英語版はこちら新しいウィンドウで開きます

佐藤金融庁長官記者会見の概要

(平成20年12月8日(月)17時00分~17時18分 場所:金融庁会見室)

【長官より発言】

私からは特にございません。

【質疑応答】

問)

自民党の税制調査会が2009年度の税制改正で小口投資家向けの配当非課税制度の創設を見送る方針を決めました。証券会社のシステム構築に手間がかかり、早期導入は困難と判断したようですが、自民党税調が今回の方針を決めたことについて長官のご所見をお願いします。

答)

ご指摘の少額投資優遇措置の創設ということも含めて、平成21年度税制改正については現在引き続き、与党税制調査会でご議論がされている最中であると承知しています。

少額投資優遇措置の創設については、証券市場の裾野を広げる観点から要望を行っているところでございまして、この措置については政府・与党で決定された10月30日の「生活対策」にも盛り込まれているところであります。

金融庁としては、この措置の実現に向け、引き続き関係者のご理解が得られるよう努力してまいりたいと思っています。

問)

先だって中小企業金融の円滑化に関する意見交換会が開かれました。報道陣が出た後に、大臣から叱咤激励等含めた活発な意見交換があったと聞いていますが、意見交換会での金融界からのヒアリングを踏まえて、金融機関の現在の金融仲介機能について現在の長官のご所見をお願いします。

答)

まず現状ですが、全国銀行の11月末の貸出残高は、全国銀行協会が先週の金曜日の5日に発表した統計によりますと前年同月比4.4%の増加となっていますが、この背景には社債・CP(コマーシャル・ペーパー)市場での調達環境の悪化に伴う大企業の銀行借入れへのシフトの動きがあるという指摘がなされているところです。

国内銀行の中小企業向け貸出残高については、前年比マイナスで推移しているところでありまして、現下の厳しい経済情勢の下、中小企業の業況は厳しい状況にあり、多くの中小企業は資金繰りや景気の先行きに不安を感じていると認識をいたしております。

このため、中小企業金融の円滑化については、金融庁としても、大臣目安箱の設置、貸出条件を変更してもいわゆる貸出条件緩和債権に該当しない場合の取扱いの明確化あるいは拡充といったことや、貸出余力が減じられないように自己資本比率規制の一部弾力化といったようなことも行っているということでございます。

こうした中で去る12月3日には、年末の資金需要期を迎えるにあたり、金融担当大臣と金融機関の代表との意見交換会を行い、中小企業金融の円滑化に向けた要請を行ったところでございます。

いずれにしましても、このような現状を踏まえれば金融機関による適切かつ積極的な金融仲介機能の発揮が一層重要となっていると思います。金融庁としても金融機関の金融仲介機能の発揮に向けて引き続き取組みを行ってまいりたいと思っています。

問)

まだ予定ですが、金融機能強化法が今週末には成立するのではないかという声がありますが、仮に今週成立した場合、施行はいつぐらいになるのか、年内になるのか年明けになるのか、その辺の見通しを教えて欲しいのですが。

答)

お尋ねの件は、法案の成立時期そのものに直結する話でもございますし、法案そのものの成立時期については、今まさに国会でご審議いただいている最中ですので、コメントは差し控えたいと思いますが、いずれにしましても早期の成立を金融庁としても待ち望んでいるということはこれまでも繰り返し申し上げてきたところでございます。

法案成立後の施行については、当然のことながら、仮に法案を認めていただいた後には金融庁としては可能な限り早期に施行できるよう、関係の政令、府令などの作業を急ぐということが大事であると思っておりますし、また、施行後の円滑な運用が確保されるように制度の周知に努めていくことも重要であると思っています。

問)

一ヶ月ぐらいかかるということでよろしいですか。

答)

とにかくできるだけ早く、可及的速やかに施行できるように金融庁として最大限の努力をするということでございます。

問)

同じく強化法の関連で、施行を前提にした話ですが、旧強化法と比べた場合、今回、申請要件が中小企業金融の円滑化の要請を背景に緩和というか、経営責任についてみると要件が緩和されているという状態ですが、一方、ここで改めてなのですが、モラルハザードの懸念があり、旧強化法と比べると可能性としては高まると思うのですが、そのあたりのモラルハザード防止の運用は、今後の金融庁の制度の運用にかかっている面が多いかと思うのですが、そのモラルハザード防止の面でどういった運用、あるいはモラルハザード防止をどのように担保していくのか、ということについてお聞かせいただきたいのですが。

