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佐藤金融庁長官記者会見の概要

(平成20年12月 1日(月)17時02分~17時17分 場所:金融庁会見室)

【長官より発言】

私の方からは特にございません。

【質疑応答】

問)

金融機能強化法ですが、民主党が審議を引き延ばしせずに早期に参院で採決する方針を示しております。見通しとしては、12月中旬にも成立するのでは、などと言われておりますが、強化法自体は当初12月中に各金融機関に注入されることを想定されていたと思うのですが、今回の民主党の動きで仮に12月中旬に施行された場合、実際に金融機関に注入されるまでの、長官が想定しておられるスケジュールをお教えいただきたく思います。

答)

現在まだ国会でご審議いただいている最中でございますので、そういう前提でのお話になります。金融機能強化法の改正案はご案内のとおり、国の資本参加を通じて金融機関の金融仲介機能を強化するということによって、厳しい状況に直面する地域経済や中小企業を支援するということを目的としております。こういった金融仲介機能の強化は極めて優先度の高い政策課題だと思っており、この法案の一日も早い成立をお願いしたいと思っております。

法案の成立時期については、国会でのご審議によるものでありますので、コメントは差し控えたいと思いますが、仮に法案をお認めいただいた後には可能な限り早期に施行できるよう関係政令・府令などの作業を急ぐとともに、施行後の円滑な運用が確保されるように制度の周知に努めてまいりたいと思っております。

いずれにいたしましても、金融機関に、現下の厳しい経済情勢の下で資金繰りに不安を感じている多くの中小企業に対して金融仲介機能を適切かつ積極的に発揮していただくことが重要だと思います。それを支える意味で、必要な場合には国の資本参加の枠組みが用意されているということは極めて有意義なものであると考えておりまして、そのような安心感を与えるためにも速やかな成立と施行が重要と考えているところであります。

問)

第二地銀の岐阜銀行に対して、地方銀行の十六銀行が出資を含めた経営支援に乗り出すことが報道されています。個別行のことではありますが、今回の動きについての長官のご感想をお聞かせください。また、今後現在のように世界的な金融危機が実体経済に影響を及ぼすという事態が続いた場合、地方銀行の再編がどういった方向で進んでいくのかといった見通しなどについてもお教えいただければと思います。

答)

本日、12月1日に、十六銀行と岐阜銀行が岐阜銀行に対する資本支援及び包括的業務提携に係る協議を開始するという旨の公表を行ったところと承知しております。

いつも申し上げていることですが、資本政策や業務提携については、個々の金融機関の自主的な経営判断に基づくものでございまして、金融庁として個別のケースについて逐一コメントすることは差し控えたいと思います。ただし、本日の両行の発表によりますと、資本支援及び包括的業務提携を通じて地域金融の安定化・円滑化、収益基盤の拡大、経営効率の向上を目指していくこととしているようでございまして、いわば将来を見据えた取組みであるということで受け止めております。

それから、地方銀行の再編の見通しに関するお尋ねでございますが、経営統合などの再編についてもあくまで個別金融機関の自主的な経営判断に基づき決定されるものと認識しておりまして、この点に関して何らかの予断をお与えするということは差し控えるべきかと思います。

いずれにいたしましても、各金融機関においては、自らの経営判断の下で将来を見据えた経営戦略の構築や経営基盤の強化に向けて真剣に取り組み、こうした取組みを通じて金融仲介機能を適切かつ積極的に、かつ、持続的に発揮していっていただくことが重要というふうに考えているところでございます。

問)

日曜日(11月30日)のNHKの「日曜討論」において、自民党の細田幹事長が金融機能強化法の改正案に関連しまして、以下のような発言をされております。引用しますと、「地方銀行や信用金庫などは、年末を本当に越せるのか。危ないおそれもある。」というふうに、生放送でこういうことをおっしゃっているのですが、これについてどのようなご見解を持たれているかということを伺えればと思います。

答)

私は放送について直接、拝聴・拝見いたしておりませんので、直接のコメントはなかなかしにくいわけでございますけれども、これはいつも申し上げていることでございますけれども、我が国の金融システムの安定を維持していく、あるいはその強靭性というものを改善していくということは、金融行政の最も重要な政策目標の一つでございまして、こういった観点から、さまざまな金融業態がございますけれどもその業態の動向、またその業態に含まれる各々の金融機関の財務の健全性やリスク管理の実態などについて、定期的にフォローアップをしているということでございます。オンサイトの検査、オフサイトのモニタリング、あるいは日常的な監督、その中でのさまざまなやりとりというものが行われているわけでございまして、そういった早め早めの実態認識に基づいて、必要な場合には早め早めの対応をそれぞれの金融機関に促していくと、こういう対応を行ってきており、またかつ、こういったオペレーションが、監督対象である金融機関と当局である金融庁あるいは財務局との間の関係においても、かなり定着をしてきているのではないかというふうに思っております。

そういった中で、不良債権問題が非常に厳しかった状況に比べて、全体としての財務の健全性は相当程度改善をしてきている。そういう中で、今回の困難な局面に入ってきているということでございまして、警戒を怠ってはいけないのはもちろんでございますけれども、先ほど申し上げたような早め早めの問題認識及びそれに基づく改善努力という、こういったサイクルと申しましょうか、流れというのが、当局の監督行政を含めたところで動いていくということでございます。

問)

更に伺いたいのですが、これは与党の幹事長が言っている話なので、重く受けとめる人も多々いると思いますし、全国放送されているものですから、「場合によっては年を越せない地方銀行、信用金庫が出てくるおそれがある。」とまで言っているので、場合によっては日本の金融システムに相当の影響を与える、取付け騒ぎ等になりかねない話かなと。大げさに言うとそういう可能性もある話かと思うのですが、要するに現状認識として、年を越せない金融機関があるということでしょうか、あるいはないということでしょうか。

答)

「年を越せる、越せない」という表現は、私は直接番組を見ていませんので分かりませんが、一般的には、事業会社あるいは中小零細企業の方々の口から「年末越え、年度越えの資金の手当てがうまくいくかどうか」といったことについての懸念などとともに発せられることの多い表現ではないかなという気がするわけでございますが、我が国の現在の実体経済の状況というのは、地域経済そして中小零細企業の業況というのは大変厳しいものがあるわけでございまして、そういう意味でそういった事業会社の経営において、年を越せるか越せないかといったことが語られることがあるやに思いますけれども、金融システムそのものにつきましては、先ほど申し上げたような、全体としての安定性をきちんと保っていくという対応が行われ、かつその対応が相当程度定着をしてきているということでございます。

問)

一部報道で、三菱東京UFJ銀行の行員が取引先から未公開株を購入して、一部を売却して数千万円を手に入れたという報道があります。この事実について金融庁として把握しているかどうかという点がまず一点と、金融機関職員の株取引の問題ですが、そもそも銀行の行内規程等で一部、行員の株取引を原則禁止としているところもあるようですけれども、金融庁として金融機関職員の株取引のあり方についてどういったお考えをお持ちでしょうか、以上2点についてお願いします。

答)

お尋ねいただいた報道は、ここに伺う直前に拝見をいたしました。本件そのものについては、個別金融機関の行員による個別の取引に関することでございますので、コメントは差し控えさせていただきたいと思います。

一般論として申し上げますと、金融機関においてはその業務の公共性というのを踏まえた上で、社会的な批判を招かないように適切な内部管理態勢を構築していく、そういった中で業務運営が行われるということが重要であるというふうに思っております。

(以上)

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