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佐藤金融庁長官記者会見の概要

(平成20年 7月24日(木)17時01分~17時14分 場所:金融庁会見室)

【長官より発言】

こんにちは。私の方からは特にございません。

【質疑応答】

問)

今日未明に起きた東北地方の地震の関係ですけれども、これまでのところ我々が個別に聞いている限りでは、金融システムに大きな影響を及ぼすようなことはないと認識していますが、ATM(現金自動預け払い機)の稼動の不具合など何か影響が出ていることがあるのか、そして金融庁としてどのような対応を取られたのかお聞かせください。

答)

今般の地震で被災された方々には心よりお見舞いを申し上げたいと思います。

その上で、岩手県、青森県を始め東北各県につきましては、現時点において、金融機関の一部店舗に被害が出ているわけですが、営業に大きな支障は生じていないと承知しております。金融機関のATMにつきましては、地震の直後、一部の金融機関でトラブルが発生したものの、現時点では全て復旧しているものと承知しております。

金融庁としては、地震発生直後から金融機関の状況について情報収集を行い実態把握に努めてきているということでございます。今後も正確な実態把握に努めるよう、東北財務局とも連携して対応していきたいと思っております。災害救助法が適用されるのと同程度の災害が生じた場合には、所管財務局長と日本銀行の支店長名で各金融機関に対し、被災された方々への、例えば預金の引出し等について例外的な対応を要請しているケースが多いですけれども、今回の場合はまだそこまでには至っていないことですので、正式な要請は行っていません。もちろん、各金融機関の裁量で顧客利便を考えた対応をしていただくことについては期待しているところです。

問)

先日、東証でシステムトラブルが起きまして、先物の売買ができなかったという事態がありました。今年3回目ということになるわけですが、市場の信頼性ということからも重大な問題だと思うのですが、こちらについて金融庁の対応、長官のご見解をお聞かせください。

答)

一昨日の火曜日、22日に東証において売買システムに障害が発生し、TOPIX先物、国債先物など派生商品の取引全般が停止する事態が発生しました。取引所・金融商品市場の円滑な運営、またその信頼性の確保という観点から遺憾であると思っています。東証に対しては金融商品取引法第151条の規定に基づく報告命令を発出したところでございまして、原因の分析、その分析結果に基づいたしっかりとした再発防止が求められておりまして、その結果も踏まえて今後しっかりと状況をフォローしていきたいと思っております。

今年に入って3回目ということについては、改めて、取引所の金融インフラとしての重要性ということにかんがみて遺憾であると思っております。今回のトラブルは、取引所のシステムのバージョンアップを行った際に、事前のテストやリハーサルが本当に十分であったのかという気もいたしておりまして、こういったイベントの際にはもっと強い緊張感を持って対応していただく必要があると感じているところであります。

問)

先週から今週にかけて米銀の決算の方が一巡しましたけれども、アメリカの銀行の財務体質についてはいろいろな意見があるかと思いますが、米銀の決算の結果を見てどのように受け止められたかということについてお伺いしたいのですが。

答)

先週から今週にかけて、米国の大手金融機関の決算が相次いで、改めてサブプライム関連の損失、あるいは金融市場の混乱に起因をする損失というものが、この直近の四半期においても認識をされ、それが業績の足を引っ張っている、いくつかの金融機関においては最終赤字を計上しているということで、この問題の根深さ、深刻さを物語っているということが言えようかと思います。

この背景には、これまでも何度か申し上げておりますけれども、ポジティブな要素とネガティブな要素のうちネガティブな要素のところでいつも申し上げている、米国における住宅セクターの状況の悪化、住宅価格が低下する、住宅在庫が積み上がる、あるいは、住宅ローンの延滞や債務不履行といったケースが増えていると、こういった状況があって、このことを反映しているということだろうと思っております。そういう意味で、このサブプライムローン問題に起因する市場の混乱の収束には、なお時間を要するという認識を改めて抱いているところであります。

ただ、他方でポジティブな要素の中で、これも既に申し上げていますけれども、それぞれの大手金融機関が四半期ごとに損失を認識し、それを決算という形で公表し、ディスクロージャーをして、自己資本不足という認識に至った場合には資本調達を行う、というサイクルがある程度定着してきているということで、今回の4-6月期の決算についてもそういったサイクルの一部として捉えることもできるのかもしれません。引き続きそういったポジティブな側面、ネガティブな側面、両方が存在しているということだろうというふうに思いますし、我が国の金融市場、金融システムは欧米に比べますと相対的に安定していますけれども、金融庁としては引き続き警戒水準を維持しながら注意深く見ていくということだろうと思っております。

問)

少し追加ですが、この間の米銀の決算でも、金融安定化フォーラムの開示ルールに沿って証券化商品の開示が進んできているようですけれども、日本はそういった意味では証券化商品の開示はこの間の3月決算で先駆けて開示したわけですが、アメリカの決算の開示状況という観点では何か市場の疑念を払拭するという意味合いで何かポジティブなりネガティブなりという点はありますでしょうか。

答)

すみません、先週から今週にかけて米国の金融機関の決算のディスクロージャーについて、FSF(金融安定化フォーラム)の報告に入っている先進的な開示事例に則ったディスクロージャーという観点からの勉強をまだしておりませんので、直接今のご質問にお答えする材料を持っていないということです。ただし、この先進的な事例によるディスクロージャーということはFSFあるいはG7(七か国財務大臣・中央銀行総裁会議)の合意でも明確に位置づけられている項目でございまして、いわば、国際的な共通認識及び国際的な合意に則った対応ということでございますので、その要請に十分応えていない決算が、仮にあるとするならば、おそらく批判を受けることになるのではないかという気はいたします。

(以上)

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