答)

公的資金注入の申請があった場合には、当然のことながらさまざまな関係書類もご提出いただき、申請の理由であるとか、あるいは当該銀行の経営の状態であるとか、あるいは将来に向けた中小企業向け融資の拡充の計画であるとかといったことをよく伺った上で事務的にも手続きを進めていくということでございますし、またご案内のとおり、この最終決定に至るためには「金融機能強化審査会」という第三者、有識者の方々で構成される審査会の議を経るということになっておりますので、その手続きの過程においてもそういったモラルハザードの防止といったことは当然意識される形で進められていくというふうに思っております。

国会のご議論においても、今回のこのグローバルな金融危機を原因として地域経済が疲弊をし、あるいはそういった地域経済の中で活動をする金融機関が不良債権の増加等に直面するといったようなことも含めて、かなり外的な要因で金融機関の財務の健全性が損なわれるような力が働くという部分について手当てをしていく、こういったことによって金融機関の貸出余力・金融仲介機能が大きく減殺されてしまうといったことを防いでいくと、これがこの法律の目的であり、個別の経営をみていったときに誰がみても極めてずさんな経営が行われた結果として財務の健全性が低下しているといったケースについては、先ほども申し上げた申請及び審査の手続きの中でチェックをしていくということが重要であろうかと思います。法案審議の過程で衆議院において一部修正をいただいたわけでございますが、その修正の趣旨というのも今お答えいたしましたような、そういう趣旨であるかなというふうに思っております。

問)

もう一回、強化法の件で、今のお話とも係わるのですが、金融機能強化法といった時に今回の場合は、金融機能というのは仲介機能の強化法であるということで法案審議をしてもらっているわけですが、旧法の時の金融機能強化法といったときの「機能」というのは合併を促すような仕組みにもなっていたので、「金融システム機能」というような意味合いが込められていたのではないかと思うのですが、今回3年間の時限立法ということですが、これは入り口からこの3年間はずっと金融仲介機能の強化法であるという趣旨で法律は運用されていくということでよろしいのでしょうか。

答)

現行法も、金融システムあるいは銀行セクターの金融機能を強化していくという意味では、全く同じだと思っております。それで銀行が自己資本の拡充など経営基盤を強化していく、あるいはさまざまな多様な金融サービスを効果的に効率よく提供できるような体制をしっかりと整備してくという、そういった観点からみますと、公的資金による資本注入というのは一つの有力な最終セーフティネットでありますが、それ以外にも当然のことながら金融機関自身による自主的なさまざまな努力ということが、まずは期待されているということであります。その自主的なさまざまな取組みの中の一つとして経営統合・経営再編ということも入ってくるわけでございまして、そういう意味では経営統合による経営基盤・業務基盤の強化ということが併せて行われるというようなケースは、それが上手くいけば更に金融仲介機能の強化にも繋がり得るということかと思いますので、そういう意味ではその金融仲介機能の強化という法律全体の目的ということで大きく捉えたときに、経営再編と組み合わされるということはもちろん排除はされていませんし、かつ、それが自主的な取組みとしてよい成果をもたらすという形になる場合には、大いに歓迎されるべきものであろうかと思います。

問)

前回の会見でも出たかもしれませんが、空売り規制の強化について、本日中川大臣が東京証券取引所を訪問されて証券界と意見交換されたのですが、その場でも金融庁が打ち出した、今パブリックコメントを取っている内閣府令について、非常に実務上難しいといった改善を求める意見が出ているわけですが、改めて現時点で金融庁としてのお考えといいますか、ご所見をお聞かせください。

答)

本日、中川大臣が東京証券取引所の視察を行い、それに合わせて市場関係者の皆さんとの意見交換を行ったところでございます。その中で、空売り規制に関しても話題に上ったというふうに伺っておりますが、これにつきましては、ご案内のとおり、証券会社における確認手続きの明確化などについて、パブリックコメント手続き、これは11月18日から25日までの間でございましたが、これを取ったわけでございまして、ここで寄せられたご意見等を踏まえて今後内閣府令の改正を行うことになります。これは以前もお答えしたかと思いますが、その際には、一方で規制の実効性を確保していくという要請があり、他方で証券会社等の実務の円滑さ・円滑性を確保していくという要請もあるわけでございまして、その両方の要請に十分に留意していくということが重要だと思っております。

(以上)

サイトマップ

ページの先頭に戻る