした情報伝達がなされていなかったとか、ディスクロージャーが不十分であったとか、あるいは原債権の組成の部分、つまり借り手と貸し手の関係においても、商品性のきちんとした説明とかがなされていたのかどうか、といったことがあったのであろうと思っております。特に、借り手と貸し手との間に関しては、貸し手が貸出債権の売却や証券化ということを通じて、貸した後自分が抱える信用リスクがすぐ移転されるということで、融資の際に甘い審査を行なっていたのではないか。それから、セールス・トークの中でも住宅価格の上昇を前提として借換えが可能である、返済も容易であるといったことを前提に安易な融資を勧めていたということもあるわけですし、原債権のリスクについて、証券化商品の組成者に対して十分な情報提供を行っていたのかどうか、といった点があるわけであります。こうしたことも背景としてこのサブプライム・ローン問題は、米国の住宅市場における問題に留まらず、幅広い証券化商品の市場やその他の金融・資本市場へグローバルに広がっていったということであります。

こういった極めて大きな問題を引き起こしたビジネスモデルについて、この問題の発信源であり、先ほども申し上げたオリジネイト・トゥ・ディストリビュートというビジネスモデルの相当部分、あるいは大部分と言ってもいいかもしれませんが、それが実際に行われたマーケットである米国において、各当事者に対する責任追及が適切に行われるということは、現在も続いている市場の動揺の解消や、あるいは貸し手等への規律付けと言ったことを通じて、こういったサブプライム・ローンあるいはこれに類似した問題の再発防止に資するのではないかというふうに思っております。

先ほども申し上げましたように、このビジネスモデルに関わる取引の大部分は米国において行われていました。勿論、最終投資家への販売という点でとらえますと、米国以外のマーケットにおいても行われていたということではありますけれども、その大部分は米国において行われ、それに即して米国の当局がご質問のような動きをされたということであろうかと思います。オリジネイト・トゥ・ディストリビュート・モデルのうち、米国以外で相当なウェートを占めているのはおそらくロンドンのマーケットであろうかと思いますけれども、我が国におけるこのビジネスモデルの実践というのは相当限定的でありました。特にこのサブプライムに関わる取引というのは限定的なものであったのではないかというふうに思っております。

問)

先ほどの10年というお話の中で、関連してお聞きしたいのですが、かつて、旧大蔵省時代、「局あって省なし」みたいなことを言われたことがあると思うのですが、10年新しい組織が経って、局と言っても3つですけれども、局同士の情報交換ですとか、そういった組織のあり方について少し硬直的になっているのではないかということや、そういった組織への問題意識というのは長官ご自身お持ちなのでしょうか。

答)

二つの面があると思うのです。金融庁という組織はいわば金融行政を包括的に担う官庁として仕事をしておりますので、金融行政の基本的なロジックというものは、庁内全体で相当深く共有されているという面があると思います。したがって、そういう意味では、この組織は制度の企画・立案、検査―検査という場合には広い意味でマーケットの市場動向、市場における取引の監視ということも含みますけれども、―そして、具体的な監督対象の業種、あるいは取引所や公認会計士等への監督と、こういった3つのファンクションに分かれているわけですけれども、このファンクションを貫くロジックというのは共有されていると思うのですが、制度の企画立案、検査、監督というのは、それぞれ仕事の性質も違いますので、そういう意味では業態ごとに3つのファンクションを貫くようなきちんとした知識とか、座標軸の共有ということも大事でしょうし、個別事案に対応する場合もそういった制度面の話、個別の監督の話における一貫性といいますか、そういうロジックがきちんと貫かれているといったことを確保するということも大事だと思っております。各局とも大変多くの課題に常時取り組んでおりますので、極めて多忙であるといったこともありまして、時にそういったコミュニケーションが必ずしも十分ではないといったケースも出てくるのかもしれません。そういったところは、先ほどの、サブプライム・ローン問題に関するマーケットの動向のタイムリーな認識・分析というのを庁内全体で共有し有機的に有効活用していく、といったようなことも一つの典型例ですけれども、そういったいわば庁内全体を貫く情報の共有であるとか、意見交換であるとか、そういったことがますます重要になっていくということは意識をしています。

問)

新事務年度がまもなく始まりますけれども、続投宣言といいますか、そういうふうに理解してよろしいのでしょうか。今のお話で。

答)

その点につきましてはコメントしうる現状にございませんので、ご勘弁をいただきたいと思います。

(以上)

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